企業兼大株主フォーバル東証スタンダード:8275】「卸売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)ガバナンス

 フォーバルグループは、気候変動課題への対応を重要な経営課題の一つと認識し、2022年4月1日、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会とリスクマネジメント委員会を併せて設立しております。

 サステナビリティ委員会とリスクマネジメント委員会での審議・決定事項は、各委員会の主たる活動状況と共に取締役会に報告されます。これにより取締役会が気候変動に関わるリスクと機会への対応方針や温室効果ガス(GHG)の削減目標・取組、気候変動のリスク・機会を考慮した事業計画等の重要事項につき審議・決定しております。

 取締役会は当社グループを取り巻く気候関連事項を考慮し、2021年の12月にTCFD提言への賛同を表明し、2022年7月に初めてその提言に沿った情報開示やCDP質問書への回答を実施しております。今後、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)基準への対応も視野に入れつつTCFD提言に沿った情報開示をより一層強化していく方針で、当社グループ全体における環境対策の取り組みに関して、その効果の検証、データの蓄積と分析、効果検証を行い開示の質の向上を着実に図ってまいります。

(2)戦略

①シナリオ分析

 当社グループは、将来の気候変動が事業活動に与えるリスクと機会、財務的影響を把握するため、TCFDが提唱するフレームワークに則り、シナリオ分析の手法を用いて、2030年時点における外部環境変化を予測し、1.5℃シナリオ、4℃シナリオに基づき分析をしております。

◆1.5℃シナリオ

 移行リスクに関しては、GHGの排出に関する規制強化による、炭素税導入・炭素税率の上昇やそれに伴う燃料・電力価格の上昇リスク、技術変更による施設・資材の入替によるコスト増大リスク、低炭素社会への移行に伴い、特定の商品やサービスに対する需給変動のリスクが短期・中期的に高くなり、当社グループの調達及び売上にも大きな影響を与える可能性が高いと予見しております。また、低炭素社会への不適応などによる既存の製品・サービスへの悪評が発生し、業績が悪化するリスクも考えられますが、長期においてはリスク順応が相応に進むため、影響は軽減されると予想しております。

 物理リスクに関しては、急性リスク、慢性リスクがありますが、気候変動の影響が抑制されるため、短期的にも中長期的にも大きなリスクは予見しておりません。ただし、IPCCの予測では、GHG排出量が比較的少ないシナリオであっても2041~2060年に気温上昇が1.5℃を超える可能性があるため、20年後のリスクには入念に備える必要があると考えております。

 一方、機会に関しては、低炭素及び環境配慮型の新製品やサービスの開発と利用が短期・中期的に進むことが予想され、当社グループの環境配慮型エネルギー・サービスを提供することにより、当社グループの業績・財務面における機会は大きいと予想しております。

◆4℃シナリオ

 移行リスクに関しては、炭素税導入・炭素税率の上昇等の環境基準の厳格化、GHG排出規制の強化が長期的に行われないため、ウクライナ情勢等の地政学リスクを除いた燃料・電力価格等の上昇や低炭素化に向けた省エネ・再エネ設備投資、再エネ電力やEV等への切替えは起こらず、当社グループの業績にマイナスの影響が出ることはないと考えております。

 急性リスクに関しては、中長期的には地球温暖化の影響で異常気象の激甚化が進み、大型台風や洪水、ゲリラ豪雨、落雷、高潮等の自然災害が深刻化し、インフラの損壊及びその復旧費用や損害保険料などの増加、事業縮小、事務所等の稼働停止、通勤停止、原材料・製品輸送や役務提供等への悪影響、エネルギー価格の高騰や原材料・製品不足などのリスクが高まる可能性があります。

 慢性リスクに関しては、気温上昇に伴う熱中症・感染症等の従業員の健康被害の増加による空調機器のコストの増加、保険料の増加などのリスク、干ばつ・海面上昇によるエネルギーや原材料・製品の調達コストを上昇させるリスクが、当社グループだけでなく取引先にも中長期的に影響を及ぼすことが予見されます。

 機会に関しては、低炭素エネルギー源や新技術の利用、脱炭素新市場の形成が見込めないことから関連する商品・サービスの調達コストの減少や、販売増や顧客の業績増、競争優位性の確保などは予見しておりません。

