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企業概要

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)経営の基本方針

 当社は、「制約を取り払うことで、自信と勇気を与える。」をパーパス(社会における存在意義)として掲げ、顧客・従業員・社会が抱える制約を取り払うことで、「自信」と「勇気」が満ち溢れる社会を作ることを目的として追求しております。

 当社は会計分野に特化したAIソリューションサービスを提供しておりますが、技術研究を活かしたサービス開発により煩雑で複雑な経理業務を自動化して、導入いただいた企業に、正確で早い会計を実現し、社内リソースを入力や確認といった単純作業から価値の高い戦略的な経理業務へシフトさせることを支援いたします。

(2)中長期的な会社の経営戦略

 基本戦略としては、①情熱を持って取り組める領域としてのエンタープライズの経理DX、②経済的原動力となる顧客単価の高さ、③マーケットシェアでNo.1になれる分野の3つを満たす領域にリソースを集中することとしております。当社は売上500億円以上のエンタープライズを顧客として高いARPAを獲得できていると考えておりますが、今後もターゲットとする市場を細分化し、経営資源を一点に集中して投下することで、マーケットシェアNo.1を目指してまいります。また、経理DX実現のため、下記の成長戦略を実行してまいります。

① 生成AIの研究とサービス化

LLM(Large Language Model)等を活用した生成AIに関連する研究開発をおこない、付加価値の高いサービス開発に努めてまいります。

 現在生成AIの基礎研究に取り組んでおりますが、将来その研究成果を基にした先進的なサービスを構成する要素に関する技術の確立を目指してまいります。既存サービスに関しては、生成AIの活用によるOCR処理の精度向上に取り組んでおりますが、将来はデジタルインボイスから経理業務に関連する情報を生成し会計システム等の登録データに連携する付加価値の高いサービスを目指してまいります。さらに、現在LLMを用いたより高度な照合作業の自動化に取り組んでおりますが、将来は生成AIによる業務自動化サービスや経理業務に必要な意思決定の支援サービスの開発を計画しております。

② 請求書送付サービスの開発

Peppolの請求書送信機能を利用して、エンタープライズ経理の課題の1つである請求書送付作業の削減に寄与してまいります。現在送付機能の開発は完了し、ベータ版の利用が進んでおりますが、将来的には郵送サービスとの連携機能とPDFの請求書をメールで送信する機能の開発に取り組み、買い手の状況に応じた最適な手段での請求書送付及び請求書の送付全体の自動化の実現に努めてまいります。

③ 海外展開

 サービスのグローバル化及び海外展開に向けて、外国籍人材の採用を強化しております。現在エンジニアを対象に採用しておりますが、将来は営業やカスタマーサクセスの人材採用も想定しております。デジタル化に関しては、海外の請求書のフォーマットへの対応を進めてまいります。現在英語の請求書読み取りを行うためのAI学習は完了しております。また、現在提供しているPeppol以外の海外のデジタルインボイスのフォーマットへの対応も計画しております。

(3)経営環境

 当社が提供する会計分野に特化したAIソリューションサービスは、経理DX関連の市場に属していると考えられます。経理DXのみを対象とした市場統計はありませんが、2020年の新型コロナウイルス感染症の流行により、企業のリモートワーク化が促進されました。このような中、経理業務に関してもDXに対する関心が高まり、その市場規模は今後も拡大していくものと考えられます。また日本におけるデジタルインボイスの標準規格としてPeppolが採用され、会計帳票の電子化が進む一方、依然として紙媒体の会計帳票も相当数流通すると想定されることから、今後は紙媒体、電子データの会計帳票が混在し、経理業務がより煩雑化すると考えられます。

 このような状況の中、当社は経理DXの異なる段階ごとのサービス展開を実行・計画しております。デジタイゼーション(Digtization:アナログ・物理データのデジタルデータ化)のために、紙帳票のデジタル化とデータの送受信のサービスを、デジタライゼーション(Digitalization:個別の業務・製造プロセスのデジタル化)のために、経理の業務プロセスを自動化し、効率化するソリューションを提供いたします。

 また、当社はエンタープライズ経理領域におけるソリューション提供にあたり、次の3つの要素を継続することにより、競合優位性を維持することができると考えております。

① AIプロダクトの自社内開発体制

 当社の製品・サービスの根幹となるAIプロダクトは、社内のAIサイエンティストが研究開発すると同時に、自社内で教師データを作成できる30名(2023年12月末時点)の従業員によるアノテーション(注1)体制を構築しており、経理業務の効率化に資するAIプロダクトを数多く開発しております。

② パートナーセールス体制

 当社は、当社の製品・サービスをユーザー企業に販売する代理店である販売パートナーとしてコンサルティングファームやシステムインテグレーターを中心とした企業と再販売契約(注2)を締結し、エンタープライズへのRemota及びRobota導入促進及び共同でのウェビナー開催などによる集客を図っております。また、会計ソフトウエアベンダーをOEMパートナーとして選定し、当該ベンダーの製品にRobotaを組み込む形で中小企業へのサービス提供を行っております。

