バルテス・ホールディングス 【東証グロース:4442】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「私たちは品質にコミットし、安心・安全なICT社会の実現に貢献します」、「私たちはICT社会に貢献する人材を育成します」、「私たちは多くの価値を創り、お客様と共に歓びを分かち合います」を企業理念とし、提供サービスを通じて、豊かで安全なICT社会の実現へ貢献していく事を目指しております。
(2) 経営戦略等
当社グループは、品質向上のトータルサポート企業として、ソフトウェアテストをはじめ、品質コンサルティングやテスト自動化支援など、ソフトウェア開発の全工程で品質向上支援サービスを展開しております。
2024年5月には、新たに10年ビジョンを「ソフトウェアテスト市場の社会的価値を高めるバリューアッププラットフォーマーへ」と定め、ソフトウェアテスト業界の技術力向上のために、当社グループが誇るテストに関する高い技術と知見を積極的に発信するプラットフォーマーとして成長することを目標に中期経営計画を策定致しました。
今後は中期経営計画に基づき、上記ソフトウェアテストに関連する品質向上サービスの拡大に加え、ツールサービスや教育サービス等の「バルテス品質を業界へ波及させるビジネスモデルの構築」を通じて、業界全体の技術力向上と、豊かで安全なICT社会の実現に努めてまいります。一方で「人に依存しないビジネスモデル」でもあるこれらツールサービス及び教育サービスの拡大を通じて、当社グループの生産性向上を推し進め、より一層の企業価値向上に努めてまいります。
(3) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが属するIT業界において、近年猛威を振るった新型コロナウイルス感染症もようやく終息し、経済活動は正常化しつつありますが、ウクライナ・ロシア情勢の長期化やパレスチナ・イスラエル情勢の悪化、円安による物価高等の影響も加わり、先行き不透明な状況は継続するものと予想されます。一方で人件費の上昇は当面継続するものと想定されることから、国内企業において生産性向上は喫緊の課題であり、リモートワーク、クラウド環境の導入、IoT、AI、5G、メタバースなどのDXに関連するIT投資や、企業防衛のためのセキュリティ対策投資へのニーズは増大し、IT市場の成長は底堅く継続するものと認識しております。
このような経営環境の中で、当社グループは今後更なる成長を実現する上で以下の事項を経営課題として重視しております。
①人的資本への投資拡大
当社グループが継続的に企業価値を向上させていくためには人的資本への効率的投資が経営上の最重要課題であると認識しております。特に現状ではPM層/ハイレイヤーの不足が主たるボトルネックとなっていると課題認識したうえで、これら人員の拡充のために、リファラル採用制度等の導入、充実した社内研修メソッドによる教育制度の充実、業界別ナレッジの蓄積による高スキル化及び外部人材の有効活用といった諸施策を積極的に展開し、成長阻害要因の排除と事業規模の拡大に努めてまいります。
②エンタープライズ領域拡大
デジタル技術の発展により、旧来の大規模基幹システムが大容量高速通信時代に対応できない等のシステム老朽化問題が発生しており、これに起因するシステム等の切り替えの作業「マイグレーション」の増加によって、特に歴史のある大手企業は多大な負担を強いられております。当社グループでは現状拡大を続けるソフトウェアテスト市場の中でも、これら基幹システムを指す「エンタープライズ系」領域の市場は、特に拡大可能性の高い最重点市場であると認識し、当市場の早期開拓を重要課題ととらえております。この開発拡大のために、経験豊富なPM層/ハイレイヤーの採用、専門部署の設置、エンタープライズ領域に強い外部企業との取引拡大及び業界固有(特に金融業界)ナレッジの蓄積を推し進め、参入障壁構築による価格競争の回避、案件規模の拡大及び利益率の向上を目指してまいります。
③知的財産の拡大
あらゆる要素がデジタル化されていく中で、従前の有形固定資産の設備投資に頼らず、知的財産への投資を通じてビジネスモデルを抜本的に変革し、高い利益率で新たな成長を実現する企業が現れてまいりました。一方で、これら新たなビジネスモデルにより既存ビジネスが破壊される事例(デジタルディスラプション)も増加しております。当社グループにおいても、今後これら外部環境の変化に対応しつつ高い利益率を維持するためには、知的財産への投資を拡大することが必須であると認識し、これを欠くことのできない重要課題の一つとして位置付けております。この推進のために、当社グループが強みとするソフトウェアテストのノウハウ、エンジニア教育のノウハウ及び各業界における固有ナレッジの継続的な積上はもちろん、テスト自動化ツールT-DASH(※1)、クラウド型のセキュリティ対策サービスPrimeWAF(※2)、いつでもどこでも実機テストが出来るAnyTest(※3)、テスト管理ツールQualityTracker(※4)の利用拡大及び各ツール間連携、自社開発のソフトウェア品質向上のためのプラットフォームQbook(※5)の運営及びソフトウェア品質教育サービス バルカレ(※6)等のツール及び教育サービスの拡大を進めてまいります。上記サービスを通じて当社グループの品質管理技術を業界に波及させ、業界全体の技術力および信用力の向上を図ると共に、これら人に依存しないビジネスモデルの拡大によって当社グループの生産性向上も進めてまいります。また新規ソフトウェア開発や新技術企業とのアライアンスも積極的に行い、新たな企業価値の創造に努めてまいります。
