ブロードマインド 【東証グロース:7343】「保険業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループでは、パーパス(存在意義)として「金融の力を解き放つ」を、ミッション(使命)として、「金融に倫理を、人生に自由を」を掲げております。金融商品の流通を担うプレイヤーとして、お客様に最適な金融商品を提供するだけでなく、お客様の想い=ライフプランを実現するための一連のコンサルティングプロセスの品質及びお客様の金融リテラシー向上に資する様々な金融知識並びに情報提供が価値提供の源泉であると考えております。
当社グループでは、自らを「フィナンシャルパートナー」と位置づけ、一つの業態にとらわれずに金融サービスを開発し、真にお客様にとって最適なサービスを提供してまいります。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、企業価値向上のため、売上高及び営業利益の継続的な成長を目指してまいります。
指標設定の理由は以下のとおりです。
a.売上高
当社グループでは、個人顧客を中心とした顧客数の拡大によって事業の成長を図ってまいります。顧客数の拡大は経営成績上では売上高に反映されるため、売上高を重要な経営指標として設定しております。
b.営業利益
当社グループの本業はフィナンシャルパートナー事業であり、本業の収益性を注意深く追っていく必要があると考えております。従って、段階利益の中で営業利益を重視し、経営指標として設定しております。
c.営業利益率
売上高の成長に伴う形で営業利益の継続的かつ安定的な成長を目指しており、売上高営業利益率を重要な経営指標として設定しております。
d.自己資本利益率
当社グループでは、株主にとっての投資価値の観点から、利益の成長を通じた中長期的な企業価値の向上と資本効率向上の両立を目指しており、自己資本利益率を重要な経営指標として設定しております。
(3) 経営環境及び中長期的な経営戦略
① 経営環境
a.金融行政の動向と当社サービスへの期待
我が国では少子高齢化の進展に伴い、「人生100年時代」と呼ばれる高齢化社会を迎えようとしており、パーソナルファイナンスの領域においては、資産形成に向けた自助の必要性が高まっております。特に2024年1月より新NISA制度が開始されたことを契機として、広く消費者の中で資産形成に対する興味関心が高まっております。
このような環境の下、金融サービス事業者が採択すべき原則として「顧客本位の業務運営に関する原則」がありますが、2020年9月に公表された改訂案では、顧客に相応しいサービスの提供(原則6)として、顧客のライフプラン等を踏まえた業横断的な商品の提案及び商品提供後のフォローアップの実施について追加されました。このように、金融サービス事業者が果たすべき役割も拡大していくことが予想される中で、当社が提供する「ライフプランニングを土台としたワンストップサービス」は今後益々求められていくものと考えております。
他方で、2021年11月の金融サービス仲介業の創設により、単一の認可で保険・証券・銀行代理業に係る商品の取扱いが可能となりました。顧客は単独の仲介業者から業横断的にワンストップサービスを受けられるようになるため、金融サービスの利用にあたり顧客の利便性は高まるものと考えております。現在、金融サービス仲介業の登録者数は9社ですが 注1、今後もIT企業やフィンテック企業等の参入が想定され、各社独自のデジタルサービス等と関連付けながらサービス提供することが考えられます。金融サービス仲介業の創設により業界全体で健全な競争が促されるものと想定されますが、顧客の中でワンストップサービスに対する理解が浸透し、当社グループの事業コンセプトの認知も高まる可能性があるものと考えております。
また、2024年4月には金融経済教育推進機構(J-FLEC)が設立され、今後、学公教育や民間企業の中で金融教育が広まることが期待されます。金融行政においては特に(学校教育と比較して遅れている)民間企業での推進にも注力することが想定される中で、当社が推進する金融リテラシーの向上に関する取組み及びサービスについても、今後益々求められていくものと考えております。
b.個別市場の状況と当社グループの成長可能性
