ピアラ 【東証スタンダード:7044】「サービス業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「全てがWINの世界を創る」を経営理念とし、以下を「Win-Winの5つの約束」として掲げております。
①クライアントのために、お互いの利益増幅を最適化
②サービスとエンドユーザーのWinな関係
③組織の中のWinな関係
④会社と社員が相互Happyな関係
⑤自己と周りの相互Winな関係
この経営理念のもと、「Smart Marketing for Your Life」をビジョンとし、テクノロジーによる最適化だけでなく、人々の生活をいかに豊かに幸せにできるかを考え、人に寄り添う「マーケティングイノベーション」を起こすことで、「すべての人に価値ある体験を創りつづける」というミッションを達成してまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが重視している経営指標は、当社が事業の拡大及び収益性の向上を特に表す指標と考えている営業利益、営業利益率であります。
中期的な事業拡大と収益率向上により企業価値の向上と株主価値の向上を図ってまいります。
(3)経営環境及び中長期的な経営戦略
当社グループは、主要な事業領域をヘルスケア&ビューティ及び食品市場とし、ECにおけるマーケティング支援を提供してまいりました。ヘルスケア&ビューティ及び食品市場は、景気の影響を受けにくく、加えてシニア人口の増加に伴う、セルフメディケーション(ヘルスケア)、アンチエイジングといった健康・美容志向の高まりなどを受け、拡大傾向にあります。国内EC市場規模は2020年20兆円から2026年には29兆円に拡大(「ITナビゲーター2021年版」発表データ)、世界の越境EC市場規模は2020年0.9兆ドルから2027年には4.8兆ドルに拡大することが予想(「ZION Market Research」発表データ)され、必然的にマーケティングコストの拡充も見込まれるため、当社グループは当市場を主要な事業領域と設定しておりました。
しかしながら、当社グループの主要な事業領域であるヘルスケア&ビューティ及び食品市場においては、景表法・薬機法等の規制が厳しくなるだけでなく、媒体側での審査も厳しさを増しており、今までであれば可能であった広告表現や法的に問題がないクリエイティブにも規制が入るようになり、違反広告が淘汰される一方で、広告効率の悪化が見られました。また、CPC(クリック単価)の高騰や、Cookie規制によるリターゲティング広告の減少により、Webマーケティング広告は粗利率の低下を余儀なくされ、当社グループの取引先である化粧品等を取扱うD2C企業においても、広告効率の悪化等により収益の停滞が見られました。
このような状況下において、当社グループは「全てがWINの世界を創る」という経営理念のもと、「Smart Marketing For Your Life」をビジョンに、クライアントのオールデータパートナーとなるべく、ヘルスケア&ビューティ及び食品市場の通販DX事業を軸に、事業開発から商品開発、インフラ整備、ブランディング、オンライン・オフラインでの新規顧客の獲得から既存顧客の育成等を、一気通貫の専門ソリューションとして提供してまいりました。また、2023年3月28日付で「新中期経営計画 2023年~2025年」を公表しました。2023年12月期からを第3創業期と位置づけ、「通販DX事業」「マーケティングDX事業(異業種展開)」「自社事業(新規事業)」の3軸からなる成長戦略のもと、ブランド価値創造企業として、さらなる成長を目指してまいります。
①通販DX事業
当社グループでは、前述の規制強化やCPC(クリック単価)の高騰等により、取引先における予算縮小が継続的に続く中で、いままで主力であったWebでの顧客獲得施策である「KPI保証サービス」から、ブランディング広告やTVCM等にも事業領域を拡大し、オンライン・オフラインのデータを一気通貫で分析し広告効果を効率化します。分析環境の構築を実施しつつ、サービス別ではオフライン広告とWebを連動するサービス「オフラインDX」、SNS上での発話量を増加させることでコストを抑えることができる「SNSellマーケティング」、ミドルファネル施策、インフルエンサー施策、LINEマーケティング施策等に注力しており、Web中心の施策だけでなく、幅広い施策を展開することで、消費者の商品への理解・関心を促進し、クライアントと当社グループの成長及び消費者への価値ある体験の提供を目指します。
②マーケティングDX事業(異業種展開)
「通販DX事業」では、サービス毎に提供・分析が可能であることから、「マーケティングDX事業」として、異業種への展開を推進しております。ヘルスケア&ビューティ及び食品市場から異業種に展開することで、市場環境の変化に影響されないビジネスモデルを構築してまいります。
また、ヘルスケア&ビューティ及び食品市場のマーケティングは異業種と比較し高速PDCAが実施されており、そのスピード感が優位性となります。加えて当社グループが今まで培ってきたダイレクトマーケティングのノウハウ、高い分析力を強みとして、異業種に展開し、当社グループの2つ目の軸として安定成長を引き続き目指してまいります。
③自社事業(新規事業)
