企業フジコピアン東証スタンダード:7957】「その他製品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当グループは、印字記録媒体、事務用消耗品等のメーカーとして「技術力と行動力で顧客の満足を得て国際社会に貢献し充実発展する」を基本理念としております。人間性の尊重、合理性の追求を柱とし、新技術に対する挑戦を通じて、独創的なアイデアを製品化し世に広めていくことで社会に貢献することを目指しております。

(2) 目標とする経営指標

 当グループは、新製品開発と既存事業の拡充により利益ならびに売上高を極大化することを経営方針の一つとしております。これらを反映する売上高および営業利益に加え、自己資本利益率(ROE)を主な経営指標とし、継続的な向上に努めております。 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 ① 2023年12月期の業績について

    当グループでは、経営環境がますます不連続かつ不確実に変化する厳しいものとなることが想定されるなか、それまでの中期経営計画の取り組みにおいて積み上げてきた成果を糧としつつ、持続的かつ飛躍的な成長を目指すという思いを込めて、2023年12月期から2025年12月期までの中期経営計画を策定し、新たなスタートを切りました。

飛躍・成長する3年

〔中期経営方針 2023~2025〕

1. 自らが経営者目線で考え、チャレンジ
  する人財の育成

2. 市場ニーズ、ビジネス環境の変化に
   迅速かつ柔軟に対応する

3. 成長ドライブを支える開発力・もの
   づくり力の強化

 

中期経営計画 2025年度目標

 

連結売上高       11,000百万円

連結営業利益       1,050百万円

連結経常利益       1,100百万円

連結当期純利益       700百万円

自己資本利益率[ROE]   5.9%

しかしながら、後記23ページ「4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、国内外の経済環境に加え、一部の大手取引先における販売の伸び悩みにより取引先の在庫調整が長期化するなど、2023年12月期は年間を通じ強い逆風に見舞われたことから、前年度比大幅な業績悪化となるに至りました。

主たる製品群における売上高の主な減少要因は下表のとおりであります。

・製品群別売上高(2023年12月期と2022年12月期との比較)

製品群

2022年
12月期
[百万円]

2023年
12月期
[百万円]

 増減額
 [百万円]
(増減率%)

主な要因

TTM(注1)

5,118

4,798

 ▲320
(▲6.2%)

・軽包装市場は堅調であった一方、米国自動車生
 産の回復遅れ、中国景気減速の影響大。

インパクトリボン

745

665

▲80
(▲10.7%)

・金融業界の店舗統廃合による金融端末プリンタ
 ー台数減少などの影響。

テープ類

2,595

1,572

▲1,023
(▲39.4%)

・2022年度に、中国向けを中心に取引先が材料確
 保のため、大量買い付けを行ったことの反動。

機能性フィルム

404

321

▲83
(▲20.5%)

・半導体市場低迷による取引先における在庫調整、
 欧州自動車生産の低調にともなう車載用販売不
 振の影響大。

その他

268

276

+8
(+3.2%)

プラスチック成形
(注2)

719

589

▲130
(▲18.1%)

・長期化する円安により、日系の一部大手取引先
 が日本国内での内製比率を高めた影響など。

合計

9,851

8,225

▲1,626
(▲16.5%)

 

    (注1)「TTM」はサーマルトランスファーメディアの略称。以下同じ。

    (注2)プラスチック成形は、子会社エフシー ベトナム コーポレーションにて事業展開。

・連結経営指標 推移

連 結 経 営 指 標

2022年
12月期

2023年12月期

2024年12月期

2025年
12月期

目標

 当初
 計画

実績

当初
計画

予測

売 上 高

(百万円)

9,851

9,650

8,225

10,200

9,300

11,000

営業利益

(百万円)

545

300

▲774

600

160

1,050

経常利益

(百万円)

644

340

▲668

630

160

1,100

当期純利益

(百万円)

490

210

▲856

400

120

700

自己資本利益率[ROE]    ①

 (%)

4.5

1.9

▲8.0

3.5

1.2

5.9

株主資本コスト        ②

 (%)

3.2

3.7

エクイティスプレッド①-②

 (%) (注3)

+1.3

▲11.7

(注3)エクイティスプレッド=ROE-株主資本コスト(CAPM)

