ビーイングホールディングス 【東証スタンダード:9145】「陸運業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「-BEING-存在しつづける」を企業理念に掲げ、「会社をつくる。人間をつくる。社会をつくる。」という経営目的のもと、時代や文明とともに進化するロジスティクス事業を探求し、時代にあわせた社会インフラの提供を通じて、企業、さらには社会システムのイノベーションを起こすような『リアルロジスティクス』の体現を目指してまいります。
マーケティングコンセプトとしては、「ロジスティクスのプロフェッショナルたれ」「必要を発見し、本質を発見する」「価値あるものしか、価格はつけない」の3つを掲げております。ロジスティクス事業を通し、社会インフラを支え、経済のライフラインを担うプロとして、お客様の真の問題を発見し、お客様にとって価値のあるサービスだけを提供できるよう、最善を尽くします。また、マネジメントコンセプトとして、「雇用は最大の社会貢献」を掲げ、雇用をすることが社会貢献の始まりと捉え、誰もが働ける企業グループとして雇用を守り抜くことを命題とし、人が仕事する場所を安易に奪うことのないように、最大限の努力を惜しまないことを約束しております。
(2)経営環境
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症に移行したことで、経済活動正常化に向けた動きが一段と加速する一方、物価上昇が継続するなど景気の先行き不透明な状況が続いております。また、物流業界においては、極めて多層的なピラミッド型の業界構造が形成されているのが特徴で、単純な輸送サービスのみでの生き残りは厳しい状況にあり、今後は事業者の淘汰が進む可能性が高いとみられております。
一方、近年ではこのような物流業界の現状を背景にして大きな変革の動きも見られています。まず、物流の需要者側の変化として、ネット通販市場の拡大や単身世帯の増加等による消費者の購買スタイルの変化に伴い、小口・多頻度の輸送ニーズが高まっております。また、物流の供給者側の変化として、小売業等の荷主企業は、店舗網の拡大や店舗運営の効率性向上のため、商品保管機能や輸配送機能の高度化を進めており、物流事業者においても大量の配送物を短期間で処理するための物流施設や保管・流通加工機能を備えた物流施設等の新設が増加しております。
このように、物流に関するニーズの多様化・高度化やインフラの整備が進む中で、当社グループの主軸事業である3PL事業の重要性は年々高まっており、その市場規模は3兆円を超える水準まで拡大しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは中長期的な安定した成長を遂げるため、「卸売業者の持つ物流センターの下請業者」から「卸売・小売業者向けの3PL事業者」への移行を進め、1:1の部分最適な物流ではなく、1:Nの全体最適な消費者向けの物流サービスの提供を展開してまいります。
また、当社グループの強みである拠点間物流を合理化するサプライチェーンの全体デザイン力をさらに拡充する技術・システム開発を推進し、モノを運ぶだけでなく、モノに関する様々なデータを収集・管理・分析し、サプライチェーンに携わる事業者同士を繫げ、クラウド上で管理する『データネットワークセンター』を構築し、当社グループの用意したDX(注1)プラットフォームを同業他社へと提供する、『小売ビジネスの物流プラットフォーマー』を目指します。
その中で、技術面とビジネスモデル面の研究開発を重要課題と捉え、AIやIoTを使った省力化設備や高生産性・高品質の業務フロー等の技術面及びDtoC(注2)、オムニチャネルに対応する物流ビジネスの研究開発に取り組んでまいります。
(注1)「DX」(Digital transformation)とは、デジタルトランスフォーメーションの略であり、「デジタル技術が進化し、人々の生活をより豊かにする」ことを指します。
(注2)「DtoC」(Direct to Consumer)とは、製造者が直接消費者と取引を行うビジネスを指します。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、上記のような経営戦略に基づき、小売・卸売事業者向けの3PL事業に注力し、顧客数拡大と事業エリア拡大を進め、データネットワークセンター実現に向けた技術面・ビジネスモデル面の変革に取り組んでまいります。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては次の3点を掲げております。
① 顧客数・・・顧客数の増加による事業の拡大を進めてまいります。
② 拠点数・・・拠点数の増加による事業の拡大を進めてまいります。
