パスコ 【東証スタンダード:9232】「空運業」 へ投稿
企業概要
将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在での判断です。
(1) 基本的な経営方針
当社グループは、「常に世界一の空間情報事業者であるために、革新的な思考と行動により、常に変化を創造し行動する」ことを経営方針に掲げ、品質方針、環境方針、情報管理方針、労働安全衛生方針、人材育成方針のもと、事業を通じて社会に貢献する企業を目指しております。
また、パスコの経営理念では、①空間情報事業を通じて、安心で豊かな社会システムの構築に貢献する、②社会的に公正であることを判断基準として、法令遵守、社会倫理を尊重し、常に正しさを追求する、③お客様の信頼を誇りに、最高レベルの空間情報を提供する、と定めております。
そして、2017年に当社グループの経営ビジョン「地球をはかり、未来を創る~人と自然の共生にむけて~」を新たに設定し、測量・計測技術によって地球上を捉えることだけに留まらず、あらゆる「はかる」を空間情報に融合させ、人と自然が共生した未来社会の構築を目指しております。
また、企業活動の持続可能性(サステナビリティ)を維持・発展させるために、企業の社会的責任(CSR)を包含したEnvironment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)に配慮した経営のもと、空間情報事業を通して国際的な持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指しております。
(2) 中長期的な経営戦略
当社は「地球をはかり、未来を創る ~人と自然の共生にむけて~」を経営ビジョンに掲げ、空間情報事業を通じて自然環境や社会と共存し、持続可能な社会の一員として企業活動を持続的に発展させていくために中長期的な経営戦略を推進しています。当社の強みである空間情報の基盤技術(はかる・くらべる・みせる)をさらに磨くとともに自動化や超空間、未来予測等の最先端基礎研究・開発を強化し、空間情報イノベーション(つなぐ・ひろめる・いかす)を実現してまいります。
また、様々なステークホルダーとの連携を強化し、真に価値ある空間情報サービスの提供を通じて社会に貢献してまいります。
そして、2023年8月には、「“真に信頼される企業経営”への変革を第一に、空間情報の活用による新たな市場戦略の礎を築く」を基本方針とする「パスコグループ中期経営計画2023-2025」を策定し、「経営の真価」と「事業の進化」の2本柱の計画に基づく、活動に邁進しております。
(3) 会社の対処すべき課題
① 不適切な会計処理
当社の過年度決算において、年度内に作業が完了したにもかかわらず、作業が残存するとして案件を翌期に繰り越す処理、および年度内にすべての作業が完了しなかった案件について翌期に発生するであろう残作業を過大に見積もる処理が行われていたことが判明いたしました。その結果、本来は当該年度に計上すべき売上高および利益が翌期に繰り越される不適切な会計処理が行われていました。
過去に複数回、不適切な会計処理が行われてきた背景として、経営陣は現場に対する過度な業績達成のプレッシャーが過去の不適切会計の原因であることを認識していたにもかかわらず、それを深刻に受け止めず、コンプライアンス意識の向上、不適切な会計処理への対応にあたり危機感をもって行動することができておりませんでした。経営陣としては、改善のための施策が浸透したものと判断していたものの、その確認が疎かなまま現場は変わったと考えておりました。結果として、経営陣が現場の実情を熟慮することなく現場が正しく行動できるであろうという前提のもとに施策、指示を発信し、現場との認識の間に乖離が生じたことが、今回の不祥事の根本原因と考えております。
不適切な会計処理の判明を受けて設置した特別調査委員会からの提言を踏まえ、以下の再発防止策を講じて適正な内部統制の整備・運用を図ってまいりました。再発防止策の浸透は単年度で完了するものではなく、今後も運用を継続してまいります。但し、c.「現場発案による再発防止策の検討」、h.「稟議等にかかるルールの見直し」および、i.「決算期についての検討」については完了とします。
a. 経営陣の意識改革
(ア)社長メッセージの発信
(イ)取締役に対するリスクマネジメントおよび組織マネジメント研修実施
(ウ)事業部の組織マネジメントおよび業務執行を支援する本社組織の設置
b. 経営陣の意識が伝わるメッセージの発信
(ア)事業計画の在り方と計画策定プロセスの見直し
(イ)会社施策に対する現場意見聴取のチャンネル設置
(ウ)2023年度階層別研修における不適切会計事案の学習と危機感共有
