ミネベアミツミ 【東証プライム:6479】「電気機器」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)考え方、体制
当社グループでは、「より良き品を、より早く、より多く、より安く、より賢くつくることで持続可能かつ地球にやさしく豊かな社会の実現に貢献する」を経営理念としております。これは、「経営の本質はサステナビリティ(持続可能性)」であるという信念のもと、将来に向けたさらなる当社の成長と地球・社会の持続可能な発展の両立を目指し、経営理念に「持続可能性」の観点を加えた表現の見直しを実施したものであります。
経営戦略においては、「Eco/Efficiency」を重視する「QCDESS™」戦略を100周年に向けた基礎固めとして新たに掲げております。さらに、GX(グリーン・トランスフォーメーション)、DX(デジタル・トランスフォーメーション)など社会の変化に素早く対応するため、「Carbon Neutral Steering Committee」、「Global Information Security Steering Committee」などの委員会を設置しております。
また、経営の重要課題である「マテリアリティ」として「地球環境課題解決への貢献」「社会を支える高品質な精密部品の創出」「従業員の力を最大化」を特定しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みについては、当社ウェブサイトもご参照ください。
https://www.minebeamitsumi.com/csr/
(2)ガバナンス
当社グループは、「ミネベアミツミグループのCSR基本方針」及び「ミネベアミツミグループのCSR実践に向けた活動方針」を基にCSR活動を推進するために、最高責任者を会長 CEO、最高責任者補佐をCSR担当役員とするCSR推進体制を構築しております。
当社グループとして持続可能な社会の発展に貢献すること、監視業務と執行業務を分離しガバナンス体制を強化することを目的に、サステナビリティ推進部門を設置しております。同部門は、CSR体制のさらなる強化と社内推進活動の発展などを行う事務局を担当するCSR推進室、行動規範を含むコンプライアンスの推進組織である「コンプライアンス委員会」の事務局を担当するコンプライアンス推進室、気候変動関連のリスクと機会への対応を行う組織である「環境マネジメント委員会」の事務局を担当するグループ環境管理室の他、内部統制推進室、セキュリティ推進室、貿易法令遵守管理室、及び安全保障貿易管理室で構成されております。執行部門から指揮命令系統を明確に分離、独立させたことで、グループガバナンスの監督機能を強化しております。
また、各担当部署より、各委員会の活動状況等を定期的に又は臨機に応じ取締役会に報告し、監督が適切に図られる体制を整えております。
体制図は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。
(3)リスク管理
当社グループは、リスクが顕在化した場合、その対応によっては企業経営の根幹に影響を及ぼす恐れがあるとして、リスク管理は極めて重要な施策であると考えております。
リスク管理体制や、事前の予防対策、緊急事態発生時の対応などについて定めた「ミネベアミツミグループリスク管理基本規程」を制定し、想定されるさまざまなリスクに備えております。
当社グループでは、代表取締役会長 CEOをリスク管理の最高責任者とし、「リスク管理委員会」にてリスク管理における重要な意思決定を行っております。予防的な取り組みとして、事前に具体的なリスクを想定、分類し、継続的に監視しております。
万が一リスク事案が発生した場合には、「ミネベアミツミグループリスク管理基本規程」に定めた緊急事態の対応区分に応じて緊急対策本部や現地対策本部を設置し、事態への迅速かつ的確な対応を行います。
また、リスク事案の内容により、当該事案の担当部署として主管部が任命され、リスク予防対策の立案や実施を行う体制を整えております。
詳細につきましては、「(6)気候変動」及び「3 事業等のリスク」をご参照ください。
(4)戦略
当社グループは、企業成長と持続可能性の具体的方針である経営基本方針に基づき、「経営の本質はサステナビリティ」を信念とし、継続的な成長と持続可能性を追求し、利益の最大化とリスクマネジメントに努めております。
当社グループでは、2019年にCSR視点で社会的責任を果たすことに重点をおいたマテリアリティ(重要課題)を特定いたしました。
近年の環境問題の関心への高まりなど外部環境の変化により、これまでCSRの視点からまとめられていたマテリアリティを、全社視点で戦略を遂行するための「経営課題」として見直しました。
〔重要テーマ・マテリアリティ〕
