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企業概要

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「誰もが新たな一歩を踏み出せる社会」を企業ビジョンに掲げております。当社は、顧客の業務プロセス全体を俯瞰し、既に導入されている各種システムインテグレーター等の汎用サービスをビジネス部門がスムーズに利用できるよう最適化するためのソリューションの提供を主な事業としております。

(2)中長期的な会社の経営戦略

 ミッションである「あらゆるラストワンマイルにITで立ち向かう」を推し進めるための事業基盤の強化を行ってまいります。既存取引先の深耕及び豊富な取引実績がある資産運用会社に加えて、証券会社、信託銀行、その他金融機関等のより広範な金融機関との新規取引の獲得を目指します。

 また、当社グループからのUiPath RPA Platformの販売及び導入の促進によって、既存取引先の新たな業務プロセスへの関与及び金融機関に留まらないあらゆる業界の企業との取引開始を目指します。

さらに、2022年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画では、①人的資本への投資強化 ②マネジメント強化 ③先端IT商材の有用性検証等のR&D投資の3つを基本方針として進めてまいります。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社グループは、経常利益を安定的に確保することを目標としており、収益性の高い案件の獲得を目指しております。

なお、2022年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画では、売上高及び経常利益のCAGR(年間平均成長率)、ROE、総人員数を重要な指標と位置付けております。

(4)経営環境

 金融機関のIT投資は金融規制への対応やグループの統廃合によるシステムの統廃合、他業界からの金融業への参入など、業界全体として安定的に推移しております。AIやIoTなど第4次産業革命の幕開けにより、業務プロセスはより複雑化されていくため、あらゆる企業にとってラストワンマイル領域における業務プロセスの最適化はこれまで以上に重要となっていくものと考えます。2023年度の企業のIT予算は、10年度以降最高値を記録し、またその内容も3年後の目標が維持・運用などの守りのIT からDX などの攻めのIT へ予算を回す意欲が表れており、(出典:一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会『企業IT動向調査2023』(2022年度調査))当社の経営環境にとって追い風となることが見込まれます。

 今後の注力事業であるRPA市場についても、日本国内RPA市場は2017年度の17,800百万円から2023年度には152,000百万円(出典:株式会社矢野経済研究所「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)市場に関する調査(2020年)」)と8.5倍まで拡大すると試算されており今後の需要は拡大していくものと考えております。

 また、2020年4月以降、新型コロナウイルス感染症の影響による受注時期の遅延や予定されている見込み案件の凍結などが生じておりましたが、2021年度下期から新型コロナウイルス感染症による業績への影響は、解消しております。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

<当社グループ>

① 優秀な人材の確保

 当社グループにおいて、事業規模及び事業領域の拡大には、適切な水準でサービスを提供する質の高い人材の確保が必要であり、人材が重要な経営資源の一つであると考えております。今後も積極的な採用活動を継続するとともに、採用した人材に対する成長機会の提供や働きやすい環境の整備などを通じて離職率を抑制し、優秀な人材が定着化する仕組み作りを進めてまいります。

② グループとしてのコーポレート・ガバナンス体制及びグループ連携の強化

 当社グループでは、優秀な人材の獲得及びBtoBのIT分野でのサービスの幅の拡大を主な目的として、今後もM&Aを推進していく方針です。そのような状況において、当社グループとして健全な成長を継続していくため、子会社を含むグループ全体としてのガバナンス強化並びに内部管理体制強化をこれまで以上に進めるとともに、グループシナジー発揮のため、グループ企業間の営業連携や人事交流等の施策を推進してまいります。

<当社>

① 既存事業の受注拡大

・安定的な取引の実現

 当社は設立以降、着実な実績の積み重ねにより、資産運用会社をはじめとする金融機関との取引を実現するに至りました。今後も製販一体体制、一気通貫したサービス提供体制を強化し、提案力及び顧客の満足度向上に努め、既存取引先及び新規取引先との安定的な案件獲得を目指します。

 既存取引先は、2022年12月期に案件受注実績のある取引先企業67社のうち、2023年12月期も案件受注実績がある取引先企業は55社であり、2023年12月期の取引継続率(注1)は82.1%となっております。2023年12月期の新規取引は、RPA関連サービス29社、RPA関連サービス以外(航空券手配代行サービスを除く)7社獲得しましたが、今後、更なる顧客基盤の強化を目指します。

・プライム案件(注2)の獲得

 システム開発業界では、ピラミッド構造と呼ばれる開発体制が一般的でありますが、当社は、各種SIerからサービスを導入した後のエンドユーザーの支援を行うため、顧客である金融機関と直接コミュニケーションをとって案件を推進するプライム案件が多数を占めております。プライム案件は、中抜きが発生しないことで収益性が高まる案件が多くなる傾向にあり、また、顧客と直接コミュニケーションが取れることで次の案件提案につながるニーズを把握することも可能であります。当社は、今後も当該案件の拡大を目指してまいります。なお、2023年12月期において、RPA関連サービス及び航空券手配代行サービスを除く売上高3,932,536千円のうちプライム案件の売上高は3,733,789千円であり、プライム案件売上高比率は94.9%となっております。

