企業兼大株主ポート東証グロース:7047】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、「社会的負債を、次世代の可能性に。」をパーパスに掲げ、WEBマーケティング×セールスの融合で、企業の経営課題を成果報酬型で解決する成約支援事業を展開しております。「非日常領域」におけるサービス提供を通じて、社会課題に対して「あったらいいな」ではなく、「無くてはならない」、世の中にとって大切なものを社会に実装できるよう取り組んでおります。

(2) 経営戦略等

①基本戦略

 当社グループは、少子高齢化・生産年齢人口の減少、労働生産性が低下する日本社会において、企業における販促活動、人材採用の効率化を最も解決すべきテーマと特定し、集客から成約まで一気通貫で支援し、なおかつ企業にとって導入リスクの低い成果報酬型サービスを展開することを基本戦略として掲げております。

②中長期成長戦略

 当社グループは2026年3月期を最終年度とする3ヵ年中期経営計画を2023年5月12日に公表いたしました。フリーキャッシュフローの最大化を長期方針に掲げ、中長期のEBITDAの最大化を達成するにあたり、オーガニック成長への投資、収益モデルのポートフォリオ化、インオーガニック成長への投資を中期成長戦略として掲げております。


a.オーガニック成長への投資

当社グループは高いWEB集客力と成約支援オペレーションの確立による高い成約率を備えた独自の立ち位置を確立しています。今後もその立ち位置を確実なものとすべく、主にプロダクトと成約支援オペレーションの強化に向けたオーガニックな成長投資を積極的に実施してまいります。具体的には、人材領域においては、市場の成長性が高い人材紹介と新卒人材会社向けアライアンス支援に注力投資を行い、新卒支援市場でのシェア拡大を目指してまいります。また、会員データベースを活用したターゲット年代の拡大により、20代若年層市場(既卒・第二新卒)への進出を目指してまいります。エネルギー領域においては、当該領域における更なる成約支援事業の強みを洗練させ、成約件数の最大化に向けたマーケティング投資、成約支援オペレーションの強化によりシェア拡大を目指してまいります。

b.収益のポートフォリオ化

 当社グループの成果報酬型ビジネスにおいて、2023年3月期時点はショット型収益(成約時点で受け取る収益)が大半を占めておりましたが、ストック型収益(成約した契約の期間中継続して受け取る収益)の比率を向上させていくことで収益のポートフォリオ化を図り、総収益の向上及び成長の蓋然性を高めてまいります。具体的には、2024年3月期よりエネルギー領域を中心にストック型収益の比率を高め、顧客との長期にわたるリレーションシップの構築及び1成約あたりの総収益を増加させ、持続的な成長を目指してまいります。

c.インオーガニック成長への投資

 当社グループにおける成約支援事業の更なる拡大にあたって、M&Aを主要戦略の一つとして位置付けております。中期経営計画期間中においては、既存事業のロールアップ型M&Aと新領域への参入を目的とした大規模なM&Aに限定し、明確なM&A方針を定めております。既存事業のロールアップ型M&Aとは、人材領域、エネルギー領域においてスピーディーな成長を目指すためのM&Aであり、企業規模については制約条件を定めておりません。新領域参入型M&Aとは、投資基準を明確に定め、全体の業績に対し最低10%以上のインパクトがある大規模なM&Aを積極的に志向し、これらの積極的且つ大胆なM&A戦略により非連続的なインオーガニックな成長を実現してまいります。

(3) 競争優位性

 当社グループの売上収益を構成する主なKPIとして「成約社数×ARPU」を重要指標と認識しております。それら重要指標を拡大するにあたり、重要項目である「集客件数」「成約率」「成約単価」に対して、競争力の源泉となる「WEBマーケティング」と「セールス(成約支援組織)」の2つの優位性を有しております。

① WEBマーケティング

 当社グループにおける人材領域では、就職活動生の75%にあたる約45万人が毎年度継続的に当社グループのサービスの会員となり、盤石なユーザー基盤を構築できております。(注1)また、毎年度の会員数の積み重ねにより、総会員数は約300万人を突破しております。

a.ユーザーファースト

 当社グループは、人生において経験回数が少なくユーザーにノウハウが蓄積しにくい「非日常領域」でノウハウ・口コミ情報を提供しております。ユーザーボリュームの多い潜在層からアプローチをすることで圧倒的な母集団形成の実現を可能とし、加えて、ビジネスモデルの構造の違いからも、広告を主体サービスとはしていないためクライアント都合による情報の制約なしにユーザーの立場に寄り添った情報提供を可能としています。それにより、ユーザーからの高い支持を獲得し、潜在層から顕在層まで、見込み顧客をWEBマーケティングで集客し、その後の成約支援オペレーションを介したユーザーの意思決定支援を提供しております。

