プロディライト 【東証グロース:5580】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社のミッションは、「これからもつながるを、もっと。」です。人とコミュニケーションできる喜び、人とコンタクトできる安心感、最も普遍的なコミュニケーションツールシステムの開発を通じて、日々革新している「電話」文化を大切に継承・発展させ、これまでもこれからも、人がどこでも誰とでも、つながることができる社会を実現することを目指しております。
当社は、ミッションをより具体的に実行するために、以下を経営基本方針として掲げています。
「常に未来を見つめ、人と企業の喜びをモットーに、日々の活動を通じ社会の発展に貢献することを目標とし、社会を支えるインフラ企業を目指します。」
上記目標の実現のために
・ 利益ある成長を持続し企業価値の向上を目指します。
・ いつもお客様の立場で考え、行動する企業を目指します。
・ 時代を読む発見力を養い、想像し流れにすぐ対応できる企業を目指します。
・ 社員一人一人の個性と能力、そしてチームワークを最大限に発揮できる企業風土を作ります。
・ 技術力向上に努め、初心と感謝を忘れず社員をはじめ、当社にかかわるステークホルダーに対し貢献できる企業づくりに努めます。
(2)目標とする経営指標
当社はストック型ビジネスモデルのため、「INNOVERA PBX」のアカウント数(利用端末数)及び「IP-Line」のチャネル数(同じ電話番号での同時利用可能者数)を伸ばし、アカウント及びチャネルの解約率を低く抑えることが安定した収益拡大につながります。そのため、「INNOVERA PBX」の総アカウント数と解約率、「IP-Line」の総チャネル数と解約率、リカーリング(継続)売上高比率を重要な経営指標と考えております。
なお、総アカウント数は、「INNOVERA PBX1.0、2.0」の契約アカウント数の合計で、総チャネル数は、「IP-Line」(OEM含む)の契約チャネル総数の数値であります。
| 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 |
「INNOVERA PBX」総アカウント数(アカウント) | 20,474 | 26,829 | 33,761 |
月平均解約率(アカウント)(%) | 1.17 | 0.64 | 0.90 |
「IP-Line」総チャネル数(チャネル) | 44,780 | 53,448 | 64,652 |
月平均解約率(チャネル)(%) | 1.48 | 0.85 | 0.94 |
リカーリング売上高比率(%) | 74.6 | 79.5 | 80.1 |
(注)1. 「INNOVERA PBX」総アカウント数は、当事業年度末時点の「INNOVERA PBX1.0」と「INNOVERA PBX2.0」の契約アカウント数の合計を記載しております。(「INNOVERA Outbound」のアカウント数は含みません)。
2.月平均解約率(アカウント)(%)は、「INNOVERA PBX1.0」と「INNOVERA PBX2.0」の当月解約アカウント数÷前月末の契約総アカウント数で毎月の解約率を計算し、その12ヵ月の平均を記載しております。
3.「IP-Line」総チャネル数は、当事業年度末時点の「IP-Line」契約総チャネル数(OEM含む)の合計を記載しております。
4.月平均解約率(チャネル)(%)は、「IP-Line」の当月解約チャネル数÷前月末の契約総チャネル数で毎月の解約率を計算し、その12ヵ月の平均を記載しております。
5.リカーリング売上高比率(%)は、リカーリング・レベニュー(システムサービス売上高+回線サービス売上高-初期導入費用)÷総売上高で計算して、記載しております。
(3)当社の経営戦略
クラウドPBX市場の規模は、2022年度実績の242億円から2023年度見込は286億円(前年度比18.2%増)、FMC(Fixed Mobile Convergence)市場の規模は、2022年度実績の313億円から2023年度見込は326億円(前年度比4.2%増)、03や06等の市外電話番号を利用した0ABJ電話サービス市場(法人利用)の規模は、2022年度2,668億円から2023年度見込は2,627億円(前年度比1.5%減)(出典:株式会社富士キメラ総研「2023コミュニケーション関連マーケティング調査総覧」)と総じて拡大しており、今後もテレワークの推進、フリーアドレス化などのオフィス環境の変化、企業のBCP(事業継続計画)対策の強化等に向けた取組みとしてのクラウドPBX導入など市場の成長が見込まれています。
