企業メンバーズ東証プライム:2130】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

・ミッション

「“MEMBERSHIP”で、心豊かな社会を創る」

 当社では、マーケティングの基本概念を「人の心を動かすもの」と捉えており、インターネット/デジタルテクノロジーは企業と人々のエンゲージメントを高めるものと考えています。メンバーズは企業と人々の自発的貢献意欲を持って組織活動に参加する“MEMBERSHIP”による協力関係づくりを支援し、マーケティングの在り方・企業活動の在り方を「社会をより良くするもの」へと転換することで、世界の人々に心の豊かさ、幸せを広げ、社会をより良くすることに貢献します。

・経営指針

 当社の経営指針である「超会社」コンセプトのもと、「社会への貢献」「社員の幸せ」「会社の発展」を同時に実現することを目指し、妥協することなく追求します。

(2)経営戦略等

 当社グループは、デジタルビジネス運用支援を通じ、顧客企業の経営スタイルやマーケティング活動、サービスおよびプロダクトを「地球と社会を持続可能なもの」へと転換させることを目指しております。

 当社は2024年4月1日付で、顧客企業のDXニーズにあわせ、各本部および専門カンパニーを「制作/UIUX」「デジタルマーケティング」「デジタルサービス開発」「データ活用支援」の4つの事業領域に再編しました。

 当面は、収益性の回復・高収益事業の確立を目指し、新卒社員の採用抑制による人材ポートフォリオの改善を図ると同時に、新卒1、2年目を除く既存社員の稼働率の引き上げに最注力し、収益性の回復を最優先に取組んでまいります。そのうえで、付加価値売上高成長率25%への引き上げを目指し、事業領域ごとにサービス品質の向上と高付加価値化を進め、高収益ならびに高成長の事業体制を確立してまいります。具体的な戦略等については、過去の振り返りおよび現在の課題認識も踏まえ、「(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりです。

 デジタルテクノロジーの更なる進化や世界的な脱炭素への取組み、および日本の人口減少の影響等を受け、企業のデジタル投資は一段と加速すると同時にIT/デジタル人材の不足は更に拡大するものと捉えております。そのような環境において、当社グループは引き続き専門スキル育成等への人材投資を通じて、顧客への価値創造の源泉であるデジタルクリエイターのスキルの向上ならびに社員エンゲージメントの向上等、人的資本の拡充に取組み、顧客企業へのDX支援を通じ、顧客と共に社会変革をリードすることを目指してまいります。

(3)経営環境

 地球温暖化が引き起こす気候変動により、深刻な大災害が世界各地で頻発しています。2023年11月より第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)がアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催され、世界の気温上昇を1.5度に抑えるという目標に対し、二酸化炭素など地球温暖化の主な原因となる温室効果ガスを、2019年対比2030年までに43%、2035年までに60%排出削減する必要があることが、採択された決定文書に明記されました。温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言する国や地域が増加し、GX(※1)に向けた取組みの成否が企業、ひいては国家の競争力に直結すると考えられる中、我が国においては「GX推進法」に基づき、脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の3つを同時に実現することを目指し、脱炭素電源への転換等の取組みや、官民で150兆円のGX投資を行う等の方針が掲げられています。企業は継続的価値創造のためにデジタルを活用し、企業組織やビジネスモデルそのものを脱炭素型・社会課題解決型へ変容させることが求められています。

 国内DX(デジタルトランスフォーメーション)市場は、企業のデジタル投資の活況を背景に、2022年度3兆4,838億円(実績)から2030年度には8兆350億円に拡大すると予測されています(株式会社富士キメラ総研 2024デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編、2024年3月7日発刊)。一方で、企業がインターネットやデジタルテクノロジーに精通したクリエイター人材を自社で採用・育成することは難しい状況であり、人材不足が企業のデジタル推進を阻む大きな壁となっています。DX白書2023によると、日本企業の8割以上が、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する人材は質・量ともに不足していると回答しています(独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2023、2023年3月16日発行)。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 これまでVISION2030で掲げる「世界一のデジタルビジネス運用への転換」ならびに「1万名体制に向けた新卒採用先行モデル」を推進し、毎期25%の付加価値売上高成長を見据え、新卒採用(2022年4月484名、2023年4月585名、2024年4月411名)を中心に積極的な先行採用を展開してまいりました。その結果、デジタルクリエイター数は2022年3月期から2024年3月期の3か年のみで1,176名増(2021年3月期末比90.0%増)となりました。他方、付加価値売上高については、2020年3月期と比べて2024年3月期にはほぼ2倍(年間平均成長率19.2%)と大きく伸長したものの、従来主力としていたWeb運用領域の想定以上の成長率鈍化の影響により、デジタルクリエイター数の伸び率を下回りました。そのため、グループ全体の稼働率が低下し、収益性が大幅に悪化しました。

 しかしながら、顧客満足度は継続的に高水準であり、加えて社員エンゲージメントスコアも独自のミッション・ビジョン・コアバリューへの共感採用やCSV経営の浸透により高水準を維持していることから、サービス品質および当社の強みである顧客企業との中長期にわたる深い関係性、ならびに高い人的資本価値は引き続き強固であると捉えています。

