プレステージ・インターナショナル 【東証プライム:4290】「サービス業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。
(1)サステナビリティの方針
当社グループは、創業当初からの「エンドユーザー(消費者)のお困りごとを解決する」というコンセプトを大切にし、「エンドユーザー(消費者)の不便さや困ったことに耳を傾け、解決に導く事業創造を行い、その発展に伴い社会の問題を解決し、貢献できる企業として成長する。」というグループ経営理念を掲げ、社会の問題を解決することで貢献し、社会や地域と共に繁栄できる企業を目指しています。これに加え、持続可能な社会のための取り組みは、企業に課せられた責務であり、企業としての成長と社会的責任を果たすことを両立させていくことが重要であると考えています。これらを実現するために当社グループは、人と人との繋がりから生まれる共感を新しい価値を創造する原動力とし、適正な企業統治のもと、社会から信頼される企業として、多様なサービスを通じた持続可能な社会の実現に向け、グループ一丸となってその達成に積極的に取り組んでいます。
(2)サステナビリティの取組
①サステナビリティ課題全般
項目 | 内容 |
ガバナンス | 当社グループではサステナビリティ委員会を設置し、環境面や社会からの要請課題について検討しています。原則として四半期ごとに開催としながら、必要に応じて適宜開催としています。また、リスク・コンプライアンス委員会で検討した経営活動上やビジネス上のリスクとの関連性を整理した上で、発生の可能性や頻度、発生した場合の影響を評価、重要性を識別し、必要に応じて執行役員会または取締役会に報告するなど、取締役会による監督体制のもと、当社グループの戦略に反映し、対応しています。 両委員会は代表取締役の諮問機関であり、サステナビリティに関する重要事項に関しては、サステナビリティ委員会及びリスク・コンプライアンス委員会で検討・協議された内容を元に、取締役会において審議・決議しています。
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項目 | 内容 | ||
戦略 | 当社グループは、地方にて拠点を展開することで、雇用を創出し、地域を活性化させることを重要な課題として認識しています。収益を地域に再投資する経済循環を生み出し、自治体と協力し地域に安心・安定した生活の環境を作り上げることで、様々な可能性を見出すことができる環境が生まれ、当社グループの成長へと繋がり、また地域へ再投資する、そんな地域還元モデルを目指しています。
この地域還元モデルの循環させるためにも、「E(Environmental:環境)」「S(Social:社会性)」「G(Governance:ガバナンス)」の側面(重要な項目)で取り組みを明確にし、企業としての持続可能な成長と社会の持続可能な発展に貢献する取り組みを目指すため、持続可能な開発目標(SDGs)から2030年までに取り組むべき重要課題(マテリアリティ)(注)1を設定し、評価、管理しております。 |
項目 | 内容 |
リスク管理 | STEP 1.マテリアリティ候補の抽出 サステナビリティ分野における国際的な枠組みであるGRIスタンダードなど各ESG評価機関を参考に、社会的課題を洗い出し、経済/環境/社会に大きな影響を及ぼすものを中心に自社の取り組みからマテリアリティ候補となる項目を抽出。
STEP 2.マテリアリティ候補の評価・分析 STEP 1で抽出した約50項目について「社会からの期待」と「当社グループの経営活動や事業との関連性」の2つの側面から当社グループの経営理念、経営戦略、財務面を含むリスク情報などを加味し、リスクアセスメントの評価方法を参考にスコアリングし、当社グループが考える重要度を評価。
STEP 3.妥当性や優先度の確認と課題のグルーピングによるマテリアリティの特定 STEP 2で作成した課題評価から、優先度の高い21項目の課題をグルーピングし、SDGsとの関連性を整理・確認、8つのマテリアリティを特定。
設定したマテリアリティについては、社会課題の変化や当社グループの経営計画等に合わせ見直しを適宜行うこととし、今後、一定期間における活動推移を見極め、各項目について適切なKPIを設定したうえで管理してまいります。 |
項目 | 内容 |
