フジ・メディア・ホールディングス 【東証プライム:4676】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) ガバナンス
当社グループは、公共性の高いメディアグループとして、サステナビリティへの取り組みを積極的に進めており、2022年5月に持続可能な社会の実現に向けた取り組みをグループ全体で推進していく上での指針となる「サステナビリティ宣言」を策定しました。グループの各事業会社に対し、サステナビリティの課題に関する取り組みや、その目標の管理等に関して、監督と指示を行っていく考えです。
当社グループは、主に常勤の取締役及び常勤の監査等委員である取締役によって構成される「経営会議」を設置しており、経営の重要課題に関する協議や取締役会に付議される重要事項等について事前審議を行うとともに、各部門の業務執行の状況に関し情報の共有を図っています。サステナビリティの課題に関しても経営会議において各部門より適宜報告を受けております。
当社はグループ横断的にサステナビリティの課題に対応するため、2022年6月より代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会を中心に、「グループのコンプライアンス及びリスクの管理に関する委員会」(以下「グループコンプライアンス等委員会」という)とも連携しながら、サステナビリティの課題解決に向けた取り組みを一層強化してまいります。
(2) 戦略
①気候変動について
当社グループは、気候変動への対応を重要な経営課題の一つであると認識し、本年5月に行ったTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示の中で、複数のシナリオを想定し、気候変動が当社グループの事業にもたらすリスクと機会について、放送事業、通販事業および都市開発・観光事業を軸に特定し、その対応策をまとめております。
(シナリオ分析の前提)
事業範囲:㈱フジ・メディア・ホールディングス、㈱フジテレビジョン、㈱DINOS CORPORATION、㈱サンケイビル
基準年:2030年
設定シナリオ | 社会像 |
(a)ネットゼロ シナリオ | ・持続可能な社会を実現する2050年ネットゼロに向けて、厳しい政策がとられ技術革新が進む ・21世紀末の温度上昇は1.5℃未満にとどまる (参考シナリオ:IPCC SSP1-1.9、IEA WEO2022 NZE) |
(b)現行政策 シナリオ | ・現在実施されている政策がそのまま継続され、追加的な措置は行われない ・21世紀末の温度は最大3.5℃上昇し、気候変動の影響を大きく受ける (参考シナリオ:IPCC SSP2-4.5、IEA WEO2022 STEPS) |
(シナリオ分析の結果)
(a) ネットゼロシナリオ(脱炭素政策のもと気温の上昇は1.5℃程度)
リスク | ・カーボンプライシングの導入、GHG排出規制の強化に伴う対応コストの増加 ・脱炭素への取り組みが遅れた場合のブランド力の低下や企業価値の棄損 |
機会 | ・環境課題への積極的な対応による広告収入の増加 ・環境配慮型物件や環境配慮型商品の売上拡大 ・気候変動への積極的な対応によるブランド力や企業価値の向上 |
対応策 | 省エネルギー設備の積極的な導入や再エネ電力の活用によるGHG排出量の削減、番組制作工程の見直しや効率化、環境配慮型商品設計などを通じた脱炭素への取り組みなどを積極的に行います。 気候変動、環境課題への社会の関心を捉えたコンテンツの制作強化や環境配慮型物件・商品の開発などを促進すること等により、リスクを最小化し、脱炭素社会における事業機会の拡大を目指してまいります。 |
(b) 現行政策シナリオ(最大3.5℃気温上昇。気象災害が激甚化し猛暑日が増加)
リスク | ・気象災害の激甚化による放送トラブルの発生 ・気象災害に伴うサプライチェーンの寸断 ・広告主の罹災に伴う広告収入の減少 |
機会 | ・気象災害や猛暑日の増加による高安全性・高気密性物件への需要拡大 ・ネットゼロシナリオほどではないが、環境配慮型物件・商品の売上拡大、気候変動への積極的な対応によるブランド価値向上が期待される。 |