当社は、「テレワークの導入」「オフィスのフリーアドレス化」等の働き方改革が進む中、固定電話を切り口に、固定電話・モバイル端末という垣根を超え、「電話のあり方」そのものを変革する電話のデジタルトランスフォーメーション「電話のDX」を牽引し、次世代の電話・通信分野でのリーディングカンパニーを目指し、その先の「言葉の壁を越えて、誰もがつながり心が通う社会」を実現するために全ての人が垣根を越え、分け隔てなく容易にコミュニケーションができる「バリアフリー・コミュニケーション」へのプラットフォームを構築します。そのため、以下を主な取り組み項目としています。
① 主力サービス「INNOVERA」の進化
当社は、クラウドPBX「INNOVERA」のサービスを2015年9月から開始し、事業を拡大してまいりましたが、更なる顧客の利便性を追求し、2020年12月に「INNOVERA PBX2.0」へプラットフォームを一新しました。
「INNOVERA PBX2.0」ではブランドカラーを、DXをイメージする明るいカラーに変更するとともに、UIを左カラム(*8)形式へ変更し、新機能として、ID・パスワードであらゆる端末にログインが可能な「ホットデスク」、受信電話のパーク保留を、グループ毎に振り分けが可能な「パークグループ」、一つの電話番号で電話も音声会議も設定可能で、参加者の事前登録も不要な「カンファレンス」、従業員の状況(在席中、離席中等)が
確認できる「プレゼンス」、電話でのお問い合わせをWebでの案内に誘導することで応対の効率化を図る「SMS送信」等の機能を搭載しました。また、別々のサービスであった登録した電話番号に一斉に発信できる「Auto Call」、電話機ではなくPCのWebブラウザから発信ができ、顧客の情報管理もあわせてできる「Outbound」、PCからの発信に比べ最大3倍のスピードで自動発信できる「プレディクティブコール」機能を統合するなど、顧客の利便性を向上させました。
2024年8月期には状況・条件に応じて着信するユーザーをあらかじめ指定できる「自動着信呼分配」機能を搭載する予定であります。
「INNOVERA PBX2.0」向けにスマートフォンのアプリケーションソフト「INNOVERA Call」を自社開発し、2022年1月にサービスを開始しております。今後は、他社のクラウドサービスとの連携を強化するなど「INNOVERA」の更なる進化を目指してまいります。
(*8)User Interfaceの略で、Webページのデザインや文字のフォントや目に見えない操作性や機能を指し、左カラムは、WebにおいてWebサイトのレイアウトを指し、人の目の動きを考慮して、サイドバーを左に配置する方法により、コンテンツを把握してもらいやすいメリットがあると考えられています。
② 販売代理店とのパートナーシップの強化
中堅企業をメイン・ターゲットとしていた当社が、10人以下の事務所から1,000人以上の大企業まで顧客基盤を更に拡充していくには、今まで以上に販売代理店とのパートナーシップを強化する必要があると考えております。そのために2022年9月から販売代理店制度「パートナープログラム」を開始し、販売代理店との関係を強化してまいりました。具体的には、獲得アカウント数に応じて販売代理店のランクを設定する「メンバーシップ制度」等を導入し、ランクに応じた販売代理店への特典の提供、販売代理店が製品カタログ等の最新資料をダウンロードできる「専用ポータルサイト」の開設などを行ってまいりました。今後は、さらなる販売代理店の開拓を進めるとともに、「専用ポータルサイト」への自動見積機能の搭載など、販売代理店の販売活動の促進をサポートしてまいります。
③ AI技術の応用
当社が目指す「バリアフリー・コミュニケーション」を実現するためには、AI技術を応用したサービスが必要不可欠です。2022年8月期にサービス提供を開始した音声メッセージをテキストで届ける機能「Speech Posting」や、通話録音した内容をテキスト化する機能「INNOVERA Text」、2023年8月期にサービス提供を開始した音声通話からユーザーの感情を分析できる「INNOVERA Emotion」等のオプション機能に加え、今後もAIベンダーと協業し「音声合成」(2024年8月期予定)や「音声翻訳」、「多言語通訳」(2025年8月期以降予定)等の様々なAI技術を「INNOVERA」と連携させ、新しいサービスを提供することで「バリアフリー・コミュニケーション」の実現を目指してまいります。
