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企業概要

 当社では、事業等のリスクについて、リスク管理委員会を定期的及び必要に応じて臨時に開催しており、事業活動におけるリスクを抽出し、発生可能性と影響度から重点対策テーマを定め、その対応策の策定並びに対策状況の評価・検証を行っております。

 以下、当社事業においてリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
また、必ずしも重要なリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要と判断した場合には、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社はこれらのリスクの可能性を考慮した上で、リスクの発生の回避や分散、又は問題が発生した場合の対応について最大限努めてまいりますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、特段の記載のない限り、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

(1)事業に係るリスク

① 経営環境の変化について

 当社はインターネット業界において、メッセージングソリューション事業を中心に、顧客企業に対し、ASP、SaaSを主要な基盤としたサービスを提供しております。現在は顧客企業のIT関連投資マインドの持続的な上昇を背景として当社事業は順調に拡大しておりますが、今後国内外の政治・経済情勢を背景とした、顧客企業におけるIT関連投資を減退するような環境が発生した場合においては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 競合他社による影響について

 当社のASP、SaaS事業では先行者メリットを活かしつつ、顧客のニーズに合ったサービスの開発を行うことで優位性を高めております。しかしながらASP、SaaSサービスの新規参入の法的規制や技術的な障壁は必ずしも高いものとは言えず、資金力、ブランド力を有する大手企業をはじめとする競合他社により類似したサービスが開発され価格競争が激化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、顧客のニーズに合わせ、新機能の開発及び改善を進めていくことで、競合他社との差別化を図り、本リスクの低減に努めております。

③ 特定の製品への依存について

 当社の売上高のうち、主要製品であるメール配信システム「Cuenote FC」の売上高は、売上高全体の67.5%(当事業年度)と過半を占めております。当社はメッセージングソリューションに関するサービスを提供する企業でありますが、競合製品との競争激化及び市場環境等の変化により「Cuenote FC」の売上が大幅に減少した場合には、当社の業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。
当社では、引き続き、「Cuenote FC」の売上拡大を図る方針に変わりはありませんが、SMS配信サービス「Cuenote SMS」の売上拡大に取り組むことで、本リスクの低減に努めております。

④ 技術革新への対応について

 当社が各種サービスを提供するインターネット事業領域においては新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が頻繁に行われており、非常に変化の激しい業界となっております。そのため、当社のこれまでの経験が生かせないような技術革新があり、適時に対応ができない場合、当社が提供するサービスの競争力が低下する可能性があります。また、新技術への対応のため予定していないシステムへの投資が必要となった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、新機能開発やサービスの提供に関する新しい技術情報の収集及び習得を行い、積極的に導入することで、技術的優位性を維持することに努めております。

⑤ 取引先との取引が継続されないリスクについて

 現在、売上高依存度が総売上実績の10%を超えるような顧客は無く、当社の顧客層は分散されております。しかしながら、比較的取引額の大きな取引先との解約等が発生し、解約率が上昇した場合及び販売代理店との関係悪化が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、新機能の開発及び改善を進めサービスの市場価値を高めることにより、取引額の大きな取引先の解約を防ぐとともに、販売代理店との良好な関係を強化して顧客数の増加を図ることで、本リスクの低減に努めております。

⑥ システムトラブルによるサービス障害について

 当社のASP・SaaS事業はインターネットを通じサービスを提供しております。利用者に質の高いサービスを提供するためサービスの監視やバックアップ、定期的なメンテナンス等を実施し、高い稼働率を維持するよう努めておりますが、次のような障害やトラブルが生じた場合に一時的にサービスが停止し、収益の低下、ユーザーからの信用低下、ブランドイメージの毀損及び開発業務の停滞等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

a.インターネット回線の通信障害

 当社ではサービスを提供する上でのインターネット回線は回線事業者より供給を受けております。インターネット接続回線の多重化や複数回線事業者を採用することで、一部のネットワークの通信切断による全サービスの停止リスクに備えております。また各回線事業者の保守など作業実施に際しては事前に実施日や内容を確認の上、当社のシステムやネットワークの設定変更によりサービス停止などの影響を回避するよう努めておりますが、自然災害や事故等により広い範囲で通信が切断された場合には、サービスの提供に支障が生じる可能性があります。

