ミンカブ・ジ・インフォノイド 【東証グロース:4436】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する記載は、本書提出日現在、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、設立時より「情報の価値を具現化する仕組みを提供する」を企業理念に掲げ、グループにおいてこれを共有し、経営判断の拠り所としております。当社は現在、この理念の下、メディア事業・ソリューション事業を展開しており、持続可能な社会・経済環境構築に関する関心や社会的多様性を尊重する意識の高まりを始めとした様々な社会環境の変化と同時に、テクノロジーの進化やデジタル化が更に加速する現在、「情報の価値を具現化する仕組みを提供する」当社グループの社会的課題に対する役割も今後進化すると考えております。
2023年5月には、2026年3月期を最終年度とする3カ年の中期計画を公表いたしました。地政学的緊張の高まりやインフレーション対応、資源価格の変動等複雑かつ先行き不透明な情勢が継続する状況下、テクノロジーの進化と更なるデジタル化の促進トレンドにおいて、短期的な業績回復はもとより、Next Stageに向けた企業成長を図るため、引き続き事業スコープ及びスケールの拡大、収益基盤の多様化及び収益性の改善に向けた積極展開を図る方針であります。
(2)経営環境の認識及び今後の事業戦略
当社グループの経営環境に関する認識及び再成長に向けた今後の事業戦略等は次のとおりであります。
現在当社グループは、グループの事業資産を活用したNext Stageに向けた大きな成長機会を得ていると捉えております。当連結会計年度におきましては、既存事業の売上が外部要因により弱含む状況にありましたが、今後の収益規模の拡大及び収益の多様化に向け、収益多様化策であるモバイル・EC・銀行分野への進出、顧客接点の更なる収益化のためのコンテンツ分野への実績作り、並びにソリューション事業の顧客金融機関との新たな事業接点となる投資助言・金融商品仲介等の金融サービス分野への進出や自社ソリューション事業資産のパッケージ化をはじめ、今後の成長機会獲得のための積極投資を前倒しで推進いたしました。これにより中期計画に掲げた収益多様化につきましては、1年超前倒しで成果を上げられる状況となりました。
2025年3月期におきましては、メディア事業・ソリューション事業ともに既存事業の持続的成長に加え、成長機会獲得のための先行投資案件の収益寄与の本格化等により、連結売上高は2024年3月期比51%増の15,000百万円と、上場来最大の約50億円という大幅増収を、また連結営業利益は1,200百万円、連結経常利益は1,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は700百万円、EBITDAは2,300百万円と、2024年3月期に比較して大幅な増益を見込んでおります。なお、前期に実施した収益多様化のための先行投資にかかる新規の大型な収益獲得機会が下半期に集中し、上半期はその準備にかかる固定費が先行することから、2025年3月期におきましても下期偏重の収支計画を想定しており、第1四半期まで赤字継続の見通しです。また事業セグメント別の見通しは以下のとおりであります。
(メディア事業)
既存事業につきましては、足下の事業環境から広告市況の本格回復シナリオは織り込まず、またいわゆるサードパーティークッキー規制(Webサイトの閲覧履歴を保存するクッキー「Cookie」による情報の取得が規制される動きのこと)に向けた対応やその影響を一定程度考慮する必要があると認識しております。一方で、当連結会計年度より着手しておりました生成AIを積極活用した新たなサービスやコンテンツの開発、「ライブドアブログ」における多様なジャンルのクリエイターの価値向上による収益拡大施策等により、約9億円の増収(前期比16%増)を見込んでおります。
新規事業につきましては、当連結会計年度において先行投資により前倒しで具現化した「ライブドアモバイル」・「ライブドアショッピング」・「ライブドアバンク」といったメディアユーザーの多様な経済行動を収益化するための新たなマネタイズエンジンが本格的に稼働を開始すること、また同様に当連結会計年度において先行投資によって培った大規模イベントの運営実績を新たに設立した株式会社コンテンツモンスターによって本格化させ、大規模イベント運営の拡大を通じ、これによって収益多様化の目的である「推しパス」を始めとする新規マネタイズエンジンへの集客等関連収入の成長等により、約25億円の増収を見込みます。
