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企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
サステナビリティの考え方
当社グループの事業活動は、「E:環境」や「S:社会」が健全で持続可能であることが大前提です。しかし、気候変動や生物多様性の減少、海洋プラスチック問題、サプライチェーンにおける人権問題など、さまざまな問題が顕在化しており、適切な対応とそれを支える健全な「G:ガバナンス」体制の構築が必要であると考えています。
企業理念に掲げる「社会との共存・共生・共創」=当社グループのサステナビリティそのものと捉え、社会環境課題の解決に向けてサステナブル経営(ESG経営+SDGs経営)を根幹に据え、サステナビリティ方針の策定ならびに、サステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)を特定し、本業を通じた取り組みによるお役立ちの進化と企業価値の創造を目指していきます。
サステナビリティ方針 |
健・清・美・楽を通じた、日常生活の豊かさと社会課題の解決を両立する 独自のサステナブル経営を推進します |
■独自のサステナブル経営の構成要素
「上記3テーマを中長期にわたって実現していくための基盤」 ゴーイングコンサーンに向けた取り組み |
(1)ガバナンス
当社グループは、社長執行役員を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、多様化・複雑化する社会課題と生活者課題の解決を両立させる、サステナビリティ推進活動に取り組んでおります。サステナビリティ委員会の傘下には、環境・社会・ガバナンスの観点から想定されるリスクおよび機会の抽出、実務部門による実行を推進するための各種委員会が設置されており、サステナビリティ委員会がそれら傘下各委員会で識別されるリスク及び機会の監視から、関係部門を通じて行われるリスク及び機会に対処するための取組みに至るまでを統括管理する体制をとっております。
(2)戦略
当社グループの経営方針・経営戦略に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会を抽出し、特に対処すべき重要課題として、「サステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)」を特定しております。特定したマテリアリティに対するコミットメントに基づく具体的な取組みについては、中期経営計画の中で戦略を立案して対応を行っており、関連部門の事業計画に落し込んで対応します。
■サステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)
マテリアリティ | コミットメント | 関連するSDGs | ||||||||
強みを活かした価値創造による未来へのチャレンジ | ||||||||||
| 気軽に楽しめる おしゃれ文化の創造 | 「健康」「清潔」「美」の根底に、気軽に楽しむという「楽」軸を配した独自の「健清美楽」の概念を持ち、唯一無二のユニークな商品やサービスを提案することでときめきや晴れやかな気持ちを与え、生活者の日々の暮らしを満たします |
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| 多様な生活者への お役立ち拡大 | 変化する生活者の価値観や消費行動に対し常に臨機応変に対応し、生活者満足につながる商品・サービスが目に触れやすい、選択しやすい環境を整え、グローバル10億人にお役立ちします | ||||||||
| 社員と会社の 相互成長の実現 | 社員全員が会社や社会を支える「人財」となるために、「単位あたりの生産性」「個の成長と働き甲斐」「創造性」が向上する働き方改革を推進します |
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社会と企業の持続可能性の実現にむけた課題解決 | ||||||||||
| 持続可能な 地球環境への取り組み | 循環型社会への移行を目指し、脱プラスチックを含めた製品のライフサイクルにおける環境負荷低減への取り組みを進めます。特に温室効果ガスの削減については、2050年までに温室効果ガスの排出実質ゼロの実現を目指します |
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| 持続可能な原材料調達 | パーム油や紙などの倫理的な調達を行い、森林や生物多様性の保全に努める他、環境、労働環境、人権への対応など、サプライチェーン全体を通じて企業の社会的責任を果たします | ||||||||
| 企業基盤の継続強化 | わたしたちの使命はお役立ちを広く深く続けることであり、その前提としてゴーイングコンサーンがあります。安心・安全の確保はもちろん、理念経営を根幹とした更なる企業基盤の強化を進めます |
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(3)リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ委員会傘下の関連委員会にてサステナビリティ関連の機会とリスクを識別、評価を行った上で、サステナビリティ委員会での審議・承認、経営会議、取締役会への報告により、各重要課題(マテリアリティ)及び目標に対する進捗管理を行っております。
