企業兼大株主ブロードバンドタワー東証スタンダード:3776】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は、「人間社会と自然環境からできるだけ有用な情報を集め、かつ、人間社会と自然環境にできるだけ有用な情報を発信する仕組みを提供することによって、自然環境と調和した人間社会の発展に貢献すること。」を企業理念とし、データセンター、クラウド・ソリューション、データ・ソリューション(ストレージ(大容量記憶装置)・ソリューション)を中心に業容を拡大し、多様化・複雑化する顧客ニーズを捉えてまいりました。また当社は、事業環境の変化に対応しながら、グループシナジーを創出し、子会社を含めた当社グループ全体で価値を創造してまいります。

(2)経営環境と経営戦略

 生成AIやソフトウェア・ハードウェア技術の進化、企業のDX推進やデータ活用に対する取り組みに関連する市場の拡大等、情報通信業界は急速に変化しております。このような業界環境の中、当社グループに関連するデータセンター市場、クラウド市場は拡大傾向が続くと見込まれ、ケーブルテレビ市場も一定の規模があります。市場規模が拡大する中で、当社グループは成長機会を逃さないためにも事業環境の変化に対応し、コンピュータプラットフォーム事業とメディアソリューション事業の2つのセグメントで事業運営を行っております。

 コンピュータプラットフォーム事業においては、当社は、データセンター、クラウド・ソリューション、デー タ・ソリューションを提供してまいりました。これまでの姿勢は、ITサービスを従来型のITベンダー企業の供給者側論理に基づく取組姿勢でした。しかし、世界は、DX(デジタル変革)という一大転換点を迎えております。当社としては、このDXという転換点を、過去の供給者側論理によるITシステムの利用ではなく、需要者側論理に基づく、ユーザー企業主導のITシステムの利用であると位置づけ、 DXビジョンの起点といたします。また、日本の社会課題として、首都圏と大企業への一極集中があります。
 当社は、今後、ユーザー視点に立脚し、社会課題を解決し、地方創生と中小企業の活性化に貢献できるよう3つの事業の変革を行い、ユーザーが最適なデータセンター、クラウド・ソリューション、データ・ソリューションを享受できる環境を整備し、ユーザー企業が自由に当社のサービスとソリューションを選択可能とする以下の事業変革を引き続き行ってまいります。
 まず、データセンター事業の刷新を図ります。具体的には、RTT (Round-Trip Time、ラウンドトリップタイ ム、信号やデータを発信してから、応答が返ってくるまでにかかる時間)で分類し、全国からデータが集中する全国型 DC(National Data Center)(RTT:20~100ms)をコアデータセンターとして位置づけます。次に、新たに政令指定都市などの地域の中心都市に地域型データセンター(Regional DC)(RTT: 5~20ms)、さらに、新世代モバイル通信網である5GおよびBeyond5Gの低遅延特性を活用するエッジ型データセンター(RTT:1~5ms)の三階層データセンターを整備し、ユーザー企業や政府・自治体へのニーズに応えてまいります。これらの施策の一環として、データセンター事業におけるアセットライト事業モデルの推進、ハイパースケールデータセンター事業への進出に取り組んでまいります。
 次に、クラウド事業の刷新を図ります。具体的には、自社オリジナルのクラウドサービスの性能、機能、信頼性を向上させ、当社の提供するデータセンターで各種クラウドサービスの利用促進を図る接続環境を強化してまいります。また、海外の巨大IT企業の提供するメガクラウドサービスやSaaS事業者との連携も強化してまいります。
 また、ストレージ事業の刷新を図ります。スケールアウト(台数による大型化可能な)NAS(Network Attached Storage、アプライアンス〔専用〕ストレージ)、SDS(Software Defined Storage、汎用サーバを多数接続しソフトウェアで定義した統合型ストレージ)、ハードディスク型ストレージ、半導体型ストレージのあらゆる組み合わせ提供を可能としてまいります。
 当社は、上記3つの刷新によって、ユーザー企業が、特定のクラウドベンダーやITベンダーにロックインされ ず、柔軟性のある情報システムを構築できるようユーザー企業のDXを支援するために、DataセンターカンパニーからDXセンターカンパニーへの転換を図ってまいります。
 メディアソリューション事業においては、ジャパンケーブルキャスト株式会社(以下、JCC)は、日本全国のケーブルテレビ事業者向けのコンテンツプラットフォーム、日本全国のケーブルテレビ事業者及び地方自治体向けに展開しているインフォメーションプラットフォームを提供してまいりました。JCCの属するケーブルテレビ業界が、放送の高画質化(SD標準から4K8K超高精細)、限定受信方式(CAS)の効率化・高セキュリティ化(C-CASから ACAS)等、大きく変化しております。次世代放送サービスへのスムーズな移行を進めるとともに、トータルオペレーションの効率化を図ってまいります。なお、地方自治体のデジタル化推進により、防災や地域情報配信に関するニーズが高まっています。これに伴い、ケーブルテレビ業界が持つ地域密着型の特性を活かし、ケーブルテレビ事業者を通じて自治体との連携を強化し、防災や地域情報発信に関わる事業の拡大を進めてまいります。

