企業兼大株主ユニオンツール東証プライム:6278】「機械 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当連結会計年度の研究開発活動は、主力である切削工具については、多様化する市場ニーズに対して競争力ある製品を投入すべく、あらゆる面での強化を図りました。切削工具以外の製品については、品質・技術による差別化を基本戦略とし、引き続き新製品の開拓を目指して注力を続けております。

(1) 切削工具関係

プリント配線板用ドリルにおきましては、次世代FC-BGAパッケージ基板向けULFコートドリルの開発に注力しました。データセンターやAIサーバー向けFC-BGAパッケージの大面積化に伴い、その土台となる基板の機械的強度向上が求められます。そのため、パッケージ基板が厚板化し、難削化が進む一方で、回路パターンの高密度化も進み、直径0.15mmや0.2mmといった極小径ドリルの溝長延長が求められます。当年度は、次世代仕様のULFコートドリルの設計手法と、加工方法を確立することができ、ユーザーニーズにタイムリーに対応することができました。また、ルーターでは、φ1.0mmといった主に車載基板用途として多用される基板の外径加工用小径サイズ帯において、従来困難とされていた基板の重ね枚数アップを実現する設計手法も確立することができ、ユーザーから高い評価を得ることができました。引き続き、ユーザーニーズを的確にとらえ、柔軟かつ迅速な対応をしてまいります。

超硬エンドミルは、長寿命かつ、高品質を目指すとともに、お客様からのコストダウン要求にも応える研究開発を進めてきました。長寿命かつ、高品質を達成する製品として、生材から40HRCのプリハードン鋼に対応する2枚刃ボールロングネックタイプCWLBを2023年9月に発売しました。CWLBは、高硬度と硬靭性を維持し耐摩耗性を向上させたコーティングUTWCOATを採用しました。さらに、CWLBは工具先端刃形状に特殊形状を採用することで高い加工面品位を得ることができるシリーズです。このCWLBの展開により、2022年8月に発売した高硬度材領域のHWLBと合わせて2枚刃ボールロングネックタイプは既存シリーズからバージョンアップができ、お客様に貢献できる製品シリーズを揃えることができました。コストダウン要求に対しては、好評を得ている精度や機能は従来品と同等で価格半額のφ3シャンク製品である『Vシリーズ』においてもスクエア形状の4シリーズを追加しました。また、新型エンドミル製造設備の開発を進めています。この設備では、コストダウンを達成する生産性向上のみならず、高精度エンドミルに対応する機械安定性を大幅に改善できる機構としています。今後もお客様の要望に応えるべく、製品の開発を進めていきます。

(2)その他の製品関係

  転造ダイスにつきましては、市場ニーズに対応すべく、ダイスの寿命向上および精度向上を継続的に行っています。転造ダイスの主力市場である自動車部品分野において、パワーウインドウやパワーシートに使用されるウォームギア用ダイスは継続してお客様から高い評価を頂いています。近年では、自動車の自動運転に関連する高精度を求められるウォームギア用ダイスの開発を進めています。また、ブレーキやステアリング部分に使用されるボールねじ用ダイスも、形状精度、表面粗さにおいて、高い評価を頂いています。

 スプライン・セレーション用ダイスについては、中空ワークの転造加工に優位なダイスを開発し、特許出願しました。従来の標準ダイスに比べ、内径の変形や、楕円が少ない特長に加え、累積ピッチ誤差の改善効果も確認されており、今後さらに加速する自動車用シャフト部品の軽量化に対応できるダイスを提案して行きます。

  測定器関連では、社内設備に内蔵されている測定器の精度と効率を向上させるために、イメージセンサを使用した新たな測定器の開発に着手しました。

また、プリント配線板用穴明機向け測定器については、これまでにユーザーから収集した製品の問題点や将来のニーズに基づき、新たな開発を進めています。

引き続き、社内外のニーズを反映した製品開発を推進してまいります。

 当連結会計年度における研究開発費は1,742百万円であります。当社グループは、研究開発活動のほとんどを日本で行なっておりますので、セグメント情報に関連付けての金額記載は省略いたします。

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