(4)指標及び目標
サステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)に関する中長期目標は以下のとおりであります。
マテリアリティ | 取り組みテーマ | 評価指標 | 中長期目標 | |
目標値 | 達成年度 | |||
強みを活かした価値創造による未来へのチャレンジ | ||||
気軽に楽しめる おしゃれ文化の 創造 | 自分らしさを 表現することへのお役立ちの深さの拡大 | 「自分らしさを自由に表現できる」新しい化粧品分野や生活者属性への提案件数 | 毎年 3件以上 | 毎年 |
生活者課題解決につながる新たな技術提案件数 | 2021年~2027年の 累計 35件以上 | 2027年 | ||
おしゃれ文化の 創造に関する 人財育成 | Only-oneマーケティング 浸透のための研修受講率 | (2023年度に開示予定) | 2027年 | |
多様な生活者への お役立ち拡大 | お役立ちの広さの拡大 | 流通網拡張に向けた チャレンジ数 | 毎年 13件以上 | 毎年 |
社員と会社の 相互成長の実現 | チャレンジする 風土の醸成 | 理念サーベイによる 『活躍社員』比率 | 38%以上 | 2027年 |
従業員エンゲージメント | 毎年 81%以上 | 毎年 | ||
多様な人財の活躍 | 女性管理職比率 | 女性管理職比率20%以上(マンダム単体) | 2027年 | |
社会と企業の持続可能性の実現にむけた課題解決 | ||||
持続可能な 地球環境への 取り組み | 脱炭素社会への 取り組み | スコープ1+2における CO2排出削減量 (2013年度比) | 日本国内+海外のスコープ1+2におけるCO2排出量について、2013年度比で43%以上の削減 | 2027年 |
CO2排出量ネットゼロの実現 | 2050年ネットゼロに向けたシナリオが完成している | 2027年 | ||
化石資源由来の バージンプラスチック排出抑制率 | 25%以上 | 2027年 | ||
製品の環境配慮 | 自社基準による 環境配慮製品比率 | 国内で販売するマンダム製品の90%を環境配慮製品とする | 2027年 | |
持続可能な 原材料調達 | パーム油 | 原料の起源となるパーム油におけるRSPO(※1)認証パーム油比率 | 福崎工場で使用するパーム由来原料について、RSPO(※1)認証パーム油(ブックアンドクレーム対応を含む)を100%とする | 2026年 |
紙製容器包装 | 紙製容器包装の FSC(R)(※2)認証紙、古紙再生紙比率 | 紙製容器包装の全量をFSC(R)(※2)認証紙、古紙再生紙とする | 2027年 | |
企業基盤の 継続強化 | 安心・安全・ 高品質の提供 | 品質に関するご指摘件数 | 重大ご指摘数 0 | 毎年 |
社員の安心・安全 | 長期休業者数 | 10名未満(日本国内) | 毎年 | |
理念経営の実践 | 理念経営浸透率 | 65%以上 | 毎年 |
※1 RSPO:Roundtable on Sustainable Palm Oil(持続可能なパーム油のための円卓会議)
※2 FSC(R):Forest Stewardship Council(R)(森林管理協議会)
(5)重要なサステナビリティの項目
上記の重要課題(マテリアリティ)で識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
・気候変動
・人的資本
それぞれの項目に係る当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
①気候変動
当社グループは気候変動をサステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)の一つとして捉え、「脱炭素社会に向けた取り組み」と「環境に配慮した製品づくり」を取り組みテーマとして掲げております。時代を生き抜くダイナミズムと共に社会生活を送る善良なる企業市民として、また、本業を通じたお役立ちの進化と企業価値の創造に向けてより効果的な活動につなげるため、2022年6月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」への賛同を表明しました。TCFD提言の枠組みを活用することで気候変動に関するガバナンスをより強化するとともに、各種イニシアティブから開示されているシナリオを参考にシナリオ分析、気候変動に伴って生じるリスクと機会の抽出、その財務的な影響に対しての評価を行っております。また取り組みテーマに基づく各種対応を進めるとともに、積極的な情報開示を実施しております。
・ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティにおけるガバナンスに組み込まれています。詳細につきましては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)ガバナンス」をご参照ください。
