企業兼大株主ブイキューブ東証プライム:3681】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

1.重要事象等に関するリスク

 当社グループは、当連結会計年度において連結子会社Xyvid, Inc.ののれんの減損等により、親会社株主に帰属する当期純損失を計上いたしました。これにより純資産が減少し、金融機関と締結した借入契約における財務制限条項に抵触する見込みとなりました。当該財務制限条項が適用された場合、資金繰りに影響が生じ、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在しております。

 このような事象又は状況を解消するために、主に下記の施策を推進し、収益性をより一層改善した経営基盤の再構築を目指してまいります。

・主にイベントDX事業における外注費の削減を中心とした原価改善

・自社開発プロダクトの選択と集中による開発投資の適正化

・2023年に実施した経営合理化施策の延長として更なる全社費用の削減

 また、財務体質の改善施策の一環として、第三者割当による新株式及び第19回の新株予約権の発行を行っております。詳細につきましては、連結財務諸表「注記事項 (重要な後発事象)」をご参照ください。

 更に、当社は金融機関との連携を強めており、上記の施策に加えて、金融機関と協議の上で財務体質の改善に向けた施策を実行してまいります。これにより、今回の財務制限条項への抵触に関しても、期限の利益の喪失の権利行使をしない旨の同意を得ております。以上により、当面の資金繰りには問題なく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

2.当社の事業及び業界固有の重要なリスク

項目名

影響度

評価

前年

比較

2.当社の事業及び業界固有の重要なリスク

(1)新型コロナウイルス感染症流行の収束が当社事業に与える影響について

重要

(2)クラウド型サービスに関するリスク

重要

(3)イベント配信サービスのオペレーションに関するリスク

重要

(4)イベント配信サービスのキャパシティに関するリスク

注視

(注) 上記リスクはいずれも年間を通じて常時発生する可能性があると認識しております。

(1) 新型コロナウイルス感染症流行の収束が当社事業に与える影響について

 新型コロナウイルスの流行は、ワクチン接種の浸透とオミクロン株等の弱毒性ウイルスへ移行したことにより、収束に向かいつつあります。当該感染症収束により、当社のオンラインソリューションビジネスがコロナ禍以前の状態に縮小する可能性に関する見解がありましたが、実際には移動時間削減による生産性向上や遠隔地との商談による商圏の拡大の他、オンラインイベント配信では開催コストの大幅な削減や集客力の上昇等、多くの顧客企業にその有用性が認識され、現在でも継続してサービスを利用いただいております。

 当社グループの事業規模は新型コロナウイルスの流行期の急激な拡大傾向にはないものの、現在も引き続き安定的な成長を継続しておりますが、日本及び米国での今後のポストコロナの社会環境において、リアル回帰等の影響によりオンラインソリューションの成長が継続しない場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(2) クラウド型サービスに関するリスク

 当社グループが提供しているクラウド型サービスは、その根幹となる自社開発及び運用するシステムを安定的かつ継続的に運用していくことが要求されます。しかしながら、アクセスの予期せぬ急激な増加やIaaS/PaaSベンダー※の保証範囲内での障害等により、当社グループのシステムが動作不能となる場合、あるいは火災・震災・台風等の自然災害による予期せぬ事象により、システム及びサーバーの障害、機器破損やデータ消失等が生じた場合は、当社グループのサービスを適切に提供できない可能性があり、当社グループの信用、事業及び業績に影響を与える可能性があります。

※ 当社のITインフラに係るサービスを提供している事業者(Amazon Web Services等)を指す。IaaSとはInfurastructure as a serviceの略、PaaSとはPlatform as a serviceの略。

 当社グループにおいては、安全性・セキュリティ・負荷の分散を考慮した構成での運用の上、24時間365日体制の監視等に取り組んでおり、加えて日本国内の複数拠点及びシンガポールをはじめとする複数の海外拠点にサーバーを分散して設置する対応を進めております。

(3) イベント配信サービスのオペレーションに関するリスク

 当社が提供しているイベント配信サービス(オンラインセミナー配信サービス)は、SaaS+Serviceのコンセプトの下、システムの提供のみならず、当社スタッフによるイベントの企画から当日の運営までをワンストップソリューションにて提供しております。その活用シーンは製薬業界における講演会、就職説明会やバーチャル株主総会等、顧客企業にとって重要性の高いイベントであるため、配信事故が許されないプロフェッショナルサービスが求められています。このため、イベント開催中のネットワークの切断やオペレーションのミス等により、イベント配信サービスが適切に提供できなかった場合、顧客企業からの賠償請求を受けるのみならず、信用失墜により顧客を喪失する場合等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社においては、ネットワークや配信機材の徹底した冗長化を行っているほか、イベントの企画や運営にあたる当社スタッフ並びにパートナー企業の研修を継続的に行っており、2020年度以降に実施した24,000回以上のイベント配信から得られた経験やノウハウを共有することでイベント配信の品質の向上に努めております。また、外部企業のコンサルティングを活用し、イベント配信のオペレーションの効率化に継続的に取り組んでおります。

