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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ

①ガバナンス

 当社グループでは、2021年12月にサステナビリティ方針、2022年4月に中期経営計画及びマテリアリティ(重要な経営課題)を取締役会で決議し公表しました。マテリアリティの主管部署の取り組みに対するモニタリング機関として、2022年4月にサステナビリティ委員会を設置しました。

 同委員会は代表取締役社長が管掌し、常務執行役員を委員長として複数の関連部署から選出されたメンバーで構成することでグループ横断での体制を構築しています。サステナビリティ委員会は月に一度開催し、活動内容を定期的に経営委員会に報告しています。経営委員会は会社経営上の基本的又は重要な事項につき、適切かつ迅速に審議・決定するとともに、取締役会が経営全般の管理、監督機能に重点化を図ることで適切なガバナンスを図っています。

サステナビリティ方針

 当社グループは、ネットワークのリーディングカンパニーとして、お客様や社会の変革を支える高付加価値なサービスを提供することで成長してきました。

 私たちは「人とネットワークの持つ可能性を解き放ち、伝統と革新で豊かな未来を創る」を存在意義として、お客様の成功、社員の幸福、パートナーとの共創関係の構築、株主価値の向上、自然環境の保全に事業を通じて貢献することが、企業価値の向上につながると考えています。「優れたネットワーク技術」「マルチベンダ対応」「お客様との共創」から生まれるICTの目利き力と知見を磨き、社会価値と経済価値を創出するサービスを提供することで持続可能な社会への貢献と当社の持続的成長を両立していきます。

ガバナンス体制図

※マテリアリティに関しては、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)対処すべき課題及び事業戦略」の「サステナビリティ」をご参照下さい。

②戦略

 サステナビリティ方針のもと、持続可能な社会への貢献と当社グループの持続的成長の両立に向けて特定した4つのマテリアリティを策定しました。各マテリアリティの詳細につきましては、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)対処すべき課題及び事業戦略」の「サステナビリティ」をご参照下さい。

<気候変動への取組み>

 気候変動の影響が世界的に拡大し、地球環境に甚大な被害が及ぼされる場合、経済や社会全体に混乱を引き起こす可能性があります。これは、当社グループの事業活動にとってもリスクであると認識しています。一方で、最先端ICT技術により様々な産業が抱える環境課題を解決することで、自社のビジネス機会の創出につながると考えています。当社グループは、持続可能な社会への貢献と、当社の持続的成長の両立を目指してまいります。

 具体的には、お客様・社会における温室効果ガス排出量削減に貢献するグリーンソリューションを開発・拡大により、ビジネスを通じた温室効果ガス排出量削減に取り組みます。また、低消費電力の製品及びサービス販売の拡大による排出量の削減することで自社の事業プロセスにおける排出量削減に取り組んでまいります。

 今後気候変動により顕在化し得る物理的なリスクなど、当社グループに影響する事象について幅広く検討し、特に重要であると考えられるリスクと機会を特定しています。それぞれのリスクと機会に対する当社グループに与える財務影響について気候変動への対応や規制が進むことで、主に移行リスクが顕在化する2℃未満シナリオと、主に物理リスクの甚大化がより深刻となる4℃シナリオに分けて検討しております。

 検討に必要な情報の取得にあたってはIEA(International Energy Agency)2021やWRI(Aqueduct Water Risk Atlas)等を参照しました。

 各シナリオ下における事業環境の認識と、それらが及ぼす事業影響の概要は以下の通りです。

4℃シナリオ

 4℃シナリオ下では社会的に気候変動への対応が積極的にとられずに、大規模災害などの物理リスクの甚大化がより深刻となる以下のような事業環境を認識しております。

・社会の全体像

 先進国を中心に気候変動に関する規制や政策が進められるものの、実効性が弱く結果として十分な対策がとられず、環境への規制は事業に対して大きな効果を及ぼすには至らない。その一方で気温の上昇に歯止めがきかず、災害が頻発し被害の甚大化が想定される。

・当社グループを取り巻く環境

 サプライチェーン全体で災害によるリスクが顕在化する可能性があり、自社の活動拠点だけでなくお客様を含むネットワークの通信断による復旧対応に迫られる可能性の高まりから、BCPを考慮した次世代ICTソリューションへの需要が拡大する。

2℃未満シナリオ

 2℃未満シナリオ下では気候変動への対応や規制が進み、社会全体が低炭素社会へ向かうことで主に移行リスクが顕在化する以下のような事業環境を認識しております。

・社会の全体像

 社会全体で気候変動への対応が積極的に行われ、温室効果ガスの排出量規制や炭素税の導入といった政策が進み、各企業はその対応コストやサプライヤーからの価格転嫁に対するコスト負担を強いられる。

 また再生可能エネルギーへの転換や脱炭素技術の革新が進められることで顧客意識の変化が生じ、低炭素社会へ貢献できる商品やサービスに対する需要が増加する。

・当社グループを取り巻く環境

 省エネルギー、カーボンニュートラルへの関心の高まりとともに、ICTシステム利活用によるグリーン化の促進など、企業活動および環境課題の解決に貢献するICTインフラの需要はより一層拡大する。