②シナリオ分析に基づくレジリエンス

 1.5℃シナリオにおいては、GHG排出規制の強化に伴い、燃料・電力を使用するさまざまな産業で調達費用の高騰リスク、施設・機材の入替の必要性も上がるため、当社グループではGHG排出量の削減の推進をしております。具体的には、当社グループ内の省エネ活動の推進、照明の効率化(LED電球の導入)、再エネ電力プランの導入、HV車の導入、オフィスの統合等が挙げられます。

 また、カーボンオフセットの取り組みも2021年度から実施をしており、今後は、再エネ電力プランの更なる導入推進と共にEV車の導入、燃料機器の電化、太陽光発電設備の導入等を検討してまいります。

 現状では4℃シナリオも十分現実となる可能性があることから、4℃シナリオにおいても、BCP対策の強化、グリーン調達の推進、省資源活動の推進等の対策しております。

 このように当社グループでは、両委員会での議論・分析を通じて気候変動に伴うさまざまなリスクの最小化と機会の最大化の検証・実行を進めながら、組織と経営の強靭性を確保しております。また、当社グループでは自身組織戦略のレジリエンスの確保だけでなく、我々のお客様である中小・小規模企業のレジリエンスを確保するための取り組みも行っております。

 具体的には、脱炭素に向けてエネルギー源転換を目指す中小・小規模企業に環境配慮型電力プランの提供、環境配慮型製品・サービスの需要に対しての環境配慮型製品の提供、顧客要求への迅速な対応による競争優位性を確保するための中小・小規模企業の伴走型アドバイスによるGDX化、気候変動対策を含む財務・非財務情報の可視化経営の推進、新規事業の創出・展開による強靭性を確保するためのF-Japan構想による地域・地方自治体との連携を行い、お客様自身の環境対策を進めるだけでなく、お客様のサプライチェーン上のお取引先に対しても、お客様と共に環境対策への取り組みを働きかけ、リスクの低減や分散、また機会の拡大を図っております。

③人材の育成に関する方針

 当社グループでは、創業以来、私たちを取り巻く各ステークホルダーに対して、ビジネスを通じて「幸せの分配」をすることを企業価値としています。

 その「幸せの分配」のうち、もっとも優先度が高いステークホルダーは「社員」です。

 なぜならば、お客様と接点を持つ社員自身がまず幸せでなければ、他のステークホルダーに対して幸せの分配ができるはずがないと考えているからです。

フォーバルグループが目指す人材像

 会社は常に価値を生み続ける存在でなければならないという想いから、社名の由来となっているFor Social Value、「社会が求める真の価値」の追求を目指しています。 そして、そのために、企業理念として「社是」を掲げ、すべてのグループ社員へ「在り方」を示しています。

 また、人材に求める重要な要素は「明・元・素(めい・げん・そ)」「実力主義」「強い仲間意識」の3つです。

“明るく、元気で、素直”“結果にこだわり目標達成意欲が強く、粘り強く最後まで諦めずにやり抜く”“ビジョンを共有し、チームプレーの中で主体性を発揮できること”、これらは特別な能力ではなく、人間が持っている基本的な要素です。

 当社グループが掲げる企業理念の達成に向けて、主体的に計画性を持って実行できる人こそ、グループ社員のあるべき姿であると考えます。

 ・フォーバルグループと関わりのあるすべての人に「幸せを分配する」

 ・お客様にとって、あるいは社会にとって本当に価値のあるものを生み出していく

 ・世の中や業界に存在する「常識」に対する挑戦を続け、創意工夫をこらし「新しいあたりまえ」づくりを

 実現する

 ・常に顧客の視点を持ち続け、他人に対しては常に「ありがとう」の気持ちを持ち続け、「真心」を持って

 行動する

 ・社員自身が「主体的に」新しいことにチャレンジする

 また、事業戦略においては、情報通信、海外、環境、人材・教育、起業・事業承継の5分野で他社との差別化を図り、中小・小規模企業の利益に貢献するコンサルティングサービスを主力事業としており、質の高いサービスを提供し続けるためには人材の確保と育成が必要不可欠であると考えております。

 なかでも重要かつ優先的に対処すべき課題としては、中小・小規模企業のGX(グリーントランスフォーメーション)及びDX(デジタルトランスフォーメーション)(以下「GDX」)を推進する伴走型アドバイザーとしての確固たる地位を確立していくことと認識しております。