指標及び目標 | 約50項目のリスクを洗い出し、その中から当社グループにとってより重要な項目を選定しています。設定したマテリアリティの解決(注)2を通し、持続可能な社会の構築に貢献していきます。 |
(注)1 (特定したマテリアリティ)
| 重要課題 (マテリアリティ) | リスク | 機会 | 貢献する 主なSDGs |
E | 自然環境への取り組み | ・温室効果ガス排出に対する事業規制等による事業活動への影響 ・炭素税やCO2排出量削減等によるコストの増加 | ・気候変動の緩和に寄与する、再生可能エネルギー等の事業機会の創造 ・環境保全により次世代が住みやすい地域環境をつくり、地域活性化、雇用創造に繋がる |
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S | 災害への備え | ・異常気象の発生による事業被害 ・地震、災害、施設老朽化による設備崩壊で事業継続が不可能となる ・パンデミックにより事業継続が不可能となる | ・異常気象に適応できる供給体制強化等による顧客維持・新規獲得 ・災害に備えた施設設備強化や不測の事態に備えた制度により、従業員が安心して働くことができる |
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健康経営(健康への意識醸成) | ・アブセンティーズム(病欠や病気による休業)の発生による人財不足 ・プレゼンティーズム(何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、体調不良があるまま働いている状態)による業務効率の低下 | ・優秀な人財の新規採用、定着 ・業務パフォーマンス向上による事業成長 |
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地域の未来と活性化、雇用の創造 | ・人財の採用と確保が困難となり、事業機会の逸失が起こる ・地域社会の衰退化により、若い人財がいなくなる | ・雇用の創造により若年層が定着し、地域活性化に繋がる ・地域活性化による新たな事業機会の発生 ・多様な働き方を提案することによる人財の定着 ・子供たちや学生を対象に様々な分野でスキル提供をすることにより、長期的な地域全体の人財育成へと繋がる |
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未来の技術・新しい価値観 | ・サービスの品質低下 ・事業成長の停滞 | ・新たなサービス領域の創造 ・事業の成長、継続に繋がる |
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女性活躍推進 | ・事業活動での人権問題発生に伴う事業遅延や継続リスク ・セクハラ、パワハラなどのハラスメント横行による労働環境の劣化 ・ライフスタイルの変化による離職、人財不足の発生 | ・多様な働き方、働きやすい環境を提案することによる人財の定着 ・ライフスタイルの変化を加味した人財育成により従業員の成長を促す |
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G | 体制の強化 | ・コーポレート・ガバナンス、内部統制の機能不全に伴う事業継続リスク、予期せぬ損失の発生 ・経営陣/幹部の減少による経営活動の停滞 ・ビジネスモデルの陳腐化によるニーズの低下 | ・強固なガバナンス体制の確立による意思決定の透明性の向上、変化への適切な対応による安定的な経営基盤の確立 ・安定した経営体制によるステークホルダーの信頼獲得 ・事業の成長、継続 |
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情報・システム | ・情報漏洩による企業評価の低下、受託業務減少 ・システム障害により事業活動の継続が困難となる | ・ステークホルダーからの信頼獲得 |
(注)2 (マテリアリティの解決に向けた対応、取り組み)
| 重要課題(マテリアリティ) | 主なリスクへの対応 | 具体的な取り組み |
E | 自然環境への取り組み | ・2050年までにCO₂排出量実質0を目指し、2030年までにCO₂排出量50%削減を目標とする ・資源の有効活用、省資源、省エネルギー化 ・事業活動におけるCO₂排出量の低減措置の推進 | ・電気自動車(EV)への社用車切り替え ・拠点施設へ太陽光発電パネル設置 ・カーボンニュートラルガスの導入 |