b.ストック型コンテンツ

 当社グループは、「非日常領域」において、人々が日常生活の中で抱える悩みに対して、インターネット上でノウハウコンテンツや企業の口コミ情報等をWEBコンテンツとして提供しております。これらのコンテンツは、キャリアやファイナンスなどの領域において基本的に流行に左右されにくいノウハウ情報を中心に作成しているため、新規の記事作成に依存せずともユーザーから継続的に検索、閲覧され、中長期的に安定したアクセスが期待できます。また、ニュース記事のような流行性の高い記事を中心とするメディアと異なり、継続的に記事作成を行う必要がなく、一定の記事作成を終えるとコストが抑制されることから、メディア立ち上げ段階の投資フェーズを超えると、大きな投資コストをかけることなく安定した収益を生み出すものと考えております。

c.分散型サービスポートフォリオ

 当社グループが展開する成約支援事業は、一つのプロダクトに依存せずユーザーの意思決定プロセスに基づいた様々な角度からユーザーニーズを満たすべく、複数のプロダクトを提供しております。また、プロダクトの特徴やユーザーの意思決定フェーズに応じて、配信方法や配信チャネルを分散化させることでユーザーの様々なニーズに合わせたサービス提供を実現しております。

② 成約支援組織

 当社グループは、ユーザーの情報収集から問い合わせ、比較検討、意思決定という行動プロセスにおいて、WEBマーケティングのみならず、洗練された成約支援組織を構築することで、ユーザーの比較検討・意思決定の行動フェーズにおいて、成約支援組織を通じた意思決定の支援を行い、高い成約率を実現しております。当社グループにおける成約支援組織(インサイドセールス・キャリアアドバイザー・コンサルタント)は、当社グループ全体職種比率のうち、約50%以上(注2)を占めており、今後も拡大を予定しております。また、組織を拡大させながらも1人当たり生産性を落とさない体制の構築に向け、以下の3点の取り組みを進めております。

高い成約率の実現に向けた取り組み
a.テクノロジーの活用による生産性の向上

 蓄積されたユーザーの行動データや成約データを生成AI等の最新のテクノロジーを駆使し、商談時に活用することで、効率的に成約獲得(受注・内定承諾)に繋げております。

b.採用体制強化による組織力の向上

 高い選考倍率によって厳選した人材採用活動を進めております。採用した人材の入社後の成果状況を分析や採用ターゲット人材見直しを行うことで、優秀な人材の確保に取り組んでおります。

c.独自の教育体制による成約率の維持向上

 動画コンテンツなどのマニュアルやナレッジの共有、規定を徹底したリスク管理、少数精鋭のチーム体制の構築でマネジメント体制の強化つなげております。

 また、当社グループは成約に応じた報酬体系と、成果にコミットメントする専属のリレーションシップ担当を配置しております。クライアントのサービス導入ハードルを下げ、クライアント数の拡大や長期リレーション構築による成約単価の上昇によって、当社グループの市場シェア拡大に寄与しております。このような成約報酬システムを構築することにより、顧客リレーションが長期で継続するため、新規顧客の開拓が大きな資産になると捉え、現在は新規顧客の開拓に注力しております。

(注1)「45万人」2024年3月卒業予定の新卒会員数(2024年3月末時点)

(注2)「50%」グループ全体職種別比率(2024年3月末時点)

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、株主価値向上のため、中長期的にはROE(自己資本利益率)を最大化していく方針でありますが、短期的には売上を増加させ利益を安定的に出す体制を構築することに注力しております。2024年3月期から収益のポートフォリオ化を成長戦略の一つとし、主にエネルギー領域において1成約ごとにショット型で収益が発生するショット型契約での成約件数を増やすとともに、ユーザーの利用状況に応じて毎月収益が発生するストック型契約の成約件数の積み上げを行っており、継続的な利益成長の蓋然性向上に努めております。そのため、現在は売上収益及びEBITDA(営業利益+減価償却費+固定資産除却損及び評価損益+株式報酬費用)に加え、将来収益(1件の成約によって将来生まれる総収益)を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として取締役会等でモニタリングを行っております。

 また、当社グループは、2024年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画を推進しており、最終事業年度である2026年3月期には、売上収益250億円、EBITDA40億円の達成を目指しております。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループの経営方針及び経営戦略を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。

(特に優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題)

① 認知度の向上とユーザー数の拡大

 当社グループが持続的に成長するためには、当社グループのサービスの知名度を向上させ、ユーザーの意思決定までに必要な良質な情報を提供することで新規ユーザーを継続的に獲得し、ユーザー数を拡大していくことが必要不可欠であると認識しております。そのためには、効果的な広告宣伝活動等により当社グループの知名度を向上させること、また既存プロダクトにおいてユーザーの立場に寄り添った良質な情報を蓄積していくことや、様々な角度からユーザーニーズを満たすべく複数プロダクトを展開することにより認知度の向上とユーザー数の拡大に努めてまいります。