当社グループで取り扱う保険・証券・住宅ローン等の個別市場を俯瞰すると、例えば保険業界においては個人保険の保有契約年換算保険料が28兆円前後と依然として巨大な市場であり注2、その中でも保険代理店からの加入率は10年前と比較し、2倍以上となっております注3。また、金融商品仲介業においては、金融機関から独立したIFA注4の登録人数は増加の一途を辿っており注5、顧客が資産形成・運用を検討する際のアドバイザーとして、IFAの存在感は高まり続けております。
このように、保険代理店やIFAといった成長チャネルの中で当社事業は展開しておりますが、これら個別市場の成長性を取り込むことができるのは、ワンストップサービスを手掛ける当社ならではの成長可能性であると考えております。
なお、当社グループのメインターゲットとなるのは世帯年収が300万円以上2,000万円未満(世帯所得では約200万円以上1,200万円未満)の世帯(一般的な勤労者世帯)であり、我が国の全世帯の中で70%以上(推定約4,200万世帯)注6にのぼると推測されます。当世帯層の顧客の多くは金融商品に対するニーズが潜在化しているものと考えられます。これにより当社グループのサービスの提供余地は多く残されており、当社グループの事業は高い成長性を有していると考えております。
注1.金融庁/金融サービス仲介業者登録一覧(2024年3月31日現在)
注2.生命保険協会/2017年度~2023年度版「生命保険の動向」より
注3.生命保険文化センター/平成24年度「生命保険に関する全国調査」及び令和3年度「生命保険に関する全国実態調査」より
注4.“Independent Financial Advisor”の略称で、独立系ファイナンシャルアドバイザーと呼ばれる資産運用の専門家を指します。
注5.日本証券業協会資料/金融商品仲介業者の登録外務員数より
注6.厚生労働省/国民生活基礎調査(2022年)所得の分布状況 及び総務省/住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(日本人住民及び複数国籍/令和5年1月1日現在)より世帯年収ベースとして当社推計
② 中長期的な経営戦略
これらの環境を背景に、当社グループでは「ライフイベントに最適な金融ソリューションを提供する」という事業コンセプトに沿って、より付加価値の高いサービスの提供を目指してまいります。具体的には次のとおりです。
a.健全な組織拡大及びアポイント収益性の向上によるフィナンシャルパートナー事業の基盤強化
近年では円安を契機とした物価高が進む中で家計の不透明性が増す一方で、資産形成に対する関心の高まりも受けながら、新規相談受付件数は堅調に推移しております。ライフプランニングの実施のほか、家計の見直しや保障・投資といった分野での金融サービスに対するニーズは依然として高く、コンサルタントの採用スピードを加速させながら相談受付体制を強化することで、より多くのニーズに応えることができるものと考えております。当社グループでは今後もコンサルタントを中心とした人材の採用及び育成に積極的に投資し、今後も増加が予想されるご相談に対応してまいります。
同時に広告宣伝活動及び広報活動の強化を通じ、より収益性の高い当社グループ単独での見込み客獲得量を増加させることにより、アポイントの収益性向上も図ってまいります。
これら双方の取組みによりフィナンシャルパートナー事業の収益基盤の強化を図ってまいります。
b.再販機会創出による顧客のライフタイム・バリュー(LTV)の向上
<サービスアクセス環境の整備>
当社グループの主要顧客層は20代から40代のファミリー層でありますが、当該世代はITに親しく、日常的な消費行動の多くがスマートフォン等の情報端末を通じて行われており、金融サービス領域においても同様の行動が今後増加すると考えられます。
当社グループでは、当社で開発したライフプランニングに関するWebサービス「マネパス」及びオンライン面談システム「broadtalk」に代表されるデジタルプロダクトを活用し、顧客接点を形成することでサービスに常時アクセスできる環境を整備し、顧客の任意のタイミングで最適なソリューションを提供する体制を整えてまいります。
<顧客データの活用によるアフターフォロー体制の強化>