S | 災害への備え | ・大規模災害の発生を想定し、事業継続計画(BCP)を策定 ・施設設備の防災対策の強化 ・感染症対策等の強化 | ・事業継続計画(BCP)の策定 ・各拠点の災害に備えた備蓄品確保 ・災害対策備品(トランシーバー等)の確保 |
健康経営(健康への意識醸成) | ・健康経営宣言のもと、未病対策として健康診断の受診促進や、全拠点参加型のイベントを実施 ・健康をテーマとしたセミナーやストレスチェックの実施 ・グループ全体の健康意識維持のため、健康経営優良法人への申請 | ・健康経営優良法人2023 大規模法人部門認定 ・貧血有所見者にヘモグロビン値測定実施 ・全拠点でウォーキングイベント実施 ・社内カフェテリアにてスマートミールの導入 | |
地域の未来と活性化、雇用の創造 | ・新規拠点の設立による雇用の創造 ・女性を応援する活動のシンボルとして、若い世代が安心して地元に戻ってこられる環境を創るべく、女子スポーツチーム「アランマーレ」を創設 ・子供たちや学生へ向けたスキル提供の場を設置 ・働きがいのある職場環境の整備による、労働生産性の向上、優秀な人材の確保 | ・新規拠点の設立による雇用創造 ・カフェテリア、社内スタジオなどの社内環境整備 ・企業内保育園(オランジェリー)運営 ・女子スポーツチーム 「プレステージ・インターナショナル アランマーレ」運営 ・アランマーレジュニア組織運営 | |
未来の技術・新しい価値観 | ・事故受付及びロードサービスの一体的運用及びその周辺分野へのDXを活用した独自サービスの開発 ・DXによるデータ管理改善の取り組み ・システムに蓄積されたデータをクライアントの商品開発、エンゲージメントに活用 | ・Premier Assist Direct (特許第5828882号) ・Premier Call (特許第5698858号) ・training AI CAST (商標第6409870号) | |
女性活躍推進 | ・女性が夢をもって活躍できる雇用環境を創造し、整えていくための「Woman Excite Project」を発足 ・人権の尊重、ダイバーシティ推進体制の強化 ・女性特有のライフスタイルの変化に着目したワークライフバランスの実現、能力開発におけるサポート体制の充実化 | ・時間単位有給休暇制度 ・ジョブリターン制度 ・新生活サポート制度 ・企業内保育園(オランジェリー)運営 ・Director制度 ・フェムテックへの取り組み | |
G | 体制の強化 | ・内部統制リスク管理の強化 ・コーポレート・ガバナンス体制の強化 ・経営陣/幹部の人員、スキル確保 ・定期的なビジネスモデルの見直し | ・コンプライアンス教育の継続的な実施 ・指名報酬委員会設置 ・リスク・コンプライアンス委員会の活動 ・定期的なビジネスモデルの見直し |
情報・システム | ・従業員へのセキュリティ教育徹底 ・システム障害の規模に合わせた事業継続計画(BCP)の策定 | ・情報セキュリティ研修の実施 ・事業継続計画(BCP)の策定 |
(注)3.ジョブリターン制度は、退職後、当社で培った能力・経験を再度活かしていただくための制度です。
4.新生活サポート制度は、結婚・出産・介護等のライフイベントに配慮したサポート提供のために導入した、シングルマザー/シングルファザー サポート手当、介護サポート休暇、プレママ/プレパパサポート休暇を指します。
5.Director制度は、ポジティブに管理職へチャレンジしやすい環境を整えるため、所属部署においてマネージャー業務を段階的に行う制度です。
②気候変動への対応
(3)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応を参照ください。
③人的資本・多様性への対応
項目 | 内容 |
ガバナンス | 取締役会において、女性活躍担当の取締役を任命、担当取締役の指揮の下、女性活躍プロジェクト(通称:Woman Excite Project)を組成し、新たな人事制度や人財育成方法の見直しなど活動内容について、取締役会へ報告、また取締役会からの助言、意見を反映した制度設計などを行っています。 なお、当該取締役は「サステナビリティ委員会」の委員長も兼任しております。 |
項目 | 内容 | ||||||
