リケンテクノス 【東証プライム:4220】「化学」 へ投稿
企業概要
リケンテクノスグループ(以下、当社グループ)は、サステナビリティをめぐる課題への対応が経営の重要課題のひとつであると認識し、「環境/社会課題解決への貢献」を中期経営計画の重点戦略として掲げ、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、企業価値の向上を目指しています。
(1)ガバナンス
当社グループは、企業を取り巻く環境が大きく変化する状況であることを踏まえ、より一層ステークホルダーの皆様からの期待を企業活動に取り入れるべく、現場と経営層をつなぐ機能として、サステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会は社長執行役員を委員長とし、経営会議のメンバーである全執行役員によって構成され、社外取締役もオブザーバーとして参加しています。経営層が主導することにより、スピードを重視した経営の意思決定と施策の実施が可能となる組織体制を構築しています。
サステナビリティ委員会はサステナビリティに係わる様々な重要課題について審議し、その審議内容を経営会議に答申・報告します。また、経営会議における審議事項は、取締役会に定期的に報告されます。
2022年度はサステナビリティ委員会を7回開催し、取締役会において2回審議を行っています。
また、サステナビリティを含むグループにおけるリスクを一元的に管理する機能としてリスク・コンプライアンス委員会を設置しています。リスク・コンプライアンス委員会は社長執行役員を委員長とし、経営会議のメンバーである全執行役員によって構成され、社外取締役もオブザーバーとして参加しています。
サステナビリティ委員会及びその下部組織である環境委員会は気候変動への対応を審議し、その審議内容を経営会議に答申・報告します。また、経営会議における気候関連の審議事項は、取締役会に定期的に報告されます。
2022年度は、サステナビリティ委員会において、主に①TCFD提言に基づいた開示と②重要課題(マテリアリティ)について審議を行いました。
①TCFD提言に基づいた開示にあたっては、以下の内容について審議し、取締役会の決議を経て2022年6月に開示を行いました。
・気候関連のシナリオ分析
・短期・中期・長期の気候関連のリスク及び機会の特定と重要度評価
・特定された重要な気候関連のリスク及び機会に対する戦略的な取り組み方針
・気候関連のリスク及び機会への具体的な対応策の検討
②長期ビジョンの実現に向けて、マテリアリティについて審議を行い、2023年3月の取締役会で決定をいたしました。
(2)戦略
当社グループでは、2023年3月取締役会において、下記項目をマテリアリティとして定め、そのうち特に当社グループが重要と捉える9項目についてKPIを設定し取り組みを推進します。
サステナビリティ委員会において、上記マテリアリティの進捗を管理しています。
[気候変動への対応(「持続可能な地球環境への貢献」)]
当社グループでは2100年における世界の気温上昇が2℃あるいは4℃という2つの世界観で、気候変動に伴う2030年及び2050年のシナリオ分析を実施しました。分析にあたっては、下表に示す政府機関及び研究機関で開示されているシナリオを参照しています。
世界観 | 分析に用いたシナリオ |
2℃ | Sustainable Development Scenario (SDS), IEA, 2020 |
4℃ | Stated Policy Scenario (STEPS), IEA, 2020 |
気候関連の問題及び問題への社会的な対応が、当社グループ及びそのサプライチェーン全体にどのような影響を及ぼしうるかについて、サステナビリティ委員会で審議し、気候関連のリスク及び機会を特定しています。
<リスク>
■シナリオ分析の結果、炭素税の導入など気候変動対策を進める政策手段の導入や環境に配慮した製品への開発遅れや対応の遅れにより、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
リスクの種類 | リスクの概要 | 財務影響 | 対応策 | ||
2℃ | 4℃ | ||||
移行 | 政策及び規制 | 炭素税の増加により、主要原材料やエネルギーの調達コストが上昇する | 中 | 小 | ・中計戦略「環境/社会課題解決への貢献」の遂行 ・再生可能エネルギー由来の電力採用 ・重油から天然ガスへ転換 ・原材料のGHG排出原単位監視、低炭素型原材料への転換 ・生産設備のエネルギー効率の改善 |
移行 | 政策及び規制 | 炭素税によって従来型原材料から低炭素型原材料への代替が発生し、原材料代替のための開発コストや調達コストが発生あるいは上昇する | 大 | ― | ・中計戦略「新規事業/新製品への挑戦」「環境/社会課題解決への貢献」の遂行 ・原材料の統廃合(調達リスクが高い原材料の代替) ・使用原材料の低炭素型原材料への転換 ・複数購買化等 |
移行 | 技術 | 環境に配慮した製品の開発が遅れ、競合他社の低炭素型製品へ置き換わることで、当社製品・サービスへの需要が減少し、売上が減少する | 中 | ― | ・中計戦略「新規事業/新製品への挑戦」「環境/社会課題解決への貢献」の遂行 ・環境配慮型製品※1開発への経営資源の配分増加 |
