マネックスグループ 【東証プライム:8698】「証券業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティ全般に関する開示
1)企業理念に沿った当社グループの基本方針および取組み
当社は、「MONEXとはMONEYのYを一歩進め、一足先の未来における人の活動を表わしています。常に変化し続ける未来に向けて、最先端のIT技術と、グローバルで普遍的な価値観とプロフェッショナリズムを備え、新しい時代におけるお金との付き合い方をデザインすると共に、個人の自己実現を可能にし、その生涯バランスシートを最良化すること」を目指すことを企業理念に掲げています。
当社は、当社グループの役員および従業員(名称の如何に関わらず当社グループの業務に従事する者のすべてを含む。以下、総称して「役職員」)が上記企業理念を実現するための行動指針を制定し、役職員一人ひとりが遵守すべき規律を定めています。そして、当社グループ役職員を対象とする社内報への掲載や社内研修の実施を通じ、上記企業理念を役職員に浸透させるための取組みを行っています。
2)ガバナンス体制
当社グループ独自の経営課題と社会課題の解決を目指すため、当社グループのステークホルダーにとっての重要度(縦軸)と当社グループの業績に与える影響についての重要度(横軸)を「マネックスグループのマテリアリティ・マトリックス」(以下、「マテリアリティ・マトリックス」)として特定しています。
マテリアリティ・マトリックスは、ステークホルダーの考えや財務的影響度および当社グループの企業理念への影響度を数値化することによって、当社グループがリスクと機会の観点で取組むべき各課題を解決するための優先順位を可視化したものです。こうして、当社グループでは、執行役との協議を重ねたうえでマテリアリティ・マトリックスを策定し、最終的には取締役会での報告、協議を経て決定しました。当社グループのウェブサイトにて上記の過程を踏まえたマテリアリティ・マトリックスを公開(※)しています。
マテリアリティ・マトリックスにて数値化、可視化された各課題は、縦横の3象限ずつ計9象限に分けてプロットしており、数値的に重要とされる課題は、本業のなかで取組むべき最重要項目として、各執行役が推進責任者となり、目標設定、進捗管理をして、半期ごとに進捗状況および今後の課題を取締役会に報告しています。
また、様々なステークホルダーとともに社会的課題の解決に取組み、新しい価値を創造することで持続可能な社会の実現に貢献することを「MONEX サステナビリティ・ステートメント」として制定しており、取締役全員がコミットしています。
(※)https://www.monexgroup.jp/jp/esg/mg_esg.html
マテリアリティ・マトリックスにおける最重要項目 | 執行役/担当 |
コーポレート・ガバナンス | 代表執行役社長CEO |
リスクマネジメント | リスク管理統括責任者 |
イノベーション | 代表執行役会長 |
金融リテラシーの向上 | 代表執行役社長CEO |
金融サービスへのアクセス向上 | 代表執行役社長CEO |
セキュリティ&プライバシー | 情報セキュリティ担当執行役 |
人材採用・人材育成、労働慣行、 ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン | 人事担当執行役 |
コンプライアンス(AML&腐敗防止) | 内部統制担当執行役 |
サステナブルファイナンス | 日本セグメント担当執行役 |
当社グループは、ESG活動に取組むに当たり、社内の横断組織である「ESG/サステナビリティ推進タスクフォース」が中心となり、上記のマテリアリティ・マトリックスにおける最重要項目での取組みや気候変動をはじめとする環境問題に関して、審議および検討を行っています。これらのESGに関する取組みについては、定期的に取締役会に報告され、承認を受けながら、グループ全体を巻き込んで、各種課題の取組みとESGに関する情報開示を推進しています。
3)リスク管理
当社は、事業目的を安定的に達成するためには、経営に影響を与えるリスクを常に許容範囲にとどまるように管理することが重要と考えています。こうした経営方針に基づき、「統合リスク管理規程」等に定めた10のリスクを適切に識別、分析、評価したうえで、セグメントを担当する執行役が各リスクについての具体的な管理方法、体制を決定しています。セグメントを担当する執行役は、リスクが発生あるいはリスクが発生する蓋然性が高いと判断した場合、CEOが定めるリスク管理統括責任者と各リスクを担当する執行役に対して報告する体制を構築しており、リスク管理統括責任者は、リスク管理体制に関する整備状況、運用状況を把握し、毎月取締役会に報告しています。
また、サステナビリティにおけるリスク管理は、マテリアリティ・マトリックスの特定プロセスの中で、当社グループの業績に与える影響としての重要度(横軸)を決定するうえで、各課題のリスクと機会に対する財務的影響度を数値化して評価しており、各執行役は、マテリアリティ・マトリックスにおける最重要項目として評価された課題の推進責任者として、リスクを管理しています。
4)戦略、指標および目標
短期および中長期にわたる当社グループの戦略に影響を与える指針として、上記のとおり、当社は企業理念への影響度を数値化して、マテリアリティ・マトリックスを特定しています。特定されたマテリアリティ・マトリックスのうち、最重要項目においては、推進責任者である各執行役が進捗を管理しながら、半期ごとに進捗状況および今後の課題を目標設定して取締役会に報告しています。
5)取組み実績
当社はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が採用する日本株式を運用対象とする6つのESG指数である「FTSE Blossom Japan Index」「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」「S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数」「Morningstar Japan ex-REIT Gender Diversity Tilt Index」のすべての構成銘柄に選定されています。