対応策 | 放送トラブル防止のためのBCPの徹底や定期的な訓練の実施によりレジリエンスを確保していくとともに、災害発生時には迅速かつ正確な災害報道を通じ早期の災害復旧に貢献してまいります。 気象災害に伴うサプライチェーンの寸断時には、被災時の拠点確保や複線化による早期復旧を目指します。 |
各シナリオにおいて特定されたリスク・機会は、サステナビリティ委員会やグループコンプライアンス等委員会に報告、適切な対応を行い、当社グループにおける気候変動リスクに対するレジリエンスを確保するとともに事業機会の拡大を目指してまいります。引き続き、シナリオ分析や財務への影響の精緻化、リスク・機会及び対応策の経営計画への具体的な反映を通じて、気候変動対応を積極的に進めてまいります。
TCFD提言に基づく情報開示につきましては当社ホームページに掲載しております。
[掲載ページ] https://www.fujimediahd.co.jp/ir/pdf/tcfd230516.pdf
②人的資本について
当社グループにおいて多様な「価値」を生み出す要となるのは「人」です。ジェンダーや国籍、年齢に関係なく、全ての従業員・スタッフが個性を発揮し活き活きと働くことができること、安心して働き続けられる環境があることは、事業活動を円滑に循環させ、永続させていくために不可欠と考えています。
当社グループでは、子育てや介護等のために休業・休職をせざるを得ない従業員等の多様な働き方に対応した環境の整備を進めるとともに、多様性確保に向けた人材育成方針として、各階層で必要な研修を実施することとし、ハラスメント・コンプライアンス・LGBTQ等の研修を行っています。中核子会社である㈱フジテレビジョンでは、2022年度の男性育休取得率は76.3%ですが、更なるワークライフバランスの充実を図るべく2023年3月に民間団体が主催する「男性育休100%宣言」に賛同し、男性育休の取得率100%を目指してより働きやすい環境づくりを推進しております。また、2023年4月から、パートナーシップ宣誓など多様性を認める取り組みを制度化し、慶弔や休暇などが分け隔てなく取得・活用できる環境を整えました。
メディア事業を取り巻く環境が劇的に変化している中で当社グループの持続的な成長を図り企業価値を向上させていくためには、多様な視点や価値観を尊重し、当社グループの事業運営に取り込んでいくことが必要であると考えています。新たな事業領域に対応するため、グローバルな視点や価値観を有する外国人の採用や、高い専門性を有する人材のキャリア採用を進めています。また、とりわけ経営の中核を担う管理職においても、多様性の確保が重要であると考えています。当社グループでは2023年5月に公表した中期グループビジョンの中で、従業員301名以上のグループ会社の女性管理職比率を、2022年度の19%から2030年度までに30%以上とすることを目標としております。
(3) リスク管理
当社グループでは、グループ経営に重要な影響を与えるコンプライアンス上の問題及びリスクへの対応を図るため、グループ各社の代表取締役社長を構成メンバーとするグループコンプライアンス等委員会を組織し、「グループのコンプライアンス及びリスクの管理等に関する規程」(以下「グループコンプライアンス等規程」という)に基づき、各事業を統括しております。当社グループに重大な影響を与えるサステナビリティリスクに関しても、サステナビリティ委員会等において特定・評価したうえで、グループコンプライアンス等委員会と連携しながら対応策の検討を行います。
(4) 指標及び目標
当社グループは、温室効果ガスの削減目標として2030年度までに㈱フジテレビジョン、㈱サンケイビル、㈱DINOS CORPORATIONの3社で排出量50%削減(2013年度比)、2050年度までにカーボンニュートラルの達成を目指すことを掲げております。
また、人材育成方針として、従業員301名以上のグループ会社の女性管理職比率を、2022年度の19%から2030年度までに30%以上とすることを目標としております。
グループ各社の女性管理職比率、男性育児休業等取得率、男女間賃金格差については、第1 企業の概況 5 従業員の状況 に記載しております。
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