フィスコ 【東証グロース:3807】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、次の3点を経営の基本理念としています。
① 金融サービス業におけるベストカンパニーを目指すこと。
② 中立な姿勢と公正な思考に徹すること。
③ 個の価値を尊び、和の精神を重んじること。
当社は社会的資産の最適な配分実現のため、あらゆる状況下の金融や投資に係る市場の調査・分析・予測結果を情報(コンテンツ)やアドバイスとして提供し、来るべき成熟社会の一翼を担いたいと考えております。そのため、専門性はもとより利益相反を徹底的に排除する中立公正な思考に徹する企業姿勢、そして優れた「個」の力が発揮される社内環境を維持してまいります。
(2) 経営環境
当社の情報サービス事業と関連性の高い国内株式市場におきましては、2023年3月米欧金融機関の破綻や経営危機を受けて世界的な金融システム不安が高まり、大幅な下落を見たものの、米欧で金融機関への救済措置が相次いで発表され金融システム不安が後退しました。2023年6月には米連邦政府の債務上限危機が収束したことなどにより米国株式市場が上昇基調になりました。2023年8月中国不動産大手の破綻申請を受けて中国経済への不安が高まったことから下落し、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの観測から米長期金利が上昇したことを受けましたが、2023年11月には、利上げ局面が終了したとの見方が強まり、米長期金利が大幅に低下したことを好感して、米国株式市場は大きく上昇しました。日本の株式市場も、日本企業の決算が好調なことや、米国株式市場の上昇を受けて堅調な展開となりました。
また、暗号資産市場も、ビットコイン現物ETFの承認に対する期待感などから堅調な展開となりました。暗号資産は、今後、送金や決済などの手段としてだけでなく、あらゆる組織や企業、個人が価値を交換する手段となり、メタバースやゲームの世界、もしくはコミュニティの中での流通など、新たな価値・用途も生まれ、大きく普及していくことが予想されます。
このようなマクロ経済動向のなか、長期的な成長目標として、既存事業をベースに、フィスコブランド活用並びに新規事業(M&Aの活用)により、事業規模拡大を目指しております。
(3) 目標とする経営指標
当社は、高付加価値による収益性の高い企業を目指しており、収益拡大と持続的成長の競争力を高めるため、資本効率を意識した経営に取り組んでおります。当社の「事業計画及び成長可能性に関する事項」において、長期的な成長目標として、既存事業をベースに、フィスコブランド活用並びに新規事業(M&Aの活用)により、事業規模拡大を目指しております。
また、当社の経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標(以下「KPI」といいます。)として収益拡大及び持続的成長についてのKPIを掲げており、中期の経営目標として、収益拡大のKPIについては、売上高前期比15%増、売上高営業利益率及び売上高経常利益率は15%以上を目標とし、持続的成長のKPIでは、自己資本比率60%以上の維持及びIR支援件数を2026年12月期までに1,850件を目指すことを目標としております。2024年12月期における目標値は、売上高1,177百万円、売上高営業利益率4.2%、売上高経常利益率4.2%となり、持続的成長のKPIについては、自己資本比率15.5%、IR支援件数は、2023年12月期では、1,197社となっておりますが、2024年12月期には約1,380社を目標としております。なお、当該KPIの各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
(4)中長期的な会社の経営戦略
① 情報サービス事業
金融・経済情報配信サービス分野では、当社のビックデータを生かし、著名投資家が希望する投資判断ツールを開発、販売する仕組みがスタートしています。ツール使用にあたっては、暗号資産フィスココイン(FSCC)による申し込みも可能であり、FSCCを軸とした金融・経済情報配信サービスの活性化を図ります。Learn to Earn機能(サイト内コンテンツを学ぶ・読むとポイントが配布され、暗号資産フィスココイン(FSCC)等にも交換できる機能)の実装も完了しており、投資家や上場企業に注目されるサイトのプラットフォーム化を前進させる考えです。
企業IR支援サービス分野では、市場改革が進み、IRの重要性が引き続き高まる中、企業調査レポートの顧客企業数の増加が施策の中核となります。また、統合報告書ならびに英文翻訳業務、人的資本経営コンサルなど企業のIR に関する課題をワンストップで解決できる体制構築と事業拡大を目指しております。バーチャル株主総会アプリケーション、IR説明会支援なども立ち上がり始めており、新たな中核事業として育成する方針です。
2024年度のセグメント売上については、1,007百万円の売上を見込んでおります。
② 広告代理業
広告代理業では2021年以降広告市場においてインターネット広告は従来のマスコミ4媒体による広告費総額を上回っております。従来の紙媒体での広告に代わりオンライン広告の増加傾向が続く中、特にYouTubeを中心とするネット動画の活用増、Tik Tok、インスタグラム、X等横断的なPR方法へのチャレンジ等活用法の多岐化の傾向を踏まえ、提案力の強化を進めながら利益率の高い案件の獲得につなげてまいります。
2024年度のセグメント売上については、56百万円を見込んでおりますが、売上及び利益の確保を目指し、広告制作の収益性の向上につなげてまいります。
③ 暗号資産・ブロックチェーン事業
当社は、引き続き暗号資産に対する自己勘定投資を予定しており、暗号資産の価格の推移を見極め、慎重にトレーディングを行ってまいります。当社発行暗号資産フィスココイン(FSCC)の認知度向上を図りつつ、暗号資産分野における新規ビジネスの創造、FSCCの価値向上を通じて、当社の企業価値の向上を目指しております。
2024年度のセグメント売上については、57百万円の売上を見込んでおります。
④ その他