   なお、株主資本コスト(CAPM)=リスクフリーレート+β(ベータ値)×リスクプレミアム

② 2024年12月期について

 後記12ページ「③中期経営計画における重点課題の
取り組み状況 イ.新製品・新規事業の開発」に記載のとおり、中期経営計画の重点課題「新製品・新規事業の開発」の主要分野である「開発チャレンジテーマ」について、2023年12月期は前年度比売上高を伸ばしております。
 従いまして、2023年12月期の業績悪化は、ひとえに「コアビジネス」における売上高の大幅ダウンによるものであります。

 2024年12月期におきましても、特に上半期は厳しい市況が続くものと予想されますが、下半期以降、半導体不足の解消など市況の回復が期待できるものと考えております。

 


 また、単に市況頼みではなく、2023年12月期の反省を踏まえ、「コアビジネス」において、従来積極的に販売展開してこなかった製品についても掘り起こしを行うなど、「顧客基盤の強化」に注力することにより、トップラインの売上高を回復・向上させ利益の回復・拡大を図ります。
 加えて、中長期的な企業価値向上に向けた成長ドライブとして、「新製品・新規事業の開発」への取り組みを加速し、中期経営計画における2025年12月期の目標達成を目指します。(注4)

(注4)2023年8月29日当社ホームページ公表「2023年12月期(2Q)決算説明資料」25ページ
ご参照。(https://www.fujicopian.com/company/ir.html)

 ③ 中期経営計画における重点課題の取り組み状況
  中期経営計画の4つの重点課題にかかる取り組み状況は下表のとおりであります。

 イ.新製品・新規事業の開発

重点課題の概要

・成長に向けた領域・テーマの明確化と推進

・開発体制の強化

2023年12月期の主な取り組み実績

今後の課題

・計画遅れとなっている開発テーマもあるが、
 前年度比で売上高伸長。

 ・新規開発案件の売上高実績
 2023年12月期 595百万円
 (2022年12月期 実績 512百万円)

 ・開発技術調査能力向上(教育訓練計画遂行)

 ・要素技術の拡充
 産学連携継続(京都工芸繊維大学など3校)

 →有機合成技術取り込みのための設備導入、
    基礎合成実験開始など。

・未実現の開発チャレンジテーマ、営業チャレンジテーマの取り組み加速。

・機能性フィルムを「第三の柱」とすべく、現在の開発テーマ以外の用途展開検討(コンサルタントの活用)。

・開発技術調査能力向上の継続。

・産学連携の継続とノウハウの取り込み継続。
TTM分野の用途展開(各種マーキング技術)、テープ類分野の環境対応にかかる技術開発等の継続推進。

ロ.ものづくり力・生産性の強化

重点課題の概要

・安全第一

・生産性のさらなる強化

  環境に配慮した効率的な原材料の使用

  コストダウン活動

・生産技術革新

  設備投資によるさらなる生産性の向上(自社設計による技術力強化を含む)

  新規事業に向けた生産体制の構築

2023年12月期の主な取り組み実績

今後の課題

・安全にかかる専門コンサルタントからの課題事項へ

 の対応完了。

 ・2023年10月、岡山工場にて一部設備に火災発生。

   日常の訓練成果によりけが人なし。

  製品供給への影響も問題なし。

 ・環境に配慮した効率的な原材料の使用にかかる
   プロジェクト活動は順調に進捗。

 ・コストダウンについて、2023年12月期計画に対し
   96%の達成率。

 ・スリット加工工程において、作業改善のための自社
   設計による設備改造などを実施。

・新規対象市場における規格要求事項と運用状況を確
  認。

・全員参加型での安全第一への取り組み継続。

 ・安全教育の一層の強化。

 ・火災への抜本対策の実施。(除電装置の追加設置
 等)