b.ショートメッセージ送受信用回線・設備の障害

SMS(ショートメッセージ)配信サービスにおいては、携帯電話事業者の提供する通信経路を活用しております。当社システムと携帯電話事業者間の通信については、複数経路で通信できるよう対策を講じております。また各回線事業者の保守など作業実施に際しては事前に実施日や内容を確認の上、当社のシステムやネットワークの設定変更によりサービス停止などの影響を回避するよう努めておりますが、携帯電話事業者の通信設備や通信網に障害が生じた場合には、ショートメッセージの送信が不能となりサービスの提供に支障が生じる可能性があります。

c.サービス機材の故障、停止

 サービスを提供するためのサーバやネットワーク機器については、事前にその性能や安全性、安定性を評価の上採用し、システム構成時には機材を多重化することで単一機材故障時によるシステム障害に備えております。併せて定期的なバックアップや点検、増強、更新によりシステム稼働率の向上に努めておりますが、複数機材の故障や電源供給停止など予測不能な要因によりシステムが停止した場合にサービスの提供に支障が生じる可能性があります。

d.プログラム不具合

 当社では新サービスや機能の開発にあたり、機能の企画設計から開発、テストまで十分に管理するとともに、プログラムのバージョンアップに際しては、複数システムに対して順次に適用することにより複数システムの同時トラブルの発生に対処しておりますが、しかしながら、想定しえない理由により予期せぬプログラムの不具合が生じた際にはサービスの提供に支障が生じる可能性があります。

e.外部からの不正アクセスやコンピューターウィルスの感染

 サービスを提供するためのシステムやプログラムに対しては外部からの不正アクセスやコンピューターウィルスへの感染に対する物理的・技術的対策を講じるとともに定期的な脆弱性検査による点検を実施しております。しかしながら、オペレーションシステムにおける未知の脆弱性や未知のコンピューターウィルスへの感染等によりシステムが正常に機能しなくなる可能性があり、サービスの提供に支障が生じる可能性があります。

⑦ 法的規制について

 当社は電子メールを取り扱うASP、SaaS事業を営んでいることから、「電気通信事業法」に基づき電気通信事業者の届出を行っており、通信の秘密等の保護の義務を課せられております。
また、インターネットの普及に伴い「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」「特定商取引に関する法律」「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」等を始め、インターネット事業領域に関する法令整備が進んでおり、今後新たに関連事業者を対象とした法的規制等が制定された場合、業務が一部制約を受け、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、万が一適用される法令等に違反した場合、当社の業績、事業運営及び社会的信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 当社システムでは多数のメールアドレスや電話番号に対してプログラム処理を行うことから、2013年にISMS、2023年にISMSクラウドセキュリティの認証を取得し、全社的な情報管理・業務フローの適正化の監視監督を担う情報セキュリティ委員会の活動を通じて個人情報保護に関するフローの見直し、従業員教育、システムのセキュリティ強化、個人情報取扱状況の内部監査等を実施し、個人情報管理の強化に努めております。
また、当社では、関係諸法令を遵守する体制の整備及び役職員の研修を実施するとともに、事前の情報収集を実施することで、本リスクの低減に努めております。

・主要な事業活動の前提となる事項(電気通信事業者)の内容

 電気通信事業者(旧一般第二種電気通信事業者)、2002年9月取得、届出番号:A-13-04991

・許認可等の有効期間

 届出についての有効期限の定めはありません。

・許認可等の取消解約事由

 届出についての取消解約の定めはありません。

・継続に支障を来たす要因が発生していない旨及び重大な影響を及ぼす旨

 届出の継続に支障を来たす要因の発生及び重大な影響を及ぼす事象はありません。

 なお、届出事項に変更があった場合に変更の届出を行わないと罰則(3年以下の懲役若しくは200万円 以下の罰金または両方)が科されます。(電気通信事業法 第9条、第177条)