その他では、投資銀行事業において、M&Aアドバイザリー事業として、IRコンサルティング事業において形成された上場企業ネットワークを買い手として、譲渡検討をしている企業や事業を独自のネットワークで発掘しM&Aサービスの拡充を図ります。
また、ビジネスソリューション事業として、ストックオプション発行コンサルティングや株式報酬制度コンサルティング等新たなコンサルティングサービス領域の拡大、拡充を推進してまいります。
2024年度のセグメント売上については、56百万円の売上を見込んでおります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、経営方針に基づく経営戦略の実践において、投資家の皆様のご期待にお応えし、友好かつ継続的な関係を維持していただくためには、健全な財務体質強化と持続的な成長拡大が必要であると認識しております。そのため、下記の当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題を掲げ、その対応に取り組んでまいります。
① コンテンツ制作体制の増強・整備と品質管理体制の強化
当社は、既存事業の中核である情報サービス事業におけるコンテンツの品質を高めるため、オペレーションの最適化を進めております。
主力事業である情報サービス事業において、コンテンツ制作の多極化に取り組み、より専門化、より多様化する商品を開発するため、持続的なアナリスト教育とスタッフ個々のレベルアップに取り組むと同時に、客員アナリスト等の外部アナリストによるコンテンツ制作等もより積極的に取り組み、安定的な収益確保に努めます。企業IR支援サービス分野では、統合レポート、アニュアル・レポート、ESGレポート、及び英文翻訳業務の拡大と、スポンサー型アナリストレポート(企業調査レポート)を起点とした、企業の非財務情報を適時配信するソリューション提供サービス、企業のIRに関する課題をワンストップで解決できる体制構築を目指します。
② 販売・マーケティング体制の強化
当社ブランドの強みを生かし、IRコミュニケーション・サービスの需要を引き続き取り込むべく、IRコンサルティング事業本部を中核に営業活動を展開しております。投資教育、暗号資産など個人投資家の関心が高い分野及び機関投資家向けのアナリストレポートの販売など、様々なニーズに即応するサービスの開発提供に取り組んでまいります。
③ ウェブサイト及びスマートフォンアプリ運営の拡充
無料スマートフォンアプリ『株・企業報』、『仮想通貨ナビ』及びウェブ版『FISCO』並びに有料課金サイト『クラブフィスコ』においては、定性情報とともに定量情報を横断的に提供しておりますが、特に個別銘柄及び個別資産に関してのデータベースの構築、インターフェイス改良及びデータ処理速度の向上、システムトラブルの対応等に経営資源を継続的・計画的に投下してまいります。
④ システムの強化、バックアップシステムの拡充
コンテンツ供給の多様化、個人顧客をはじめとする供給先の増加、社内情報ネットワークの複雑化、今日的にますます重要となったコンプライアンス上の要請などにより、安全な社内インフラをはじめとするシステムの強化と災害等に対応したバックアップ体制の強化を図っております。今後もこのような内外の体制を厳格に維持する必要があるため重点的に資本投下を継続してまいります。
⑤ コンテンツ配信における最新テクノロジーの適正な評価
当社のコンテンツ販売にシステム開発や維持は欠かせないものですが、テクノロジーの進化が思わぬ陳腐化や競争力低下を引き起こす可能性があります。当社では、いたずらに新技術を追い求めるのではなく、俯瞰的にこれをとらえ、適時適切に最新テクノロジーを評価した上で設備投資計画を策定、実行すべきと考えております。
⑥ 内部管理体制の強化
当社が業績を回復させるためには、業務運営の効率化や、上場会社及び金融商品取引業者としての法令遵守、リスク管理、IR充実のための内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。このため、今後も業務運営上のリスクを把握してリスク管理を適切に行える体制整備に努め、財務報告に係る内部統制システムの整備をはじめとして、定期的な内部監査の実施によりコンプライアンス体制を強化するとともに、監査役監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実等により、企業としての自浄作用が有効に機能するよう図っていく方針であります。
⑦ 暗号資産・ブロックチェーン事業の拡充、安定化
自社発行の暗号資産フィスココイン(FSCC)の認知度向上を図りつつ、暗号資産分野における新規ビジネスの創造、フィスココイン(FSCC)の価値向上を通じて、当社の企業価値の向上を目指しています。
⑧ シナジー効果の追求
当社は、それぞれの事業の特性や強みを活かし、当社全体の最適化を進めることが重要な課題であると認識しております。今後さらに、顧客に付加価値の高いサービスの提供を可能とするため、当社全体でのシナジー効果を追求し企業価値の増進に努めてまいります。
⑨ グループ会社間のサービスの提供
グループ間でのサービスの提供が拡大するにつれ、その代価の決定に、より客観的な根拠が必要となっております。このため、きめ細かなコスト計算を図るとともに第三者価格などの情報を入手し、合理的な算定根拠を明示して、厳格な承認手続のもとにグループ間の取引を進めてまいります。
⑩ チャイニーズウォールの拡充
当社のみならず、子会社にも内部監査体制を充実させ、フロントランニング行為や利益相反を起こす可能性のあるリスクに備えて組織的な内部監査体制のもとにチャイニーズウォールを拡充する必要があります。
⑪ 関係会社の適時適切な計数管理
子会社の適時適切な会計記録の作成と予算管理が課題となっており、月次報告を基礎とする定期的な計数管理の精度を高めるために当社及び子会社の連携を強化してまいります。
⑫ 全社的な課題
内部統制の運用及びその評価については取締役による検証のほか、一定の計画に従った定期的な内部監査や外部専門家によるチェックを実施しており、継続的に有効な管理体制を維持しております。直近の課題として国際会計基準導入を視野に、全社統制、決算・財務報告プロセスにおける統制及びIT全般統制を整備してまいります。
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