(注)1. 取引継続率

RPA関連サービス及び航空券手配代行サービスのみを提供している取引先を除く。

2. プライム案件

RPA関連サービス及び航空券手配代行サービスのみを提供している取引先を除き、エンドユーザーである顧客との直接取引及び顧客グループのシステム開発会社との取引を指す。

② 顧客業務プロセスのデジタルプラットフォームとしてのRPA導入推進

 我が国では少子高齢化が進行しており、今後も人口減少が続くことが見込まれている。特に生産年齢人口(15歳~64歳人口)の減少は、労働供給の減少、将来の経済や市場規模の縮小による経済成長率の低下などに影響することが懸念されており、労働生産性の向上、労働参加の拡大などが急務となっている。ICTは、このような課題の解決に大きな役割を担っており、例えば、AIやロボットなどの活用により業務の効率化を図り労働資源を効率的に配分すること、テレワーク・サテライトオフィスなどの活用により場所の制約を受けずに就業する選択肢を広げることなどが期待されている(出典:総務省「令和5年版情報通信白書」)とあるように、業務の自動化や生産性の向上は、今後の日本国内で避けて通れない課題となっております。このような課題解決の一助となるのがRPAであり、日本国内のRPA市場は、2019年度の52,970百万円から2023年度には152,000百万円(出典:株式会社矢野経済研究所「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)市場に関する調査(2020年)」)に拡大すると試算されております。

・新規取引業界及び顧客の獲得

 東証一部上場企業とそれに準じる企業を対象とした調査において、IT投資で解決したい短期的、中期的な経営課題として、業務プロセスの効率化が高い優先度に位置付けられております。この中でRPAは、「導入済み」と「試験導入中・導入準備中」と回答した会社が58.7%と、29項目のテクノロジーの内VPN、SaaSに続き3位の数値となっております。(出典:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「『企業IT動向調査報告書2021』ユーザー企業のIT投資・活用の最新動向(2020年度調査)」)。また、2022年のRPA導入率は、年商50億円以上の企業の導入率は全体で45%(2021年度は37%)となっており、半数近い企業が導入するまでになりました。さらには、これまでの個別業務の効率化に留まらず、業務プロセス全体を自動化する動きもみられ、自動化の浸透が始まりました(株式会社MM総研「RPA国内利用動向調査2022」)。既存取引先への導入推進に加えて、非金融事業者の幅広い業界の企業からの問い合わせや受注が発生しており、今後、新規取引業界及び取引先の獲得を強化してまいりたいと考えております。

・広範な業務プロセスへの関与

 当社はRPAの主要製品を提供するUiPath社のダイヤモンドパートナーであり、ライセンス販売や導入コンサルティングを提供しております。UiPath RPA Platformの企業への本格導入にあたっては、「UiPath Orchestrator」を導入し、顧客企業の各種システムを活用した各業務の自動化状況を把握・制御(注)するよう設定いたします。UiPath RPA Platform上に各業務が集約された結果、当社が潜在的なニーズを発見しやすくなり、システム開発やコンサルティングの需要を掘り起こすことが可能となります。
 当社は、RPAライセンス販売や導入コンサルティングはもちろん、RPA導入後も顧客業務プロセスを改善する案件を獲得していきたいと考えております。

(注) オーケストレーション機能と呼ばれており、ソフトウェアロボットの監視、管理、ワークフロージョブの管理、ユーザー管理・監査証跡など様々な機能を一元管理することができる。

③ 優秀な人材の確保と育成

 当社が継続して成長し発展していくためには、業務分析スキルやITスキルをもった優秀な人材の確保と育成が最重要経営課題であります。そのため、転職イベントへの出展、当社ホームページでの採用特設サイト等を通じて当社の知名度向上・ブランディング強化を図り、継続的な新卒採用と即戦力となるキャリア採用を推進しております。
 また、当社の事業展開と発展のためには、ITコンサルタントとしての資質を備えていることに加えて顧客経営層と現場担当者の双方のニーズを適切に汲み取れるコミュニケーションスキルやRPA技術等先端ITの動向に対応できる人材が必須のため、社内に企業内大学を創設し、従業員にITコンサルタント研修、システムエンジニア研修、階層別研修、ナレッジ共有などを実施し、人材開発に関連する投資を実行してまいります。

④ R&DM&Aの推進

 当社のR&Dは、既存サービスの付加価値向上や新たなITサービスの探索を目的としており、当社ビジネス領域における各種先端IT商材(全業種が共通に注目している技術・サービス等)を対象としております。特長は、ゼロからプロダクトを創るというものではなく、すでに世の中にあるプロダクトをリサーチし、選定し、その有用性を検証し、既存サービスに活用してまいります。

 当社のM&Aは、R&Dの各種先端IT商材を保有した会社の他、ITコンサルタントやITエンジニアを多く保有する会社を対象とすることで、ITサービスの幅の拡大や人員増加による事業拡大を図ってまいります。

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