④ ブランド力の向上
まだ当社の主力サービス「INNOVERA」の知名度は高くなく、ブランドとしては未成熟と考えております。各種展示会への出展に加え、サイトへの訪問者が最初にアクセスするランディングページの改善、クラウドPBXや社名などを単語検索した際の画像広告「Web広告配信」などの施策も含め「INNOVERA」の知名度向上やブランド力の確立を目指してまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
クラウドPBX等の音声ソリューション事業は、導入コストの低さとスピーディーな導入が可能な点から注目を集める一方、新規参入が多い事業でもあります。当社は、競合他社との差別化を図るために、顧客のニーズを的確に捉えたサービスの開発や信頼性の高いシステムの構築が必要であると考え、以下の7点を重点課題として取り組んでおります。
① 開発力の強化
競合他社との差別化を推進するにあたり、様々な規模、業種、業界の顧客の声が集まることを活かし、操作画面の使用性向上、レポート機能強化及び新機能追加の開発に加え、API技術を用いて「楽テル」、「kintone」及び「ネクストSFA」など他社のクラウドサービスとの協業連携やAI技術の応用等により、付加価値向上並びにユーザビリティの追求を行っております。2024年8月期には状況・条件に応じて着信するユーザーをあらかじめ指定できる「自動着信呼分配」機能の「INNOVERA」への搭載、AI技術である「音声合成」機能の「INNOVERA」への搭載、「Sales Force」などの他社プラットフォームと「INNOVERA」との連携を進める予定であります。
② システム安定性の強化
当社はクラウドPBXシステムの提供及び音声伝送サービスを行っているため、高い安全性及び稼働率が常に求められます。それらを実現すべく、365日24時間のシステム提供に耐えうる設備投資等を含め、持続可能かつ高品質なサービスを追求しております。
③ 人材育成
当社従業員の平均勤続年数は4年5ヵ月(2023年8月31日現在)と短く、企業理念、行動指針、経営方針を体現できる人材の育成が課題であると認識し、新入社員・一般社員・管理職の各階層向けに研修を実施し、人材育成を強化しております。また、今後の更なる成長には、自ら考え、変化に対応していくことでビジネスを創り出せる人材の育成が必要と考えております。そのため、各階層向け研修の他、チャレンジする社員に対しては人材教育を行うための研修制度を充実させ積極的な育成を行ってまいります。
④ 組織体制の整備
当社は少人数で効率的な組織運営を図り、生産性の向上に努めております。しかし今後、大きく成長していくためには、人員の拡充と組織体制の整備が必要不可欠であると考えております。顧客の要望をスピーディーに実現できる組織を目標に、専門能力を有する人材の補強、社内研修の更なる充実及び管理職のマネージメント能力の強化を図り、組織体制の整備を進めております。
⑤ 内部管理体制の強化
企業の成長には、顧客のみならず、社会的な信用を得ることも重要な課題であると考えております。そのため当社はコーポレート・ガバナンスの充実に努め、内部統制システム及びコンプライアンス体制の強化、並びに経営の透明性の確保を図り、企業倫理の一層の向上に努めてまいります。
⑥ 知名度の向上
当社は主力サービスである「INNOVERA」を2015年9月から販売してきた実績がありますが、いまだ認知度は高いとは言えず、ブランドとしては未成熟と考えております。しかし、働き方改革が浸透しテレワークやオフィスのフリーアドレス化に対するニーズが増していく中で、クラウドPBXは、企業にとって必要なサービスになりつつあります。今後はWeb広告やWebサイトの強化、販売代理店網の拡大などを通じた導入企業の拡大に向け、知名度の向上に取り組んでまいります。
⑦ 事業基盤の拡充
当社のビジネスは音声通話に関連したシステム・回線・端末のソリューションをワンストップで提供ができることを強みとしております。新機能やAI技術の応用により「INNOVERA」の付加価値を高め、主要事業の拡大に努めるとともに、他社のクラウドサービスとの協業連携を推進し、周辺事業の強化に取り組んでまいります。
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