企業ムゲンエステート東証スタンダード:3299】「不動産業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は、社是として、経営の考え方の根幹であり社名の由来でもある『夢現 -夢を現実に-』を掲げ、お客さまの夢を実現することで会社としても成長し、ステークホルダーを含めたすべての人の夢の実現を目指しております。

 そのために、ミッションを、『不動産に新たな価値を創造し、すべての人の豊かな暮らしと夢に挑戦する』とし、事業活動を通して地球温暖化、少子高齢化、空き家問題や住宅ストックの老朽化等、不動産業界が抱える数々の社会課題の解決に取り組み、持続的な企業価値の向上を目指しております。

 また、ミッションの実現に向けた、行動の基軸として『速さを追求』『あくなき挑戦』『多様な連携』『先を見通す』『貫く責任』の5つのバリューを定めております。

(2)経営環境と中期的な会社の経営戦略

[経営環境]

 当社グループが属する不動産業界では、緩やかな景気回復が続く中で、需要は底堅く推移しました。また、インバウンドの回復と日米金利差による円安の効果もあり、海外投資家の日本の不動産に対する需要においても堅調に推移しております。しかしながら、日本銀行の金融政策見直しによる金利動向など注視が必要な状況です。

 居住用不動産に関しましては、テレワークやリモートワークなど働き方の変化が定着し、より広い物件への住み替えニーズが高まっております。また、昨今の環境問題の高まりを受けて、住まいを選ぶ際に約半数がカーボンニュートラルを意識するとの調査結果も出ており、住宅に求める設備もグレードアップしております。さらには資材価格や労務費の高騰も受けて、マンション価格は依然高価格で推移しております。その結果、比較的低価格な中古マンションへの需要につながったこと、中古マンション事業者のリノベーション力が向上したことによりデザイン性・機能性に優れた新築マンションと遜色ない物件が供給されるなど、中古マンションの需要は年々高まっております。2016年以降、首都圏においては中古マンションの契約件数が新築マンションの供給戸数を上回る状況が続いております。

 投資用不動産に関しましては、低金利が続く中、国内の不動産投資家の投資意欲は高い需要を維持しております。また、直近では新型コロナウイルス感染症の水際対策の緩和や円安を背景に、海外投資家の日本の不動産に対する需要が高まりつつあります。
 一方で、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクや物価上昇、供給面での制約並びに金融資本市場の変動の影響等、先行きの不透明感が増しております。

[中期的な会社の経営戦略]

 当社グループでは、2022年12月期を初年度とする3カ年の第2次中期経営計画を進め、この3カ年では、「事業拡大に向けた収益基盤の強化」「収益機会を捉えるネットワークの構築」「事業成長を支える組織力の向上」「事業拡大・成長を支えるDXの推進」を経営の基本方針として掲げ、大きく飛躍することを目指しています。

 主力の買取再販事業は、商圏エリアを1都3県から地方都市へと拡大させることで居住用・投資用不動産の取引量を増やし、事業の成長につなげてまいります。2023年5月の大阪進出を皮切りに、2024年1月には札幌・名古屋・福岡へ出店し、商圏エリアを拡大しております。各地方都市は、企業の誘致や国際的イベントの招致、交通網の整備等で、今後も経済活動の活況が見込めると想定しております。また、首都圏の更なる営業力強化を目的として、2024年春頃に渋谷へ新たな営業所の出店を予定しております。

 成長事業の一つである不動産開発事業は、これまで当社グループが長年培ってきたノウハウを活かしつつ、ESGやSDGsを意識した賃貸マンションやオフィスビルの開発を当社グループ間のシナジーを活かし拡大を図ります。もう一つの成長事業である不動産特定共同事業は、販売ネットワークの拡充をしつつ、組成商品の多様化、規模の拡大を図り大きく成長させてまいります。

 これらの事業戦略を支える、経営基盤の強化として、人材の採用・拡充と育成、ガバナンスの強化、DXの推進、財務健全性の確保、株主還元の強化に加えて、非財務情報の開示を充実させるとともに、上場企業に求められるサステナビリティ水準も充足してまいります。

(3)目標とする経営指標

 第2次中期経営計画では、事業の「成長性」「効率性」「健全性」「株主還元」を重要な経営指標としております。また、第2次中期経営計画の3年目である2024年12月期の連結業績見通しにつきましては、足元の事業環境を鑑み、当初の数値目標を修正し、売上高は608億96百万円(前期比17.9%増)、営業利益は68億61百万円(同15.6%増)、経常利益は60億36百万円(同15.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は39億85百万円(同9.1%増)を予想しております。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(2)に記載の経営環境を背景に、(1)及び(2)に記載の経営方針及び中期的な会社の経営戦略を実行し、また、上場企業に求められるサステナビリティ水準の充足する上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。

