ムロコーポレーション 【東証スタンダード:7264】「輸送用機器」 へ投稿
企業概要
(1) 経営方針
① 経営の基本方針
当社は、ものづくりを通して社会に貢献することが最大の使命と認識し、お客様をはじめとする全てのステークホルダーに信頼される会社を目指し、事業活動を行って参ります。
② 目標とする経営指標
当社は、その時々の環境に見合った利益を確保しつつグループの全体価値を高め、事業の巾を広げつつグローバル展開を進め、売上の拡大と適正利益の確保を目指します。原材料価格やエネルギーコスト等の高騰、客先の生産調整などもあり利益確保は厳しい状況ですが、中長期的には8%以上の営業利益率確保を目標に事業を進めて参ります。
③ 中長期的な会社の経営戦略
金属関連部品事業につきましては、既存客先へのさらなる浸透を基本戦略として展開して参ります。中でも、EVを含めた電動車等を中心とした製品分野への対応強化を重点課題として取り組むと共に、従来にも増して技術開発重視の「真にお客様に求められるものづくり」を目指し、問題解決型、提案型の事業展開を進めて参ります。
樹脂関連部品事業につきましては、当社の営業基盤を活用し、金属関連部品事業の既存客先や新規開拓先への提案を積極的に行い、樹脂部品単体のみならず樹脂+金属の複合部品の拡販を進め、新たな事業の柱として育てて参ります。
その他事業につきましては、既存品のグローバル市場での拡販を基本戦略として展開して参ります。ツールや新ラインナップの開発を重点課題とし、さらに次なる新商品の開発を進め、他社とのコラボレーションや産学協同事業も試行しつつ引き続き事業拡大を目指して参ります。
海外拠点につきましては、北米・アジア地域への直接販売をさらに強化するために全拠点のネットワークを活用してのさらなる拡販と企業体質強化のための活動を推進し、企業価値の向上を図って参ります。
現在、足下ではEV化の勢いが鈍化している様に思われますが、長期的には確実に進むものと考えます。当社としても、長期的には事業構成を変えて行かなければなりません。そのために、新規成長投資を積極的に進め、新規事業の創出を図って参ります。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
当社グループの主要取引先であります自動車業界は、部品供給が正常化して生産が増加しました。これを受けて当社グループの売上も増加しましたが、材料価格等の売価反映による増加分や円安効果も寄与しており、実質的には見た目ほどの伸びではないと考えます。また、原材料費やエネルギーコスト、労務費等の増加、客先の生産調整に伴う生産効率の悪化等もあり、利益面でも厳しいものとなりました。
この様な経営環境下における当社グループの対処すべき課題は、以下の通りであります。
① 事業領域の拡大と見直し
ここ数年、脱炭素化の加速に伴い多くのカーメーカーがEV一択に舵を切りICE(エンジン)は絶滅するかのように喧伝されて来ましたが、最近ではEV一辺倒の勢いに陰りが見えエンジン開発が再開されるなど各社の戦略にも変化が生じています。しかしながら、EVの問題点がいつどの様に解決できるかで先行きが大きく変わって来ます。例えば全固体電池の実用化の様な大きなブレークスルーをきっかけにEVが大きく巻き返す可能性も有ります。今後のパワートレインの構成比率を予測することは非常に難しいと考えますが、それでもEV化は進んで行くと思われます。当社では超長期のシナリオを用意し、事業領域を見直して行きます。いずれにしてもICE領域に過度に依存した売上構成は改めて行かなければいけませんので、新規事業の種蒔きをしっかりと行い、既存事業でも新規事業でも供給製品の販売先や供給可能な製品の巾を広げる取り組みを進めて行きます。基盤となる精密プレス部品と精密樹脂成形部品の領域において、持てるリソースを最大限に活用しつつグループのシナジーを十二分に発揮して、当社グループの成長につなげて参ります。
② 中国拠点収益改善
中国湖北省に設立しました「睦諾汽車部件(湖北)有限公司」はコロナ禍からの船出から今年度の日系各社の販売不振に伴う減産等もあり、当初計画した収益を上げられていないのが現状です。その結果今年度において、睦諾汽車部件(湖北)有限公司の株式評価損326百万円を計上いたしました。中国でもEV一辺倒からPHVやHVが選択肢として再浮上して来ておりますので、中長期ではこれまでの損失を取り戻せる様に活動を進めて行きます。中国市場において、これまでに無かった事業領域も開拓しながら、中国拠点を早期に黒字化し、収益改善を進めて参ります。
③ 安全と品質の取り組み強化
ここ数年来特に重点を置いて取り組んで参りました製造業の基本であるS・Q(安全・品質)の強化につきましては、引き続きさらなるレベルアップを目指して活動を進めております。その結果、当社では3年連続で品質の社内目標を達成することができました。今後もさらに高い目標を設定し、目標達成に向けて全社一丸となって取り組んで参ります。また、認証取得いたしましたIATF16949品質マネジメントシステムを活用し、さらなる品質強化に向けて取り組んで参ります。さらに、IATF16949認証取得が取引条件となっている客先に対しましても、グループ全体で販売活動を進めて参りたいと考えております。
④ 人材確保の取り組みと働き方の見直し
労働人口が減少して働き方も多様化する時代となり、人材の確保が難しくなっています。当社グループの課題を解決していくためには、現状の課題を引き継いで解決していく人材が必要となります。この対応として、人材確保のために中長期的な視野で既存人員も含めた人への投資を厚くし、働き方の見直しを行い、改善を進めていく必要があります。今後もグループ全体を通じて待遇改善と共に働き方の見直しを進め、生産性の向上を図って参ります。
⑤ 自動化・合理化投資の推進
人材確保の取り組みと裏表になりますが、工数確保が難しくなる環境下においては、付加価値の低い機械的な単純作業、高度な判断を必要としない仕事等は出来る限り自動化・合理化・IT化を進めていく必要があります。当社グループはこれらの自動化・合理化・IT化投資を積極的に行い、人材が付加価値の高い仕事に従事できる環境づくりを進めて参ります。またこれからは、これらの取り組みを間接部門にも広げて参ります。
⑥ 変動に合わせた稼働対応
新型コロナウイルス感染症も落ち着き部品供給も正常化しましたが、自動車各社では様々な要因により生産調整が繰り返されております。当社でもこの変動に対応していく必要があり、今年度も客先の生産減の影響により一部の期間で生産調整のための一時帰休等の稼働調整を余儀なくされました。今後も同様な稼働調整をする必要が出て来るものと考えますが、適正工数確保と平準化生産によりしっかりと対応して参りたいと考えております。
⑦ カーボンニュートラルへの対応
我国の2050年炭素排出量実質ゼロ目標を達成するため、当社でも事業活動におけるカーボンニュートラル実現のための取り組みを進めて行く必要があります。当社の主力事業では、大型プレス機や熱処理炉等の様々な設備を稼働させる必要があるため、カーボンニュートラル実現のハードルは非常に高いと認識しておりますが、工場敷地内に太陽光発電設備の増設を進めると共に今期よりグリーンエネルギーの購入や客先との協業活動を開始いたしました。今後も引き続き他社事例や技術動向等を参考に活動を推進して参ります。
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