 ・環境に配慮した効率的な原材料使用のプロジェクト
 継続。

 ・2024年度のコストダウン計画達成に向けた取り組
 み推進。

 ・自社設計による設備更新に関する2024年度テーマ
 の推進。

・新規対象市場の品質保証体制構築のための社内教育
  継続。

ハ.人財育成

重点課題の概要

・既往人事制度のモニタリング、PDCA機能の発揮による高度化

  チャレンジを評価する人事制度の運用、中核人財育成、女性活躍推進など

・従業員エンゲージメント向上のための施策推進

・経営課題(サステナビリティ)としての「人的資本」への投資

2023年12月期の主な取り組み実績

今後の課題

・チャレンジを評価する新・人事評価制度の運用開
  始。

 ・ベースアップ実施(2023年8月給与から)。

  平均2.75%(定期昇給込みで平均4.46%)。

 ・初任給一律8,000円アップ(2024年4月新卒者
  より)。

 ・第4回臨時人財育成検討会における方針に則り、
   新たに執行役員2名就任および新たな管理職登用
   4名(うち女性1名)。

 ・2023年4月新卒者:計画11名に対し実績10名。

 ・2023年度経験者採用:修正計画16名(当初計画7
 名)に対し実績11名。

 ・非正規社員からの正社員登用:実績12名。

 ・2023年12月31日現在の女性活躍推進法の目標項目
   にかかる進捗状況(目標値は右記)。

  ・労働者に占める女性の割合:17%
  ・管理職に占める女性の割合:5%

  ・男性の子の看護休暇取得対象者に対する
  取得者比率:32%

 ・自己啓発支援につき、2022年度の25名 462千円か
   ら、2023年度は51名 1,157千円。

 ・健康経営につき4社から提案受領。

・従業員エンゲージメント調査につき、シンクタンク
  と具体的検討を開始。

・チャレンジの評価に対する後押しとして、管理職のコーチング研修内容の充実(プロコーチによるコーチング体験)。

・処遇にかかるモニタリング継続。

・中核人財について、人財育成検討会におけるさらなる検討(女性管理職登用を含む)。

・経験者採用の継続、新卒採用の強化(大学、高専、高校との関係強化)。

・女性活躍推進法の目標達成に向けた対応継続。

 <20214月~20263月の目標>

 各項目につき以下のとおり引き上げる。

 ・労働者に占める女性の割合:13%から15
・管理職に占める女性の割合:4%から10

  ・男性の子の看護休暇取得対象者に対する
取得者比率:5%から30

・自己啓発支援制度利用者の一層の増加。

・健康経営にかかる具体的取り組み実施。

・従業員エンゲージメント調査の実施。

・人的資本投資にかかる当社独自のKPI(目標)設定と具体的取り組み。

ニ.カーボンニュートラルへの取り組み

重点課題の概要

CO2排出量の削減目標

  対象範囲:日本国内拠点(国内子会社を含む)

  排出対象:Scope1、Scope2(注5)

  削減目標:2019年度を基準として、2030年度にCO2排出量を30%削減

  (注5) Scope1:自社での燃料の燃焼などによる直接排出

          Scope2:他社から供給された電力・熱・蒸気の使用による間接排出

          Scope3:Scope2以外の間接排出(自社事業の活動に関連する他社の排出)

・岡山工場におけるLNGの優先使用(重油をできる限り使用しない)

・岡山工場における高効率設備の導入

・各拠点における省電力機器・照明などの導入

・海外子会社エフシー ベトナム コーポレーション(FCVN)におけるScope1、Scope2の削減

Scope3の算定および削減(日本国内拠点)

2023年12月期の主な取り組み実績

今後の課題

・CO2排出量の推移については、後記15ページ「④

 サステナビリティに関する課題への取り組みに

 ついて イ.気候変動問題への対応」をご参照。

 ・岡山工場が属する工業団地にてLNGを一括購入
   し、パイプラインにて供給を受ける運営を2023年1
   月より開始。

・岡山工場において、重油使用ボイラーをLNG熱媒
  ボイラーに置き換え実施(2台)。
  本社にて高効率の熱交換機への更新。

 ・岡山工場におけるLED照明の追加導入。

 本社におけるLED照明の導入。

 ・FCVNにおけるScope1、Scope2のCO2排出量算
 定を完了。

・2019~2022年度のScope3(日本国内拠点)にお
  ける全カテゴリーの算定完了。

・岡山工場における熱媒ボイラーへの置き換え(追加対応)。

 ・2025年度メドに超高効率ボイラー導入を検討。

 ・再生可能エネルギーの導入検討。検討対象例とし
 て、電力会社におけるパッケージの導入検討(電力
 の○%が再生可能エネルギー等)。

 ・FCVNにおいて大部分を占めるScope2(電力)に
 かかる情報収集と削減施策の検討。

・Scope3(日本国内拠点)において構成比の高いカ
  テゴリー1(購入した製品・サービス)を対象とし
  て、購買先へのアンケート調査を検討(2024~
  2025年度)。