 このようにパートナーセールス体制を構築した結果、当社は自社発の広告宣伝に依存せずに多様な企業にアプローチでき、サービス導入社数を増やせるビジネスモデルを確立できていると考えており、当事業年度の広告比率(売上高に占める広告宣伝費の割合)は約3.2%にとどまっております。

③ アナログ/デジタル両面の経理帳票への対応

 当社は、2022年8月にデジタル庁よりPeppolサービスプロバイダーとして認定され、2022年10月よりサービス提供しております。今後は、デジタルインボイスの利用も進み、紙、PDF及びデジタルの異なる媒体の請求書利用が混在することが見込まれておりますが、当社のクラウド型AIプラットフォームであるRemotaはこれらの請求書をすべて処理でき、一元管理することができます。

  (注)1.アノテーションとは、AIが学習する教師データを作成するため、画像等のデータに関連する情報を注釈として付与する作業です。

     2.再販売契約とは、当社サービスの利用権を販売できる契約です。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の主な課題は以下のとおりとなります。

① 技術革新への対応

 AI市場においては日々の技術革新が継続しており、当社が属する業界においても新規参入企業が増加しております。このような中、顧客ニーズの多様化に対応するためには、最先端の技術の研究が必要であり、優秀な人材の確保が必要と考えております。

 しかし、優秀な技能を持つ人材の安定的な確保は、同業他社とも競合することから難しい状況となっております。当社としては、国内外を問わず最先端の技術と経験を有する人材を確保するため、引き続きAIトップカンファレンスに論文が採択されるように投稿し、AI市場における知名度向上を図ることで魅力的で存在感のある企業であることを継続的に訴えかけるとともに労働環境や福利厚生の充実にも取り組んでまいります。また社内研修の強化等により人材育成に努めてまいります。

② カスタマーサクセスの重要性

 当社が提供するサービスの内容は、顧客毎の業務プロセスに適応したサービス導入が必要であり、またスキャナ保存制度や電子帳簿保存法等の法令等の改正に伴い顧客のニーズが変化するという特徴があります。そのため顧客ニーズを迅速かつ的確に捉え、より魅力的なサービスを継続的に提供することで解約を未然に防ぎ、また複数サービスの受注により顧客単価向上につながることからカスタマーサクセス(注1)の充実が重要であると考えております。今後も既存顧客等から構成されるユーザー会などを企画運営し、顧客ニーズにマッチしたサービスを提供し続けるための活動を行ってまいります。なお、2023年12月末時点のネットチャーンレート(注2)は△1.3%となっております。

③ OEMパートナーとの関係強化

 当社のOEMパートナーで主要取引先である株式会社ラクス(当事業年度の販売実績128,935千円、販売実績の総販売実績に対する割合10.5%)については、2023年11月末で領収書Robotaの契約期間の満了を迎え、2024年12月期以降の同社への売上が大幅に減少いたします。引き続き同社との他のサービスの契約維持と新規契約に努めて利用促進を図っていく一方、他のOEMパートナーとの連携を強化することで、エンドユーザーに関する情報収集を図り、より利便性の高いサービス開発に努めてまいります。

④ 情報管理体制の強化

 当社はサービスの提供過程において、機密情報や個人情報を取り扱う可能性があり、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。「ISO/IEC 27001:2013(JIS Q 27001:2014)」とISMSクラウドセキュリティ認証スキームに基づき、情報セキュリティ管理責任者を置き、これらを遵守するための社内規程の策定や内部監査体制の整備を行い、アクセス管理など漏洩防止等の対策を講じております。今後も社内教育・研修の実施やシステム整備等を継続して行ってまいります。

⑤ システムの安定性の確保

 当社は顧客に対してインターネットを介したサービスを提供しているため、システムの安定稼働の確保が必要不可欠となっております。そのためアクセスが増加する月末月初は一時的にサーバを増強するとともにサーバ監視システムを導入し突発的なトラブル等が発生しても機動的にサーバを増強できる仕組みを整備することでシステムの安定性を担保しております。定期的にサーバ上でバックアップを行っておりますが、今後は顧客増加に伴うサーバ負荷増大に対応してさらなる安定性確保と効率化に取り組んでまいります。

  (注)1.カスタマーサクセス:製品やサービスを通じて顧客の成功を支援することで、契約を継続してアップセルの実現やチャーンを防止することであります。

     2.ネットチャーンレート:その月に失ったMRRに、既存顧客の利用範囲の拡大や利用枚数の増加によって増えたMRRを考慮したチャーンの比率であります。

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社のAIソリューションサービスはサブスクリプションモデルであることから、企業価値の持続的な向上のためには、新規顧客の獲得に加え、既存顧客の複数サービス導入に伴うARPAの維持・上昇及び契約の更新に伴うグロスチャーンレート(解約率)の低減が重要であり、そのための目標とする経営指標としては、ARPA及びグロスチャーンレートであると考えております。

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