 またエネルギー利用の効率化だけでなく、サーキュラーエコノミーの広がりからICTインフラにおいても再生品の活用が進む。

・気候変動が当社グループへもたらし得るリスクと機会、影響

項目

タイプ

影響要因

当社グループへの主な影響

想定

時期※

影響度※

検討策

2℃未満

シナリオ

4℃

シナリオ

リスク

移行

リスク

規制

リスク

炭素税と排出量取引制度

・炭素税と排出量取引制度の導入による対応コストの増加

・排出削減目標を達成できない場合の追加コスト負担の増加

中期

・テクニカルセンターにおける電力削減

・エネルギー消費量の見える化

商品及びサービスに対する環境規制

将来、世界的に環境規制がさらに強化されることにより、電力使用量が大きい、又は環境負荷の高いネットワーク機器等を販売することで受ける罰則

長期

環境規制に対する継続的な動向調査と対策の検討

技術

リスク

低炭素技術への移行

環境負荷低減志向を背景に、当社が低炭素技術への移行が遅延した場合の当社の競争優位性の低下

短~中期

・温室効果ガス排出量削減に貢献するソリューションとサービスの開発・拡大

・継続した次世代ICT技術の調査

市場

リスク

ベンダーの生産コスト上昇に伴う仕入価格への転嫁

気候変動対応や環境対応がベンダーの生産コストの上昇をもたらした場合、仕入価格の値上げによる調達コストが増加

中期

機能サービス提供型へのビジネスモデルにシフト

物理

リスク

異常気象の重大性と頻度の上昇

物流施設への浸食や洪水被害によるサプライチェーンの分断及び商品配送物流への影響

長期

・PDCAサイクルによる事業継続計画(BCP)の見直し

・重要拠点における運送保険、火災保険の定期的な見直し

機会

リソース

効率

より効率的な生産及び物流プロセスへの貢献

スマートマニュファクチャリングに対応する統合ICTインフラの需要増加による収益機会の増加

短~中期

業務効率化・データ活用をはじめとしたグリーンソリューションの開発・提供

再生品の利用

・当社グループ企業のネットワンネクストが手掛ける、再生品を活用した第三者保守や機能サービスの提供の拡大

・再生品を活用した延命提案によるインフラ更改プロジェクトへ参加する機会の増加

短~中期

ネットワンネクストを中心としたサーキュラーエコノミー型ビジネスモデルの構築

製品・

サービス

低排出量商品・差ビスの拡張

・省電力につながる商品及びサービスの提案による売上の増加

・電力消費量の最適化や機器使用の削減等につながる仮想化技術、クラウド技術の利活用により、GHG排出を削減する機会を提供するビジネスチャンスの拡大

短~中期

電力消費削減、ICTシステムの省電力化/効率化を実現するグリーンソリューションの開発・拡大

気候適応、強靭性に対するソリューション開発

気候変動がもたらす災害や気温の変化等による外出抑制でリモートワークが促進されることで、ICTインフラ需要の増加およびサービス機会の拡大

長期

顧客のDX化、働き方の変化に合わせたソリューションの開発・提供

事業活動の多様性

ネットワンネクストを中心としたサーキュラーエコノミー型ビジネスモデルによる、脱炭素社会の実現に貢献する機会の増加

中~長期

ネットワンネクストを中心としたサーキュラーエコノミー型ビジネスモデルの構築

※想定時期の定義は以下の通りです。

想定時期

想定時期の定義

短期

0~3年

中期

3~10年

長期

10~30年

※影響度の定義は以下の通りです。

影響度

影響度の定義

(販管費に対する影響)

発生可能性

10億円未満

一般的に発生する可能性が低いと想定される事象

10億円以上、50億円未満

一般的に発生する可能性が中程度高いと想定される事象

50億円以上

一般的に発生する可能性が高いと想定される事象

③リスク管理

 リスク管理の詳細については、後述の「3 事業等のリスク」に記載しております。

④指標及び目標

 気候変動リスクを低減するためには、自社のみならず、サプライチェーン全体での省エネルギー化に取り組むことが重要だと認識しているため、温室効果ガス排出量の集計範囲を拡大し、Scope3までの管理を実施しております。今後は、温室効果ガス排出量の算定結果を踏まえ、お客様・お取引先との協働を通して、温室効果ガス排出量の削減に積極的に取り組んでいきます。当社グループの温室効果ガス排出量の実績を下表に示します。

Scope

カテゴリ

項目

2021年度

排出量

(t-CO2)

2022年度

排出量

(t-CO2)

1

直接排出

2

エネルギー起源の間接排出(マーケット基準)

5,356

5,303

3

購入した製品・サービス

486,192

369,930

資本財

6,480

8,195

Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動

1,236

1,172

輸送、配送(上流)