2024年3月期末における保有顧客数は118,859世帯となり、今後も顧客データは増加し続けることが見込まれます。当社グループでは自社でコールセンター機能を有しておりますが、保有顧客の契約データやライフプランデータを活用し、新商品情報の提供等も含めたアフターフォロー機能を強化してまいります。
<多様な金融ニーズに対応するための提案力の強化>
当社グループの主要顧客層の多くは、ライフステージの特性上、保障性商品を中心とした生命保険の契約により顧客関係が開始されます。他方、既存顧客が年齢を重ねることで今後50代以上のリタイアメント準備層及びリタイアメント層の増加が見込まれることから、全ての年代の金融ニーズに対応することが必要となると考えております。
当社グループでは、リタイアメント準備層及びリタイアメント層で高まると予想される資産運用及び資産保全ニーズや、セカンドライフ以降で希望するライフスタイルの実現に適したソリューションや、終活関連ソリューションの提案力を高めてまいります。
他方で一定水準以上の収入や資産を保有する顧客においては、一般的なファミリー層とは異なる金融ニーズが存在します。相続や事業承継等が代表的なテーマとなりますが、当該テーマ等に付随する一連の課題に対し、当社グループのソリューションを統合することによるコンサルティングを強化するほか、当該顧客層との接点形成も同時に強化してまいります。
c.当社グループの強み・資産を活かした新領域へのチャレンジ
当社グループでは、ワンストップサービスの提供を通じて保険・証券・住宅ローン・不動産といった金融商品に関する幅広い知見を有しているほか、税や社会保障制度、金融経済知識等の付随する知識・情報を顧客に提供してまいりました。加えて顧客に対する深い洞察や、これらを統合・体系化した上で「コンサルタント教育」に応用する知見も同時に有しております。
今後、このような当社グループの強みや「broadtalk」や「マネパス」に代表されるデジタルプロダクトを統合し、「金融リテラシーの向上」、「金融サービス事業者向けの課題解決」といったテーマを中心にBtoC・BtoBtoE・BtoB向け等の各方面に対するサービス開発にも注力し、長期的な成長ドライバーとして、収益モデルの確立を図ってまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 優秀な人材の確保及び育成
営業部門組織の質・量の拡大を目的に優秀な人材の確保及び育成が継続的な課題であり、採用市場の変化を捉えながら採用手法の多様化を進めることで候補者との接点拡大を図るほか、当社グループ事業の独自性や職場としての魅力を訴求することで採用効率の向上及び定着を図ってまいります。また、コンサルタント採用後の利益貢献の早期化を目指し、教育体制の強化とデジタルを活用した効率化も並行して進めてまいります。
② 当社グループのサービスの認知度向上
当社グループでは1人でも多くのお客様と接点を持つことが継続的な課題であり、消費者及び提携先等からの認知度を高める必要があると考えております。当社グループの提供価値は、パーソナルファイナンスの領域において、今後も我が国ではより一層求められるものだと考えております。そこで、当社グループの提供価値を、広く適切に伝える必要があると考えております。具体的な対応策として、Webプロモーションを中心とした広告宣伝活動に注力するほか、広報活動を強化してまいります。
③ デジタルサービスを軸とした新領域ビジネスの拡大
2024年3月に新たに中期経営計画を策定いたしましたが、デジタルサービスを軸とした新領域でのビジネスを長期的な成長ドライバーとして据えております。
BtoC及びBtoBtoE領域では、「金融教育」をテーマにしたサービスを中心に推進する一方、BtoB領域では、当社が企画開発したデジタルサービスであるマネパス・broadtalk・broadconnectなどに、ファイナンシャルプランナーや募集人向けの金融教育を織り交ぜながら提供することで、金融サービス業界の非効率性を解消することが主なテーマとなっています。上記のようなテーマに対し、ITやテクノロジーに対し深い知見を有する社外リソース等も柔軟に活用しながら、サービス開発及び提供体制の強化を図ってまいります。
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