モスフードサービス 【東証プライム:8153】「卸売業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営理念
当社グループは、「人間貢献・社会貢献」の経営理念のもと、「食を通じて人を幸せにすること」を経営ビジョンとして、「おいしさ、安全、健康」にこだわった商品を「真心と笑顔のサービス」とともに提供することに取り組んでいます。同時に、創業の心として「感謝される仕事をしよう」を掲げ、お客様、そして株主の皆様の信頼と期待にお応えするように努めています。これらの実現に向けて、商品開発、店作り、サービスの一層の充実、新業態の開発などによるチェーン基盤の強化と、当社グループならではの独自性の確立に向け、努力を続けております。
(2) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略
国内では経済活動の正常化により外食需要が回復してきましたが、円安の加速や、物価高騰により消費者の節約志向が強まるなど、まだまだ厳しい事業環境が続いています。このような中、当期は中期経営計画「Challenge & Support」の2年目として、引き続きお客様のニーズに合わせた商品の投入やマーケティング展開、地域に密着した店舗運営などを推進しました。
国内モスバーガー事業では、好評の「黒毛和牛バーガー」シリーズなどの期間限定商品を相次いで投入したほか、コロナ禍で短縮していた営業時間の延長や、予約販売の強化などに取り組みました。これらの施策が奏功し、2023年4月から2024年3月までの全月で、全店売上高と既存店売上高がともに前年同月を上回りました。また、期中に積極出店を実施し、期末の国内店舗数は前期比21店舗増の1,313店舗となりました。一方、海外事業では、コロナ禍後の商圏及び人流変化に合わせて、不採算店舗の閉店を含む積極的なスクラップ&ビルドを実施した結果、2023年12月末時点での海外店舗数は前年同期比1店舗増の456店舗となりました。
これらの結果、2023年度の連結経営成績は、売上高が930億58百万円(前期比9.4%増)と過去最高を更新し、営業利益は41億85百万円で増収増益となりました。特に各段階の利益は期初予想を大幅に上回る結果となり、前期は赤字となった最終損益も、25億73百万円の黒字に転換しました。
国内モスバーガー事業では、ファミリー層の強化に向け、「家族みんながワクワクする、モスらしい感動体験」を提供することをテーマに、“おいしさ”と“あんしん”にこだわった「MOS品質」を訴求するとともに、定番商品の強化などに注力しました。店舗運営においても、お客様との接点の量と質を徹底的に強化することを意識し、これまで未開拓だった都市部の住宅地に小型店舗を出店するなど、多様な立地に合わせた店舗づくりを進めています。また、セルフレジの機能強化やレジで並ばずに座席からスマホで注文できる「お席で注文」の試験導入、ネット予約システムの改善など、デジタル技術の活用も推進し、顧客満足度の向上とともに人手不足への対応にも注力しました。
モスブランドを活用した新たな事業としては、公式オンラインショップ内に2023年8月から「モスライスバーガー専門店」をオープンし、海外モスのメニューをアレンジした新商品などを相次いで投入しました。今後も海外の人気商品や国内商品の復刻版、オリジナル商品などを開発し、ブランド価値の向上につなげるとともに、新たな収益源として育てたいと考えています。他社とのコラボ商品の開発にも引き続き注力してまいります。
海外事業については現在、コロナ禍からの回復に向けて収益性の改善に努めており、積極出店よりも既存店の回復を優先し、不採算店舗の閉店も進めています。この結果、出店地域は8つの国と地域となりました。今後も日本の食文化を大切にした定番商品に加え、現地の嗜好を取り入れたローカライズ商品も積極的に投入するなど、地元の人にも愛される、地域に根差した店舗展開に取り組みます。
その他飲食事業でも、事業環境はコロナ禍以前の状況に戻りつつあります。引き続き、商品力の強化やサービス品質の向上、テイクアウトやデリバリーの拡大などを推進し、既存事業の収益性改善と新たな付加価値の創造に努めてまいります。
また、当社グループはESGの観点から、①食と健康、②店舗と地域コミュニティ、③人材育成と支援、④地球環境、の4つをマテリアリティ(重要課題)として定め、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献し、企業価値をさらに向上できるよう努めています。
具体的には、他社との共同輸送による物流の「2024年問題」への対応や、分身ロボットを活用したリモートによる接客の実験、働きがいのある組織づくりに向けた賃金の引き上げなどに取り組んでいます。今後も、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化することを目的に2022年に設置した「サステナビリティ委員会」が中心となって、各取り組みを推進してまいります。
① 中期経営方針
当社グループでは、2022年度を初年度とする3か年の中期経営計画を開始しました。計画の指針となる中長期ビジョンに「『心のやすらぎ』『ほのぼのとした暖かさ』をお届けし、世界が注目する外食のアジアオンリーワン企業へ」を掲げ、「Challenge & Support」をスローガンに取り組んでまいります。