・戦略
気候変動課題については、温暖化防止策の状況により、さまざまなシナリオが考えられます。当社グループでは、各種資料を参考に、代表的とされる平均気温「1.5℃シナリオ」と「4℃シナリオ」を参照し、事業経営における移行リスクと物理的リスクの検討を行っております。当社事業のドメインである製品を通じたお役立ちへの影響に関して、リスクと機会、およびそのインパクトを分析し、積極的に取り組んでまいります。
<気候変動におけるリスクと機会>
シナリオ | 分類 | リスク・機会 | 事業インパクト | 影響度 /顕在化時期 | 対処 |
1.5℃ シナリオ | 移行 リスク | 炭素税の導入・上昇 | 炭素税の導入による運用コストの増加 | ++/中期 | ・再エネ証書付き電力の導入 ・太陽光パネルの導入 |
再エネ電力のエネルギーコストの上昇 | 再エネ電力の需要拡大により、エネルギーコストの上昇 | ++/短期 | |||
包装材やプラスチック製品の「持続可能な製品」への移行によるコスト | 包装材やプラスチック製品に関する「持続可能な製品」への移行が進まなければ、市場から締め出されるリスク | ++/長期 | ・環境配慮型製品の推進 ・製品包材におけるプラスチック使用量の削減(継続的な仕様変更、外装削除、詰め替えの発売等) | ||
市場の変化による収益の減少、事業コストの増加 | 市場の変化(消費者嗜好の変化)や特定の市場における競争が激化することで収益が減少、事業コストが増加するリスク | ++/中期 | |||
機会 | 新しい製品・技術の開発よるコスト削減や収益増加、資産価値の向上等 | 新しい製品・技術の開発よるコスト削減や収益増加、資産価値の向上等 | ++/長期 | ||
消費者の嗜好を反映することによる収益の増加、市場競争力の強化 | 消費者の嗜好を反映することによる収益の増加、市場競争力の強化 | ++/中期 |
シナリオ | 分類 | リスク・機会 | 事業インパクト | 影響度 /顕在化時期 | 対処 |
4℃ シナリオ | 物理 リスク | サプライヤーの被害によるサプライチェーンの分断 | 異常気象等により、事業拠点やサプライヤーの被害、サプライチェーン分断により、収益が減少するリスク | ++/長期 | ・サードパーティロジスティクスの活用 ・OEMメーカーとの協働体制の構築 ・グループ生産拠点間での生産移管、原料調達の戦略的実施 ・原材料の複数購買の実施 |
熱波や干ばつでの水不足による事業活動が停滞するリスク | 熱波や干ばつの頻度増加が予測されているため、水不足による事業活動が停滞するリスク | ++/長期 | ・上質な水源を確保できる地域から水を調達 ・取水量低減に向けた目標設定(予定) | ||
移行 リスク | 再エネ電力のエネルギーコストの上昇 | 再エネ電力の需要拡大により、エネルギーコストの上昇 | ++/短期 | ・再エネ証書付き電力の導入 ・太陽光パネルの導入 | |
機会 | 物理的リスク関連の製品開発・市場拡大およびコスト削減、それに伴う投資家からの評判向上 | 物理的リスク関連の製品開発・市場拡大およびコスト削減、それに伴う投資家からの評判向上 | ++/長期 | ・独自技術* を活用した製品開発 |
影響度 ++:大きな影響がある、+:一定程度の影響がある、-:影響が小さいもしくは、ほぼ無い
顕在化時期 短期:0~1年、中期:3~5年、長期:10年~
・リスク管理
気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティにおけるリスク管理に組み込まれています。詳細につきましては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)リスク管理」をご参照ください。
・指標及び目標
気候変動に関する指標及び目標は、サステナビリティにおける指標及び目標に組み込まれています。詳細につきましては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)指標及び目標」をご参照ください。
②人的資本
人的資本・多様性に関する取組み
当社は2021年に、コーポレートスローガン「BE ANYTHING, BE EVERYTHING(なりたい自分に、全部なろう。)」を策定しました。これは、すべての生活者が「自分らしく生きること」をサポートし、これらを実現できる社会やありたい社会を持続的につくり上げていくという、当社が実現したいこれからの新しい「お役立ち」の形を表現しています。そしてこの実現に向けて、全社員一人ひとりが“多彩な個性と強み(専門性)を持つ唯一無二の人財”として活躍し、今までにはない新たなオンリーワンの価値提供を通じたお役立ちを実践すべく、日々考働しています。
また、特に近年の社会環境における不確実性の高まりや、DXを通じたビジネスモデルの変革が顕著な中、当社が社会へのお役立ちを通じて継続的に企業価値を高めていくためには、これらの社会変化に的確に対応し、今まで以上にイノベーション(新たな価値の創出)を起こし続けることが重要です。当社では、“多彩な個性と強みを持つ人財”こそが、様々なイノベーションを生み出す最大の源泉と捉え、人財への積極的な投資は不可欠であると考えています。当社のこの“人財”に対する考え方は、グループ考働原則「MANDOM PRINCIPLES」の一つである「人財主義」や、当社の人財理念である「個と会社の HAPPY の実現」においても、一貫して表現されているものです。