(ソリューション事業)
既存事業につきましては、情報ソリューションにおける米国株情報対応ニーズやSI・パッケージソリューションにおいて構築した新たな顧客基盤からの継続的DXニーズ対応に加え、「Kabutan(株探)プレミアム」のサービス加入者数の増加及び価格改定等により約9億円(前期比25%増)を見込みます。
新規事業につきましても、先行投資によって準備を進めてまいりました職域における金融・資産形成教育を支援する、職域向け資産形成支援サービス「ミンカブ・アカデミー」について大手金融機関での採用が見込まれることや、グループ会社である株式会社ミンカブアセットパートナーズにおいて、2022年12月の金融商品仲介業の登録(関東財務局長(金仲)第969号)に加え、2023年12月には投資助言・代理業の登録(関東財務局長(金商)第3402号)の登録が完了し、オンライン専業の投資助言者として、オンラインアドバイザリーサービスの開始を予定しております。さらに、Web3技術を活用した新たなクーポン(特典)配信プラットフォームサービスを証券会社をはじめとする金融機関に向け提供することにより、約6億円の増収を見込みます。
当社は、中期計画初年度である当連結会計年度において、外的事業環境が厳しくなる状況下、収益多様化施策やPMI等を通じた費用削減を始めとする変革・合理化や新たな収益モデルを生み出すための価値創造を行ってまいりました。2025年3月期におきましては、これら施策の成果を早期に具現化し、中期計画へのキャッチアップを図ってまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上、財務上の課題
当社は、テクノロジーを活用した新たな情報提供を通じて、豊かな社会の構築に貢献するべく、「情報の価値を具現化する仕組みを提供する」をミッションに掲げております。また、高成長と株主への高還元を併行して実施することを志向し、上場2期目となる2020年3月期より継続して配当を実施しております。当社グループでは、高成長と高還元を併行して継続し、豊かな社会の構築に貢献するサステナブルな経営を遂げていくため、当連結会計年度においては2026年3月期を最終年度とする3カ年の中期計画を公表いたしました。この中期計画のもと、金融市況・広告市況と連動性の高い収益への過度な依存度からの脱却と、これを実現するための収益基盤の多様化並びに高利益体質を目指した各種合理化施策を行っており、これらを推進するための組織体制の整備、並びに、規模拡大に則したコーポレート・ガバナンスの強化を重要な課題と認識しております。その具体的内容及びこれらへの対処方針は以下のとおりであります。
① 収益基盤の多様化とその強化・拡大
当社グループの売上高は、メディア事業及びソリューション事業のいずれも堅調に推移しているものと考えておりますが、収益基盤の多様化とその強化・拡大は継続的な経営課題と認識しております。
今後、メディア事業においては、生成AIを積極活用した新たなサービスやコンテンツの開発、「ライブドアブログ」における多様なジャンルのクリエイターの価値向上による収益拡大施策等、市況回復の見通しが困難な広告市場におけるPVや広告単価向上に向けた積極策を展開してまいります。さらに先行投資により前倒しで具現化した新たなマネタイズエンジンによる収益貢献や、株式会社コンテンツモンスターによる「推しパス」等の高収益サービス収入の成長等、新規事業による収益基盤の多様化とその拡大を図ってまいります。
ソリューション事業においては、手数料無料化等を背景とした金融各社の収益多様化ニーズは堅調であると認識しております。引き続き情報ソリューションにおける米国株情報対応ニーズやSI・パッケージソリューションにおいて構築した新たな顧客基盤からの継続的DXニーズに対応してまいります。また「Kabutan(株探)プレミアム」につきましては価格改定等による増収を図ってまいります。また、職域向け資産形成支援サービス「ミンカブ・アカデミー」といったパッケージ型ソリューションの進展を図るとともに、グループ会社である株式会社ミンカブアセットパートナーズによるオンラインアドバイザリーサービスの収益化開始に加え、Web3技術を活用した新たなクーポン(特典)配信プラットフォームサービスの提供開始等、ソリューション事業においても収益基盤の多様化を図ってまいります。