具体的には、国内モスバーガー事業においては積極的な投資を行い、収益力の向上を図ってまいります。また、そのほかの事業については適正規模の投資を行う事で成長を促進させ、収益の多様化を目指してまいります。これら、モスグループの多種多様なビジネスを支えていくためのグローカル事業プラットフォームを構築し、既存事業の収益力向上、新事業展開、M&A・アライアンスによる事業拡大を実現するため、グループ経営体制の整備を進めてまいります。
② 中期経営目標
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)は売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益、営業利益率、ROEであります。当該KPIを採用した理由は、投資家が当社グループの経営方針・経営戦略等を理解する上で重要な指標であり、経営方針・経営戦略等の進捗状況や、実現可能性の評価等を行うことが可能となるためであります。
2024年度 連結財務数値 |
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売上高 | 940億円 |
営業利益 | 42億50百万円 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 26億50百万円 |
営業利益率 | 4.5% |
ROE | 5.0% |
(注)上記KPIについては有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
③ セグメントごとの中期計画
<国内モスバーガー事業>
中期方針「お客様との接点の量と質を徹底的に強化する」
a.お店をもっと近くに
・多様な立地に適応する店舗
・積極的な出店
b.もっと愛されるお店に
・利用シーンの創出
・ファン層の拡大
c.モスブランドを活用した新たな事業の展開(マーチャンダイジング事業)
・商品開発
・チャネル開発
<海外事業>
中期方針「国際フランチャイズビジネスモデルの創出」
a.BtoC事業:成長市場に経営資源を集中
・既存国の成長と見極め
・新規事業・新規国へのトライ
b.BtoB事業:グローバルで最適な食材供給ネットワークを構築
・トレーディング部門設立
・製造拠点の拡大
<その他飲食事業>
中期方針「既存事業の収益性改善と新たな付加価値の創造」
a.既存事業の磨き上げと成長
b.紅茶事業の構築
<全社横断テーマ>
・デジタル活用で推進するCX(お客様の体験価値)とEX(社員や店舗スタッフの働きがい)
中期方針「"食を通じて人を幸せにすること"をITで支える」
a.デジタル接点の強化
b.店舗体験価値の向上
c.店舗業務の負荷軽減
・SDGs(持続可能な開発目標)の推進
中期方針「モスらしい先進性を発揮し、社会と共創する」
a.SDGsの重点項目
2050年カーボンニュートラルを目指して、モスグループとして貢献できることを積極的に推進
b.地域社会とのコミュニケーションと発信
c.SDGsとESGの重点項目の実現
・人材育成
中期方針「多様な人それぞれの成長と活躍をサポート」
a.一人ひとりの成長と活躍の場づくり
b.働きやすい職場の実現
c.業務のスリム化
d.ベトナム人材の育成・採用プログラム
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う経済活動の正常化が進んだほか、人流の増加や個人消費の持ち直しの動きもあって外食需要の回復が見られました。一方で、物価高騰による消費者の生活防衛意識の高まりに加え、急速な円安による調達費用の上昇や物流費およびエネルギー価格の高騰等、依然として先行き不透明な状況が続いております。厳しい経営環境下ではありますが、お客様の生活様式の変化に対応しつつ、ブランド価値および業績のさらなる向上を目指し、以下の取り組みを実施してまいります。
① 国内モスバーガー事業(マーチャンダイジング事業を含む)
お客様のニーズを起点とするマーケティングをもとにオリジナルな差別化商品を開発し、SNSなどのデジタル施策のさらなる強化やスタッフの高いホスピタリティによって、お客様の身近な存在となり、新たなファンや利用機会の創出を図ります。また、商圏や立地、客層、多様化するニーズに合わせて柔軟に商品やサービス、店舗形態を変えていく取り組みを推進するほか、店舗数増による成長とIT技術の活用などによる既存店の運営力向上を図ってまいります。また、マーチャンダイジング事業では、ECサイトの「モスライスバーガー専門店」をはじめ、当社のブランドを活かした商品展開やビジネス領域の拡大を通じて収益基盤を築いてまいります。
② 海外事業
日本の食文化を大切にした定番商品に加え、現地の嗜好を取り入れたローカライズ商品の販売や、地域に根差した店舗展開を進め、日本発の外食チェーンとしてモスブランドの定着を図ってまいります。さらに、管理コスト抑制や不採算店舗の閉店に継続して取り組むとともに、商圏の変化およびお客様のニーズの変化を捉えたマーケティングと個店ごとの販売力強化、リブランディングに取り組んでまいります。
③ その他飲食事業
サービスレベルの向上やテイクアウト、デリバリーの拡大など運営力をさらに磨き上げ、成長事業へと育てるべく取り組んでまいります。また、当社オリジナルの茶葉を活用した紅茶の卸売事業も強化してまいります。
④ SDGsの推進
経営理念に基づき、事業活動を通じて社会課題の解決と価値の創造に取り組み、当社の基本方針にある「心のやすらぎ」「ほのぼのとした暖かさ」を世界の人々に広げていくことを目指します。
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