 また、当社グループ内における連携だけでなく、グループ外の他企業との連携も図り、新たなサービスの創出に努めてまいります。

(3)目標とする経営指標

 当社グループでは、売上高成長率、営業利益率等、持続的成長性及び収益性に関する財務的指標の向上を目指した事業運営を推進しております。

(4)優先的に対処すべき課題等

 当社グループはDX(デジタルトランスフォーメーション)センターカンパニーとしての特徴を生かし、2つの事業セグメントに区分し、事業展開しております。以下の課題に対処してまいります。

①中期的な目標達成に向けた業績向上への継続的な取り組み

 当社は、公表いたしました2025年12月期業績予想値、2025年から2027年のROE8%とする中期的な目標の達成に向けて、業績向上への継続的な取り組みを実施いたします。具体的には、1.データセンターでは、当社の強みである都市型データセンター「新大手町サイト」の中長期的な稼働率の向上と新たな事業領域の進出に取り組みます。新たな事業領域では、2026年開業に向けた合同会社石狩再エネデータセンター第1号でのアセットライト事業モデルへのシフト及び、ハイパースケールデータセンター等大規模なデータセンター開発プロジェクトの立ち上げを目指してまいります。2.クラウド・ソリューションでは、収支改善に伴い売り上げと利益が増加傾向にあり、今後は自社クラウド関連の案件増加を通じて、更なる業績向上に取り組みます。3.データ・ソリューションでは、データストレージの市場拡大を見据え、主力である「Dell PowerScale / Isilon」等のプロダクト拡販及び保守サービスの活用提案に加え、カナダSuperna社が開発したサイバーセキュリティソリューション「Eyeglass」の提供による付加価値を高め、安定的な利益基盤の強化に取り組みます。

②企業価値向上のための中長期的なサステナビリティへの取り組み

 当社は、持続可能な社会の実現に向けた責任を果たすとともに、中長期的な視点でのサステナビリティは企業価値向上のため重要な施策と位置付けております。環境負荷の低減、情報セキュリティ、人的資本の活用等、当社におけるサステナビリティへの重点テーマを模索し、その取り組みを促進させるため、より充実した推進体制の構築に取り組みます。

③人材の確保や育成

 当社グループが今後も継続的に事業を発展させるためには、当社グループの成長に必要な人材と新人の確保・育成及び、とりわけ優秀なエンジニアの確保が必要であると考えております。そのため、定期的な新卒採用及び中途採用を実施し、バランスのとれた採用及び人材の育成強化や適正配置を図りながら、事業成長を支える人材の確保・育成に努めてまいります。

 以上の課題に取り組み、データセンター業界のリーディングカンパニーとして、企業価値を高めてまいります。

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