 不動産売買事業における新規物件の取得

 当社グループは、2022年から開始した3カ年の第2次中期経営計画において「事業拡大に向けた収益基盤の強化」を掲げ、不動産買取再販事業を主力とした事業拡大を計画しており、更なる事業成長のためには商圏エリアの拡大が必要と認識しております。また、昨今の不動産価格の高騰が止まらぬ厳しい市況の中、新規物件の獲得には幅広く情報収集し、スピード感を持った判断が必要となってまいります。

2023年に西日本エリア初進出として大阪営業所の開設、2024年には札幌・名古屋・福岡の3営業所の開設と、商圏エリアの拡大を積極的に進めております。当社グループでは、幅広いアセットタイプを取り扱うこと、また、各営業所にてエリア深耕を図ることで、多くの物件情報を獲得できるよう取り組んでおります。また、ITを活用した仕入判断力の強化や迅速な判断を行うことで、新規物件の仕入を進めてまいります。

② 販売用不動産の在庫回転率の向上

2024年12月期は、金融政策の変更や資材高騰による建築コストの増加、人手不足による建築業界の人件費の上昇など不透明な要素も多い状況の中、インバウンド需要も回復傾向にあり、国内の不動産市況は好調が続くと見込まれております。このような環境において、不動産の保有期間を短期化し在庫回転率を高めることで、市場変化に迅速な対応が必要であると認識しております。

 当社グループでは、これまで以上に入居率改善のスピードを早め、内外装工事の短期化を図ることで早期の商品化に取り組んでおります。また、仲介会社向けの物件紹介サイトの機能充実や、不動産テックを活用した販売活動の効率化や顧客の購入意欲向上を図る等、投資家・エンドユーザーに対して情報を提供する環境を整備していくことで、早期の販売を行ってまいります。

③ 工事原価削減による収益性の向上

 国際情勢不安の長期化や円安による資材高騰、建設業界の人員不足に起因する労務費の高騰により、工事原価が増加する傾向にあります。また、建設業の2024年問題により労務費の更なる高騰は避けられない状況です。

 当社グループでは、常に資材調達先や工事協力会社の拡充を行うことで調達コストや委託費用の適正化を図り、加えて、業務オペレーションの見直しによる労務費単価の低減や工期短縮にも努め、利益率の維持・改善に取り組んでおります。

④ 消費税法の改正
2020年4月に消費税法等の一部が改正され、2020年10月1日以後に行われる居住用賃貸建物の課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象としないことと改正されました。これにより、施行日以後に仕入れを行った居住用賃貸建物に関しましては、原則、その仕入税額を全額租税公課に計上するため、販売が長期化した場合、租税公課が大きく増加することになります。

 当社グループでは、仕入控除税額の対象となる仕入年度を含む第3年度の期間中に販売できるよう在庫期間の短縮を図り、在庫回転率の向上に努めてまいります。

⑤ 成長を支える安定収益の拡大

 当社グループは、主力の不動産売買事業が連結売上高及びセグメント利益全体の90%以上を占めており、将来的な不動産市況の変化に備えるための安定収益の確保が課題となっております。

 そのため、長期・安定的な収益確保の機会として、優良資産の獲得と管理戸数の増加に取り組んでおります。優良資産の獲得に関しましては、不動産動向を見極めた上で、各年度のキャッシュ・フローや手元資金の水準を考慮し取得を決定しております。管理戸数の増加に関しましては、当社保有不動産の売却時にアセットオーナーからの受託を得られるよう営業部門と連携し、契約獲得に取り組んでおります。

⑥ 既存事業及び新規事業への積極的な投資

 当社グループは、主力事業である不動産買取再販事業へこれまで以上に積極的な投資を行うとともに、外部環境の変化を踏まえた成長分野への新規参入を慎重且つ積極的に行うことにより、バランスの取れた事業ポートフォリオを構築することを目指しております。

 足許では、成長事業である不動産開発事業・不動産特定共同事業の収益を拡大させて、新たな事業の柱として構築することを目指してまいります。不動産開発事業は、資材高騰や工賃の上昇などにより収益性を確保するのが難しい状況が続いておりますが、立地の選定や品質の向上だけではなく、ESG・SDGsを意識したプランニングを行い、付加価値の高い商品開発に取り組んでまいります。不動産特定共同事業は、組成商品・組成スキームの多様化や出口戦略の拡充、販売ネットワークの拡大を図り、年間組成数の増加、組成枠の拡大に取り組んでまいります。

