メイテックグループホールディングス 【東証プライム:9744】「サービス業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
〇経営者の認識について
リーマンショックにより2010年3月期の連結営業利益が49億円の赤字となり、急激に資金が減少し、雇用調整助成金を受給した経験を踏まえ、当社は「常に経済危機は起こる」ということを前提に、雇用を守り抜く為に、資金残高にも配慮しつつ、「自己資本の“質と量”の充実」を優先してきました。
現中期経営計画「M2CX」では、「2つのThe Coreを変革する」ということをテーマに取り組んでいます。お客さま・エンジニア2つのサービス提供先に対して、多彩なサービスバリュエーションを掛け合わせ、更なる付加価値を積極追求し、採用は品質を堅持しつつ「数の力量」を積極増強していきます。
そういった中で、自己資本の質と量を堅持し、効率的な経営を行った結果、当年度末における自己資本は470億円以上となり、「自己資本の“質と量”は概ね充実」していると認識しています。
(1)会社の経営の基本方針
<メイテックグループの経営理念>
『共生と繁栄』
<メイテックグループのコーポレート・スローガン>
『人と技術で次代を拓く』
<メイテックグループの「目指すべき姿」>
私たちメイテックグループは、全社員がつながりあい、エンジニア価値を起点として、5つの価値を持続的に向上させます
<メイテックグループの本質を伝える呼称> |
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(2)経営環境
技術分野においては「デジタル化」が進むと共に、「AI」や「自動運転」などの技術革新が加速化し、当社の主要な顧客である大手製造業各社では、競合する企業が多様化・複雑化し、競争優位性を保つことが非常に厳しい環境にあります。又、人材不足解消の取り組みとしてDXによる仕事の自動化・無人化が進み、今後一部の設計・開発領域においては、AIが人間に代替される事が見込まれます。
また規模の大小や実績の長短、スタートアップ企業などにかかわらず、多くのお客様で共通するマテリアリティにおける技術革新が加速している状況下で、当社グループは、改めてお客様とエンジニアの2つの価値提供先に対するオリエンテッドを絶対的に追求し、社員、そしてお客様や社会に貢献するために、2つの「The Core」に対して「Transformation」を組み込んでいきます。
(3)経営戦略等
2023年度からの3年間の実行計画として「「MEITEC 2 Core Transformation」、「M2CX」を策定し、2023年4月1日からスタートしました。
<中期経営計画の名称> | <基本方針(1)> |
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<基本方針(2)> | <2025年度のグループ連結の収益目標> |
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(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
「事実上の課題」
1)経営幹部の後継者育成
メイテックグループは「共生と繁栄」の経営理念に立脚し、全社員がつながりあい、エンジニア価値を起点として、5つの価値(エンジニア価値、社員価値、顧客価値、株主価値、社会価値)の持続的向上を図り、業容と規模の両面を拡大してきました。
外面的に、付加価値を提供する仕組みが同一の事業における規模の拡大と見られます。しかし、実際には、各傘下事業会社には固有のリスクプロファイルがあり、さまざまな利害関係が複雑に絡み合い、さらに難しくなっています。
メイテックグループが持続的に成長するためには、バリューチェーンの連携とリスクマネジメントを統合的・戦略的・機敏に実行する必要があります。したがって、経営幹部は、これらの事柄について広く深い洞察力を持つことが必要不可欠です。しかし、経営幹部の業務の中には、狭い範囲の知見に止まり、連携・統合の視点が乏しい場面を認知しています。そのため、強い危機感を持つとともに、経営幹部の後継者確保と候補者の育成が最も重要な課題と認識しています。
2)中核事業の業務変革
メイテックグループの中核事業はエンジニアリングソリューション事業です。その事業における将来の業績は、技術力の高いエンジニア社員数とその稼働率の多寡に懸かっています。そのため、受注営業、採用・増員、キャリアサポートの業務を統合的に管理して、環境変化に適応した変革を繰り返し、持続的成長を実現することが重要な課題です。
① 受注営業
エンジニアリングソリューション事業は、エンジニア社員のキャリアアップを支援する事業でもあります。受注量の確保は、稼働人員数の増加や稼働率の維持・向上だけでなく、業務領域の拡大や継続的な機会と場の提供など、エンジニア社員のキャリアアップの選択肢を拡げるためにも極めて重要です。したがって、平常時や危機的状況にかかわらず、安定的に十分な受注を確保するために、営業力の強化につながる営業システムの変革を継続することが重要な課題です。
② 採用・増員
特に「プロのエンジニア集団」のメイテックは、多くの優秀なエンジニア社員を確保することが成長力の源泉となります。そのため、業界のリーディングカンパニーとしての信頼性・安心感に基づく労働市場におけるブランドを確立することは、グループ採用力を継続的に高めていく上で極めて重要です。また、平時・危機時を問わず、市場環境の変化に応じて、グループ採用活動を遅滞なく迅速に修正することが不可欠であり、これも重要な課題です。
③ キャリアサポート
特にメイテックでは、「プロのエンジニア集団」として、品質の維持・向上を図るためには、エンジニア社員一人ひとりのキャリアアップをきめ細かにサポートすることが必要不可欠です。このサポートには、エンジニア社員自らが主体となるキャリアアップ支援の拡充と、会社主導のキャリアアップ支援の強化、の両立が重要な課題です。したがって、お客さまニーズに基づく技術進化と市場動向を正確に理解することの重要度が高まっていることを認識しています。
「財務上の課題」
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応は以下の通りです
① 現状分析
エクイティ・スプレッドの水準を、長きにわたって強く意識してきました。
分析する主要指標は2つで、株主資本コスト(投資者の期待リターン)とROE(自己資本利益率)、補完する指標はPBR(株価純資産倍率)です。中でも、株主資本コストの算出で用いるベータ値の動向を最も強く意識してきました。
そして、資本収益性と市場評価はおおむね高い水準にあり、長期間維持できている、との自己評価に沿って、これまでの誠実な取り組みを継続することが適正、と判断しています。
なお、バランスシートの現預金水準に関して意見が対立することはあります。当社グループは、資本収益性と市場評価の水準、多様なステークホルダーの存在と特定業種の自己資本規制を参照した本質的な財務健全性の重要度、を説明しています。
② 計画策定・開示
長きにわたり中期計画で、ROEの定量目標を策定し、開示を続けています。
現在、中期経営計画〔2023~2025〕M2CXで、2025年度ROE目標は30%を掲げています。
また、財政規律の維持も考慮した利益配分の明確な方針を策定し、開示を続けています。
なお、2024年5月に、PBRを取り入れた配分方針へ改正しました。
③ 取り組みの実行
これまでの株主・投資家との対話では、ベータ値に対して非常に高い関心を示していました。
今後も、ベータ値への影響、従前と異なる変動を及ぼしかねない戦略の採択是非などを建設的に対話して、資本収益性と市場評価の維持向上に努めます。
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