① 地球環境課題解決の貢献
② 社会を支える高品質な精密部品の創出
③ 従業員の力を最大化
① 地球環境課題解決の貢献
当社グループ最大の強みである超精密機械加工技術と相合(そうごう)を活かした「環境貢献型製品による世界の温室効果ガス排出量削減」であり、「事業活動による環境負荷の最小化」と両立させながら取り組みます。
② 社会を支える高品質な精密部品の創出
環境貢献に資する「社会を支える高品質な精密部品の創出」のために、「超精密部品の大量・安定供給体制の強化」と「責任ある調達の推進」に取り組むとともに製造を中心とした事業の拠点においては雇用創出、地域住民との協働など「地域社会との共生」に取り組みます。
③ 従業員の力を最大化
これら価値創造の源泉は当社グループの人材であり、「従業員の力を最大化」を目指して「グローバル規模の人材育成」と「グローバル規模のダイバーシティの推進」をはかるとともに、従業員が「働きやすい職場づくり」と「従業員の安全と健康」を推進いたします。
(5)指標と目標
当社グループは、「経営の本質はサステナビリティ(持続可能性)」であるという信念のもと、将来に向けさらなる当社グループの成長と地球・社会の持続可能な発展の両立を目指しております。マテリアリティに掲げた「地球環境課題解決への貢献」として、製品によるCO₂排出削減貢献量や自社の温室効果ガス排出量削減等の環境目標を明確化するとともに、「社会を支える高品質な精密部品の創出」のため、大量生産・安定供給体制及び安心・安全な管理体制の構築や、環境・人権問題に配慮した調達の推進、地域社会への共生により力を入れてまいります。これらの取り組みを通して経営目標や環境目標をはじめとする各種目標を達成し、当社グループの成長と地球・社会の持続可能な発展に貢献してまいります。
・経営目標:
2029年3月期 売上高2.5兆円、営業利益2,500億円
・環境目標:
当社グループ製品によるCO₂排出削減貢献量 (2031年3月期)400万t-CO₂
ミネベアミツミグリーンプロダクツ売上比率 (2029年3月期)90%以上
自社の温室効果ガス排出量 (2031年3月期)総量:約60万t-CO₂
マテリアリティに掲げた目標は、当社ウェブサイト「マテリアリティ目標と実績」をご参照ください。
https://www.minebeamitsumi.com/csr/priority/materiality/2022/1203987_17475.html
気候変動に関する指標は「(6)気候変動」、人的資本に関する指標は「(7)人的資本」をご参照ください。
(6)気候変動
2021年、当社グループは設立70周年を機に、今後の方向性を見据えて、経営理念を見直しました。カーボンニュートラルに対応していくことは人類の使命であり、当社グループにとっても非常に重要なテーマであります。こうした戦略の方向性を踏まえ、「QCDS(品質・価格・納期・サービス)」を掲げていた経営戦略に、「Eco(環境)・Efficiency(効率)」などを加え、「QCDESS™」といたしました。
具体的には、当社グループ自身の温室効果ガス削減について、2031年3月期に、2021年3月期比で30%削減するという目標を立てており、まずこの目標を達成した上で、遅くとも2050年にはカーボンニュートラルを達成するよう取り組みを進めてまいります。
また、当社グループ製品の省エネ性能を上げることで、それを使用するお客様やその先のお客様の商品の消費電力の削減についても取り組んでおります(MMIビヨンドゼロ)。
電動車、太陽光発電、グリーンデータセンターなどの気候変動対策に貢献する製品・設備等への部品供給、省エネ・省資源・長寿命な製品開発を重要事業戦略として推進いたします。
さらに、現在、SBT認定(※)の取得に向けても検討を進めているところであります。
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言で開示が推奨されている4つの柱について、当社グループの取り組み概要は以下のとおりであります。
(※)SBT認定:2015年にWWF、CDP、世界資源研究所(WRI)、国連グローバル・コンパクトによりSBTi(Science Based Targetsイニシアティブ)という共同イニシアティブが設立されました。SBTiは企業に対して科学的知見と整合した温室効果ガス排出削減目標(SBT: Science-based target)を設定することを支援し、適合していると認められる企業に対しては、SBT認定を与えています。
① ガバナンス
当社グループでは、「気候変動関連リスク管理規程」に基づき、気候変動に関するリスクと機会に関する社内管理体制とPDCAサイクルによるリスクと機会の管理プロセスを決定しております。