新規事業としては、エンターテイメントDX事業及びP2C事業を開始しております。今後も新たな分野へ積極的に投資することで、新たな収益源の確保を目指します。当社のノウハウや知見を活かすことのできる分野を常に模索し、粗利率の高いビジネスモデルを確立することで、収益性の向上を目指します。
以上の3軸に注力することで、再成長を目指してまいります。
経営者の問題認識につきましては、「(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループにおきましては、以下の点を主な経営課題と認識しております。
①グループシナジーの更なる追求
ヘルスケア&ビューティ及び食品市場と、その事業領域におけるマーケティングに関連するテクノロジー市場は、環境変化の激しい状況が続くと見込んでおります。当社グループはアジアにおけるEC支援を行う比智(杭州)商貿有限公司、主に「RESULTシリーズ」の開発保守を行うPIATEC(Thailand) Co., Ltd.、主にコールセンター業務を行う株式会社PIALab.、主に越境EC事業に伴う輸入請負販売代行、物流支援、貿易業務、広告業務を行う台灣比智商貿股份有限公司、CHANNEL J (THAILAND)Co., Ltd.、PG-Trading(Vietnam)Co., Ltd.、ファンドを運営し、同領域のD2C企業や通販企業を対象に投資を行う株式会社ピアラベンチャーズ、投資業務を行うピアラベンチャーズ1号投資事業有限責任組合、D2C・P2Cの企画、販売及びサポート業務を行う株式会社P2C、デジタルプロモーションや人材紹介、フリーランスマッチ業務等を行うone move株式会社の10社により構成されております。 当社グループは、グループ各社が自律的な意思決定を行うことで、スピード感のある事業運営を実現しております。併せて、同領域において、データを中心としたEC向けマーケティングテックにおける競争力の強化を主軸に、アジア市場に向けてのEC支援事業の展開及びマーケティングテックの開発にあたり、更なるシナジーを創出し、当社グループのもつ経営資源の効率的な活用を推進してまいります。
②既存事業の安定成長
当社グループの主要な事業領域であるヘルスケア&ビューティ及び食品市場においては、景表法・薬機法等の規制が厳しくなるだけでなく、媒体側での審査も厳しさを増しており、今までであれば可能であった広告表現や法的に問題がないクリエイティブにも規制が入るようになり、違反広告が淘汰される一方で、広告効率の悪化が見られます。また、CPC(クリック単価)の高騰や、Cookie規制によるリターゲティング広告の減少により、Webマーケティング広告は粗利率の低下を余儀なくされ、当社グループの主要取引先である化粧品等を取扱うD2C企業においても、広告効率の悪化等により収益の停滞が見られました。今後はAI等を活用した広告効率の向上だけでなく、one move株式会社とのSNSell戦略強化及びナレシェア(KPI保証サービス)強化を図ることで取引社数を増加させ、主要取引先に依存しない収益構造を構築し、安定的な収益を創出してまいります。
③事業領域の拡大
当社グループは主力である「通販DX事業」に注力しており、これはいままで主力であったWebでの顧客獲得施策である「KPI保証サービス」から、ブランディング広告やTVCM等にも事業領域を拡大し、オンライン・オフラインのデータを一気通貫で分析し広告効果を効率化します。分析環境の構築を実施しつつ、サービス別ではオフライン広告とWebを連動するサービス「オフラインDX」、ミドルファネル施策、インフルエンサー施策、LINEマーケティング施策に注力いたしました。また、「通販DX事業」の他に、当社グループがこれまで培ってきたダイレクトマーケティングのノウハウを異業種へと横展開する「マーケティングDX事業」、自社で行うP2C事業やエンタメDX事業等の「新規事業」など、事業領域の拡大を行ってまいりました。既存事業だけでなく新たな事業領域に拡大することで安定的な収益構造を構築できるだけでなく、各事業の成長効果を期待できると考えており、引き続き推進してまいります。
④異業種への展開
当社グループは、ヘルスケア&ビューティ及び食品市場を中心にサービスを提供してまいりましたが、通販DXサービスは、サービス毎に提供・分析が可能であることから、「マーケティングDX」サービスとして、異業種への展開を推進してまいりました。ヘルスケア&ビューティ及び食品市場のマーケティングは異業種と比較し高速PDCAが実施されており、そのスピード感が優位性となります。また、当社グループが今まで培ってきたダイレクトマーケティングのノウハウ、高い分析力は異業種においても強みとなっており、取引社数は順調に増加しております。今後は、取引社数の増加を続けながら、クロスセル受注を積極的に推進し、顧客単価の向上を目指すことで安定的な収益の確保を目指してまいります。
⑤新規事業投資
当社グループは、さらなる成長を目指すため新規事業に積極的に投資しております。新規事業としては、自社で行うエンタメDX事業及びP2C事業を展開しており、エンタメDX事業では自社IP領域への拡大、P2C事業では複数ブランドの展開を行い、徐々に拡大を続けております。引き続き当社グループの知見を活かし、収益の拡大を目指してまいります。
⑥収益性の更なる向上
