企業兼大株主メディパルホールディングス東証プライム:7459】「卸売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 経営理念 「流通価値の創造を通じて人々の健康と社会の発展に貢献します。」

 経営方針
  1.社会から信頼される活力ある企業文化の創造
  2.株主価値を高める経営とコンプライアンスの徹底
  3.誠実で自由闊達な社風の醸成と創造性に富む人材の育成

(2)経営戦略等

 当社グループは、「流通価値の創造を通じて人々の健康と社会の発展に貢献します。」の経営理念に基づき事業活動を行っております。「ありたい姿」として「『医療と健康、美』を広げ、支え、つなぐ 健康応援オーケストラ」を掲げ、「医療と健康、美」の事業フィールドで社会価値、顧客価値を創造する事業を「広げ」、強固な流通インフラで「支え」、また、様々な分野のパートナーが持つ価値を「つなぐ」ことで、誰もが心身ともに健やかに暮らせる社会の実現と、企業価値の向上を目指しております。

 この実現に向けて、「2027メディパル中期ビジョン Change the 卸 Forever~たゆまぬ変革を~」(以下、本中期ビジョンという)を策定し、2022年10月31日に発表いたしました。

 また、2022年10月、メディパルグループサステナビリティ方針「未来へつなごう『元気と、かがやき』」を策定いたしました。

(3)経営環境

 少子高齢化が進むわが国において、高齢者の増加や生産年齢人口の減少が社会や経済に影響を与え、当社グループの各事業を取り巻く環境においても変化が起きてくると想定しております。セグメントごとの事業環境は以下のとおりです。

医療用医薬品等卸売事業

 医療用医薬品等卸売事業における事業環境は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴い、国内の経済活動が正常化した結果、医療機関の受診機会が増加したこと等により伸長しました。

 このような中、株式会社メディセオ(東京都中央区、以下、「メディセオ」)を始めとする医薬事業各社においては、新たな価値創造を目指し、地域医療コーディネーターとして、医療機関・調剤薬局・自治体等を「つなぐ」活動を展開しました。女性診療科領域を専門とする「ウィメンズコーディネーター※1」や希少疾病領域を専門とする「RD-MR※2」をはじめ、医薬品の専門知識と機動性を有した当社の営業担当者AR※3たちが、予防・診断・治療等の情報を総合的に提供し、疾患啓発や潜在患者の発掘、専門医への橋渡しなどを行い、地域におけるヘルスケア課題の解決に向けて取り組みました。

 なお当期は、東七株式会社(長崎県佐世保市、以下、「東七」)を連結子会社化し、また株式会社メディスケット(埼玉県三郷市、以下、「メディスケット」)が本格稼働しました。

[用語解説]

 ※1 ウィメンズコーディネーターとは、女性診療科領域の専門知識を有するARなどに付与した社内呼称であります。

 ※2 RD-MR(Rare Disease MR)とは、希少疾病領域に特化したARなどに付与した社内呼称であります。

 ※3 AR(Assist Representatives)とは、MR(Medical Representative)認定試験に合格したMS(医薬品卸売業の営業担当者)や薬剤師などに付与した社内呼称であります。

化粧品・日用品、一般用医薬品等卸売事業

 化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業における事業環境は、依然として原材料・エネルギー価格上昇及び、それに伴う物価高騰の影響を受けた一方で、脱コロナの動きが進んだことにより、外出機会や訪日外国人客数が増加するなど、緩やかな回復基調を見せました。

 販売面では、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後、マスクや消毒液などの衛生関連品の需要減少が続いた一方で、レジャーやオフィス回帰など外出機会の増加や、一部インバウンド需要の回復、セルフケア意識の高まりなどにより、化粧品や一般用医薬品の需要が増加しました。

 このような中、市場の変化を的確に捉え、生活者のニーズを満たす新たな商品調達を行い、鮮度の高いマーチャンダイジング提案を行いました。

動物用医薬品・食品加工原材料卸売等関連事業

 動物用医薬品等卸売事業における事業環境は、飼料や光熱費高騰等の生産コスト増加により厳しい環境下にありましたが、一方で養鶏の市場が回復し、またコンパニオンアニマルに関わる市場も成長を見せています。このような状況の中、ワクチンの新規採用やコンパニオンアニマル向けの医薬品の販売を強化しました。

 食品加工原材料卸売等関連事業における事業環境は、相場高騰による販売価格への転嫁や新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴い需要の回復が見られました。このような中、全国展開の強みを生かした営業の推進や、商品の調達と提案、商品付加価値を高める新製品の企画開発の推進、お得意様の商品企画から流通にいたるまでをトータルにサポートする取組みを行いました。

[用語解説]

 ※ コンパニオンアニマルとは、伴侶動物とも表現され、日常生活の中で人とより密接な関係を保つような動物を指しております。

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

<主な連結経営目標・計画>

  ROE           9% (2027年3月期)

 経常利益       1,000億円 (2027年3月期)

 成長投資       1,000億円 (2023年3月期から2027年3月期までの累計)

<サステナビリティ中長期目標>

 温室効果ガス排出量削減目標(Scope1+Scope2) 2030年度 50%削減(2020年度比)