 当社グループが認識している2024年3月期までの課題は、従来の「運用」という事業のポジショニングおよび新卒採用先行モデルの成功体験への過信と、VISION2030の数値目標ありきで、顧客視点を欠いた拡大戦略であると考えております。2025年3月期以降は、VISION2030の数値目標よりも収益性の回復に最優先に取組み、先行投資型のマネジメントから利益重視マネジメントへと転換してまいります。加えて、事業・組織体制の再編により全事業領域においてサービス品質の向上と高付加価値化を進め既存顧客売上高を最大化するとともに、従来掲げていたWeb運用・デジタルビジネス運用から、AIを含むDXの実行計画業務から実行運用の伴走と内製化支援を行う独自のDX現場支援のポジショニングに転換するため、組織体制の確立と人材育成に全力で取組んでまいります。これらの取り組みを通じて、早期に高収益の事業ならびに高成長率を両立させる事業を確立することを目指します。具体的には以下に記載する「中期的な成長に向けた戦略」に基づき、事業基盤を再構築してまいります。

■中期的な成長に向けた戦略

1.収益性の回復・高収益事業の確立

2024年4月に新卒社員が411名入社しましたが、2025年以降は新卒社員の採用数を付加価値売上高の成長率の範囲内に抑制し、人材ポートフォリオにおける新卒割合の改善を図ります。併せて、グループ全体で利益重視のマネジメントを徹底し、稼働率が適切な水準になるまで中途採用の抑制、人員配置の最適化などにより新卒1、2年目を除く既存社員の稼働率向上に最注力し、未稼働人材を解消させます。それらの取り組みにより、売上総利益率を改善し収益性を回復することで、営業利益率を中期的には段階的に5%、10%と高めてまいります。

KPI

・新卒1、2年目を除く既存社員の稼働率

・売上総利益率(連結)

2.高成長事業の確立

 上記施策と並行し、以下2点を強力に推進することで、付加価値売上高成長率20%超へと引き上げを図ります。

①サービス戦略の抜本的強化

 顧客企業のDXへの取組み領域として「制作/UIUX」「デジタルマーケティング」「デジタルサービス開発」「データ活用支援」の4つの事業領域に再編することにより、これまで19の専門カンパニーが個別に事業を行っていた状態(2024年3月末時点)から、当社のグループとしての強みを築き上げるサービスを明確にすると同時に、事業領域内でのクロスセルにより主力顧客へのサービスを進化させ、取引拡大につなげます。

 また主要顧客に対しては事業領域を跨いだアカウントマネジメントを強化し、既存の顧客企業一社あたり売上収益の最大化を強力に推進してまいります。この取り組みにより、年間取引額1億円以上を基準とした大口取引社数を増加させてまいります。

KPI

・DGT一社あたり付加価値売上高

・一社あたり年間売上収益

②顧客のDX内製化伴走支援ポジションの獲得

 顧客企業のDXの内製化の取り組みが大きく進む中で、当社はこれまで「実行運用」フェーズに集中してサービスを提供してまいりましたが、今後はこれまで「実行運用」フェーズで培ったUI/UXデザインやアジャイル開発などによるデジタルビジネス成果向上支援の強みを活かしつつ、顧客のDX投資効果最大化の実現に貢献するために、「実行企画・推進」フェーズにおけるサービスにより注力し、各段階においてデジタルクリエイターが顧客に伴走支援する体制へとポジショニングを転換します。

 上記を実現するために、プロジェクトの進行、品質および予算管理、プロジェクトチームの人材調整などのプロジェクト全体のマネジメントを行うPMO人材(※2)の育成を強化します。そのために、従来のデジタルの専門技術育成のみならず、ビジネススキルやコンピテンシーの育成も強化し、業界一、顧客企業のDX現場の改善に伴走できるデジタル人材を数多く輩出することを目指します。

KPI

・売上単価

・PMO人材数

3.将来への投資

 当社のミッションおよびVISIONの実現に向けて更なる成長を目指すべく、脱炭素DX(※3)事業の確立と脱炭素DX人材の育成に取組み、顧客企業のサステナブル経営に向けた基盤確立を支援してまいります。

 上記方針に基づき、2025年3月期の連結業績予想は売上収益23,230百万円(当期比13.5%増)、営業利益200百万円(当期比379.4%増)、税引前利益180百万円(当期比31.7%増)、当期利益150百万円(当期比18.6%増)を見込んでおります。

2024年4月の新卒社員411名入社以降は先行投資フェーズを改め、今後は新卒・中途採用を抑制すると同時に、稼働率の引き上げに最注力し収益化フェーズへと転換いたします。これにより、営業利益率を2026年3月期は5%、2027年3月期は10%を目標とし、高収益事業を確立させてまいります。

 中期的には、上記のみならず、付加価値売上高の更なる成長を目指し、顧客企業のDX支援領域として4事業でのサービス展開とDX内製化伴走支援ポジションを確立させ、20%以上の高い成長率へ引き上げることを目指します。

 以上の方針を着実に実行することで、2027年3月期において、付加価値売上高成長率25%、営業利益率10%の達成を目指してまいります。

(※1)GX(グリーントランスフォーメーション):化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用するための変革やその実現に向けた活動のこと。経済産業省では、「2050年カーボンニュートラルや、2030年の国としての温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた取組みを経済の成長の機会と捉え、排出削減と産業競争力の向上の実現に向けた、経済社会システム全体の変革」と定義。

(※2)PMO(Project Management Office):企業や各組織のプロジェクトを円滑に進めるために、部署の枠をこえて横断的にプロジェクトマネジメントを統括する部門や体制を指す。プロジェクトを統括し、様々な意思決定を担う立場であるPM(Project Manager)に対し、PMOはPMが円滑に意思決定できるよう情報収集や関係各所との調整を行い、PMのプロジェクトマネジメントを支援する立場。

(※3)脱炭素DX:GHG(Greenhouse Gas=二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガス)排出量を減らしながら経済成長を続ける「デカップリング・モデル」をデジタルテクノロジーの力で実現することを指す。

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