163

163

事業から出る廃棄物

41

25

出張

817

921

雇用者の通勤

169

224

リース資産(上流)

輸送、配送(下流)

8

8

10

販売した製品の加工

11

販売した製品の使用

74,334

77,696

12

販売した製品の廃棄

20

22

13

リース資産(下流)

14

フランチャイズ

15

投資

合計

574,816

463,659

 当社はScope3-1(購入した製品・サービス)の排出量が高いことから、排出係数が比較的低いサービス比率を高めることで、当該カテゴリの排出量の増加率を抑えて、売上高当たりの排出量を削減させる目標を設定しました。

KPI:2021年度を基準とし、売上高当たりの排出量を2024年度までに9.8%削減

 

基準年

2021年度

当年度

2022年度

目標年度

2024年度見込

Scope2,3合計(t-CO2)

574,816

463,659

621,654※

売上高(百万円)

188,520

209,680

226,000

売上高当たりの排出量

(Scope2,3合計/売上高)

3.05

2.21

2.75

売上高当たりの排出量削減率

27.5%

9.8%

 2022年度の売上高当たりの排出量削減率は、Scope3-1(購入した製品・サービス)の排出量の算定元となる製品購入額が想定より低くなり、大幅な達成となりました。

※目標年度2024年度見込のScope2,3合計については、経営指標のサービス比率55.0%(2025年度3月期)をもとにシミュレーションした見込み値となります。

 なお、各マテリアリティのKPIにつきましては、後述の「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①当期の経営成績の概況」の「サステナビリティ」を参照してください。

(2)人的資本

 ICTの世界においては、テクノロジーの進化が激しく、進化への対応自体が「価値」であり、競争力の「源泉」です。その競争力を持続的なものとするためには人財の力が必要です。特定のテクノロジーに依拠した競争優位性は陳腐化するリスクがあるため、テクノロジーの本質や利活用から価値を生み出せるよう、自ら考え行動する優秀な人財の育成・輩出を行っていくことが人的資本経営と考えています。

①戦略

 多様な人財が相互に認め合い、個性を生かして活躍するための環境・制度を整備することで、生産性の向上やイノベーションの創出につながると考え、「多様な人財の成長活躍で経営を支える」という中期経営計画における人財戦略のもと「プロフェッショナル人財の育成」と「人財が活躍するための環境の提供」を柱と捉えております。

[人財戦略方針]

②指標及び目標

 プロフェッショナル人財の育成

 次世代を担うIT人材の育成に対する主な取り組みとFY22の実績

・セキュリティ人財 ※( )は2023年3月31日時点の人数

CISSP取得者 2030年度目標  80名(23名)

 安全確保支援士 2030年度目標 100名(51名)

・クラウド人財 ※( )は2023年4月1日時点の人数

 フロント部門 2030年度目標 クラウド人財50%増(448名)

・DX人財(データ分析関連資格取得者) ※( )は2023年3月31日時点の人数及び件数

 コーポレート部門 2030年度までに150名増(23名)

 業務改善提案 100件(2022~2030年度の累計)(7件)

 ダイバーシティ&インクルージョンの推進に対する主な取り組みとFY22の実績

・女性役職者比率 ※( )は2023年4月1日時点の人数

2030年度目標:15%(7.8%)

・新卒採用女性比率 ※( )は2023年3月31日時点の人数

2030年度目標:50%(28.6%)

・男性の育休及び出産時の特別休暇取得率向上 ※( )は2023年3月31日時点の取得率

2030年度目標:90%の実現(68.0%)

 人財育成に対する投資 ※FY22の実績

 人財投資費用総額:333百万円

 一人当たりの平均訓練の費用:125,367円

 一人当たりの平均研修時間:67時間

 人財が活躍するための環境の提供

 社員の能力向上や働きやすい環境整備に取り組むことで、社員のモチベーション向上や生産性の向上につながり、市場や顧客に対するさらなる付加価値の創出を目指しております。

 具体的には、「健康促進への取り組み」「教育・研修環境の整備」「社内コミュニケーション環境の整備」健康経営優良法人へ向けて健康診断の実施や、ストレスチェックの運用など、徹底的な健康管理へ認定に向けた基本的な取り組みを行い、9つのKPI(Wellness9Panel)を策定とそれに対する具体的なアクションを設定し、優良法人の認定に向けた取り組みを推進しております。

[Wellness 9 Panel(具体的管理指標)の策定]

※2022年10月時点

 社員のモチベーション向上や生産性の向上に取り組んでおり、人財への投資を積極的に行っております。

 人財が活躍するための環境の提供に向けた主な制度や取り組み一覧

 ワークライフバランスの推進

 テレワーク制度、フレックス勤務制度、BYOD環境

 キャリア支援

 自己申告、社内公募、マルチジョブ制度、自己啓発支援:eラーニング等、目的別研修、キャリア研修・キャリアカウンセリング

 など

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