移行 | 市場 | 石油化学由来原材料の価格が高騰し、原材料の調達コストが上昇する | 中 | 大 | ・中計戦略「新規事業/新製品への挑戦」「環境/社会課題解決への貢献」の遂行 ・RIKEBIO®シリーズの開発・販売 ・バイオマス原料の積極採用、利用促進、転換拡大 |
移行 | 市場 | 当社顧客の石油由来原材料の使用量削減、脱石油由来原材料等への転換対応に遅れをとった場合、対応が遅れた製品・サービスの需要が減少し、売上が減少する | 中 | ― | ・中計戦略「顧客の期待の先を行く」の遂行 ・顧客製品の高機能化(減容/小型化)に対応した製品開発 ・RIKEBIO®シリーズの開発・販売 |
移行 | 評判 | 環境対応の遅れにより投資家からの評価が低下し、株価が下落する | 中 | ― | ・中計戦略「環境/社会課題解決への貢献」の遂行 ・環境対応の遅れや当社の評価が低下しないよう各委員会でのモニタリング実施 ・ステークホルダーへの環境配慮型製品※1や環境対応状況の積極的な開示 |
物理的 | 急性 | 当社及びサプライチェーンが被災し、復旧までの間、事業活動の停止や縮小により売上が減少する、また復旧及び対策コストが増加する | 中 | 中 | ・中計戦略「グローバル経営の深化とシナジー」の遂行 ・グローバルな製造・発注管理 ・グローバル拠点含めたBCP体制の強化と代替生産、供給体制の充実 |
物理的 | 慢性 | 降雨パターン・気象パターンの極端な変動による河川の氾濫、海面の上昇による高潮の発生増加により、海や河川の近隣にある当社建屋への対策コストが増加する | 小 | 中 | ・中計戦略「環境/社会課題解決への貢献」の遂行 ・被災リスクの正当な評価と事前対策の実施 |
※1RIKEBIO®を含むサーキュラーエコノミー対応製品など。 RIKEBIO®=バイオマス原料を使用している製品
<機会>
■シナリオ分析の結果、省エネ貢献商品の開発、低炭素型製品や機能付与した素材の提供などが、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
機会の種類 | 機会の概要 | 財務影響 | 対応策 | |
2℃ | 4℃ | |||
エネルギー源 | 市場における省エネ貢献商品の開発、再生可能エネルギーの発電技術や機器の普及により、関連する当社製品の売上が増加する | 小 | ― | ・中計戦略「顧客の期待の先を行く」「環境/社会課題解決への貢献」の遂行 ・顧客のニーズに合わせた気候変動に対応した製品※2の拡販 |
製品及び | 低炭素型製品の需要増加に伴い、機能付与した素材、石油由来成分の少ない製品(低炭素型製品)の開発・販売により、当社製品の需要及び売上が増加する | 中 | ― | ・中計戦略「顧客の期待の先を行く」「環境/社会課題解決への貢献」の遂行 ・当社製品のリサイクル推進 ・環境配慮型製品※1の開発 ・RIKEBIO®シリーズの開発・販売 |
評判 | 気候変動対応への積極的な取り組みにより、ステークホルダーの信頼を獲得し、企業価値の向上につながる | 中 | ― | ・中計戦略「環境/社会課題解決への貢献」の遂行 ・当社環境対応に関する開示内容の充実 |
レジリエンス | 当社拠点のグローバル展開により、自然災害が増加する環境下においても顧客へ製品を安定的に供給するレジリエンスが向上し、売上の減少を防ぐと共に顧客の信頼を獲得することで売上の増加につながる | 小 | 小 | ・中計戦略「グローバル経営の深化とシナジー」の遂行 ・当社グローバル拠点を活用した原材料調達力、BCP体制の更なる強化 |
※1RIKEBIO®を含むサーキュラーエコノミー対応製品など RIKEBIO®=バイオマス原料を使用している製品
※2材料の機能が省エネルギーに繋がる製品
[人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略(チャレンジメーカーに相応しい人材の育成)]
当社グループの3ヵ年中期経営計画の4つの戦略のうち、3つの戦略の実行に必要な人材を確保・育成することが最重要と考え、各種施策に取組んでいます。
中期経営計画の戦略 | 戦略実行に必要な人材 |
グローバル経営の深化とシナジー | グローバル事業戦略を遂行できる人材 |
顧客の期待の先を行く | 分析能力・戦略視点を持った人材 |
新規事業/新製品への挑戦 | 多様な視点を持った人材 |
・人材育成方針
社員と会社はともに成長する関係にあり、「人の成長こそ企業の成長」です。
①社員一人ひとりが「リケンテクノス ウェイ」を実践しながら会社の求める人材像に適った人材へと成長し、②個の能力を組織の力として束ねて発揮させることにより、同時に会社も成長していくことを人材育成の方針とします。
会社は、社員一人ひとりが会社の「求める力」を発揮できる最適な仕事、環境の「場」を提供すると共に、グローバル競争に打ち克つ人材育成(投資)を積極的に行い、社員の「成長」と「活躍」を応援します。高められた個の能力を対話によって結集しチームで総合力を発揮することで、更なる会社の発展につなげていきます。
社内に不足する知識、見識、能力、キャリアがあって育成だけでは補うことができない場合は、中途採用も交えてそれらを補完し、社内の活性化や当社の成長につなげていきます。
