ファナック 【東証プライム:6954】「電気機器」 へ投稿
企業概要
ハードウェア研究開発本部、ソフトウェア研究開発本部、サーボ研究開発本部、ロボット機構研究開発本部、ロボットソフト研究開発本部、ロボットアプリケーション技術本部、ロボドリル研究開発本部、ロボショット研究開発本部、ロボカット研究開発本部では、お客様における製造の自動化と効率化に寄与すべく、高信頼性を基本に、性能の向上や使いやすさを追求した競争力の高い様々な新商品、新機能を開発し、市場に投入しました。
次世代技術研究所では、当社商品に適用される次世代要素技術などの研究開発を行っております。
IoTにつきましては、接続されている機器からデータを集め、使いやすい形に整理・整頓・統合するデータ基盤である「FIELD system Basic Package」を強化しました。CNCおよびロボットデータの取得やバックアップ機能を強化し、当社商品とより高度な連携ができるようになりました。また、複数の「FIELD system Basic Package」を連結させることでこれまで以上に多くの機器のデータを統合できるようになりました。「FIELD system Basic Package」は製造現場のデータを安全に効率良く活用・分析することで、設備の稼働率向上や製造物に対するトレーサビリティの保存、脱炭素化への取り組みなど、製造現場および工場全体の最適化に寄与します。ロボットについては、ZDTのIoT技術により、国をまたいで複数の工場に設置されているロボットをネットワークで接続し、故障予知や異常検出を実現しています。これにより、ユーザは故障前に保守を行うことで稼働を維持できます。現在、世界で35,000台のロボットがZDTに接続され、すでに2,000件以上のダウンタイムを防止しました。2023年度は特にスポット溶接やアーク溶接等のプロセスに関する診断と長期ログ機能を充実させました。また、稼働情報をZDTが分析し、生産ラインに並ぶロボットの保守優先度を表示する新機能を開発しました。この新機能により、人手不足に悩む設備保全作業を効率化できます。ZDTにより、ロボットで自動化された生産ラインの稼働率向上に貢献します。
AIにつきましては、FA・ロボット・ロボマシンの全商品群において、より実用的なAI機能の開発を推進しています。各研究開発本部では、新たなAI機能の開発と、これまでにリリースしたAI機能の改良や適用機種の拡大に取り組んでいます。次世代技術研究所では、将来への布石となる基礎的なAI機能の研究を行うとともに、AI機能の品質を保証する仕組み作りやAI機能が出力した結果の解釈性向上にも取り組んでいます。このようなAI技術に関する取り組みにより、競合他社との差別化を図ります。
当連結会計年度の研究開発費は、49,813百万円となっております。
当連結会計年度における新商品の主な成果は以下のとおりです。
CNCにつきましては、変化する市場要求に対応する当社の新CNCシリーズ「ファナック シリーズ 500i-A」をリリースしました。ハードウェアとソフトウェアを全面的にリニューアルしたCNCです。マルチコアCPUにより大幅に向上した処理性能、5軸加工機や複合加工機における段取りやプログラミングの使いやすさ向上、保守性に優れた筐体構造、CNCのデータやサーボモータの回転位置情報を保持するためのバッテリを不要とする新システムの採用、加工現場の作業に寄り添った操作画面、セキュリティや安全機能の向上等、工作機械に更なる付加価値を提供します。また、幅広く工作機械に採用いただいている「ファナック シリーズ 0i-F Plus」につきましても新CPUを搭載して更なる基本性能の向上を行い、サイクルタイム短縮に寄与する機能追加も行いました。サーボにつきましては、サーボシステム全体を刷新した「ファナック αi-Dシリーズ サーボ」をリリースしました。省エネルギー、性能、信頼性、使いやすさの観点で大きなレベルアップを図っています。
ロボットにつきましては、世界で初めてセキュリティ国際規格IEC62443-4-1、4-2の第三者認証を取得したロボット制御装置「ファナック R-50iA 制御装置」の販売を開始しました。セキュリティ認証を取得した安全性のもと、ZDT(ゼロダウンタイム)といったIoT商品の更なる拡張、携帯電話のテザリングを使ったリモート保守などを実現します。また、制御性能を強化することで、軌跡上の信号出力やトラッキング精度を倍増させるとともに、内蔵ビジョンの解像度も500万画素に上げて広視野をカバーします。さらには低損失パワー素子を搭載した新型アンプと低消費電力ファン、新機能のエコモードにより、消費電力を削減しました。
ロボットの新機種としては、重可搬ロボット「ファナック ロボット M-950iA/500」、中型ロボット「ファナック ロボット M-710iDシリーズ」、食品・医薬品製造向けのスカラロボットおよび協働ロボットを開発しました。500kg可搬の「M-950iA/500」は、アーム1本のシリアルリンク構造を採用することにより、アーム2本の平行リンクタイプに比べて、動作範囲が圧倒的に広く、ロボット旋回時の干渉も小さくできるため、狭い場所でも柔軟な設備を構築可能です。長大ワークの搬送に加え、バッテリなど重量部品の搬送に適しています。
また、「ファナック ロボット M-710iCシリーズ」を17年ぶりにリニューアルし、「M-710iC/45M」の後継モデルとして50kg可搬の「M-710iD/50M」、「M-710iC/70」の後継モデルとして70kg可搬の「M-710iD/70」を開発しました。動作性能の強化に加えて、防塵防滴性能や剛性をレベルアップさせており、工作機械への部品供給や搬送、物流など幅広い産業分野に活用いただけます。
さらに、協働ロボット「ファナック ロボット CRXシリーズ(CRX-5iA、CRX-20iA/L、CRX-30iA)」の食品グリース仕様、およびクリーン環境仕様の12kg可搬スカラロボット「ファナック ロボット SR-12iA/C」を開発しました。専用機や人手作業の多い食品・医薬品製造業界において、ロボット導入の切り口となることが期待されます。
これらをはじめとする新商品、新機能により、お客様の製造現場の自動化に貢献します。
ロボドリル(小型切削加工機)、ロボショット(電動射出成形機)およびロボカット(ワイヤ放電加工機)につきましては、ロボドリルでは「ファナック ロボドリル α-DiB Plusシリーズ」のY軸ストローク500㎜仕様、工具収納本数28本仕様、旋削加工に対応可能な高速回転テーブルを開発し、ロボドリルの適用範囲を拡げ、使いやすさを向上させました。ロボショットでは「ファナック ロボショット α-SiBシリーズ」に型締力15トンと450トンの2機種を追加し、ラインナップを完成しました。ロボカットでは大型のワイヤ放電加工機「ファナック ロボカット α-C800iC」を開発しました。これにより、大型の高精度金型や部品など、幅広い加工への対応が可能になりました。
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