企業フジッコ東証プライム:2908】「食品業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1)「豆」に関する研究

 神戸大学と長年共同で取り組んでいる「黒豆ポリフェノール クロノケア®」の機能性研究では、既に機能性表示食品の届出が受理されている「一過性の疲労感の軽減」「一時的な日中の眠気の軽減」「パソコンやスマートフォンなどのディスプレイ作業により生じる一過性の疲労感の軽減」とは別の機能性に着目し、起床時の疲労感や睡眠の質に不満をもつ健常男女を対象に臨床試験を実施しました。現在解析中ですが、有効な結果が得られれば、今後、機能性表示食品の届出を進め、健康素材「クロノケア®」の販売を一層強化してまいります。

 大豆イソフラボンの機能性研究では、株式会社ダイセルとの共同研究により、当社が開発した大豆イソフラボン素材「フジフラボン®」と発酵オリゴ糖の一種であるラクトビオン酸を合わせて摂取することで、イソフラボンの吸収が促進され、肌の乾燥を自覚する健常な成人女性の肌機能が改善する結果が得られ、機能性表示食品の届出が受理されました。引き続き、株式会社ダイセルと協力して健康素材原料「フジフラボン®」の素材販売を推進してまいります。

 2021年に発売した「ダイズライス」は、お米と比べて高タンパク質、低糖質なのに満腹感を得られる大豆食品です。お米の代わりの主食として食べることで、糖質を抑えつつ、手軽に植物性タンパク質を摂取できます。この「ダイズライス」を体験してもらうため、本社の社員食堂に提供し、さらにタウンドクター株式会社が提供する食事コーチングサービス「N・Partner」による食事指導と合わせた健康増進プログラムを実施しました。その結果、2か月間で全参加者の70%が0.5kg以上の減量に成功し、体脂肪率の減少や内臓脂肪レベルの低下等の体組成の変化が見られ、体内年齢の改善につながりました。食事指導と合わせた方が体重と腹囲の減少が見られたため、今後はN・Partnerの食事コーチングによる食事指導サービスと一緒に展開し、全国の社員食堂を持つ事業者向けに「ダイズライス」を提案していく予定です。

(2)「乳酸菌」に関する研究

 高齢になるにつれ嚥下(えんげ)力の低下により、水のような粘りのない食品は飲みこみにくくなります。これは薬やサプリメントの服用時にも言えることで、水では服用が困難となります。「カスピ海ヨーグルト」は独特の粘りと水分の分離が少ない点が特徴であり、他のプレーンヨーグルトと比べて嚥下しやすいことが分かっております。当社では「カスピ海ヨーグルト」を服薬補助食品として活用するための研究を進め、第27回日本病態栄養学会年次学術集会(2024年1月)にて、医療法人藤仁会藤立病院らとの研究グループにより、「カスピ海ヨーグルト」を高齢者の服薬補助食品として活用した症例に関する研究報告を行いました。

 その他、「カスピ海乳酸菌」に関し腸内の乳酸菌やビフィズス菌を増やすことが既に分かっていましたが、新たに腸内細菌叢全体に与える影響を網羅的に解析したところ、オシロスピラ属細菌が減少していることが確認できました。オシロスピラ属細菌は、便秘の人ではその細菌数が多い傾向があることが報告されています。腸内細菌は体全体の健康に深く関わっていることから、「カスピ海乳酸菌」が腸内細菌叢の変化を通して、体全体の健康に寄与している可能性が考えられます。この研究成果は日本農芸化学会2024年度大会(2024年3月)にて発表いたしました。

(3)「昆布」に関する研究

 昆布に含まれる食物繊維のアルギン酸には、肥満抑制効果が報告されており、加工昆布での肥満抑制効果について大妻女子大学との共同研究で調べました。その結果、加工昆布の食物繊維摂取によって肥満が抑制され、適切な加工条件によって、その効果が強まることが分かりました。これらの研究成果は日本食品科学工学会の英文誌「Food Science and Technology Research」に掲載されました。

 昆布の生産量は、地球温暖化に伴う海洋環境の変化の影響を受け、年々減少しております。現在、当社は北海道大学及び産地との共同研究により高水温などストレス環境に耐性を持つ昆布の育成や養殖方法の改善に取り組んでおります。これらの研究は時間を要しますが、産地と協力して取り組むことにより、少しでも早く昆布の生産性向上に結び付けていきたいと考えております。

 なお、当連結会計年度の研究開発費は983百万円であります。

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