当社グループは、「KPI保証サービス」を中心に成長してまいりましたが、今後は、事業領域を拡大した「通販DX事業」、異業種への展開を推進する「マーケティングDX事業」、「新規事業」の3軸からなる成長戦略のもと、ブランド価値創造企業として安定的な収益を確保し、持続可能な成長を目指してまいります。
⑦優秀な人材の確保
当社グループは、更なる事業拡大を実現していく上で、優秀な人材の確保が必要不可欠であると認識しております。このため、即戦力となる人材確保を目的とした中途採用及び将来を担う社員の育成と組織の活性化を目的とした新卒採用を積極的に行ってまいります。
また、事業状況に合わせ、年齢や国籍等に制限なく、高いスキルや潜在的な能力を持つ人材を積極的に登用してまいります。
⑧情報セキュリティ体制の更なる整備
当社グループは、顧客と取引を行うにあたり、顧客情報、個人情報及び営業機密等の機密情報を取り扱うことがあります。
情報セキュリティ体制の整備を引き続き推進していくとともに、情報の取り扱いに関する社内規程の適切な運用、役職員の機密情報リテラシーの向上、役職員による機密情報の取り扱いに関する内部監査等を通じ、情報セキュリティ体制の強化を図ってまいります。
⑨内部管理体制の強化
当社グループは、急速な事業環境の変化に適応し、継続的な成長を維持していくために、内部管理体制の強化が重要であると認識しております。このため、事業規模や成長ステージに合わせバックオフィス機能を拡充していくとともに、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。具体的には、事業運営上のリスク管理や定期的な内部監査の実施によるコンプライアンス体制の強化、社外役員の登用・監査役監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実及び経営管理のDX化を進めることで迅速かつ適切な経営判断を行ってまいります。
⑩システムの安定性の確保
当社グループは、インターネット上で顧客にサービスを提供しており、安定した事業運営を行うにあたり、国内外での市場シェア拡大や新規プロダクトの提供、サーバー設備の増強や負荷分散システムの導入等が必要不可欠であると認識しております。今後も、中長期的な視点から設備投資を行い、システムの安定稼働及びセキュリティ管理体制の維持構築に取り組んでまいります。
⑪継続企業の前提に関する事項
当社グループは、前連結会計年度まで2期連続で営業損失を計上し、当連結会計年度においても営業損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況が発生していると認識しております。
これは主に、景表法・薬機法の規制等による広告効率の悪化や、ロックダウンの長期化及びALPS処理水による風評被害等に起因する中国を始めとする子会社の不調によるものであります。このような状況の下、当社グループでは成果報酬での「KPI保証サービス」からサービスを拡張した「通販DX事業」、異業種へのサービスを展開する「マーケティングDX事業」、「新規事業」の3軸で再成長を図るべく、社内リソースの適材配置等を実施しております。
「通販DX事業」ではブランディング広告やTVCM、インフルエンサー施策等、従来であれば効果測定が難しかった施策に対し、クライアント独自のDMPを構築し「PIALA INTELLIGENCE」と連携することで、可視化・分析が可能となります。TVCM効果を可視化するサービス「CM-UP」や、オフライン広告とWebを連動する「オフラインDXサービス」、ミドルファネル施策、インフルエンサー施策、LINEマーケティング施策、公式SNSアカウント運用、インフォマーシャル等のサービスを提供し、これらのデータを一気通貫で可視化・分析します。これらのサービスにより、消費者にクライアント商品を認知させ、興味・関心を促進することで、新規顧客の獲得を促すことが可能となり、各種施策を相関分析することでマーケティング全体を最適化することができます。Webを中心としたKPI保証サービスを通じた新規顧客の獲得や既存顧客の育成の効率も、これら施策と組み合わせることで相乗効果を期待することができます。
また、ヘルスケア&ビューティ及び食品市場を中心にこれらのサービスを提供してきたものを異業種展開する「マーケティングDX事業」は、人材や金融、不動産、美容健康などの店舗等の高額商材を取り扱う市場を中心にニーズが高まっております。ヘルスケア&ビューティ及び食品市場のマーケティングは異業種と比較し高速PDCAが実施されており、そのスピード感が優位性となります。また当社が今まで培ってきたダイレクトマーケティングのノウハウや高い分析力が強みとなり、受注は堅調に推移しております。
3軸目である「新規事業」につきましては、エンタメDX事業や子会社である株式会社P2Cで行うD2C・P2C支援事業を中心に新たな収益を確立するための事業として注力しております。
また財務面では、取引銀行との当座貸越契約等により必要な運転資金を確保しており、金融機関とも緊密な関係を維持していることから資金繰りの懸念は無いものと考えております。
以上のことから、現時点で当社グループにおいて、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
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