(4) イベント配信サービスのキャパシティに関するリスク

 当社が提供しているイベント配信サービスは(3)で述べたとおり、イベントの企画から当日の運営までのサービスを当社スタッフにより提供しております。当社のイベント開催実績は2020年度の約4,700回に対して、2021年度及び2022年度は約7,000回前後と実績が伸長し、2023年度は件数的には約5,200回と落ち着いたものの、2020年度に比べて大規模案件もしくは高難易度案件の割合が増加しております。今後もイベント配信サービス拡大のためにはスタッフやパートナー企業の人員や、配信のための機材のキャパシティの拡大、及び高難易度案件に対応できる人材の育成が必要と考えております。このため、スタッフの採用やパートナー企業の確保や機材調達が難航した場合は、機会損失が発生し当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、イベント開催数が当社の想定より縮小した場合もしくは季節性に伴う閑散期においては、当該キャパシティ維持のための固定費負担増加による収益性の悪化により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社においては、中期経営計画達成に向けて必要不可欠な積極的な採用力を推進していくため、人事部門の増員による体制強化、ITツールの活用による採用活動の効率化を進めております。さらに今後はイベント関連企業のM&Aによるキャパシティの増加も検討してまいります。また(3)で述べたとおりイベント配信のオペレーションの効率化に継続して取り組んでおり、人員や機材の効率的なアサインメントの最適化を図ってまいります。

3.その他の重要なリスク

項目名

影響度

評価

前年

比較

3.その他の重要なリスク

 

 

 

(1)事業環境に関するリスク

注視

(2)人的資源に関するリスク

注視

(3)コンプライアンスに関するリスク

 ①顧客の機密情報の保護について

注視

 ②コンプライアンスの遵守体制について

注視

(4)企業買収によるのれんに関するリスク

注視

(注) 上記リスクはいずれも年間を通じて常時発生する可能性があると認識しております。

(1) 事業環境に関するリスク

 当社グループにおける強みは、国内外で使用されている優れたSaaSに合わせて、長年業界に特化したシステム構築により社内に蓄積したノウハウによるサービス提供ができることにあります。インターネット関連分野は、新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われており、非常に変化の激しい業界となっております。新規事業や新サービスの投入が遅延した場合、当社グループの競争力が低下する可能性があることに加え、急速な技術革新に対応するためにシステム投資や人件費等の支出が増大する可能性があります。

 当社グループでは、変化の激しい業界で持続的に成長する企業であるために、国内外における最新のインターネット関連技術について日々モニタリングを行い、顧客ニーズを取り入れながら最新技術を取り入れた独自性のある新規事業や新サービスの構築に注力しております。

(2) 人的資源に関するリスク

 当社グループは2023年12月末現在において、従業員約470名の比較的小規模な組織であり、内部管理体制もこれに応じたものになっております。今後の事業拡大に伴い積極的な採用及び人材育成に努めるとともに、内部管理体制の一層の強化を図る方針であります。しかし、事業規模に応じた採用や人材育成が円滑に進まず、適正な人員配置が困難となる場合には、競争力の低下や事業拡大の制約をもたらし、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 特に開発の分野において十分な知識と技術を有する人材が不可欠であり、優秀な人材を確保するため、あるいは現在在籍している人材が流出するケースを最小限に抑えるため、福利厚生の充実を図っております。

(3) コンプライアンスに関するリスク

① 顧客の機密情報の保護について

 当社グループでは、顧客の会議の録画情報をはじめとした各種の機密情報を取得しております。これらの機密情報の流出や外部からの不正アクセスによる被害の防止は、当社グループの事業にとって極めて重要であります。何らかの原因により機密情報の流出等があった場合、当社グループの信用低下や取引停止等のほか、法的責任を問われる可能性もあり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、顧客の機密情報の流出等の被害を未然に防止するよう、2006年2月に社団法人日本能率協会審査登録センター(現 一般社団法人日本能率協会審査登録センター)より「ISO/IEC27001※」の認定を受ける等、情報セキュリティ対策を講じております。

※ 情報セキュリティ・マネジメントシステムの国際規格。情報資産の喪失、流出、外部からの不正アクセス等の脅威から企業や自治体といった組織を守り、情報の機密性、可用性、完全性等を社内で継続的に確保・維持するシステムを確立するために定められたもので、情報セキュリティ対策の国際標準とも言えるものです。

② コンプライアンスの遵守体制について

 当社グループでは、企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えておりますが、役員及び従業員の事業運営や業務遂行において法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの信用及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、全役員及び全従業員を対象に「ブイキューブ行動規範」を策定し、その周知徹底を図っております。併せて、代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、コンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。

(4) 企業買収によるのれんに関するリスク

 また、当社グループは企業買収に伴うのれんを連結貸借対照表に計上しており、当連結会計年度末現在ののれん金額は連結総資産の6.8%(844,062千円)を占めております。当連結会計年度において、米国連結子会社であるXyvid, Inc.に係るのれんの全額を減損損失として計上いたしました。この結果、当社グループにおけるのれんに関するリスクは従前より低下したものの、事業環境の変化等により期待する成果が得られないと判断された場合等は、減損損失の発生により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

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