⑧ 特定の人物への依存について

 代表取締役社長である清水亘は、会社経営の最高責任者として経営方針や事業戦略の決定をはじめ、当社の事業推進において重要な役割を果たしております。当社は、同氏に過度に依存しない経営体制を整備するため、取締役会における役員間の相互の情報共有や社外取締役、社外監査役の積極参加による経営組織の強化を図っております。しかしながら、何らかの理由により同氏が業務を継続することが困難になった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑨ 人材の採用・育成について

 当社は、持続的で長期的な事業発展のため、多様な専門技術に精通した人材の確保が重要であると認識しており、人材採用を積極的に実施しております。しかしながら、国内における少子高齢化に伴う労働人口の減少や産業構造の変化を背景に、必要な人材を継続的に確保するための環境は日々厳しさを増しております。同時に人材確保のための採用費及び人件費も高騰しております。今後の競争激化により、必要な人材の確保が計画通りに進まなかった場合や人件費が高騰し続けた場合、また在職している技術者の社外流出が大きく生じた場合、当社の事業展開、業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、様々な媒体、手法による人材の採用及び育成を積極的に行うことで、本リスクの低減に努めております。

⑩ 情報管理体制について

 当社が提供するサービスは、顧客の有する個人情報や機密情報が登録されることがあります。重要な情報資産が外部に漏洩した場合には、企業イメージの悪化、社会的信用の失墜、損害賠償請求の発生等により、当社の事業展開、業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 このため当社ではこれらの情報資産を保護するために個人情報保護方針、情報取扱規程を定め、この方針、規程に従って情報資産を適切に管理、保護を図っております。また、ISMS及びISMSクラウドセキュリティ認証取得によるマネジメントプロセスを導入するとともに、ファイアウォールや対策機器等のシステム的な対策を施し、多層的な情報セキュリティ対策強化を推進しております。

⑪ 知的財産権の侵害について

 当社は、自社の事業活動が他社の知的財産権等を侵害していないかの確認を実施しております。また、第三者の有する知的財産権の侵害を防ぐ体制として、自社及び外部専門家への委託等による事前調査を行っております。
既存のサービスについても調査可能な範囲で第三者の知的財産権侵害の可能性の調査を行っており、当社が事業活動を行うプロセスにおいて使用しているシステムは第三者の知的財産権等を侵害するものではないと認識しております。しかしながら不測の事態、例えば外部に委託した調査の不備により第三者の知的財産権等の侵害が生じた場合、その紛争の解決のための費用又は損失が発生する可能性は否定できないものと認識しております。この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、第三者の知的財産権等の侵害可能性については、専門家と連携を取り調査可能な範囲で対応を行うことで、本リスクの低減に努めております。

⑫ 訴訟リスクについて

 当社が事業の継続・拡大を行っていく上で、製品販売先若しくは各種取引先との間で紛争等が生じ、これにより訴訟等が提起され、当社が想定外の損害賠償金を支払うような事態が生じる可能性は常に存在します。上記「⑪知的財産権の侵害について」に記載のとおり、当社は第三者の知的財産権の侵害についての確認を実施しており、また、製品の開発等においても法的規制・製品の安全性の確認を実施することで、第三者の権利を侵害しないよう努めておりますが、第三者からの訴訟の提起を受ける可能性はゼロではなく、訴訟の提起を受けた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。

⑬ 自然災害等について

 地震、台風、津波等の自然災害、火災、各種感染症の拡大等が発生した場合、当社の事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に大規模な自然災害が多発したような場合には、当社の営業活動が制限されたり、取引先において正常な事業運営が行えなくなるなど悪影響が生じ、正常な事業運営が行えない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、サービスを提供するための重要な事業基盤である情報資産が格納されているサーバを複数の拠点で分散配置、運用を行うことで、本リスクの低減に努めております。

⑭ 配当政策について

 当社は財務体質の強化と事業の成長のための投資が重要であると考え、配当を実施しておりませんが、株主への利益還元は重要な経営課題と認識しております。
今後、将来の財務体質の強化と事業拡大のために必要な内部留保を確保しつつ、当社を取り巻く事業環境を勘案して、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