戦略 | 当社グループは、「プレステージ・インターナショナルグループ人事基本方針」に従って人事活動を行い、従業員一人ひとりが活き活きと働き、職務上の地位や採用形態、年齢、性別、学歴、出身地、国籍、思想信条などの違い、性的指向・性自認・性表現・障がいの有無などを理由とした差別や偏見の排除、各国法律及び慣習に従って従業員の権利を尊重しながら、能力を伸ばしていける環境づくりに取り組んでいます。 ■「グループ人事基本方針」
具体的には、①女性管理者比率の向上、②従業員の健康意識の向上及び健康推進、③新卒や中途採用、国籍等を問わず多様な人財の確保、④「働き続けたい場所」であることを目指し多様な働き方の実現を目的とした制度や環境設備の拡充などを打ち出し、組織風土の醸成と働きがいのある体制づくりを目指しております。 また、基本方針に基づき2019年より従業員の健康づくりを目的とした取り組みを開始し、健康経営プロジェクトとしてさらなる健康経営の取り組み強化にも努めています。この結果、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2023」(大規模法人部門)に認定されました。 |
項目 | 内容 |
リスク管理 | 当社グループの経営の根幹は「人」によるサービスにあると考えております。安定した業務を遂行するには、一定数の採用数が見込まれる地域で且つ低い離職水準であることが重要であり、多様な働き方を提案することによる人財の定着のためにも、以下のような施策について対策を講じ、リスク低減に努めています。 ・内部通報制度による課題、問題の発見 ・月次での採用計画の進捗、退職者数と退職理由の執行役員会への報告 ・月次での女性活躍プロジェクト(通称:Woman Excite Project)で検討した課題、取組報告 ・健康診断の結果による指導 ・メンター制度での個別支援による職場内での悩みや問題の早期発見 |
項目 | 内容 | ||||||||||||||||||||||||
指標及び目標 | 1.2023年度までに女性管理者比率50% 2.1.2023年度までの貧血の有所見者率 10.4%以下 2.2.2023年度までのBMI普通体重維持者率 65%以上 3.離職率10%以下 4.2022年度から2023年度の男性社員の育児休業取得率の平均値 20%以上 目標に対する実績は、以下の通りであります。 <単位:%>
女性管理職比率、男性育児休業取得率、男女間賃金格差については、「第1企業の概況5.従業員の状況」に記載の通りであります。 |
(注)1.貧血の有所見者率は、ヘモグロビン値12.0g/dl未満者の割合としております。
2.BMI普通体重維持者率は、日本肥満学会の定めた基準に則りBMI18.5以上25未満者の割合としております。
3.指標及び目標の対象範囲は、当社従業員であります。
4.連結会社における女性管理者比率、離職率の指標は、下表の通りです。
<単位:%>
項目 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
1.女性管理者比率 | 28.2 | 30.2 | 34.5 |
3.離職率 | 14.9 | 13.2 | 14.7 |
5.貧血の有所見者率、BMI普通体重維持者率、男性社員の育児休業取得率は、連結グループにおける記載が困難であり、集計を実施しておりません。
(3)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応
当社グループは、事業創造を通して、社会に貢献できる」企業を目指し、社会的課題を解決するサービスを創造し、事業を通じた社会課題の解決や地域貢献に取り組んでおります。 こうした中、近年の世界的な気候変動や自然災害による被害の深刻化を踏まえ、気候変動が当社グループに与える影響を的確に把握するとともに、気候変動に関する対応を優先事項の一つとして捉え、CO2排出削減を含む様々な環境対応策を積極的に推進することとし、2022年「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」に賛同し、これに基づいて情報開示を行っております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
①ガバナンス
気候変動がもたらすリスクが経営に与える重要課題と認識し、環境・社会課題の解決に向けた取り組みについて議論する機関としてサステナビリティ委員会を設置し、具体的な取り組みや進捗を管理、監督し、適宜取締役会に上程、報告をおこないます。
②重要度の定義
