ピープル 【東証スタンダード:7865】「その他製品」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針及び目標とする経営指標等
<パーパス>
― 子どもの好奇心が、はじける瞬間をつくりたい!―
・私達の目は、子どもの関心を見逃さないために
・耳は、子どもの本音をじっくり聴くために
・頭は、子どもの表にでない欲求を探るために
・手足は、子どもの好奇心がはじける瞬間を実現するために
・心は、子どもの未来を想像するために
先の予測が難しい環境においては、柔軟に行動変容する事が大切と考えています。先の行動をお約束するのではなく、このパーパスに沿って行動する日々の様子を紹介していく場を設け、企業変革へ向かう様子をありのままに発信する「ピートラ(ピープルトランスフォーメーションの略)」を、当社ホームページから辿れるnoteを利用し発信しております。
(2024年1月期の経営指標)
2022年より上記パーパスの制定に伴い、新たなるパーパスに沿って新事業分野へリソースを集中し取組んでいくため、目標とする経営指標について、これまでの「売上高営業利益率10%以上」を廃止し、「ROE(自己資本利益率)」を指標とすることへ改めております。
これは、これまでの当期の営業利益率という短期の目標を置いた経営から、中長期的な視点に基づき企業価値の向上と持続的な成長を図れる経営へとシフトすることを目的としております。自己資本を積極的に有効活用し、より将来に事業が伸びていく、質の高い収益体質の獲得を図っております。
そのための当社の経営指標は「ROE」とし、毎期、ROE10%以上出すことを目標としております。
(2)事業別課題
(第47期(2024年1月期)の振り返り)
当期は、以下のような取り組みを実行して参りました。
1. 短期的で即効性のある対策
・バリューアッププロジェクトと称し、各商品の値上げと付加価値創造のためのプロモーションを積極的に行い、粗利益率の改善に努めました。
・低迷する玩具市場においても、強い需要があり、また収益性も高い商品群「ピタゴラス」「ねじハピ」各シリーズにおいて新商品を展開しました。結果として、これらの新商品のヒットがロングセラー商品終了による売上減を一部カバーし、粗利益率改善に貢献しました。
・Magna-Tilesシリーズはバリューチェーンの中にディストリビューター等数社が入るため利益率は低くならざるを得ない状況でしたが、ディストリビューターの意向により、当社のIPがすでに期限切れとなっているシリーズについての取引が終了したため、売上高は低下したものの当社全体としての利益率は改善されました。
2. 中期的な施策
・社内における意思決定をスピーディに行い、新商品プロジェクトを加速するため、新商品の開発にかかる権限を各プロジェクトリーダーに移譲することを目的とする「予算申告制度」を策定し実行しました。
・商品の価値を高める企業ブランディングとして、広報活動に力を入れ、「おもちゃとジェンダー」などのテーマで複数メディアに掲載される実績をつくりました。
・新商品開発にリソースを集中するため、収益性が低く将来性を期待できないロングセラーカテゴリー(「ぽぽちゃん」を始め複数のシリーズ)を終了させました。
・パーパス実現に向けた従業員のモチベーションを向上させるため、人事評価と査定のしくみを「年功序列型」から「成果主義型」へと変更しました。
・社内の新商品開発コンペ「P-1グランプリ」の実施などを通じて、2025年の好奇心事業スタートに向けて8つの新商品プロジェクトを開始しました。
結果として47期の業績は、売上高は減少したものの、粗利益率は6.3%改善し、目標指標のROE10%以上の達成を果すことができました。
(第48期(2025年1月期)の課題)
最大の課題は、当社海外販売の大半を占める「Magna-Tiles」の販売契約変更により、売上高の大幅に減少することが見込まれることへの対応です。
Magna-Tilesのビジネスは大きな売上をもたらしていたものの、これまでもお伝えしてきた通り、当社の利益率の低下の原因となっていたため、ディストリビューターと協議を重ねてきましたが、方針に関する溝を埋めることができず、この契約変更に同意しました。
<Magna-Tilesのリスク>
前提:日本での商品名「ピタゴラス」シリーズは当社の開発した商品シリーズですが、米国での販売スタートの際、契約したディストリビューターは、米国で「Magna-Tiles」の商標を取得し現在に至っており、「Magna-Tiles」の販売に関する方針の主導権は先方が有しており、このビジネスは実質的に当社がOEM製品を製造販売する形となっています。2020年頃より、先方の世代交代による薄利多売路線への方針変更があり、先方は、当社ではなく、別の格安工場への発注し始めておりました。
上記のとおり、「Magna-Tiles」については常に販売店主導でコストアップと販売価格値下げ両方の要求に晒されており、現状でも利益率が国内販売と比べて低いにもかかわらず、このまま取引を継続すると、今後さらに薄利になることが想定されておりました。
このようにOEMという当社の強みを活かせないビジネスモデルであるにもかかわらず、当社における売上額シェアが大きいことから、その継続のために社内で大きなリソースを割き続けることが必要な状況が続いておりました。
<契約変更について>
2024年1月以降、「Magna-Tiles」はディストリビューターと生産工場との直接取引となり、当社は当社が保有するIPのロイヤリティ収入を得る形に変更になります。当社には、これまで大きくリソースを割いていた新商品開発や中間手配の業務がなくなること、また会社売上全体の粗利益率が改善されることの2つのメリットがある一方、売上高が大幅に減少するというデメリットが発生します。
第48期内に行う短期的な対策
① 国内販売の強化
現在、健全な利益率が確保されており、販売の主力商品シリーズである「やりたい放題」、「ピタゴラス」、「ねじハピ」の3シリーズにリソースを集中させ、シリーズからヒット商品を生み出すためコンスタントな新商品ローンチを行うよう努めます。
②「ピタゴラス」シリーズのアジア進出
新たな海外販路の拡大のため、まずは主力商品「ピタゴラス」シリーズのアジアの各国(中国を除く)における販売を強化します。
③ 収益性の改善
重点商品以外の商品への投資、コストがかかり成果の期待できない米国・中国での積極的な販売活動を中止し、設備投資計画を見直します。また、商品について、適切な範囲で継続的な値上げを検討します。
④ IR活動の強化
株主の皆様と、今後株主となっていただける方との対話の場を増やし、現在進行中の活動および今後の計画について継続的に報告していくことを検討しています。
中期的な施策
これまでと同様、2025年春の「好奇心事業」ローンチを目指し、これをきっかけに、根本的な収益性の改善をした上で、新たな成長に向かうビジネスモデルを確立する計画を進行していきます。
「子どもの好奇心が、はじける瞬間をつくりたい」のパーパスは、当社のコアコンピタンスである“まだ上手く言語化ができない子どもの好奇心(本能や本音)を発見する視点”と“見つけた好奇心をトライ&エラーを繰り返し商品化するノウハウ”の2つを活かした商品開発に注力することで、新しい市場を継続的に生み出して高付加価値の商品をユーザーにお届けして、ステークホルダー五方良しを実現することを目指しています。
そのため2024年(第48期)は
① 8つの新商品プロジェクトをブラッシュアップと選定をしながら、2025年以降新商品を継続的にローンチできるよう計画を進行します。
② 広報活動を強化し、当社の子どもを中心とした商品開発や「おもちゃとジェンダー」などの活動を、メディアを通じてお伝えし、当社と商品のブランド価値を高めて行きます。
③ 意思決定のスピードアップのため、組織の合理化、評価・査定制度のブラッシュアップ、業務効率化を継続的に行います。
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