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企業概要

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、クルーズ事業を主力事業と位置づけ、若年層や、まだクルーズに乗船したことが無い旅行者に向けて、気軽に安心してクルーズ旅行に行くための環境づくりを行い、新しい旅行スタイルを経験するきっかけを提供していきたいと考えております。

当社グループは世界中の船会社と提携し、旅行者がインターネットを通じて手軽にクルーズ・チケットを入手できるサービスを提供しております。これにより、カリブ海・地中海等の海外主要クルーズ・スポットへの長期間・高価格な豪華客船ツアー等の提案のみに留まらず、旅行者のニーズに合った国内外様々な目的地への多様な旅行期間・価格帯のクルーズ・チケットの選択を可能としております。

2023年の世界のクルーズ旅行者数が約3,170万人となりましたが(出所:State of the cruise industry, April 2024)、同年の日本のクルーズ旅行者数は19.6万人(出所:国土交通省「2023年の我が国のクルーズ等の動向について」)とまだ少なく、日本のクルーズ旅行市場の成長の余地は大きいと考えています。当社は移動・宿泊・食事・娯楽が一体となったクルーズならではの非日常的な感動体験を、身近な旅行の選択肢の一つとして広く一般の皆様に提供することで、日本のクルーズ旅行市場を開拓してまいります。

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、事業を継続的に発展させていくためには、売上高を増加させ、適正な利益確保を図っていくことが必要であると考え、「売上高」及び「営業利益」を重要な経営指標として捉え、その向上を図る経営に努めてまいります。

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、取扱い船会社やツアーのラインナップ数を大きな競合差別化要因としておりますが、広く一般旅行者に同様の認知を得るまで、さらに強みを磨いてまいります。具体的には、添乗員同行ツアー等のオリジナルツアーの品質・コース数両面での改善、チャータークルーズなど独自商品への挑戦、総代理店業務(日本市場における独占的または排他的な販売代理店)を含めたまだ日本で取扱いの無い外国船の取扱い開始、船会社との関係強化による各種割引料金・船上特典・セミナー開催などを進める計画となります。

 また、クルーズをより身近な存在にしていくため、WEBサイトやスマートフォンアプリでのオンライン予約などの利便性向上、新サイトの立ち上げなどにも力を入れてまいります。現在、当社顧客の内、50歳代以下の割合は59.6%(2019年7月期)と、国内クルーズ旅行者全体の同40.0%(出所:Cruise Lines International Association, 2018 ASIA CRUISE TRENDS)と比べて高く、今後も上記施策により若年層・中堅層顧客に訴求してまいります。また、シニア層に対しては電話オペレーターによるフォローをより充実させ、世代を問わず顧客の取り込みを図ります。

(4) 会社の対処すべき課題

 これからの旅行業界は、店舗を中心とした営業を展開する旅行会社及びインターネットを中心としたオンライン旅行会社、さらには店舗中心の旅行会社によるインターネット販売の拡販により、旅行会社間の競争がより一層激しくなるものと思われます。さらには、スマートフォン等の通信端末の進化や様々なオンラインメディアの誕生により、今までとは異なるマーケティング機会や新たな技術が日々登場しております。そのような中、当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりです。

a. システム強化

 当社グループではオンライン完結型の予約システムを稼働させ、24時間の受付体制を整備しておりますが、対象商品の拡充や、サーバー機能の増強など、引き続きオンライン予約システムの強化を推進してまいります。また、ユーザーが見やすく使い勝手の良いウェブサイトやスマートフォンアプリの開発によりお客様の利便性を高めつつ、AIに代表される新技術の導入で業務効率化を図るIT投資に引き続き注力してまいります。

b. インバウンド需要への対応

 国土交通省が2024年2月28日付で発表している「訪日クルーズ旅客数及びクルーズ船の寄港回数(2023年速報値)」によると、2023年(1月~12月)の訪日クルーズ旅客数は35.6万人(2022年はゼロ)、我が国港湾へのクルーズ船の寄港回数は前年比約2.5倍の1,854回(うち外国クルーズ船1,264回、日本クルーズ船590回)となりました。また、外国クルーズ船が寄港する港湾数は92港(2022年はゼロ)となりました。なお、「観光立国推進基本計画(2023年3月31日閣議決定)」では、日本におけるクルーズ再興に向けた2025年の目標として「訪日クルーズ旅客250万人」「外国クルーズ船の寄港回数2,000回超」「外国クルーズ船が寄港する港湾数100港」を掲げております。