気候変動の財務影響を評価するにあたり、影響の区分は、金融商品取引所の適時開示基準のうち「業績予想の修正、予想値と決算値との差異等」及び「災害に起因する損害または業務遂行の過程で生じた損害」に関する基準を準用し、連結売上高の10%増減もしくは連結純資産の3%増減が予想される場合を影響「大」としました。なお、シナリオ分析の定量情報は、参照シナリオ等を基にした当社の判断に基づくものであり、分析精度の向上に留意していますが、多くの不確実な要素を含むものです。
影響の区分 | 基準 | 金額 | |
大 | 連結売上高に対する比率: | 10%以上 | 55億円以上 |
連結純資産に対する比率: | 3%以上 | 13億円以上 | |
中 | 連結売上高に対する比率: | 5%以上10%未満 | 27億円以上55億円未満 |
連結純資産に対する比率: | 1.5%以上3%未満 | 6億円以上13億円未満 | |
小 | 連結売上高に対する比率: | 5%未満 | 27億円未満 |
連結純資産に対する比率: | 1.5%未満 | 6億円未満 |
③参照した既存シナリオ
シナリオ分析の検討に際し、国際的な信頼性が高くTCFD提言においても引用参照され、多岐にわたる事業領域をカバーできる国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)及び国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)が発行する資料等を参照し、以下の2つのシナリオを設定しました。
設定シナリオ | 2℃未満 | 4℃ |
世界観 | 平均気温の上昇を2℃未満に抑えるべく、大胆な政策・法規制が実施されるとともに、技術革新が進む。 脱炭素社会への移行に伴う社会変化が事業に影響を及ぼす可能性が高い社会。 | 様々な政策・法規制を推進せず、物理的リスクが高まる。温暖化がさらに進み、集中豪雨や洪水など自然災害が激甚化する。 気候変動が事業に影響を及ぼす可能性が高い社会。 |
参照 シナリオ | 移行面 | IEA WEO2021 |
IEA NZE2050 等 | IEA STEPS 等 | |
物理面 | IPCC(AR6)SSP1-1.9 等 | IPCC(AR6)SSP5-8.5 等 |
リスク及び機会 | 移行面でリスク及び機会が顕在化しやすい | 物理面でリスク及び機会が顕在化しやすい |
④分析結果
| 分類 | 事業インパクト | 時間軸 | 影響 | |
(注)1 | 2℃未満 | 4℃ | |||
移 行 リ ス ク | 政策 ・法規制 | ・炭素税の導入等による CO2排出に対する課税 | 中期~ 長期 | 小 | 小 |
・燃料コスト等の事業コスト増加 | |||||
技術 | ・環境負荷を考慮した製品・サービスの購買コスト増加(電力、紙製品等の事務用品、EV等) | 短期~ | 小 | 小 | |
・ZEB、ゼロカーボン建築によるBPO拠点新規建設費用増加 | 長期 | ||||
市場 | ・オートモーティブ事業におけるEV対応のニーズに追いつけない | 短期 | ― (注)2 | ― (注)2 | |
・脱炭素社会へ向けた生活様式の変化に伴うサービス提供のニーズに対応できない | |||||
評判 | ・気候変動対策の遅れによる株価・売上への影響、取引機会の損失 | 短期 | ― (注)2 | ― (注)2 | |
・人財確保の困難化 | |||||
物 理 リ ス ク
| 急性 | ・台風・豪雨・洪水等の自然災害でBPO拠点が運営停止することによる収益減少 | 中期 | 小 (注)3 | 大 (注)4 |
・被災したBPO拠点における事業継続のためのインフラ等の復旧コスト発生(移転コスト含む)及び資産価値の減少 | |||||
・台風・豪雨・洪水等の自然災害による出勤不可の従業員発生 | |||||
慢性 | ・気温上昇により予想される従業員の体調不良(熱中症、感染症の拡大、呼吸器疾患の増加等)を軽減するための就業環境整備コスト増加 | 長期 | 小 | 小 |
| 分類 | 事業インパクト | 時間軸 | 影響 | |
(注)1 | 2℃未満 | 4℃ | |||
機 会 | エネルギー源 ・資源の効率性 | ・エネルギー効率の良いBPO拠点の建設、運営 | 長期 | ― (注)2 | ― (注)2 |
サービス ・市場 | ・企業のBCPニーズの高まりに伴う新規受託業務の獲得 | 中期~ 長期 | ― (注)2 | ― (注)2 | |