④M&Aによる拡大と組織強化
加速するIT化、デジタル化の影響により今後も国内ソフトウェアテスト市場は高い成長率を維持するものと見込んでおりますが、それゆえに今後のIT人材の不足傾向も明らかであり、従前のままの拡大戦略を踏襲すれば機会損失のリスクも相応に高まるものと考えております。加えて気候変動リスクや地政学的リスクも近年大きく上昇しております。当社ではこれらのリスクに対応するために、M&Aによる事業ポートフォリオの更なる拡大が必須であると認識し、これを重要課題の一つに位置付けております。
近年当社グループは、「品質向上のトータルサポート企業」を目標として掲げ、ソフトウェアテストサービス事業を提供するバルテス株式会社を中心に「株式会社ミント」、Web/モバイルアプリ開発サービス事業を提供する「バルテス・モバイルテクノロジー株式会社」、「株式会社アール・エス・アール」、「株式会社シンフォー」、「フェアネスコンサルティング株式会社」及びオフショアサービス事業を展開する海外現地法人「VALTES Advanced Technology,Inc.」等、グループのサービス多面化と優秀なエンジニアの確保を目標に、M&Aによる業容拡大を続けてまいりました。
加えて2023年10月にホールディングス体制に移行したことで、M&Aでの拡大に適した水平的グループガバナンス体制の整備に注力し、個々の企業の自律的運営と経営効率化を推し進めております。今後も積極的なM&A展開とそれに適した体制整備によって、多角化型の事業ポートフォリオを拡大し、リスクに対するレジリエンス(耐性)とリスクに対応する力であるダイナミックケイパビリティ(自己変革能力)を向上させてまいります。
| ※1 T-DASH | 非エンジニアでも“カンタン”にWebアプリケーションの動作確認を行うことが可能なテスト自動化ツール。 URL https://service.valtes.co.jp/t-dash/ 従来のソフトウェアテストの自動化を阻んでいた、メンテナンスコスト・技術的難易度に対し、T-DASHは、コードを書かず、”日本語”で作られたテストケースと、画面を定義することで自動化スクリプトを作成することができ、“回数無制限”でテストを自動実行することが可能なツール。弊社試算で手動テストと比較し、最大50%のコスト削減が可能。 |
| ※2 PrimeWAF | 当社グループが展開するクラウド型のセキュリティ対策サービス。 URL https://security.valtes.co.jp/primewaf/ Webサイトを始めとしたWebアプリケーションに対する様々なサイバー攻撃を可視化、防御ができ、また非常に簡単に導入可能なクラウド型のWAFサービス。「WAF(Web Application Firewall)」は、一般的なファイアウォールでは防げないWebアプリケーションに対する不正な攻撃を防御するセキュリティシステムとして注目されている。 |
| ※3 AnyTest | 当社グループが展開するクラウド上でモバイル端末実機を遠隔操作できるサービス。 URL https://service.valtes.co.jp/anytest/ エミュレーターではなく、実端末を国内のサーバーで管理しており、操作ラグが少なく、ストレスのないスムーズな遠隔操作が出来る。豊富な機種・OSのラインナップを有し、月額5,000円から利用可能。 |
| ※4 QualityTracker | 当社グループが展開するクラウドベースでテスト実行時の進捗管理、テストケースの管理が可能になるツール。 URL https://service.valtes.co.jp/qualitytracker/ EVM(Earned Value Management)を採用し、工数=仕事量ベースで管理することにより、各テストの進行状況がリアルタイムで表示され、正確な進捗管理が可能。また、管理者のコスト削減にも大きな効果が期待されるツール。 |
| ※5 Qbook | 当社グループが運営するソフトウェア品質向上のためのプラットフォーム。 URL https://www.qbook.jp/ “品質”を意味する「Quality」と、”知識の源”を意味する「book」に由来し、ソフトウェア開発やテストに関わる人に向けて、現場で役立つ情報を発信するWebサイト。日々の知識向上につなげるコラム提供やソフトウェア品質の勉強用書籍の検索など、品質のスキルアップや現場の仕事で活用できるコンテンツを掲載。 |
| ※6 バルカレ | 当社グループが展開するテストの専門家が体系化したソフトウェアテストの教育サービス。 URL https://service.valtes.co.jp/s-test/education/ 「企業向け講座」「オープン講座」「e-ラーニング」の3つの教育メニューから構成され、多数のプロジェクト経験により培われた品質向上のノウハウを集約し、人材育成に役立てるコンテンツを提供。 |
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高増加率、売上総利益率、人材の確保を重要な経営課題と認識していることから営業利益率を重視しております。
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