c. 現場発案による再発防止策の検討
d. 売上の繰越しルールの明確化およびチェック体制の強化
(ア)売上/繰越しの判断基準の明確化
(イ)繰越し時の処理プロセスの明確化
(ウ)繰越しの妥当性をチェックする体制の整備
e. 全ての役職員を対象とする意識や危機感を共有する研修の実施
(ア)CSR・コンプライアンス研修の新設
(イ)グローバルコンプライアンス教育の見直し・実効性向上
f. 人事異動の促進と人事評価制度のさらなる改善
(ア)人事異動のさらなる促進
(イ)人事評価制度のさらなる改善
g. 実行予算の見直し(モニタリングの強化)
h. 稟議等にかかるルールの見直し
i. 決算期についての検討
j. ガバナンスを含むチェック機能の見直し
② 中期経営計画
当社は2023年4月7日付「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」にて適時開示いたしましたとおり、特別調査委員会より利益の繰り越しに関する不適切な会計処理に対する調査報告書を受領したことを受け、調査報告書において指摘された原因分析と再発防止策に関する提言を真摯に受け止め、検討を重ね、今後取り組むべき再発防止策を策定いたしました。
このような状況のなか、当社グループは、過去の不祥事を二度と繰り返さないよう、社会の一員として、その存在を期待され、持続可能な地球環境の創出及び社会基盤の構築に貢献するため、経営の健全化と事業を通じて社会に貢献することを主眼とし、2023年8月に「パスコグループ中期経営計画 2023-2025」(以下、「本計画」という。)を策定いたしました。
当社グループは本計画に基づき、「“真に信頼される企業経営”への変革を第一に、空間情報の活用による新たな市場戦略の礎を築く」を基本方針として、「経営の真価計画」と「事業の進化計画」を掲げ、計画の実行性を高めるための具体的なアクションを実施してまいります。
a.経営の真価計画
社会に存在を期待され、持続可能な企業経営を維持するため、経営理念を重視した健全な経営を遂行するための計画を定め、パスコの真の価値を再構築する
b.事業の進化計画
持続可能な地球環境の創出及び社会基盤の構築に貢献するため、3つの“しんか(深化・伸化・新化)”計画を策定し、空間情報事業の拡大・成長を目指す
③ サステナビリティへの取り組み
当社グループでは、持続可能性(サステナビリティ)を巡る課題が重要な経営課題であると認識し、ステークホルダーに配慮しながら、課題解決と継続的な改善に向けた事業活動に取組んでおります。2022年6月には、当社グループ全体におけるサステナビリティ推進の取組みのレベルを更に向上させるため、「サステナビリティ推進委員会」を設置いたしました。同委員会は、取締役会からの指示・監督のもと、サステナビリティ経営に係る基本方針の策定・改定、重要課題(マテリアリティ)の設定・開示、達成状況の評価などを行います。あわせて、「サステナビリティ基本方針」を策定し、空間情報事業を通じて、自然環境や社会と共存し、持続可能な社会の一員としてステークホルダーに配慮した事業活動の持続的な発展を目指すことを掲げています。
2023年3月には、この取り組みを具体化するため重要課題(マテリアリティ)の特定をいたしました。重要課題の特定プロセスは、セコムグループの一員としてセコム株式会社の「サステナビリティ重要課題」を踏まえつつ、当社の事業特性等を考慮して持続可能な企業成長に向けて優先的に取り組む経営上の課題の整理・抽出を行い、①お客様視点のサービス、②先端技術の活用とパートナーシップ、③社員の自己実現とダイバーシティ、④人権尊重と誠実な企業活動、⑤脱炭素・循環型社会、⑥地域コミュニティとの共生の6カテゴリを重要課題といたしました。
2023年11月には、環境省が主導する「生物多様性のための30by30アライアンス」に参加を表明し、事業をとおした地球環境保全への取組みを推進しています。
また、2023年12月には、多くのステークホルダーに当社の取り組みを発信すべく『パスコグループサステナビリティレポート2023』を刊行しました。持続的な企業成長に向けた価値創造ストーリー、TCFD(気候変動財務情報開示タスクフォース)に基づくリスクや機会の特定、温室効果ガス排出量等を公表しています。
今後も、企業活動の持続可能性(サステナビリティ)を維持・発展させるために、企業の社会的責任(CSR)を包含したESGに配慮した経営のもと、空間情報事業を通して国際的な持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指してまいります。
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