・オートモーティブ事業におけるEV対応のニーズの高まり | 短期 | ||||
・脱炭素社会へ向けた生活様式の変化に対応したサービスの創出 | 中期~ 長期 | ||||
レジリエンス | ・各BPO拠点間でのバックアップ体制強化による事業の継続、安定化 | 長期 | ― (注)2 | ― (注)2 |
(注)1.リスク・機会の本格化までの時間軸 短期:2025年、中期:2030年、長期:2050年
2.現段階では十分な情報収集が困難であり、事業及び財務への影響度の評価が難しい状況です。
3.2℃未満シナリオにおいては、台風・豪雨・洪水等の自然災害の頻度が増すものの、BPO拠点所在地での事業継続に直接影響を及ぼす自然災害は発生しないと想定しています。
4.4℃シナリオにおいては、影響が最大となる場合としてBPO拠点の1つが浸水して運営停止する程度の自然災害が発生することを想定しています。
⑤戦略
・当社グループは、東北地方を中心にコンタクトセンター(BPO拠点)を運営しています。Scope1、Scope2(におけるCO2排出の主な原因は、BPO拠点における電力及びガスの消費、ロードサービスにおけるサービスカーの燃料消費です。
・CO2排出量削減のため、再生可能エネルギー導入やロードサービスにおけるサービスカーのEVへの入れ替えを進めてまいります。CO2排出量削減は、環境負荷の軽減のみならず、炭素税の課税による財務影響の緩和という効果もあります。
・移行リスクについては、2℃未満シナリオ及び4℃シナリオのどちらにおいても政策・法規制によるコスト増のリスクが抽出されました。しかしながら、2030年時点を想定した当社グループへの財務影響は下の表の通りであり、上記の施策を進めることで財務影響は「小」と評価しました。
・物理リスクについては、4℃シナリオでは海面上昇に加えて自然災害の激甚化と頻度増がより大きくなると予想されるため、主に水害によりBPO拠点の運営に影響が出るリスクが抽出され、財務影響は「大」と評価しました。BPO拠点新規設立の場合の立地条件の厳格化や、BPO拠点同士のバックアップ体制の強化をさらに進め、事業継続への影響を最小限に抑える施策を進めてまいります。同時に、従業員の安全確保のため、災害訓練を継続実施し、備蓄物の内容・量を見直します。
・EV関連の顧客ニーズについては、当社グループにとってリスクであり機会でもあります。当社グループでは研修施設「富山トレーニングフィールド」を有しており、主にロードサービスについての研修を効率的・集中的に行うことができるため、EVへの対応強化を進めることで、機会となると認識しています。
⑥2030年時点を想定した当社グループへの財務影響
2020年度の排出量を基礎に試算すると炭素税額は約124百万円となりますが、当社グループのCO2排出量削減目標達成に向けて再生可能エネルギー、EVを計画的に導入することで炭素税は約62百万円に削減できると試算しています。
項目 | 財務影響額 |
炭素税 (注)1 | 62百万円 |
再生可能エネルギー導入コスト | 11~25百万円 |
カーボン・オフセットコスト ※2 | 7~98百万円 |
(注)1.2030年における先進国の炭素価格:USD130(IEA NZE2050)を元に算出。為替レートJPY/USD 133.53(2023年3月31日)
2.2022年4月のJ-クレジット平均販売価格、グリーン電力証書の価格を元に算出。
⑦リスク管理
[気候関連のリスクを選別・評価するプロセス]
当社グループではサステナビリティ委員会において環境面や社会からの要請課題やリスクを抽出し、リスク・コンプライアンス委員会においては、検討した経営活動上やビジネス上のリスクを検討しており、両委員会で検討した課題やリスクについてそれぞれ関連性を整理し、当社グループにとって重要な気候変動に伴うリスクと機会を選別しています。その上で、選別した気候変動に伴うリスクと機会について、発生の可能性と事業への財務的影響に基づき、その重要性を評価します。
[気候関連のリスクを管理するプロセス及びその総合的リスクマネジメント体制への統合状況]