 よって、人材面においては、GDXアドバイザーの創造にスピード感を持って取り組んでおります。

 このような取り組みのもと、当社グループにおいて「人材」は最も重要な価値源泉であると位置づけ、人材価値の向上を図り、新しい社会価値を生み続けることで、「100年企業」として永続的に発展できる企業となっていくことを目指します。

人材育成における二軸の取組

 当社グループでは、経営理念の共有と実現のための「フォーバルパーソンとしての基盤づくり」と社員個々の能力の向上を目指した「事業人材の育成」の二軸で、人材育成に取り組んでおります。

<フォーバルパーソンとしての基盤づくり>

 グループ社員が法令を遵守することはもちろんのこと、グループ行動指針(役職員行動指針)に則って「主体性の発揮」「適正で合理的な行動」「誠実・公正な行動」をとることができるよう、フォーバルパーソンとしての基盤づくりに努めます。

 1.コンプライアンス教育

  ・コンプライアンス診断

  ・ハラスメント行動チェック

  ・情報セキュリティ理解度チェック

  ・会社理解度テスト

 2.年次別・階層別教育

  ・新入社員研修

  ・入社3年目までのフォローアップ人事部面談

  ・新任管理職アセスメントプログラム

  ・フォーバルシップ勉強会(入社3年目まで/課長/部門長)

<事業人材の育成>

 専門性の高い事業人材の育成については、「研修センター」を設置し、日々進化する事業環境をいち早く教育に取り入れ、お客様へ提供するサービスのクオリティの向上に努めます。

 また、当社グループの事業の中核となる「F-Japan戦略」「アイコン事業」においてはGDXアドバイザーの育成が急務と考えます。GDX推進の第一人者となるために、GX・DXに関する知識習得に加え、情報分析力と情報活用力の向上に努め、自らが率先して能力の向上を図る「自走式集団」を目指します。

 1.研修センター教育

  ・職種別教育(営業人材/アイコン(コンサルティング)人材/GDX人材)

  ・リスキリング教育

 2.部門教育

  ・コミュニケーションセンター(コミュニケーター)教育

 3.社内推奨資格制度

  ・DXアドバイザー検定の取得推進

  ・iビジネスマスター(ITパスポート・個人情報保護士・ビジネス統計スペシャリスト・eco検定)の取得推進

④社内環境整備に関する方針

 社員、家族、顧客、株主、取引先はもとより、企業活動の継続によって影響を与えうるあらゆるステークホルダーの人権を尊重し、これらの尊厳が最大限守られるよう全力を尽くし、「社会が求める真の価値」のうち、特に重要なものが人権であると確信し、人権尊重の取り組みによって企業の社会的責任を果たすため、フォーバル人権ポリシーを策定しています。

 当社グループには性別や国籍、年齢、経験が異なったさまざまな社員が在籍しています。「子育て世代」や「介護世代」を含めた「すべての社員」が安心し、幸せを実感できる職場にしたいと考え、柔軟な働き方の実現に取り組んでいます。また、社員が健康維持や増進に努めることで、生産性や創造性を向上させ、安心していきいきと働ける会社を目指しています。

社内環境整備における取組

<多様性の重視>

 ともに働く仲間の多様性を尊重し、人種・民族・宗教・国籍・出身・性別・性自認および性的指向・年齢・障がいの有無・疾病などによる差別およびハラスメントを許容しません。

 機会は常に平等であり、採用、配置、評価、報酬および昇進は、本人の能力・経験や成果に基づいて行われます。

1.女性活躍推進(働くパパ・ママ応援コミュニティ/男性育児休業取得の推進)

2.働き方改革(i-Work勤務規程策定(テレワーク制度/フリーワーク制度))

3.障がい者雇用推進

<従業員の安全と健康の維持>

 健全かつスマートな職場環境を提供するとともに、安全・衛生に関する法令、規制、規定を遵守し、健康リスクへ適切な対応を行うことで、その維持に取り組みます。

1.健康経営推進(健康優良法人認定/クラブ活動/フォーバル健康UPマラソン大会)

