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企業概要

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題は、以下の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社は、「人と人をつなげて世界中の人々の生活を豊かに変えます」というミッションを掲げ、その実現に向けて、ライブ配信コミュニケーションプラットフォーム事業を展開しております。

 当社は、ライブ配信コミュニケーションプラットフォーム事業を通して、サービス利用者に対して新しい価値を提供し続けることで、社会的責任を果たしながら、継続的な企業価値向上に向け努力してまいります。

(2) 経営戦略等

 当社では、以下の点を経営戦略として重点的に行ってまいります。

①ライブ配信の特徴を生かした日常コミュニケーションインフラ化の推進

・ あらゆる人の集まりを快適なコミュニケーションにフォーカスしてオンライン化し、新たな価値を提供

・ 1対複数はもちろん、複数対複数のオンラインコミュニケーションにおける新たなユーザー体験の創造

・ ユニークな配信コミュニケーション体験によるオンリーワンな価値の提供

②サービス健全性の自発的かつ継続的な改善を推進する仕組みの強化

・ 児童・未成年ユーザー保護対応の強化、特に児童ユーザーに対する不適切コメントの自動検知&アカウント規制システムの強化、改善

・ 24時間365日の無作為サンプル監視によるリアルタイム配信チェックの強化、推進

・ ライブ配信を視聴中に、ユーザーが違反行為を通報しやすい通報機能の提供および継続的な改善

③大規模低遅延配信を実現するライブ配信インフラシステムのさらなる強化

・ 5G(第5世代移動通信システム)の普及に伴うライブ配信の高画質化対応

・ ライブ配信コミュニケーションにおける時差ゼロを目指した低遅延化の推進

・ BCP(事業継続計画)対応の推進

・ スケールメリットを生かしたインフラシステム運用コスト最適化の推進

・ サイバーセキュリティ対策の継続的な強化

④ユーザーによる独自文化・コミュニティの自然発生・発展を支援する仕組みの強化

・ 配信者支援プログラムの多様化、大規模化

・ 新機能・サービス等のリリースによる配信文化の拡大、コミュニケーション活性化及びコミュニティ形成支援の推進

⑤ユーザーによる経済活動の拡大を支援する仕組みの強化

・ ユーザーが収益を得る仕組みの多様化

・ 配信によって得られる収益の増加を支援するための施策等の推進

・ ユーザーによる課金・購入に関わる安全性及び利便性の向上

・ 高額課金問題対策の推進

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は持続的な成長を通じた企業価値の向上を目指しており、売上と営業収益を重要な経営指標と位置づけ、企業価値の向上を図ってまいります。またこれらの経営指標をより具体的に可視化するための指標(KPI)として以下を設定しております。

①ポイント販売売上

「ツイキャス」で視聴者がアイテムを利用するために消費するポイントの購入に伴う売上金額合計

②ポイントPU(Paid User)

 ポイントを購入した月間ユニークユーザー数

③ポイントARPPU(Average Revenue per Paid User)

 ポイントを購入したユーザーあたりの月間平均課金額

④実質売上総利益

 当社が獲得する売上高合計から、収益化された配信者に対してお支払する報酬額と、Apple Inc., Google Inc. 等の決済代行業者に対して支払う手数料を差し引いた金額

(4) 経営環境

 当社が事業を展開するインターネットライブ配信サービス市場は、グローバルSNSプラットフォームのライブ配信サービス参入による競争環境の変化と、それに伴う新規サービス利用者の増加により、今後も市場は拡大していくと予想されます。

 株式会社野村総合研究所によると、日本国内における動画投稿・ライブ配信市場の市場規模は、2021年度に8,164億円、2026年度には10,855億円に拡大すると予測されており(出典:ITナビゲーター2021年版 2020年12月17日発刊)、今後も利用者数は拡大していくと考えられます。なお、上記予測値を前提として、ライブ配信アプリ市場における月間アクティブユーザー数(2021年8月時点におけるApp Apeより取得した各対象アプリの推計数値を元に、自社で集計)をもとに自社で試算した結果、ライブ配信市場規模は、1,399億円と推計しております。

 当該市場は、今後も市場規模、利用者数等が順調に拡大していくと考えられる一方で、インターネットライブ配信サービス市場の成長に伴い、国内外の新規競合サービスの市場参入、既存競合サービスとの競争激化などが進むことが予測されます。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社では下記の事項を対処すべき課題と認識して、取り組みを進めております。