 ④ サステナビリティに関する課題への取り組みについて

 当社では、サステナビリティに関する課題として、「気候変動問題への対応」、「人的資本投資およびダイ
バーシティ(女性活躍推進を中心に)」および「知的財産への投資について」の3点に重要性(マテリアリ
ティ)を置き、優先的に取り組んでおります。

イ.気候変動問題への対応

 ・課題の概要、取り組み実績および今後の課題については、前記14ページ「ニ.カーボンニュートラル

  への取り組み」に記載のとおりです。

  なお、2019年度から2022年度までの日本国内拠点におけるScope1、Scope2にかかるCO2排出量の推移
   は後記のとおりです。
     工場における生産量に応じて変動する面はありますが、前記の取り組みによりCO2削減に努めてま
   いります。

・日本国内拠点におけるScope1およびScope2のCO2排出量実績推移(注6)

 

 

 

 

2019
年度

2020
年度

2021
年度

2022
年度

Scope1

 

CO2排出量

(トン)

6,823

6,432

5,829

6,342

Scope2

(注7)

マーケット基準

CO2排出量

(トン)

8,311

7,127

6,488

7,242

ロケーション基準

CO2排出量

(トン)

6,188

5,559

5,489

5,950

Scope1+Scope2 合計

※Scope2はマーケット基準採用

CO2排出量

(トン)

15,134

13,559

12,317

13,584

2019年度比削減率

(%)

▲10.4%

▲18.6%

▲10.2%

(注6)電力会社における年度の排出係数の公表時期が翌年の夏ごろとなるため、実績としては2022年度までを
計上。

(注7)Scope2におけるマーケット基準:各拠点の契約電力会社の排出係数を用いて算定。

    Scope2におけるロケーション基準:全国平均係数を用いて算定。

 ロ.人的資本投資およびダイバーシティ(女性活躍推進を中心に)

   ・課題の概要、取り組み実績および今後の課題については、前記13ページ「ハ.人財育成」に記載の

 とおりです。

 ハ.知的財産への投資について

   ・当社は1950年の創立以来、画期的な製品開発を実現することにより市場を切り拓き、「開発志向
       型企業」としてのスタイルを確立してまいりました。

   ・従いまして、当社にとって知的財産は何ものにも代えがたい重要な資産であります。

  ・現在、原則2ヶ月に1度、関係取締役・執行役員による「特許出願審査委員会」を開催しており、
       新たな開発技術について特許出願の是非を議論したうえで特許を出願しております。

   ・その結果、この10年間、国内外の特許保有件数は常に200件程度をキープしており、研究開発費
       はもちろんのこと、特許につきましても相応の出願・維持コストをかけるなど、知的財産への投
       資を続けております。

     今後も、質の高い特許を数多く出願できるよう開発技術力の向上に努めてまいります。

・当社における国内外の特許保有件数推移(単位:件)

 

2014
年度

2015
年度

2016
年度

2017
年度

2018
年度

2019
年度

2020
年度

2021
年度

2022
年度

2023
年度

国内

198

193

184

194

186

193

177

168

172

169

海外

37

35

34

34

33

33

36

31

28

28

合計

235

228

218

228

219

226

213

199

200

197

(4) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 経営環境につきましては、世界的な消費者物価の上昇、中国経済の停滞、為替の急変動リスクなど、国内外のいずれの環境とも、ますます不連続かつ不確実に変化する厳しいものとなることが想定されます。

 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題につきましては、国内外の拠点を活用して、特長ある付加価値の高い新製品を積極的に市場投入していくほか、既存製品のコストダウン実現によるシェアアップなどにより、販売拡大を図るとともに、収益を確保するべく、「(3) 中長期的な会社の経営戦略」にも掲げております重点課題に優先的に取り組んでまいります。

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