この考えに基づき、当社の経営戦略と連動し、イノベーションを通じて社会へのお役立ちや企業価値の向上を実現するため、当社では多彩な個性と強みを持つ「人財育成」、その人財の活躍を支える新たな「人事制度」、「健康経営」や「ダイバーシティ&インクルージョン」の推進、そして「生産性と創造性を高める働き方」の実践、これら5項目を人財に対する主な取組み領域として掲げ、以下の具体的な取組みを実践していきます。なお本書では、「人財育成」の項目を人財育成方針として、その他4項目を社内環境整備方針として、それぞれ記載しています。
<人財に関する取組み全体像>
1)多彩な個性と強みを持つ人財育成(人財育成方針)
社員一人ひとりが個性や強みを持つ人財(プロフェッショナル人財)として成長するためには、社員自身の自律的なキャリア形成に向けた意識の醸成や、各分野における専門スキルの向上等、多角的な観点に基づく取組みが必要になります。当社では、社内におけるプロフェッショナル人財の育成に向けた様々な施策を実践しています。
■社員のキャリア開発・能力開発支援
当社では、主体的なキャリア形成を行う人財を「自律型人財」と定義しています。これに基づき、社員がこの自律型人財へと成長するために、キャリア自律軸と能力開発軸からなる「キャリア形成後押し」、社内外で保有スキルを最大限発揮するための「活躍の場づくり」、そしてそれらを支える「基盤整備」の3つの柱を体系図としてまとめ、これらを基軸として様々なキャリア開発・能力開発に関する教育や制度の構築等を行っています。
<キャリア開発支援体系図>
■新価値創出に向けたDX教育の実施
社員の能力開発において、デジタルやDX領域の能力・スキル開発は、今後の当社の新価値創造において特に重要な要素であると考えています。当社は2021年5月よりDX推進委員会を立ち上げ、全社におけるDX推進を進めており、その中で当社の新たな価値創出を実現できる人財の育成に向けて、次の2点に取り組んでいます。
・次世代デジタルリーダーの選抜、育成
自社ビジネスに精通し、デジタル技術を活用した次代の新価値創造をリードできる人財の育成
・DX推進の風土醸成を兼ねた全社員対象のデジタル教育実施
国内外の正社員、契約社員を対象としたDX推進の背景と目的の理解、およびデジタル技術概要の理解に関してのe-ラーニングの実施
2)多彩な人財の活躍を支える環境・体制整備(社内環境整備方針)
多彩な個性や強みを持つ人財の育成と合わせて、社員一人ひとりが働きがいを持ちながら、その個性や強みを最大限に活かして活躍できる環境や体制の整備にも取り組んでいます。
■人事の仕組み改革に伴う役割等級制度の導入
当社は、新たな価値創出によるお役立ちの実現に向けた変革・挑戦できる組織と人財創造に向けて、ジョブ×キャリア自律を起点とした人事の仕組み改革(Mandom HR Transformation、略称 MHRX=マークス)に着手し、その一環として2023年度よりジョブに基づく役割等級制度を導入しました。
これにより、各役割に求められる職責やスキルの明確化を通じて、役割の大きさに応じた公平公正な評価と処遇を行い、社員がやりがいを感じられるようにすることで、新価値創造に繋げられる体制を実現していきます。
■健康経営の推進
当社は、身体的のみならず、精神的・社会的にも健全で健康な状態であるウェルビーイングへと向かうプロセスを「ウェルネス」と位置付ける考え方に基づき、すべての生活者のウェルビーイングの実現を目指しています。
これは当社社員に対しても同様であり、当社では「社員が健康で働くことが企業の価値を高める」という考えのもと、社員自身のウェルビーイングの実現に向けて、社員が働きがいを得て全員参画できる安心・安全な職場づくりを推進しています。例えば、各事業所への健康経営推進委員の配置、保健師による健康指導や相談機会の拡大による「健康経営推進体制の充実化」、社内健康経営ポータルサイトの開設と合わせてヘルスリテラシーや健康に関する情報を発信する「健康経営の見える化の推進」、オンラインによる「健康セミナーの実施」などの取組みを行っています。これらの取組みの結果、当社は2023年3月に「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」に認定されています。
一方で、当社の更なる健康経営の推進に向けた課題の一つとして、「一部社員の長時間労働」があります。現状、社員の一月あたりの平均時間外労働時間は15.5時間ですが、そのうち一部社員が30時間を上回る長時間労働を行っている実態が判明しています(対象はマンダム単体における管理職を含む正社員、2020~2022年度の3年間における一月あたり平均時間で算出)。当社では、全ての長時間労働を是正し、社員が健全に働くことができる環境を創り上げることで、社員自身のウェルビーイング、そしてそれを通じた様々な新価値創造や更なる企業価値の向上が実現できると考えています。この点を踏まえ、当社では新たに「2027年度までに、全正社員(管理職を含む)平均における一月あたりの時間外労働時間10時間以下の達成」を目標として掲げ、この実現に向けて取り組んでいきます。