 当社は2018年12月に多言語サイト「Cruisebookjapan」を立ち上げておりますが、現在は業績への貢献はわずかであります。注力マーケット(言語)の選定、マーケティング施策の投入を行い、計画的な事業展開、業績貢献の見通しを立てることが必要であると考えております。語学が堪能な人材、海外WEBマーケティングに長けた人材など、外国人も含めたグローバル人材の採用に力を入れてまいります。

c. 人材の確保及び育成

 当社グループの事業を拡大していくためには、オンラインで予約完結する利便性の高いウェブサイトを構築する優秀なエンジニアの確保と、オンライン受付では対応できないニーズに応えるための、クルーズの案内に高い専門性を持ったスタッフの確保と育成が重要な課題であると認識しております。

 当社グループでは、船会社とのAPI連携や、WEBサイトの新機能開発など実サービスの開発の中でエンジニアに対して多くの教育機会を設けており、旅行部のスタッフについても、船会社による座学研修や、入社後随時行われる乗船研修などの教育を通じて接客対応の知識習得の機会を設けておりますが、エンジニアの能力向上と、専門性の高い接客対応に関する育成を引き続き強化してまいります。

d. マーケティングの進化

 スマートフォン、タブレットなどの情報端末の進化、日常へのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の浸透、新たなオンラインメディアの登場などにより、消費者のインターネット上での購買行動が変化していくことが予想されます。その結果、中長期的にはこれまでのインターネット上での広告手法や外部ポータルサイトを通じての集客が通用しなくなり、これまでとは異なるマーケティング手法への迅速な対応が課題であると認識しております。

 当社グループでは、SEO対策、リスティング広告、ディスプレイ広告、SNSなど様々なマーケティング手法をできる体制を構築してまいりましたが、今後も、現在の手法にとらわれることなく新たなマーケティング方法を模索してまいります。

e. ブランドの認知度向上

 旅行商品は、個人消費の中でも比較的単価が大きいこともあり、旅行会社の選択には旅行会社の信頼性および信用力も重要な要素であり、また、業務提携や仕入れなどの対法人取引、条件交渉に際しても、当社グループの信頼性および信用力が重要な要素となります。当社グループの提供するサービスの利用拡大と、継続的な企業価値の向上を実現していくには、当社グループの知名度の向上、信頼性および信用力の向上が重要な課題であると認識しております。

 当社グループのブランド認知及び信頼性を高めるため、費用対効果を見極めながら、コーポレートサイトでの情報発信やメディアへの露出など、積極的な広告宣伝活動、広報活動に取り組んでまいります。

f. リピーター顧客の強化

 当社グループでは、クルーズ市場の拡大に合わせて、クルーズ旅行をはじめて体験する新規顧客の獲得に注力してまいりました。クルーズ市場の拡大、認知の向上のため、引き続き新規顧客を対象としたマーケティング活動を行いますが、当社グループの安定的かつ継続的な事業拡大のため、これまで当社グループを利用した顧客に継続的に利用してもらうための施策を強化することが重要な課題であると認識しております。

 既存顧客のニーズに合った旅行提案を行うことや、リピーター向けの割引や特典の付与などで積極的な囲い込みを行い、顧客基盤の強化を進めてまいります。

g. 新規事業の強化

2021年4月にバスツアー予約サイト「ベストワンバスツアー」を、2021年10月にホテル・旅館予約サイト「ベストワン宿泊予約」を、2022年1月にオリジナル国内ツアー予約サイト「ベストワン国内ツアー」を、2022年7月に航空券・新幹線+ホテル・旅館を自由に組み合わせられる国内旅行予約サイト「ベストワン国内ダイナミックパッケージ」、2023年5月に国内航空券予約サイト「ベストワン格安航空券」をリリースいたしました。これらのWEBサイトにおいて、これまでのクルーズ事業で培ったベストワンブランドとは別で新たにブランディングしていく必要があり、WEBサイトへの集客が喫緊の課題となりますので、初期段階においては、広告戦略等のマーケティング活動を強化してまいります。

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