気候変動関連のリスクと機会の管理の最高責任者は代表取締役会長 CEOであり、リスク全般に対応するリスク管理委員会と、気候変動関連のリスクと機会を含む環境マネジメントを担当する環境マネジメント委員会を活用して、気候変動関連のリスクと機会の管理を行い、対応状況、目標に関する進捗状況を評価、監督いたします。なお、Carbon Neutral Steering Committeeは、代表取締役会長 CEO直属の委員会としてカーボンニュートラルへの取組方針や基本施策の社内調整や提言を行います。
代表取締役会長 CEOは、上席執行役員会議において気候変動に関連するガバナンスの有効性を評価し、取締役会は、代表取締役会長 CEOを含む業務執行責任者が気候変動関連のリスクと機会に対して適切な対応を行っていることを監視、監督いたします。
サステナビリティ担当役員は、サステナビリティ課題の一つとして気候変動関連課題への対応状況を取り扱います。
② 戦略
(ⅰ)リスクと機会の抽出
リスクと機会を以下の分類に従い抽出いたします。
気候変動に関連するリスクと機会の特定を行うにあたっては、以下の短期的・中期的・長期的観点に立って検討いたします。
(ⅱ)リスクと機会の評価方法
抽出したリスクと機会を以下の評価方法で定量化いたします。
・影響度:「量的影響」と「質的影響」について、合計を算出(1~30点)
・発生度:「可能性が非常に高い」~「可能性が低い」の範囲を4段階で判断(5~30点)
このような定量化を行って、リスクと機会の分布状況を確認いたします。強度が高いところから1から5までのランク付けを行い、3までの枠内を当社グループのリスクと機会として特定いたします。
(ⅲ)対応計画の策定、対応実績のとりまとめ
当社グループは、2023年3月期のリスクと機会への対応計画を策定し、その対応実績を取りまとめました。
また、2023年3月期に特定したリスクと機会について、シナリオ分析を行い、気候変動による当社財務への影響を推計いたしました。
シナリオ分析の結果によると、気候変動に伴う激甚な気象災害が水害リスクとして当社の財務に大きな影響を及ぼす可能性が示唆されております。当社は、2011年にタイの中部で発生した洪水により、当時タイに所有していた5工場のうち2工場が操業停止した経験を有しており、それ以来、水害リスクに対して、BCPの策定、防水堤や工場敷地のかさ上げ等の物理的対策を講じております。現在では、水害リスクのある工場では、リスクの程度に応じた適切な対策が講じられていると評価しておりますが、引き続き、水害リスクが具体化しないよう、対策状況のフォローアップ、改善向上に努めてまいります。
このシナリオ分析結果を踏まえ、2024年3月期のリスクと機会への対応計画を策定いたしました。
2024年3月期対応計画
事項 | リスク | 機会 | 2024年3月期対応計画 |
水リスク対応 | 洪水、台風、高潮、干ばつ等による工場の操業停止 | レジリエンスを高めることによるお客様からの信頼の確保 | リスクマップにより抽出されたリスクの高い拠点を最優先に、リスクへの物理的な対応・BCPや防災マニュアルの策定等の対応策を検討し、実施する。リスクマップにより抽出されたリスクの高い拠点を最優先に、リスクへの物理的な対応・BCPや防災マニュアルの策定等の対応策を検討し、実施する。 |
輸送を含めた生産性・資源エネルギー効率の向上 | 原材料や電力料金の高騰、カーボンプライシングによる収益の悪化 | 省資源、省エネ、低炭素な生産活動による収益の確保 | ・スクラップ量の削減 ・生産地の見直しによる輸送短縮化 ・航空便から船便への変更 ・パレット2段積み等による積載量増 ・自動機導入による生産効率向上 |
製品性能の向上、新製品の提供 | 省エネ性能、LCA、カーボンフットプリント等の新指標による市場淘汰 | 省資源、省エネ、低炭素な製品提供による市場の獲得 | ・省電力、高効率製品の開発 ・小型、軽量化による原材料の削減 ・リサイクル樹脂材の使用 ・新市場開拓:HEV/EV向け、自動運転技術、データセンター、スマートシティ、ヘルス・介護、電動自転車、住宅分野、空調等 |
お客様要求への対応 | 再エネ導入、カーボンフットプリント削減等のお客様要求の不履行 | 脱炭素に向けたお客様要求の誠実な履行による受注の確保 | ・自家用太陽光設備の導入 ・再エネの調達(PPA等) ・再生材の使用 ・SBT認定取得に向けた検討 |
③ リスク管理
当社グループにおける気候変動関連のリスクと機会の管理プロセスは下図のとおりであり、このPDCAサイクルを毎年度全社的に実施いたします。
リスク評価の際には、当社グループの直接操業だけでなく、原材料調達や物流、顧客やエンドユーザーなどバリューチェーンの上流や下流を考慮に入れて評価いたします。