⑮ 新型コロナウイルスをはじめとした感染症のまん延による当社事業におけるリスクについて

 当社においてはリモート業務推進環境の整備やオンラインを中心とした販売、サポート体制への移行により、事業活動への悪影響を低減しております。しかしながら新型コロナウイルスをはじめとした感染症が今後まん延した場合、最終的な影響については予測が困難であることから、経済活動が停滞する場合には、新規受注の減少や延期、また既存顧客の解約など、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑯ 調達資金の使途について

 株式上場時における公募増資による調達資金の使途については、当社事業のさらなる成長のための設備投資、採用活動費、広告宣伝費等による費用に充当する計画としております。しかしながら当社の属する業界の環境変化や、それに伴う今後の事業計画の見直し等により、投資による期待通りの効果が上げられなくなる可能性や、場合によっては充当先の変更が生ずる可能性があります。この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2)親会社との関係について

 本書提出日現在、当社の支配株主(親会社)であるアイテック阪急阪神株式会社は、当社株式の51.8%を所有しておりますが、アイテック阪急阪神株式会社は阪神電気鉄道株式会社が55.7%及び阪急阪神ホールディングス株式会社が14.2%を保有する阪神電気鉄道株式会社の子会社であり、阪神電気鉄道株式会社は阪急阪神ホールディングス株式会社の完全子会社(連結対象)であることから、上記3社はいずれも当社の親会社に該当します。
なお、これら親会社とは法令等(東京証券取引所の定める有価証券上場規程を含む)に基づく開示に必要な情報のみを事前報告事項とする旨の契約を結び、独立性・自立性を確保しております。

① 親会社における当社の位置付けについて

 アイテック阪急阪神株式会社は、阪急阪神ホールディングス株式会社の連結子会社であり、情報通信業としてインターネット、医療システム、社会システム等の事業を展開しています。当社は、メッセージングプラットフォーム「Cuenote」を開発し、メール配信システムやSMS配信システム等をクラウドサービスとして展開しています。

 現在、アイテック阪急阪神株式会社及び阪神電気鉄道株式会社を含む阪急阪神ホールディングス株式会社のグループ(以下、「親会社グループ」という。)において当社と同じ業務を行う企業はなく、当社と親会社グループ各社との間には事業の棲み分けがなされ、競合関係もありません。

② 取引関係について

 当社は現在アイテック阪急阪神株式会社との取引として、主にデータセンターの転借取引やCuenoteの代理店販売の委託を行っています。これらの取引については、親会社グループ各社からの独立性確保の観点も踏まえ、第三者である他社と同等の条件により取引を行っています。

 当社は、Cuenoteの代理店販売を除き、親会社グループとの取引削減を進める方針ですが、今後も継続する取引及び新たに取引を行う場合は、その取引の合理性及び条件の妥当性について事業上の必要性及び他社との取引条件等を比較し検証を行った上で、当社にとって不利益となる場合は条件の見直し、解約を親会社と交渉を行い、取締役会で承認を行うこととしています。

 現在においての当社と同社との間の主要な取引については、後記「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 (注記事項) 関連当事者情報」に記載のとおりであります。

 また、当社は、非常勤取締役として事業運営に知見を有する斎田 誠氏を、非常勤監査役として宇仁菅 亮介氏を同社から招聘しておりますが、出向者の受入れ等その他の人的関係はありません。当社は同社の承認を必要とする取引や業務は存在せず、事業における制約もなく、当社の経営方針及び事業戦略等の重要事項の意思決定において、当社は同社からの独立性・自立性は保たれているものと考えております。

 同社は、今後も中長期的に当社株式を保有する方針ですが、将来的に、同社をその傘下に置く阪急阪神ホールディングス株式会社におけるコア事業体制の見直し等による、事業戦略変更・基盤事業再編を受け、市場で当該株式の売却が行われた場合や売却の可能性が生じた場合には、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。さらに、市場での売却ではなく特定の相手先へ譲渡を行った場合には、当該譲渡先の保有株数や当社に対する方針によっては、当社の経営戦略等に影響を与える可能性があります。

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