② 成約支援組織の拡大及び生産性の維持

 当社グループは、WEBマーケティングによって集客したユーザーを洗練させた成約支援組織による意思決定支援を行うことで成約につなげております。成約件数を増加させるためには、成約支援組織の人員数を拡大させながら、1人当たりの生産性を低下させない成約支援組織の構築が必要であると考えております。高い成約率と生産性を維持、向上させる体制構築のために、テクノロジー活用による生産性向上、採用体制強化による組織力向上や、独自の教育体制による成約率維持向上に取り組んでまいります。

③ M&Aの活用

 新規事業やサービスの拡大のため、M&A等の事業投資の実行による成長の実現が重要であると考えております。M&Aを行うにあたっては、投資効果はもちろん、対象事業等の将来性や当社グループが展開する成約支援事業とのシナジーをはじめとした相乗効果を十分に検討した上で、事業領域の拡大と業績の向上に繋がるよう進めてまいります。

④ 内部管理体制及び内部統制の強化

 当社グループは、中期経営計画に基づく、積極的な事業投資やM&A等により、事業・組織規模を急速に拡大させております。今後も積極的で適正なリスクテイクを行い、持続的な成長を実現するためには、内部管理体制及び内部統制の継続的な強化が必要であると考えております。第13期においては、リスク管理及び内部統制システムの運用強化のために、内部通報制度の充実化、内部統制委員会の設置を通じてリスク情報の集約から内部統制への反映までのPDCAサイクルの改善に努めたほか、「内部統制システムの基本方針」を刷新し、同方針に連動した内部監査計画の策定、実施及び取締役会、監査等委員会へのデュアルレポートの確立を進めてまいりました。

 また、企業集団の拡大に合わせ、グループ会社管理やリスクマネジメントに関する規程を充実化させ、各社の役員への研修も実施してまいりました。引き続きグループ全体で業務の適正を確保し続けるべく、迅速で網羅的なリスク情報の把握と内部統制への反映、監査等委員会・内部監査によるモニタリングの徹底、役職員への研修の充実化等をグループ全体で実施し、企業集団、組織、事業の規模拡大に合わせ、より一層の内部統制の強化に努めてまいります。

(その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

① 継続的な事業の創出

インターネット関連事業は、サービス等の新陳代謝が激しく、一般的にプロダクトライフサイクルが短い傾向にあります。こうした環境の中で継続的な成長を実現するためには、既存事業の成長を図るだけではなく、様々な新規事業の開発が重要であると考えております。

 当社グループは、就職系プロダクト「キャリアパーク!」で構築したビジネスモデルを水平展開及び垂直展開させることで、事業を拡大してまいりました。今後も中長期の競争力確保に繋がる事業開発のノウハウの蓄積を積極的に行い、継続的に新規事業の開発に取り組むことで、将来にわたる持続的な成長につなげてまいります。

② 優秀な人材の確保と育成

 当社グループは、新卒、中途両面から積極的な採用活動を行い人材を確保しており、事業成長を牽引しております。今後も持続的な成長を実現するためには、優秀な人材を確保・育成し人的資本を拡充させ続けることが重要であると考えており、当社グループでは「人的資本マネジメント方針」を策定しております。同方針では、当社の経営戦略を実行し、中期経営計画を達成すること、ひいてはパーパスを体現する上で必要となる「6つの重要指標」を特定しており、それぞれ目標を定め、各種施策に取り組んでおります。引き続き、同方針に従い、積極的な採用活動と当社グループの経験とノウハウに基づく多様かつ有益な研修の実施や各種人事施策を展開することで、継続的に人材の確保・育成に取り組んでまいります。

③ 情報セキュリティの強化

 当社グループにおいては、事業規模の拡大に伴い、保有するユーザーの個人情報や顧客情報が年々拡大しております。当該情報は当社グループの重要な経営資源の一つであり、各種営業機密を適切に保護・管理することが持続的な成長のために不可欠であると考えております。当社グループでは情報セキュリティポリシーを定め、同ポリシーの下、機密情報管理規程、個人情報保護規程等の規程の整備及び見直し、定期的な役職員への研修を実施しているほか、サイバーセキュリティシステムへの投資も積極的に行っております。引き続き、事業・組織規模の拡大、社会的・技術的な動向に合わせ、適切にセキュリティ管理体制を強化し続けてまいります。

④ 技術革新や事業環境の変化への対応

 当社グループの事業領域であるインターネット関連市場は、技術革新のスピードが速く、次々と新規参入企業が出現するなど、変化のスピードが速い環境となっております。

 当社グループは、このような変化に対しても迅速に対応し、各プロダクトの利用価値を継続的に高めていくことにより事業規模を拡大するため、最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築してまいります。

 これらの対応を進める中で、人の生活にとってなくてはならない領域における多くのユーザー、多くのアクセスログを有することとなるため、解析をはじめとした技術革新を続けることは当社グループにとって必要不可欠であると考えます。

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