                          2050年度 カーボンニュートラル

 管理職に占める女性割合             2030年度 20%以上

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

「医療用医薬品等卸売事業」の事業環境につきましては、医療の高度化等に伴う医薬品の厳格な品質管理と迅速かつ安定的な供給がますます重視されてきています。この環境下で医薬品卸売企業に対しては、サプライチェーン全体の最適化を実現する流通ネットワークの構築や、情報収集・提供活動が求められています。また、薬価改定が毎年行われるようになり、医療用医薬品市場の大きな成長が見込めなくなっている状況を踏まえ、顧客ニーズの変化に応じた新しいサービスや製品の提供などビジネスの創出も重要になっています。

 このような状況の中、2025年3月期においては、当社グループ独自の機能である「ALC※1」と「AR」を活用し、新しい時代の流通価値を提供してまいります。

 ALCは2009年に神奈川県に設置して以降、全国に拡大し、昨年13か所目のALCとして「阪神ALC」を稼働、これをもって高機能物流サービスを全国の医療機関に提供できるようになりました。当社グループでは、ALCを通じて医療用医薬品等の安定供給を継続するとともに、当社連結対象の子会社であるメディスケットへの業務委託を通じ、医薬品・検査資材等の供給と臨床・治験・研究等の検体の集荷を最適化することに加え、GDPガイドライン※2に準拠した高品質な物流サービスを提供していきます。メディスケットでは、今後、外部企業からの物流受託を行うことで新しい収益機会の創造にも取り組んでいきます。

 ARについては、2010年に取組みを開始し、約2,000名のMR認定試験合格者が、医療関係者への総合的な情報提供活動や地域におけるヘルスケア課題の解決に向けた営業活動を展開しています。現在、これらの機能に対する需要や期待が高まっており、この「2つのA」を活用した取組みをより強力に推進することで収益基盤の強化に努めてまいります。

 「化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業」につきましては、物価高騰に伴う商品単価の上昇が継続することに加えて、賃上げの促進・継続に伴う所得環境の改善による個人消費の持ち直しや、訪日外国人客数の増加によるインバウンド需要が増加する見通しです。

 このような状況の中、2025年3月期においては、営業機能の進化に伴う小売業様との取引の拡大や、さらには2024年9月から食品の物流受託を開始することで新たな収益源の確保へとつなげてまいります。

 なお、食品の物流受託開始に伴うイニシャルコスト発生による売上総利益率の悪化、また2024年問題を背景とする配送費上昇や人材投資の負担の影響を受けて販管費の増加を計画していますが、増収による売上総利益額の増加によりこれらの固定費増を吸収することで、営業利益への貢献を見込んでいます。

 また、当事業を牽引する株式会社PALTAC(大阪市中央区、以下、「PALTAC」)は、2027年3月期を最終年度とする3か年の中期経営計画を新たに策定しました。持続的成長の実現に向けた「変革による新たな価値創造への基盤づくり」の3か年と位置付け、「既存事業の収益性改善」「新たな価値創造に向けた挑戦」を進めてまいります。既存の事業領域で構築した基盤を活かし、新たな価値創造に挑戦することで価値提供領域の拡大及び収益性の向上を図ってまいります。

 「動物用医薬品・食品加工原材料卸売等関連事業」の動物用医薬品では、飼料価格及び生産資材価格の高止まり状況が続く中、一方で養鶏は昨シーズンの鳥インフルエンザから生産が回復し、コンパニオンアニマル向け市場では治療の進歩等による犬猫の長寿化が進むことが予想されます。このような状況の中、畜水産市場では利益率の高い製品の販売強化、またコンパニオンアニマル向け市場では抗体医薬品と新規取り扱い製品の普及拡大と深耕に取り組んでまいります。

 食品加工原材料卸売等関連事業につきましては、国内人口の減少や少子高齢化を始め、原料価格の高騰等による厳しい市場環境が引き続き見込まれます。一方で、食の安全や健康に対する意識の高まり、消費者ニーズの多様化に伴い技術革新が進み、新たな需要が生まれるなど事業環境は常に変化しています。このような中、新たに連結対象の完全子会社となったMP五協フード&ケミカル株式会社(大阪市北区、以下、「MP五協F&C」)が主力とする多糖類※3を軸に国内及び海外での販売を強化し、また化成品分野では、半導体市場向けの電子薬剤を中心に商品開発への取組み等を通じた顧客サービスの強化に努め収益拡大を図ってまいります。

[用語解説]

 ※1 ALC(Area Logistics Center)とは、医療用医薬品や医療材料などを扱う高機能物流センターで、主に調剤薬局、病院、診療所に商品を供給しております。

 ※2 GDPガイドライン(Good Distribution Practice=医薬品の適正流通)とは、流通経路(仕入・保管・供給)の管理が保証され、医薬品の完全性が保持されるための手法、さらに、偽造医薬品の正規流通経路への流入を防止するための適切な手法を定めたものであります。

 ※3 多糖類とは、グルコースやマンノース等の単糖が長くつながったものの総称で、広義では10個以上の単糖が結合することで構成されている炭水化物を指しております。たれ・ソース・ドレッシング・佃煮・ゼリー・プリン・アイスクリームなどの加工食品にユニークな食感を付与したり、つくりたての状態を保持するなどの機能を有するとともに、嚥下困難者の皆さま向けの食品にも活用されております。また、近年では、化粧品など、食品以外の商品にも用いられております。

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