 新規事業に関しましては、全てを内製化し単独で事業推進するよりも事業化や収益化までの期間を考慮し、他社との業務提携やM&Aなどの戦略的投資も活用し推進してまいります。

⑦ 環境課題への取り組み強化
当社グループが持続的な成長を達成するためには、環境課題への取り組みが重要であると認識しております。特に気候変動は世界的にも大きな問題となっており、脱炭素社会への動きが広がっております。当社グループにおいても脱炭素社会への移行に対応すべく、環境に配慮した事業活動への取り組みを推進してまいります。

 また、当社グループは金融安定理事会(FSB)により設立されたTCFD提言に賛同するとともに、TCFD提言に基づく情報を開示しており、今後も気候変動に起因する事業等のリスク・機会の把握と適切な情報開示を行ってまいります。

⑧ 人材採用・育成・組織力の強化
当社グループが持続的な成長を達成するためには、付加価値の源泉である人材の継続的な確保や、育成により組織力を強化することが重要であると認識しております。
採用面では新卒・キャリア両面の採用強化に取り組むとともに、社員が活躍・チャレンジできる風土の醸成とダイバーシティの推進を行うことで競争優位性を確保いたします。育成面では、社内外の教育研修プログラムの充実による人材の育成、OJT等を活用しマネジメントに長けた中核人材の拡充、能力に応じた人事制度の確立、専門スキルの取得を推奨しております。

 また、全社的に組織文化調査に取り組んでおり、継続的なエンゲージメントの向上に努めております。

 当社のミッションを共通の価値観とし、人的資本及び組織としての能力の底上げをしてまいります。

⑨ コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループは、企業価値の最大化を図るために、経営の透明性と健全性の確保及び環境の変化に迅速・適切に対応することが重要であると認識しております。コーポレート・ガバナンスはその重要な経営課題の一つと位置付けており、業務執行責任者に対する監督・牽制の強化、情報開示による透明性の確保、業務執行の管理体制の整備を推進して、ガバナンス機能の強化を図ってまいります。
2021年11月に設置した指名・報酬委員会をはじめ、2022年1月には執行役員制度の導入、同年7月にはサステナビリティ委員会を設置するなど、社外取締役による監督や牽制の強化、経営の意思決定の迅速及び機動的な業務執行の実現、並びに持続可能な社会の実現に向けたサステナビリティ課題への対応を図ることで、コーポレート・ガバナンス体制をより一層充実させ、中長期的な企業価値向上に努めております。

 取締役会の構成に関しては、ジェンダーや国際性、職歴、年齢の面を含む多様性が求められており、また独立社外取締役を少なくとも3分の1以上(プライム市場上場会社においては過半数)選任することが求められております。また、政府が発表した「女性活躍・男女共同参画の重点方針(女性版骨太の方針)」によれば、プライム市場の上場会社について、女性役員比率に係る数値目標等が示される等、多様な価値観や考え方を企業に取り入れ、成長につなげることが求められております。

 当社は、役員の選任にあたり、優れた人格、見識、能力、豊富な経験を有していることを選任の基準としております。これまでの取締役会は、全員男性かつ日本人で構成されておりましたが、今般、新たに女性の社外監査役が選任される等、引き続き、ジェンダーや国際性面及び、知識・経験・能力のバランスに留意し、多様性の確保に努めてまいります。

 当社は2022年4月の市場区分見直しにより、プライム市場を選択いたしました。その後、上場維持基準の適合状況を踏まえ、今後の適合に向けた計画について協議した結果、2023年10月にスタンダード市場を選択しております。今後は、プライム市場再上場を目標に流通株式時価総額及び売買代金の基準達成を目指し、業績の向上、IR活動の推進、株主への利益還元及びコーポレート・ガバナンスの強化を図ることで上場維持基準の安定的な充足を目指してまいります。

⑩ 資本効率の改善
当社グループは、事業規模の拡大と高い財務健全性を維持しつつ、主力事業及び成長事業への投資を実行するとともに、株主還元の充実を図ることを経営戦略の基本方針としております。また、「資本コストや株価を意識した経営の実現」に向けた対応として、資本コストや資本収益性の改善、株主との対話の推進が求められております。

 資本収益性の改善策として、環境変化に対応するための財務余力を確保しつつ、資本と負債のバランスを意識しながら、株主資本コストを上回るROEの持続的な向上に取り組んでまいります。また、市場評価の改善策として、PBR1倍超を目標に株主・投資家への適切な情報開示と、積極的な対話を進めてまいります。

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