ヒューリック 【東証プライム:3003】「不動産業」 へ投稿
企業概要
(1)経営方針
当社グループは、以下の企業理念及びサステナビリティビジョンのもと、持続可能な社会の実現と企業としての継続的な成長を目指し、あらゆるステークホルダーの信頼を得られるよう努力してまいります。
(2)経営環境及び優先的に対処すべき課題
今後の経済環境の見通しにつきましては、景気回復の動きは継続するものの、金融資本市場の変化や、物価上昇圧力、人手不足の深刻化などによる先行き不透明な状況が続くものと予想しています。
また、不動産事業環境におきましては、日銀の金融正常化に向けた動きはあるものの、急速な引き締めを直ちに懸念する状況にはないことが想定されるため、収益不動産の投資市場は引き続き堅調に推移すると考えております。
こうした環境のもと、当社グループは、2023年度から中長期経営計画(2020-2029)のフェーズⅡに位置する新中期経営計画(2023-2025)をスタートさせ、①高品質の賃貸ポートフォリオ構築と柔軟な収益構造を維持・強化、②開発・建替、バリューアッド物件のパイプライン充実。出口を多様化して確実に収益化、③新規事業領域の取組み強化による収益源の多様化、④格付水準の維持を目線とした財務健全性の確保とリスク管理、⑤環境対応、人的資本育成対応などサステナブル経営の一層の深化、の5点を「対処すべき課題」と捉え、更なるレベルアップをはかってまいります。
そのために、それぞれの課題に対して、主に以下の戦略に取り組んでまいります。
①高品質の賃貸ポートフォリオ構築と柔軟な収益構造を維持・強化
当社グループの中核事業は、東京23区の駅近を中心に保有する不動産の不動産賃貸事業であり、本事業をベースとした「安定性」と「効率性」を両立したビジネスモデルの進化をはかりながら、環境変化に柔軟に対応した収益構造を維持・強化してまいります。
当社グループの所有物件は、駅近の好立地のビルが大宗を占めており、マーケットより常に低い空室率を維持し、安定的な収益を確保しております。更に、CRE等戦略的ソーシングによる着実なポートフォリオの拡充に加え、多様な投資スキームを駆使した物件取得により、不動産賃貸事業の拡大をはかってまいります。
また、本格的な人口減少等環境変化に対応した競争優位性のある高品質の賃貸ポートフォリオ構築のため、今後も継続的に物件の入れ替えを実施することで、2029年に高耐震建物比率100%、オフィス比率50%、重点エリア比率50%、再エネビル比率100%を目指し、引き続き空室率1%未満を堅持してまいります。
②開発・建替、バリューアッド物件のパイプライン充実。出口を多様化して確実に収益化
開発事業につきましては、保有物件の開発・建替・バリューアッド・PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)事業に取り組んでおり、2023年度は14物件が竣工し、2024年度についても9物件が竣工する計画となっております。新中期経営計画(2023-2025)では、2025年末までに100物件超の開発・建替案件に目途をつける計画としており、今後も、中長期パイプラインの整備に基づき、耐震・環境配慮に優れた不動産開発を推進することによって、優良な賃貸ポートフォリオの増強及び開発・建替利益の獲得をはかってまいります。
また、開発・建替物件の竣工本格化に備え、既存の公募リート、私募リートに加えて、ファンドの活用など出口戦略の多様化により、開発・建替利益を確実に実現するとともにバランスシートのコントロールをおこなってまいります。
③新規事業領域の取組み強化による収益源の多様化
高齢者ビジネスについては、引き続き多数の高齢者施設を開発、取得及び保有しているほか、ITを活用した業務効率化・科学的介護等を提供するスマートシニアハウジング構想にも取り組んでおります。
観光ビジネスについては、自社運営ホテルの「THE GATE HOTEL」及び「ビューホテル」シリーズや、高級温泉旅館「ふふ」シリーズの開発・運営をおこなっており、国内外の観光需要を着実に取り込んだことで業績は急回復しています。今後は、将来の成長分野とするための新たな開発計画の推進を検討してまいります。