従来、リスク・コンプライアンス委員会において当社グループのリスク管理の方針の決定、リスク管理規程の整備、運用状況の検証、危機発生時の対応、その他リスク管理全般に関する事項について整備を行ってまいりました。気候関連のリスクについては、これらに加え、環境・社会課題の解決に向けた取り組みについて議論する機関として設置したサステナビリティ委員会において、事業活動に関連する気候関連のリスクの抽出・検討を行い、影響度の大きい重要リスクを特定し、関連する移行リスクや物理リスクについて、TCFD提言のフレームワークに沿ってシナリオ分析を含む識別・評価を実施します。抽出されたリスクについては、リスク・コンプライアンス委員会及びサステナビリティ委員会のもと、関係部門が気候変動に対する施策について立案、実行、報告し、両委員会が連携してその進捗確認を行います。さらに、サステナビリティ委員会は当社グループ全体の対応状況を集約し、協議した上で取りまとめ、重要な事項については代表取締役統括のもと、執行役員会及び取締役会に報告し、取締役会による監督体制のもと、当社グループにおける企業リスクとして当社グループの戦略に反映し、対応しています。
⑧指標及び目標
当社グループは、シナリオ分析結果を踏まえ、気候変動に伴うリスク低減のため、CO2排出削減目標を設定しました。CO2排出量削減目標については、当社グループの事業特性やこれまでの取り組み状況、今後の社会動向を勘案し、中長期目標を策定の上、2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指します。特に省エネ活動の推進、使用量の効率化や削減、省エネルギー設備の積極的な導入、社用車のEV等への切り替えなど使用電力の再生可能エネルギー比率を高めていく取り組みを強化します。
CO2排出量削減目標
指標 | 目標内容 | |
2030年度 | 2050年度 | |
CO2排出量削減率 (Scope1・2、2020年度比) | 50% | 100%(ネットゼロ) |
CO2排出量実績及び2030年度・2050年度目標
<単位:t-CO2>
項目 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2030年度 | 2050年度 | |
実績 | 実績 | 実績 | 目標 | 目標 | ||
Scope1 | ガソリン、軽油由来 | 3,101 | 3,423 | 3,802 | 1,550 | 0 |
LPG、LNG、都市ガス由来 | 1,366 | 1,633 | 1,566 | 683 | 0 | |
Scope1 排出量計 | 4,467 | 5,055 | 5,367 | 2,234 | 0 | |
Scope2 | Scope2 排出量計 | 3,375 | 3,692 | 4,037 | 1,688 | 0 |
Scope1・2 排出量合計 | 7,842 | 8,748 | 9,405 | 3,921 | 0 |
(注)一部の海外子会社の電気使用量が不明な場合は、電気料金、その国の電気料金相場、事務所の面積などから概算を算出しています。
[気候関連リスク・機会の管理に用いる目標及び実績]
Scope1(直接排出:ガソリン、ガスなどの燃料消費)
・各BPO拠点で使用している都市ガス等を2030年までにCNガス(カーボンニュートラルガス)に順次変更し、2030年までに約1,300t-CO2を削減
・第1弾として2023年1月より富山BPOタウンより導入、これにより年間約470t-CO2削減
・当社グループの社用車約450台のうち、2030年までに約240台を目標に順次EVに入れ替えを実行、
これらにより年間1,000t-CO2削減
Scope2(間接排出:他社から供給された電力使用など)
・環境対策モデル施設「岩手BPOフォートレス」
2024年開設予定の「岩手BPOフォートレス」を再生可能エネルギー100%利用のモデル施設と位置付け、その後の施設建設、施設改築の基準とする
・既存BPO拠点及び新設BPO拠点での対策
✓最新の省エネ対応機器(照明、空調、通信機器など)の導入を進める
✓PPA(Power Purchase Agreement)を活用し、BPO拠点全体で最適な電力利用モデルを構築
✓既存の大型BPO拠点に関しても、電力供給企業とパートナーシップを組み、施設の改築、メンテナンス計画に合わせて、岩手BPOフォートレス同様に駐車場スペース(その他施設内空地利用)を活用しPPAモデルで自家消費と、太陽光発電が不向きな拠点へ送電を実施
・削減できないCO2排出についてはカーボン・オフセット制度を活用
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