社員一人ひとりが経営理念である「リケンテクノス ウェイ」を自発的に実践していくことが全てにおいての基本であると考え、会社はそのための環境の整備に責任を負います。
・社内環境整備方針
グローバル企業を目指す当社として、多様な個性を持つ社員が活き活きと働くことができる体制の整備・雰囲気の醸成を行うことを環境整備上の方針とします。
多様な人材がその個性を生かしながらのびのびとエネルギッシュに、持てる力を仕事に全力で投入できる仕組みや雰囲気をつくり、多様な働き方の実現をしていきます。
(3)リスク管理
リスク管理にあたっては、 リケンテクノスウェイの実践、 企業行動規範の遵守、経営の健全性確保、安定的な事業継続、人命優先、コンプライアンス精神の浸透並びにステークホルダーの利益阻害要素の除去・軽減を図る観点で行うことを基本方針としています。
2022年4月に設置したリスク・コンプライアンス委員会においてグループ全体のリスクの洗い出し/評価を行ない、重点対策リスクとして特定した課題を中心にリスク対応策への取り組みを実施しています。
各部門に関する個別のリスク管理は各部門が行ない、リスク・コンプライアンス委員会は連結子会社を含むグループを取り巻くリスクを一元的・統括的に管理しています。
[気候変動への対応(「持続可能な地球環境への貢献」)]
気候変動関連リスクについては、サステナビリティ委員会及びリスク・コンプライアンス委員会を中心にリスクの回避、軽減、コントロールに関する方針の策定や対応策の立案などを実施し、取締役会での決議を経て、グループ全体を通じたリスクマネジメントを行っています。また、対応策の実施状況及びその効果についてモニタリングを実施しています。
(4)指標及び目標
マテリアリティ及びKPI
マテリアリティ名称 | 評価の基準(KPI) | 中長期目標 | |
2024年度 | 2030年度 | ||
持続可能な地球環境への貢献 | ・2030年排出量削減目標値の達成(単体) | 35,446t | 24,139t (2019年度比46.2%減) |
・2050年カーボンニュートラル(グループ) | ― | ― | |
・総廃棄物量の総生産量比(単体) | 3.3%以下 | 3.0%以下 | |
健康経営・労働安全衛生の | ・休業労災発生件数(国内) | 0件 | 0件 |
・特定検診実施率(国内) | 90% | 90% | |
・特定保健指導実施率(国内) | 55% | 60% | |
チャレンジメーカーに相応しい人材の育成 | ・一人当たりの育成費用(単体) | 117千円 | 140千円 |
品質向上と製品安全の確保 | ・市場回収を伴う重大品質事故(単体) | 0件 | 0件 |
・化学物質の使用に関する法令遵守・ | 0件 | 0件 | |
新規事業・新製品の創出 | ・特許出願件数(単体) | (累計) 45件 (2022~2024年度) | (累計) 210件 (2022~2030年度) |
・外部機関との協業件数(単体) | (累計) 10件 (2022~2024年度) | (累計) 35件 (2022~2024年度) | |
生産技術・生産効率の向上 | ・生産キャパシティ(単体) | (2021年度比)+10% | (2021年度比)+33% |
DXによる事業変革 | ・MI人材の育成(単体) | 9人 | 20人 |
・全従業員へのDX教育の実施(単体) | 受講率100% | 受講率100% | |
人権の尊重 | ・全従業員への人権・コンプライアンス研修の実施(国内) | 受講率100% | 受講率100% |
・仕入先への「ESGに関するアンケート」の実施(単体) | 1回/年 | 1回/年 | |
ステークホルダーとの対話 | ・投資家、既存株主との面談実施(単体) | 140社以上/年 | 200社以上/年 |
・顧客、取引先への顧客満足度調査の実施(単体) | 1回/年 | 1回/年 |
[気候変動への対応(「持続可能な地球環境への貢献」)]
温室効果ガスの排出は、グループ全体の財務におけるリスク要因となるか、あるいは、脱炭素社会に受け入れられる製品を開発することにより、ビジネスチャンスにもつながります。当社ではグループ全体におけるCO2排出量の削減に向けた中長期の排出量削減目標を設定するとともに、削減に向けた具体的な取り組みを計画し、指標も設定して取り組みの進捗を管理しています。
2022年度におけるリケンテクノスグループのScope1,2,3排出量
Scope1,2排出量 :当社単体 41,139 t、当社グループ 86,220 t(当社単体+関係会社)
Scope3 カテゴリ1(購入原材料※)に該当する排出量:当社グループ 701,748 t
※調達量の8割弱に相当する主要原材料から算出
リケンテクノスグループの中長期CO2排出量の削減目標
当社単体での2030年の目標値(Scope1 ,2) 24,139 t (2019年度比46.2%減)
※(2019年度 基準値44,868 t )
当社グループ全体で「2050年カーボンニュートラル」を目指してまいります。
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