管理プロセスの過程で、各部門責任者からなる環境マネジメント委員会において審議を行い、その審議結果を上席執行役員会議、取締役会がチェックいたします。具体的には、日常的な情報収集活動(監視体制)を通じ、可能な限りリスクを事前に予知し、危機発生時の被害の大きさを想定(被害想定)し、その発生を未然に防止(防止策・軽減策)するとともに、万が一、危機が発生した場合には、損失を最小限にくい止めるため、リスク管理委員会が主導する緊急事態対応に移行いたします。
④ 指標と目標
(ⅰ)目標
・温室効果ガス排出量(Scope1、2)(注1)
-中期目標 2020年3月期比、2026年3月期までに売上高原単位で10%削減
-長期目標 2021年3月期比、2031年3月期までに30%削減
(*SBT2℃準拠、2029年3月期売上高 2.5兆円の長期経営目標の実現とともに達成)
-最終目標 遅くとも2050年までに実質ゼロを達成
・当社グループ製品によるCO₂排出削減貢献量
-2023年度3月期比、2031年3月期までに50%増、約400万t-CO₂
(ⅱ)指標(2023年3月期実績)
・Scope1、2の温室効果ガス排出量 88万t-CO₂(対前年4%減)
・Scope1、2の温室効果ガス排出量の売上高原単位 0.68t-CO₂/百万円(対前年17%減)
・電力使用由来CO₂排出量 78万t-CO₂(対前年5%減)
全電力消費量 1,550GWh(対前年6%減)、再エネ電力導入量 15GWh(対前年110%)
・燃料消費起因CO₂排出量 3.3万t-CO₂(対前年12%減)
・PFC及びSF6等排出量(CO₂換算) 7.6万t-CO₂(対前年9%増)
・当社グループ製品によるCO₂排出削減貢献量 267万t-CO₂(対前年7%増)
(注1)Scope1、2:事業活動にともなう温室効果ガスの直接排出量、使用した熱・エネルギーの製造段階における温室効果ガスの間接排出量
(注2)Scope1、2の温室効果ガス排出量の2023年3月期の実績は、ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン株式会社の限定的保証業務による第三者保証を受け、確定後に当社ウェブサイトに掲載する予定であります。
(7)人的資本
① 人的資本への対応
当社グループの経営理念である「より良き品を、より早く、より多く、より安く、より賢くつくることで持続可能かつ地球にやさしく豊かな社会の実現に貢献する」のもと、明確に定義された8本槍戦略と社会的課題解決に向けた戦略を実現するためには、
・大局を見据え、豊かな構想力と実行力をもって事業を強化・進化させるリーダー
・当社グループの技術を深化・相合させることで社会的課題解決に果敢に挑戦する技術者
を重点的に強化していくことが必要だと考えております。人材要件の明確化とともに、重点的に強化する人材群を獲得し、可能性を見いだし育て、適切に評価/処遇するタレントマネジメントのしくみを整備し、最大限にパフォーマンスを発揮できるしくみの整備を進めております。2023年のミネベアミツミ 東京クロステックガーデンへの移転により、この取り組みをさらに強化し、当社グループの人的資本の強みを活かしながら、さらに増強する人材戦略を実行することで、当社グループの成長を加速化させることを目指しております。
② 人材戦略
(ⅰ)リーダーを育成
当社は創業以来、海外進出やM&Aを積み重ねる中で育んできた多様な人材がグローバルで活躍していることが強みであります。この強みを活かし、当社グループの今後の成長戦略を実現するにあたりさらに重点的に強化しているのは、リーダー人材であります。従来の枠を超えて8本槍の事業やさまざまな機能を相合し、事業/機能の強化・進化を推し進めるとともに、地球レベルの課題を視野に大局的な視点で課題をとらえ、関係者を巻きこみながら課題解決にチャレンジする実行力を持つリーダー人材の強化をはかっております。
そのために、事業ポートフォリオを最適化し、強力なリーダーシップで事業群を進化させるトップマネジメント人材を社外から積極的に採用するとともに、ポテンシャルの高い次世代リーダーのタレントプールを増強し育成しております。特に、トップマネジメント人材候補の育成のために、研修の機会を提供するだけではなく、一定期間経営陣のシャドウイングを行い、最前線の経験をさせることで経営トップとしての判断力を磨いております。
多様な人材がグローバルで活躍している人材という当社グループの強みに加え、構想力と実行力を兼ね備えたリーダー層を強化することが当社グループの成長戦略の実現を加速化させていく人材戦略の重要なポイントの一つであります。
(ⅱ)技術者を育成・獲得