② 提供サービスを支えるテクノロジーの追求
当社グループが提供するサービスは、その大半がインターネットを利用したサービスであり、これらを支える技術は日々進化をしております。技術力に裏打ちされたシステムの安定稼働はもとより、ユーザーがいつでもどこでもストレス無く利用できる環境の提供、提供コンテンツの速報性や網羅性並びに正確性等、コンテンツの拡充はサービスの品質の維持・向上に不可欠と認識しております。係る課題に対処するため、Web3や生成AI等を含む最新技術の活用や技術力の強化のためのシステム開発等への投資及び技術者等育成のための投資を継続的に行い、テクノロジーの発展を追求してまいります。
③ 情報管理の品質の維持向上
当社グループはユーザー情報を含む各種情報資産を保有しております。これら情報資産の適切な管理は、サービスを安心して利用頂くための基本であると認識し、情報管理の品質の維持向上を図ってまいります。また、メディア事業においては多くのUGC(User Generated Content)を提供すること、更にユーザー同士のコミュニケーションが発生すること、また若年層の利用も多いこと等に鑑み、情報モラルの維持に配慮したモニタリングを行い、コンテンツ提供者及び利用者双方の保護のための適切な措置を随時講じる等、サービスの安全性及び健全性の確保に努めてまいります。
④ 経営資源の最適配分と効率的運用
当社グループは、事業の拡大に則した組織体制と人員確保を進めると同時に、限られた経営資源を有効に活用するべく、業務執行の組織横断的連携と集中管理体制を構築しております。当社はグループの効率的運営を目的とした組織再編として、2023年4月1日付で、株式会社ライブドアにグループのメディア事業を、2023年7月1日付で、株式会社ミンカブソリューションサービシーズにグループのソリューション事業を、それぞれ会社分割により事業承継し、メディア事業・ソリューション事業を各事業運営会社が主体となって展開し、グループ事業戦略推進のための機動力を高め、当社は主としてこれらを統括する事業推進体制へと移行いたしました。更に、グループメディア事業資産の価値向上を目的に、株式会社コンテンツモンスターを設立致しました。引き続き、グループ内の経営資源を最適に配分し、迅速な業務執行と集中管理体制を整備し、グループ全体として生産性の高い効率的な運営を図ってまいります。
⑤ ESGへの取組の強化
当社グループは、ESGへの継続的取り組み及び強化は持続的成長を遂げるための経営課題であると認識しております。そのため、サステナビリティ委員会を設置し、ESGを含むサステナビリティ経営に対する基本方針、施策の決定等を行うこととしております。環境に対しては、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言への賛同を表明し、TCFDコンソーシアムへ加入しています。
⑥ 人材の確保及び育成
当社グループは、持続的かつ自律的な成長のためには、当社の理念に共感し高い意欲を持つとともに、自律的成長が可能な優秀な人材の採用及び確保、並びにその育成は重要であると認識しております。そのため、多様な働き方の整備や福利厚生・社内教育体制の充実等、従業員が高いモチベーションを持って自律的に働くことのできる環境の整備を継続して推進してまいります。
⑦ ガバナンス及び内部管理体制の強化
当社グループは、持続的成長を遂げるためには、事業執行とガバナンスのバランス、並びに経営上のリスクを適切に把握しコントロールするための内部管理体制の強化が重要であると認識しております。そのため、社外取締役や監査等委員への報告体制の強化、監査等委員会と内部監査室並びに会計監査人による実効性ある三様監査を推進するとともに、グループ役職員向けコンプライアンス研修の実施等を通じた個々人への意識づけ並びに内部監査室による定期的監査を継続的に実施してまいります。
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