メドレックス 【東証グロース:4586】「医薬品」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。
(1) 創薬パイプラインの開発推進
創薬パイプライン型ベンチャーである当社グループにおいては、創薬パイプラインの開発を一歩一歩進めて開発アセットの価値を高めていくことが、当社企業価値を最大化する唯一の道筋と考えています。当社グループにとって2023年は、既存のパイプラインについては足踏み状態が続きましたが、新たにAltoとの提携契約を締結して、臨床ステージのパイプラインが加わりました。
<MRX-5LBT:帯状疱疹後の神経疼痛治療薬(リドカインテープ剤)”Lyodolyte”>
2023年9月にFDAから受領した審査完了報告通知(CRL: Complete Response Letter)において、非臨床の一部のデータをFDAの指示に従って再提出するよう求められていました。データの再解析を進めて2024年1月に新薬承認申請書 (NDA: New Drug Application)を再提出し、同月に申請受理されました。審査終了目標日は2024年7月11日に設定されており、承認取得後2024年内の上市を計画しています。
当社グループにとって初の米国向け医薬品の承認取得~上市まで、あと一歩のところに来ています。
<MRX-4TZT:痙性麻痺治療薬(チザニジンテープ剤)>
開発・販売提携先であったCiplaの全社戦略変更(中枢神経関連の開発候補品については、資金投入を抑制してアウトライセンスする方針)を受けて協議を続けた結果、1日でも早く開発再開することで本パイプラインの価値向上を図りたい当社グループとして、2023年4月に「ライセンス終了合意契約」を締結し、MRX-4TZTに関する全ての権利が当社に返還されました。
臨床第Ⅰ相反復PK(Pharmacokinetics)試験(P1b)は成功裡に完了しており、臨床第Ⅱ相試験(痙性麻痺患者を対象とした最長4週間の用量増加試験)の準備を進めています。
<MRX-7MLL:アルツハイマー治療薬(メマンチン貼付剤)>
製剤改良は完了し、一部の非臨床試験を追加実施中です。2024年第2四半期にP1a(臨床第Ⅰ相単回PK(Pharmacokinetics))試験を開始することを計画しています。
<MRX-9FLT:中枢性鎮痛薬(フェンタニルテープ剤)>
MRX-9FLTが持つ誤用事故防止機能が評価され、FDAからファスト・トラック指定(重篤または生命を脅かす恐れのある疾患やアンメットメディカルニーズの高い疾患に対して治療効果が期待される新薬を優先的に審査する制度。開発から審査までの迅速化を目的としている。ファスト・トラック指定により、臨床試験に関する相談などFDAと協議する機会がより多く与えられる)を受けています。早期の承認取得を目指して開発を進めてまいります。
<Alto-101:中枢神経疾患治療薬(PDE4阻害剤)>
2023年9月に米国の創薬ベンチャーである Alto Neuroscience, Inc.と、当社独自の経皮吸収技術を適用した中枢神経領域の新規医薬品候補(Alto-101)に関する提携契約を締結しました。Alto-101について、現在臨床第Ⅰ相試験を実施中であり、2024年に様々な精神疾患を対象とした臨床第Ⅱ相試験の開始が計画されています。
<マイクロニードルアレイ(MN)>
国内外の複数の製薬会社・ワクチンベンチャー等とフィージビリティスタディ(実現可能性を検討する研究)を実施しながら、事業提携を模索しています。その一つとして、株式会社ファンペップと抗体誘導ペプチドMN製剤についての共同研究を、コロンビア大学と免疫賦活剤および抗がんペプチドとMNを組み合わせた乳がん治療のための共同研究を実施中です。
「MRX-5LBT “Lydolyte”」の新薬承認取得、「MRX-4TZT」のP2試験成功、その他のパイプライン・基盤技術についての開発進展が、引き続き重要な経営課題であります。
(2) 製薬会社等とのパートナーシップの構築
当社グループは研究開発投資が先行する創薬パイプライン型ベンチャーであることから、製薬会社等との事業提携も重要課題であると認識しています。各開発パイプラインや基盤技術の一部について、開発権や販売権のライセンスアウトを通じて、win-winの関係を構築できるパートナーから収益を得て、財務基盤の強化、持続的な企業成長を図っていく方針です。
「MRX-5LBT “Lydolyte”」の新薬承認取得に続く販売パートナーとの提携、「MRX-4TZT」のP2試験成功に続く事業提携が、引き続き重要な経営課題であります。
(3) 開発資金の確保
当社グループは研究開発投資が先行する創薬パイプライン型ベンチャーであることから、中長期的成長に向けて、創薬パイプラインの開発アセットとしての価値を高めていくための開発資金の確保も重要課題であると認識しています。当連結会計年度においては、第24回新株予約権(行使価額修正条項付)の行使による新株発行、第25回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行及び行使による新株発行により、開発資金を確保することができました。今後も、適時適切な財務活動による資金調達を実施して開発資金を確保し、開発アセットの価値向上を通じて企業価値向上を図っていく方針です。
(4) 人材の採用・育成、企業風土の醸成
当社グループの事業活動は、医薬品業界における豊富な経験を有する経営陣及び研究開発人員により運営されているものの、事業を推進する各部門の責任者及び少数の研究開発人員に強く依存するところがあります。当社が持続的な成長を果たすためには、人的陣容強化が欠かせないと認識しており、常に優秀な人材の確保と育成に努めています。また、研究開発推進の背骨となる多様性とチャレンジ精神を尊重する企業風土を培い続けていく所存です。
(5) 内部統制の強化
当社グループでは、企業規模・業容に応じた内部管理体制を整備し機能させることが重要であると考えています。業務執行の妥当性や効率性のチェック機能を有効に働かせ、取締役6名(社外取締役1名を含む)、監査役3名(社外監査役2名を含む)及び従業員22名の小規模組織(2023年12月末現在)に応じた内部管理体制を敷いています。
2024年3月28日開催の第22期定時株主総会での承認可決を前提として、取締役会の監督機能を強化して経営の健全性・透明性を一層向上させるため、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行することを計画しています。
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