①既存事業の収益機会の拡大及び新たな収益機会の創出

 当社は、配信者、視聴者のためのライブ配信コミュニケーションプラットフォームサービス「ツイキャス」を運営することで、主に「ポイント販売売上」、「メンバーシップ販売手数料売上」、「公式ストアにおけるチケット・コンテンツ販売手数料売上」という3種類の収益を得ております。「ツイキャス」への新たな機能追加や各種マーケティング活動を通して、競合企業との差別化、新規の配信者・視聴者の獲得、及び既存ユーザーの満足度向上に向けた機能改善・サービス運営等を推進することで収益機会の拡大を図ってまいります。

②サービス健全性の維持・改善推進

 当社は不特定多数のユーザーによるオンライン上のリアルタイムコミュニケーションの場として「ツイキャス」が活用されていることの重要性とリスクを十分理解した上で、配信者、視聴者が共に安心してコミュニケーションを楽しめるよう、プラットフォームの健全性維持・改善を常に最重要視しており、そのための施策を行っております。具体的には、ユーザーに対する啓蒙活動推進、未成年ユーザー保護対応、著作権違反・第三者の名誉・プライバシーその他の権利を侵害しうる行為が生じないための取り組み、社内外によるモニタリング体制の強化、ユーザーや外部(警察や著作権者等)への通報・報告機能の提供等の施策を行っております。当社では、今後もサービスの健全性維持・改善を推進するための体制強化を継続してまいります。

③システムの安定性確保

 当社の主要事業におきましては、インターネット上にてサービス提供を行っている関係上、安定した事業運営を行うために、新規・既存サービスの成長等に伴うアクセス数の増加を考慮した、サーバー設備の強化、負荷分散システムの導入等が重要となるため、今後も設備投資等を継続的に行い、システムの安定性確保に取り組んでまいります。

④事業推進体制の強化

 今後の事業拡大及び収益基盤の強化を図るにあたり、専門性の高い優秀な人材の確保及び在籍する人員の育成に注力し、これまで同様、少人数での効率的な事業運営を意識しつつ、事業規模に応じた組織、事業推進体制の整備を進めてまいります。

 開発組織においては、複数の少人数チームがそれぞれ裁量をもってサービスの企画・開発に取り組むことで開発効率を高いレベルに保ちながら、それぞれの責任を明確化することで開発品質を担保し、各種ツールを活用した情報の可視化などにより定量的なデータに基づいて迅速な分析・意思決定を行う体制を推進してまいります。

 また、サービス運用組織においては、ユーザー数の増加に対して効率的に対応していく体制の強化が重要となります。具体的には、データ分析や各種ツールを活用しながら、新規ユーザー層獲得のための適切なマーケティングの実施、ならびに既存ユーザー層の満足度を継続的に向上すべく、コミュニティの快適性、安全性を低下させる問題となりえる配信・ユーザーの発見、及び対応を早期化し、サービスの健全性を維持できる体制を強化してまいります。

⑤内部管理体制の強化

 当社は、現在も成長途上にあり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。

 そのため、コーポレート業務のさらなる整備を推進し、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。具体的には、リスク・コンプライアンス委員会を中心として、業務運営上のリスクを適時適切に把握した上でリスク管理を行い、定期的な内部監査の実施によるコンプライアンス体制の評価、監査役監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実等を図ってまいります。

⑥情報管理体制の強化

 当社は、「ツイキャス」のサービス運営を通して、個人情報を含む多くの機密情報をユーザーよりお預かりし、保有しております。特に配信者に対して報酬支払を行う上で、本人確認のための個人情報の提供を義務付けていることからも、これら情報管理の重要性については十分に認識しております。

 個人情報等の機密情報管理につきましては、プライバシーマークの取得・維持、社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施、セキュリティシステムの整備等により、今後も引き続き、情報管理体制の強化を推進してまいります。

⑦当社ブランドの知名度向上

 当社は、これまで新聞・テレビ・雑誌等のマスメディア向け広告には大きく注力しておらず、「ツイキャス」のユーザーによるクチコミとソーシャルメディアの有効活用により、新規ユーザーの獲得、および既存ユーザーの離脱防止を図ってまいりました。

 一方で、当社の掲げるミッションの達成、既存事業の更なる拡大、新規事業の開発と育成、及び競合企業との差別化を図るにあたり、当社サービスである「ツイキャス」のライブ配信コミュニケーションプラットフォームとしてのブランド構築および強化が重要であると認識しており、費用対効果を慎重に検討の上、適切な広告宣伝及びプロモーション活動を通して、当社ブランドの知名度向上を推進してまいります。

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