また、入居テナントがフレキシブルにオフィスを利用できる「Bizflex」のシリーズは3件が満床稼働しているほか、新たに2件の開発が確定しています。2023年度は、M&Aにより成長分野であるレンタルオフィス事業への参入もおこなっております。
更にこどもを対象にした教育関連サービスを提供する「こども教育事業」は、株式会社リソー教育、コナミスポーツ株式会社との業務提携に基づき、こども向けワンストップサービスを提供する「こどもでぱーと」の計画が6件進行しております。
今後も、これらの事業を拡大するとともに、M&Aや資本・業務提携などを活用することで、新たな価値創造を提供する新規事業を開拓・軌道化し、グループ連携を活かした収益機会の獲得及びシナジー追求によるグループ総合力の向上をはかってまいります。
④格付水準の維持を目線とした財務健全性の確保とリスク管理
2023年度は、昨年に引き続き日本格付研究所(JCR)より取得している当社の外部格付が「AA-」格となり、強固な経営基盤を評価いただきました。今後も健全な財務基盤を維持しながら、中長期的な収益の維持・向上を実現してまいります。
また、「内部統制」、「リスク管理」、「コンプライアンス」、「開示統制」についても従前から徹底をはかっております。
リスク管理に関しては、「事業継続基本計画」(BCP:Business Continuity Plan)に基づき、定期的に訓練を実施する等、今後も有事対応力の向上を進めてまいります。
⑤環境対応、人的資本育成対応などサステナブル経営の一層の深化
サステナビリティビジョンに基づき、社会活動の基盤となる商品・サービスを提供することにより、「持続可能な社会の実現」と「企業としての継続的な成長」を目指し、サステナビリティを意識した事業運営と価値創造により、社会課題の解決及び社会価値の創造と企業成長が連動する取り組みを推進しております。
環境への取り組みとしては、「脱炭素社会・循環型社会」の実現に向けて環境配慮経営を推進しており、2023年に自社開発のFIT制度を活用しない太陽光発電による「RE100」を達成しました。引き続き2029年の「全保有建物の使用電力の100%再生可能エネルギー化」を目指し、自社で新規に開発・保有する非FIT再エネ電源から自社保有ビルへの電力供給をおこなってまいります。また、100年以上安全に使用できるオフィス標準仕様の導入による廃棄物削減、耐火木造建築・植林活動を通じた森の循環による環境負荷の低減に取り組むほか、水素・蓄電池活用の研究も進めてまいります。
社会への取り組みとしては、建物の耐震性能強化を重要な課題と認識して積極的に取り組んでまいります。耐震性能強化につきましては、2029年までに高耐震建物比率100%の目標を掲げておりますが、そのマイルストーンとして2025年末までに建替・売却予定を除いた物件で高耐震建物比率100%に取り組んでまいります。また、2023年には「ヒューリック人権方針」を改定し、人権デュー・デリジェンスの仕組みを構築しました。さらに、地域社会をはじめ各ステークホルダーとの関係強化及び社会貢献活動も重視しております。人的資本については、人材育成のための種々取り組みを実践してまいります。健康経営・働き方改革等の取り組み、女性活躍推進法に基づく行動計画策定など、多様な人材が等しく能力を発揮できるバイアスのない職場としてまいります。一級建築士をはじめとした高い専門性を有する人材集団、一人当たり生産性の高い企業、人が育つ企業を目指してまいります。
ガバナンスの取り組みとしては、2021年6月に改訂された「コーポレートガバナンス・コード」の各原則を踏まえ、当社の持続的成長・企業価値向上に向けての最適なコーポレートガバナンスを実現するための枠組みを、「コーポレートガバナンス・ガイドライン」において開示しております。ガイドラインを基に健全な企業統治の下で株主の権利に留意し、永続的な企業価値の向上を目指してまいります。
重要課題(マテリアリティ)への取り組み
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(3)目標とする経営指標
2020年1月に策定しました中長期経営計画(2020-2029)及び2023年1月に策定しました新中期経営計画(2023-2025)で掲げる定量目標及び達成状況につきましては以下の通りです。
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