(2)人的資本、多様性に関する開示
1)基本方針および取組み
当社グループは、人材を最も重要な経営資本と捉え、経営理念の実現を促す3つの行動指針を定め、求められる人材の能力や行動を明らかにします。さらに、人材育成方針および社内環境整備方針を策定することにより、人的資本および多様性の充実をもたらす体制づくりに取組んでいます。
行動指針
「自主性をもって事業を創造する」
一人一人が、未来のあるべき姿と当社事業の成長のために自ら考え進んでいく。プロフェッショナル意識を持ち、必要な知識や技術を追求し、自らの価値を高めるよう努める。
「公正であることを尊重する」
多様な背景や考え方を尊重する。一人一人の能力が最大限発揮できる透明性のある公正なチームを構築することで、当社の企業価値の向上につなげるとともに、より良い社会の実現を目指す。
「企業理念の実現に貢献する」
私たちのステークホルダーの価値創造に貢献する。未来における人の活動において、生涯バランスシートを最良化するため、何が望まれているかを想像して、個人およびチームが短期的かつ長期的な目標に向かって邁進する。
少子高齢化に伴う労働人口の減少や経済のグローバル化に伴う安価で高品質な商品やサービスとの競争の激化などが深刻化している現状では、限られた労働力で最大限の成果を生み出す「効率性や生産性の改善・向上」がこれまで以上に重要な課題となります。より高いレベルで「効率性や生産性の改善・向上」を実現するために最先端のテクノロジーを積極的に取入れ、新しい未来やイノベーションに対して野心的な自律型人材を育成し、役職員一人ひとりの生産性を高めることで、組織として最大のパフォーマンスを発揮できる体制が必要です。
2)戦略
当社グループは、人的資本および多様性の充実に取組むうえで、当社グループが求める人材が、その能力を最大限発揮できる就業環境を整えるため、以下の2つの方針を策定しています。
・人材育成方針
「当社グループは、高い志と情熱をもって変革を試みる役職員のチャレンジ精神を鼓舞する環境を整えることにより、組織やチームの出力の質を高め新たな未来の価値を創造できる自律型人材を育成します。」
・社内環境整備方針
「当社グループは、多様な人材の多様な働き方を受入れ、組織やチームの活性化を実現する役職員一人ひとりの主体性ある取組みが公正に評価される環境を整えます。」
3)重点課題(指標)および目標
人材育成方針と社内環境整備方針に沿って行動する際に次の重点課題にフォーカスし、その改善に取り組んでいます。
(a)多様性の確保と公正な評価制度(報酬体系)
当社グループの人事制度においては、性別、年齢、国籍などによらず、企業価値への貢献度を唯一の評価基準として人事評価をおこなっており、その結果にのみ基づいて人事処遇するため、多様性を損ねない組織体制を構築しています。
賃金格差(ペイギャップ)については、男女別の報酬体系を持たないため、個々人の貢献度に対する評価結果や職種の違いに伴う格差は生じますが、性差による格差は生じません。
なお、多様性がどの程度の品質で確保されているかを測る指標として、評価と報酬の観点から「女性管理職比率」と「男女賃金格差」を計測しています。(2023年3月期の実績は下表のとおり)
項目 | 区分 | 男性 | 女性 | 評価 |
人数比率 | 全社員 | 72% | 28% | 女性の数を人口比に近づく程度まで増やしたいと考えています。 |
| 管理職者 | 76% | 24% | 貢献度に沿って適正に処遇すべきで、目標は定めません。 |
ペイギャップ | 全社員 | 100% | 83% | 男女別の給与体系を持たないため、原則男女間格差は生じませんが、左記は報酬に関する職種間格差から生じたものです。 |
| 非管理職 | 100% | 77% | |
| 管理職者 | 100% | 86% |
対象会社:マネックスグループ株式会社、マネックス証券株式会社、コインチェック株式会社、TradeStationグループ各社
(b)人材の育成・開発
Off-JTや自己研鑽により机上で習得した基礎能力や専門分野に必要となる知識・スキルを、OJTで繰返しの実践を通じて、自身の経験値として、成功体験に昇華させる機会を創出するように設計しています。
また、同時にストレッチアサインメントや最適配置を意識した育成方針を掲げており、ジョブローテーションを活用することでさらに充実した人材育成環境を構築しています。
(c)働き方の柔軟性
当社グループは、役職員一人ひとりが最も高いアウトプットを出せる働き方環境を選択できるように様々な制度を設計しております。
時間や場所の制約を受けない制度設計(フレックスタイム制度や在宅勤務制度)や重大なライフイベントに対する支援体制(育児や介護支援)など、役職員の相互関係における理解と協力が得られる企業風土や文化に根差した体制が形成されており、出産や育児および介護による休職者が100%復職できる環境を維持します。
また、役職員の健康維持も会社の重要な責務と考えて、健康診断受診率100%を目指して取組んでいます。
項目 | 育児休暇を取得した人数 | 取得比率 |
男性育児休業取得率 | 10人 | 77% |
対象会社:マネックスグループ株式会社、マネックス証券株式会社、コインチェック株式会社
(d)組織エンゲージメントサーベイ
2022年より日本拠点の当社およびマネックス証券株式会社の役職員を対象にした組織エンゲージメントサーベイを実施しています。上述の(a)~(c)の課題のうち、多くの評価が、その調査結果に反映されるため、総合スコアが良好と評価される水準に維持できることを目指します。
(a)~(c)の課題にフォーカスしたスコアについては、役職員全員に対して所属する部門やグループの結果を周知しているため、部門やグループごとに改善策を討議し、日々試行錯誤に努めることができる体制を構築しています。
組織エンゲージメントサーベイにより、多くの役職員が当社グループの経営理念に賛同し、多様な価値観を尊重するとともに当社グループが抱える課題に対して、当事者意識をもって取組み、企業価値の向上に向けた活動に参画するような企業文化や風土が醸成されていることが結果として表れています。
- 検索
- 業種別業績ランキング