2.人事調書

3.社内・社外相談窓口設置

(3)リスク管理

 当社は、リスク管理基本規程において経営企画担当部門をリスク管理担当部門とし、リスクを「会社に物理的、経済的もしくは信用上の損失または不利益を生じさせる全ての可能性を指すもの」と定義し、13のケースを想定しております。そのうち気候変動に関わるケースは、以下のものです。

・財務報告の信頼性に重大な影響を与える事態の発生するおそれがある場合

・火災、地震、風水害によって多大の損害を受けるおそれがある場合

・ITシステムの不具合または不正情報の流入により多大な損害が発生するおそれがある場合、および内部統制が有効に機能しなくなるおそれがある場合

・グループ会社に上記のような事由が発生し、当社の経営に重大な影響を及ぼすおそれがある場合

・その他会社の存続に関わる重大な事案が発生するおそれがある場合

 また、各リスクに対応する体制の構築を目的とし、リスク管理基本規程の第4条の詳細を規定するリスク管理基準で、次のように定めております。

 「会社に物理的、経済的もしくは信用上の損失または不利益を生じさせる全ての可能性のあるリスクに対して、全社的なリスク管理担当部門として経営企画部門は、それぞれ個別のリスク担当部門を定め、リスクの管理、軽減および移転その他必要な措置を講じるように指示をしなければならない」。

 そして、グループ全体における潜在的リスクの早期発見および事故・不祥事等に対し、迅速かつ適切な措置を講ずる体制を構築しております。

 このように、当社グループでは、取締役会および代表取締役社長がサステナビリティ委員会およびリスクマネジメント委員会を主導し、取締役や本部長、事業部長、管理部門が主体となり、グループ内で認識されたリスク・機会を適時適切に管理しております。

(4)指標及び目標

 2020年10月、日本政府は2050年までに温室効果ガス(GHG)の排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しております。フォーバルグループは中小・小規模企業の脱炭素の実現に向けて、より先鋭的な活動に取り組むために、2022年の7月に日本政府よりさらに野心的な目標「2030年までにカーボンニュートラルを目指す」宣言を行い、2020年度を基準年として毎年10%(約203t-co2)の削減を目指しております。

 ①GHG排出量2021年度実績値

 フォーバルグループ全体でScope1が910t-co2、Scope2が969t-co2、合計1,880t-co2の排出量となっております。

 ②上記目標における進捗状況

 Scope1については、前年2020年度と比較するとオフィス統合により空調由来の燃料使用量が減少しておりますが、車両利用の増加により排出量は増加しております。

 一方、Scope2については、オフィス統合や省エネ活動、テレワークの推進、再エネ電力プランの導入により排出量は減少しております。

 結果としてScope1・Scope2の合計排出量は2020年度と比較して146t-co2削減し、7.2%の削減率となっております。目標の10%の削減を達成することはできませんでしたが、別途J-クレジットを活用し126t-co2のオフセットを実施しております。

 人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標並びに当該指標を用いた目標及び実績は、

 下記のとおりです。

①社内推奨資格制度

 

2022年度実績

2023年度目標

DXアドバイザー

536名

72.1%

80%

iビジネスマスター

418名

56.3%

60%

ITパスポート

345名

46.4%

50%

個人情報保護士

512名

68.9%

70%

ビジネス統計スペシャリスト

584名

78.6%

80%

環境社会(eco)検定

508名

68.4%

70%

(注)1.実績は2023年3月31日時点におけるものであります。

   2.提出会社における正社員数743名に対する実績であります。

②女性管理職比率

 女性管理職比率 目標:10%

 

男性管理職

女性管理職

合計

女性管理職比率

2022年度

335名

36名

371名

9.7%

2021年度

299名

29名

328名

8.8%

2020年度

294名

23名

317名

7.3%

(注)女性活躍推進法の定義に基づき、当社では管理職を「同一事業所において、課長の他に、呼称、構成員に関係なく、その職務の内容及び責任の程度が「課長級」に相当する者(ただし、一番下の職階ではないこと)」の基準にて算出しております。

③健康経営目標

指標

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

目標

運動:1週間に2回、1日30分以上の運動を

   実施している

44.3%

49.2%

47.1%

55.1%

睡眠:1日あたりの睡眠時間が6時間以上の

   社員の比率の増加

61.9%

62.7%

59.6%

67.7%

喫煙:喫煙率の低下

31.3%

30.2%

27.5%

25.3%

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