創業以来培ってきた製造ノウハウならびにM&Aなどで増強してきた技術力は、当社グループの強みの一つであります。当社グループはこの強みをさらに強化するノウハウを継承するしくみの盤石化に引き続き取り組んでまいります。これに加え、従来の方法にとらわれない着想や経験で8本槍製品に付加価値を加え、社会的課題解決に結びつけるような技術者を外部から採用するとともに、子供たちにものづくりを学ぶ機会を提供したり学生に学費支援を行ったりすることで将来の有望人材を育成したり、次世代の技術開発を担う優秀な若手技術者の教育を行うなどして、当社グループの成長戦略実現のために必要な技術者群のポートフォリオを強化しております。
また、学術機関やお客様を招へいし、当社グループの技術とさまざまな社会的課題とを結びつけるための技術を生み出すプロジェクトに取り組んだり、技術関係者がリアル&バーチャルでストレスなく新たなプロジェクトに取り組んだりするために、軽井沢本社テクノロジーセンター・大阪研究開発センターなどの開発拠点を整備してまいりました。2023年からは東京クロステックガーデンが技術開発の拠点に加わりました。
さらに、当社グループの特徴の一つであるチームビルディング活動は、ボトムアップでさまざまなアイデアを創出し実行する施策の一つとして、技術の相合を促進しております。
(ⅲ)人材の相合で組織の力を最大化
人材の多様性は当社グループの強みの一つでありますが、さまざまなバックグラウンド/資質を擁する人材がそれぞれ最大限にパフォーマンスを発揮できるようにするためには、それを支援する一貫したタレントマネジメントのしくみが必要であります。効果的/効率的にそのしくみを運用するために、人材の獲得・人材の発掘・人材の育成・人材の適切な評価/処遇という4つの側面から、タレントマネジメントのしくみを整備しております。
戦略として重点的に獲得していく人材や将来のミネベアミツミグループを支える人材を獲得したら、新規人材も含めた全従業員の人材のポテンシャルをデータ化して可視化し、発掘してまいります。
そして、新卒入社者から始まり、若手からミドルマネジメントまでの節目ごとに、当社グループの経営理念/戦略に基づいて自身のキャリアを考える機会を提供することでキャリア開発のアップデートを行い、社内公募や早期登用の機会を用意して育成の加速化を進めております。
ここ数年特に力を入れているのは、人材を適切に評価し処遇するしくみの強化であります。目標管理制度を導入し、個人の業績を処遇に反映させ、優れた成果に対して報いる報酬体系へと変えてきております。経営理念の表現の見直しとともに評価項目の見直しを行い、当社グループが求める人材要件に即した評価ならびに育成ができるようにしております。特に、評価を効果的に人材開発に活かすために、管理職に対して評価の仕方・フィードバックの仕方・1on1の対話の仕方に関する教育を継続的に進めるとともに、多面評価も2022年3月期より制度として導入しております。
タレントマネジメントの運用をサポートしていくのは、個々の従業員の最新の人材情報を効果的・効率的に活用できるようにするための人事データベースシステムであります。2024年3月期より、これまで部署/拠点で統一的に管理されていなかった人材に関する全ての情報を一元管理できる人事情報システムに切り替えます。
さらに、これまでの施策の実効性の確認と今後の施策策定に向けた仮説検証を目的として、従業員が継続的に高いエンゲージメントレベルを維持しているかどうかを測定するエンゲージメントサーベイを2024年3月期から実施いたします。
今後は、スペシャリストを中心とした高い競争力を有する報酬制度に移行して従業員の意欲/パフォーマンスの向上のための組織づくりに取り組むとともに、働きやすく生産的な職場環境を整えることで「人材の相合」をさらに促進していく予定であります。
最大限に力を発揮する個々の人材がさまざまな機会を通して効果的に相合することをサポートする人材戦略により、当社グループの持続的成長を加速させてまいります。
③ 指標と目標
価値創造の源泉は当社グループの人材であり、当社グループのマテリアリティの重要テーマにも掲げられている「従業員の力を最大化」を目指して「グローバル規模の人材育成」と「グローバル規模のダイバーシティの推進」をはかるとともに、従業員が「働きやすい職場づくり」と「従業員の安全と健康」を推進しております。
非財務指標「従業員」 | 2025年度目標 | 2022年度実績 |
女性管理職比率 (注)1 | 3.5% | 2.9% |
正社員採用に占める女性比率 (注)2 | 18.5% | 13.4% |
男性育児休業取得率 (注)1 | 100.0% | 41.0% |
(注)1.提出会社の従業員数を基礎として算出しております。 2.提出会社及び国内関係会社の従業員数を基礎として算出しております。 |
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