■ダイバーシティ&インクルージョンの推進
“多彩な個性と強みを持つ人財”こそが、様々なイノベーションを生み出すための最大の源泉であるという考えの下、当社では「ダイバーシティ&インクルージョン」を目指した組織体制づくりを推進しています。当社は依然として、「日本人」「男性」そして「新卒社員」といった特定の属性を持つ社員の占める割合が大きいのが現状です。当社の今後の更なるお役立ちの実現に向けて、様々な属性や価値観を持つ人財を確保し、それぞれの個性や強みを発揮し続けるため、当社におけるマイノリティである「女性社員」「キャリア採用社員」そして「外国籍社員」の活躍に特に重点をおき、このダイバーシティ&インクルージョンに向けた取組みをより一層推進していきます。
<女性社員の活躍推進>
当社は2027年度のありたい姿として「総合化粧品ではなく唯一無二の強みを持った化粧品会社」を掲げ、その実現に向けた定量イメージとして「男性事業:女性事業=50:50」を掲げています。そしてこの女性事業の拡大に向けては、男性社員だけではなく、女性社員が持つ多彩な個性や強みを最大限に活かすことで、更なる女性生活者へのお役立ちが実現可能になると考えています。また当社においては、過去より女性社員の活躍推進に取り組んできた経緯があること、そして当社における女性社員は、先述の「キャリア採用社員」「外国籍社員」と比べてその割合が多いことから、当社のありたい姿の実現に向けて、女性社員の活躍推進は引き続き特に注力して取り組むべきテーマであると考えています。
以上から、女性の活躍推進とその個性と能力を十分に発揮できる社会の実現に向けた段階的な考働計画を設定し、取組みを推進しています。例えば、多彩な個性や強みを活かし様々なイノベーションの創出を目的とした女性社員の積極登用、女性グローバル人財としての活躍を見据えた国外グループ拠点を含む異動配置や育成の実施、異業種のキャリアデザインフォーラムへの参画等の取組みを行っています。このような取組みの成果が認められ、2022年6月には「大阪市女性活躍リーディングカンパニー」認証において最高ランクの「三つ星」を獲得、さらに2023年2月には、令和4年度「大阪市女性活躍リーディングカンパニー」大規模企業部門における「優秀賞」を受賞しています。
また、今後の更なる女性社員の活躍推進に向けて、「2027年度までに女性管理職比率20%以上」を新たな指標として設定しています。この達成に向けて、当社では「単年度毎の女性社員の経営基幹職登用計画の策定」や「女性社員向けの各種研修の実施」、そして「経営層や管理職層に対する女性活躍に向けた各種教育の拡充」等の様々な取組みを実施していきます。
<女性管理職比率の実績推移と今後の指標>
(注)
・提出会社の各年度3月31日時点の実績。
・「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出。
・管理職には部長および課長を含み、執行役員は含まない。
■生産性と創造性を高める働き方の実践
当社では、サステナビリティ戦略におけるサステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)の一つとして「社員と会社の相互成長の実現」を掲げており、社員全員が会社や社会を支える「人財」となるために、「単位あたりの生産性」「個の成長と働きがい」「創造性」が向上する働き方改革を推進しています。この働き方改革を通じて、社員が様々な制約にとらわれず、個性や強みを最大限発揮しながら、社員のありたい働き方を実現するための環境整備を進めています。
例えば、コアタイムを原則撤廃するとともに、業務開始・終了の時間だけでなく業務時間中においてもフレキシブルに働くことができる「フレックス勤務制度の導入」や、今後予測される介護との両立を踏まえ、「家族の住居」を含めた「在宅勤務制度の導入」により、出社勤務と在宅勤務を融合したハイブリッド型の勤務を推進することで、全社員にとって働きやすい仕事環境づくりを実践しています。
また、社員の育児休業の積極的な取得も推進しています。当社では、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画(2020年4月1日~2023年3月31日)として、「男女とも育児休業取得率100%を目指す」ことを掲げ、その達成に向けて、取得対象者の休業取得に向けた人事総務部からの積極的なアナウンスや、対象者全員とその上長・人事総務部の3者における面談の必須化等に取り組んできました。計画期間における各年度の結果は下表のとおりとなりますが、本指標は継続して達成すべきものであると捉えていることから、今後も引き続き、男女ともに育児休業取得率100%の継続的な達成を目指して取り組んでいきます。
<育児休業取得率の推移>
(注)
・提出会社の年度別実績。
・「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出。
・2021年度における男性の実績については、2020年度における一部取得対象者が2021年度に育児休業を取得したことから、2021年度中の取得者数が取得対象者数を上回ったことにより、100%を超える実績となっている。
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