ホシデン 【東証プライム:6804】「電気機器」 へ投稿
企業概要
当連結会計年度における当社グループの主な開発製品の研究開発費の総額は1,977百万円であります。
また、当連結会計年度における主な開発製品の研究開発活動のセグメントごとの状況は、次のとおりでありま
す。
(1)機構部品における研究開発
①近年、環境問題に対する意識の高まりを背景にSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)への取り組みが求められております。高速信号コネクタにも使用できる石油由来の樹脂材料の使用削減を目的とした植物由来のエコ材料「ホシデンカスタムXecoT(ゼコット)」をユニチカ株式会社と開発いたしました「Xec
oT(ゼコット)」はトウゴマから採取するヒマシ油を原材料に作られた植物由来の半芳香族ナイロン樹脂(PA10T)
で、耐熱性が高く、吸水しにくいことから、一般的なコネクタ用の樹脂材料として必要な基本性能は元来備えていましたが、高速伝送コネクタ用途に向けて材料を改良し、誘電率と誘電正接を低く抑えたことで、伝搬ロスの低減とインピーダンスコントロール性を実現いたしました。レジ袋やカトラリーであればバイオマスマークを付与できるレベルの30%以上という高いバイオマス度を確保しております。
※「XecoT」はユニチカ株式会社の登録商標であります。
②高速信号伝送(同軸)と電源ライン(2Pin)を一体化した車載用同軸+2Pin複合コネクタを開発いたしました。車内カメラにより、ドライバの状態を検知するDriver Monitoring System(DMS)に用いられる近赤外線カメラへの採用を見込んでおります。赤外線LEDとカメラが一体化したカメラユニットでは、LED用の電源ラインとカメラの映像信号伝送ラインが必要となりますが、これら2系統を1つのコネクタに集約することにより、基板におけるコネクタ専有面積の削減やコネクタ嵌合作業の簡略化が可能となります。カメラの映像信号伝送には、ビューイングカメラなどで普及が広まる同軸ケーブルを採用しております。基板側レセプタクルに金属ハウジングを採用することで、小型化を実現しつつ車載製品で要求される堅牢性を確保しております。また、次世代SER/DES(SERializer/DESerializer)の高速信号伝送に対応できる優れた伝送性能とEMC性能を両立し、基板側レセプタクルはバーティカルタイプ、プラグ側はL型タイプからサンプル展開を開始し、ライトアングルレセプタクルやストレートプラグもラインアップに追加しております。
③車載用コネクタ・ハーネスの高速化ニーズに応えるべく、自動運転・先進安全システム用ECU、及び5G・V2X等の新たな通信インフラ等に向け、大径の低ロスケーブルに対応したFAKRAケーブルコネクタを開発いたしました。本開発品は内部構造を最適化し、1.5Dケーブルだけでなく、より低ロスで長距離伝送可能な2Dケーブルにも対応しており、当社従来品と比べ大幅に高周波特性を向上させております。各種次世代車載用SER/DES(SERializer/DESerializer)に求められる厳しい伝送特性要求を満たし、次世代通信規格の周波数帯域を網羅するDC~10GHzの広帯域を確保しております。また、自動車メーカー各社やSER/DES(SERializer/DESerializer)メーカー各社がコネクタ・ハーネスAssyに対する電気的特性要件として定義したEMC性能においても、各社の規格値をクリアしております。
(2)音響部品における研究開発
車載音響製品として、今後の普及が予測されるA2BⓇデジタル通信方式に対応したA2BⓇマイクに続き、A2BⓇセンサやA2BⓇスピーカなどの製品ラインアップを拡充しております。さらに、新要素技術として「防水マイク」、「高機能マイク」、「指向性の優れた通話/音声認識用マイク」の開発も進めております。
(3)表示部品における研究開発
新規事業としてペロブスカイト太陽電池への参入を表明しており、現在まで数多くの問合せや引合いをいただいております。いち早く事業化する目的からIoT機器や携帯機器などの電源として、室内での使用を想定した機器への搭載を検討される戦略的パートナーに、量産化するための原理試作を提供し、量産を前提とした開発を進めております。また、各種センサやBluetooth通信モジュールが搭載可能な2次電池を含んだ無給電の電源モジュールを2024年夏頃にサンプル展開予定であります。
(4)複合部品その他における研究開発
①測距や検針をワイヤレスで行えるセンサユニットの製品化を行いました。IoTエッジデバイスにはさまざまなセンサを搭載しデータを収集して、検知・識別・予測・判断・実行・制御する機能モジュールが求められております。さまざまなセンサと無線モジュールを組み込んだ商品提案を行い、故障検知などの省人化に貢献いたします。
②スマートハウスの普及を見越し、次世代通信規格であるMatter対応の無線モジュールを開発いたしました。また、各種センサを搭載したモジュールの開発についても進めてまいります。
③労働人口不足や人件費高騰の影響を受け、工場のDX化を加速する機運が高まっております。中でも人手がかかる石油・化学プラントや塗装ライン等の爆発危険エリアにおける設備点検業務の省人化ニーズが高まる中、老舗計器メーカーである株式会社木幡計器製作所との技術連携により、世界初となる防爆対応の後付け型IoT検針センサを開発いたしました。検針センサ、無線モジュール、電池ユニットを内蔵した世界最小クラスのアナログ計器センサユニットとなり、容易に後付けが可能となっております。通信モジュールはLoRaとBluetooth Low Energyを搭載しており、通信距離を優先する場合はLoRa、電池寿命を優先する場合はBluetooth Low Energyと用途に応じた切替えが可能となっております。
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