③ 輸送力・・・協力会社を含むグループ全体の取扱車両数の拡大を進めてまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループを取り巻く経営環境は、国内外における政治・経済情勢の変動等の懸念が払拭されておらず、今後も先行きの不透明感から積極的な投資が抑えられ、景気の膠着状態が続くものと思われます。また、少子高齢化による労働人口の減少、長時間労働や働き方等の労働問題、自動運転、AI、IT化・グローバル化による商流の変化や異業種からの物流参入など、時代の流れを捉えて早々に対応すべき大きな課題であると考えております。
このような状況のもと、当社グループは、将来的な物流事業者の在り方を見据えた経営資源の選択と集中による効率化・合理化を図ってまいります。今後、当社グループが対処すべき課題として、成長率の確保、収益率の向上、技術革新への対応、人財の育成、持続可能な社会の実現、物流業界の2024年問題への対応を掲げており、その取組については次のとおりであります。
① 成長率の確保
3PL業界は成長市場であり、物流の2024年問題への対応をはじめ、持続可能な物流網の構築が課題となっております。そのような中、当社グループ独自のビジネスモデル「運ばない物流」を推進し、新規獲得により既存エリア内の受託業務の拡大及び既存顧客内の当社シェアアップに注力し、関東から全国への展開を見据えた物流基盤の拡大を推進いたします。引き続き、年間4~8の新規業務開始を目標としてさらなる成長率の確保に努めてまいります。
② 収益率の向上
資源エネルギーの高騰により燃料費や光熱費の高止まり、賃金や外注費単価の引き上げなど、物流原価の上昇が続いております。そのような中、当社グループは自社開発の物流総合システム「Jobs」による物流DX化を推進し、各種物流データの蓄積・分析を進め、生産性向上を向上させ、予想される物量に対して適正な人員配置や配送コースを合理化するなど、原価コントロールの徹底により、収益率を向上させております。今後についても「Jobs」を活用した更なる生産性向上、原価コントロールの徹底を継続し、収益率の向上に努めてまいります。
③ 技術革新への対応
AI、IoT、自動運転等、物流業界を取り巻く環境は、ドラスティックな転換期を迎えており、時代を見据えた明確な成長戦略と先行投資が必要になると考えております。そのために、新しい技術を積極的に導入し、更なる機能拡充に努め、ロジスティクスの新しい価値を創造してまいります。
また、小ロット多頻度化する物流に対応していくためには、在庫管理を全体最適化することが不可欠であると考えております。各エリアで消費される物資のデータを蓄積し、分析に基づいた消費データによる「在庫モデル」をもとに、詳細に予測された地域在庫を管理する体制を構築することにより、小ロットの輸送コストの削減及び分散された労働力の集約を図ることが可能と考えており、実現化に向けてしくみを構築してまいります。
④ 人財の育成
将来の人財確保のために、多様化する従業員のやりがいに応える取り組みや制度を導入するとともに、当社グループの強みである現場力や物流品質の向上及び生産性の向上にプラスに働くしくみを構築してまいります。人財育成においては、集合研修及びオンライン研修の実施、eラーニングなど、育成環境の整備を進めております。育成内容につきましては、多様なスキルアップをはじめ、マネジメントなどの業務に関連したものに加え、リスク・コンプライアンスや従業員の自立や成長を促す教育プログラムを実施しております。
⑤ 持続可能な社会の実現
当社グループでは、気候変動問題を重要な社会課題ととらえており、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを進めてまいります。対象は直接排出となるScope1、他社から供給されたエネルギーの使用に伴う間接排出となるScope2としております。2030年度の到達目標は、世界環境や市場動向も確認し、同じくScope1,2を対象に2019年比48%削減といたしました。当社グループらしいイノベイティブな取り組みを進め目標の達成を目指してまいります。今後、TCFDに基づく情報開示も進めてまいります。
⑥ 物流業界の2024年問題への対応
物流業界の2024年問題といわれている、ドライバーの時間外労働時間規制において、当社グループでは、2019年より上限時間の段階的引き下げを実施し、ドライバーの労働時間管理体制を強化しております。2023年10月よりさらに一歩進めて月間時間外労働時間75時間以内を目標として取り組んでおります。今後も段階的に時間外労働時間削減を進め、将来的には年間720時間以内(月間時間外労働時間60時間以内)を目指してまいります。
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