ニッタ 【東証プライム:5186】「ゴム製品」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)サステナブル経営方針
当社グループは、グループ理念である「NITTAは動かす、未来へ導く製品で。世の中を前へ、そして人々を幸せに。」を実現するためには、SDGsをはじめとする社会課題の解決が重要であり、ESG経営を積極的に推進する必要があると考えています。この考えに基づき、当社グループは以下の「サステナブル経営方針」を制定し、企業価値の向上をはかるとともに、産業・社会の持続的発展と環境の維持・保全に貢献しながら事業活動を展開することとしています。
1.「未来へ導く製品」の開発を通じて、新たな価値を創造し、産業と社会の持続的発展に貢献します。
2.地域および地球環境への影響を考慮して、廃棄物の発生量を削減するとともに省資源・省エネルギーを推進し、環境負荷の低減に努めます。また、生物多様性および生態系や森林資源等の保護等を考慮して、環境保護と環境汚染の予防に努めます。
3.全ての人の尊厳が守られる社会の実現に向け、企業活動において人権侵害を未然に防止するように努めます。
4.新たな価値創造の源泉である人材の多様性を尊重するとともに、人材育成・活用を推進することにより、一人ひとりが感性や創造性を発揮できる職場環境の実現に努めます。
5.法令や社会規範を自ら遵守することはもとより、取引先とも連携し、社会に対して責任ある調達活動に取組むなど、バリューチェーン全体において公正な事業活動を行うように努めます。
①ガバナンス
当社グループは、サステナビリティに関する社会課題の解決に向けた取り組みを経営上の重要な課題の一つとして位置付けており、その取り組みを推進するために「サステナビリティ推進委員会」を設置しております。
当委員会は代表取締役社長が委員長を務め、年4回開催し「NITTAグループ理念」、「NITTAグループ行動憲章」及び「サステナブル経営方針」に基づき、中長期且つESGの観点から、気候変動問題や人的資本などのサステナビリティに関するリスクと機会を分析・評価するとともにその活動の方向性などを審議しております。その結果は年4回取締役会へ報告することとしており、取締役会ではその内容を考慮した上で、重要な事項について審議し、決定しています。
サステナビリティ推進委員会の構成 | |
委員長 | 代表取締役社長 |
副委員長 | 代表取締役専務執行役員 |
委員 | 取締役、監査役、事業部長等 |
事務局 | 経営管理グループ、安全環境品質グループ |
②戦略
今後、当社グループを取り巻く環境は、技術革新や社会の価値観の変化等により急速に変わっていきます。そこで想定されるリスクの低減や、事業機会の創出を図り、レジリエンスを強化するために、ESG経営への取り組みが一層重要になっています。
当社グループでは、ESG経営の推進にともない当社グループが取り組むべきマテリアリティを特定し、中長期経営計画「SHIFT2030」で重点課題として推進しています。
③リスク管理
当社グループは、前述のガバナンス体制の下、リスクの低減と事業機会の創出を着実に進めていくためにリスク管理及び機会の特定の取り組みをを強化しています。
リスク管理については、リスクの特定、分析、評価を定期的に実施し、リスク低減のためにリスクアセスメントを実施しています。このリスクアセスメントに基づいて、リスクの「回避」、「低減」或いは「移転」等の措置を事前に講じることによるリスクの発生の可能性を小さくしたり、発生した場合の影響度を最小限にするなどのリスクコントロールを行っています。
事業機会の特定については、特定されたマテリアリティの達成度合いをはじめ、社会の趨勢や変化を踏まえてサステナビリティ推進委員会で見直しを行うとともに、必要に応じて再設定しています。
④指標
| マテリアリティ項目 | 関連するSDGs | 主な活動 | あるべき姿 |
環 境 | 温室効果ガス削減による低炭素社会の実現
環境負荷の低減と循環型社会の実現
地球温暖化対策・生物多様性保全に貢献する山林経営 | 環境に配慮した製品の開発・拡販 ・CO2削減製品/省エネ貢献製品の開発
| 2050年におけるカーボンニュートラルの達成
持続可能な地球環境の維持 | |
製造効率化によるエネルギー及び材料使用量削減 ・省エネルギー対応設備への改良、切替 ・3R、廃棄物削減活動の推進
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グリーン調達の推進 | ||||
健全な山林経営による山林の維持・拡大 ・保有森林面積、蓄材積の維持、拡大 ・生物多様性に配慮した環境づくり
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社 会 | バリューチェーン全体を通じての社会的責任の発揮
働きがいのある魅力的な職場環境の実現
顧客満足の追求 | ニッタのCSR調達方針の明確化と展開 | 安心して働ける職場環境を整備
ステークホルダーとのコミュニケーションを円滑にし、良き企業市民として社会に貢献 | |
ダイバーシティと機会の均等 ・女性の活躍推進 ・外国人材の活用推進 ・グローバル人材の育成 | ||||
働き方改革の推進 | ||||
品質の向上 ・部門横断的品質保証体制の強化 | ||||
ガ バ ナ ン ス | コンプライアンス推進とリスクマネジメント強化 | コンプライアンスの徹底 ・NITTAグループ理念、行動憲章等の教育機会の設定 | 公正な事業活動を通じた持続的な成長と中長期的な企業価値の向上 | |
リスク管理委員会体制による適切なリスク管理 ・調達先のBCP活動の調査 ・海外環境規制問題への対応 ・リスクの把握と対応策の実施 | ||||
海外拠点を含めたグループガバナンスの強化 ・拠点における内部統制マニュアルの作成、提供 ・海外拠点配置人材を含めた経営管理、監査関係人材の育成 | ||||
公正かつ適正な情報開示とステークホルダーとのコミュニケーション充実への取り組み |
(2)気候変動への取り組みとTCFDへの対応
当社グループにとって、気候変動は事業継続に影響を及ぼす重要課題の一つであると認識し、2022年5月、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同しました。気候変動が当社グループの事業に与えるリスク・機会を分析して経営戦略及びリスク管理に反映するとともに、情報開示を充実させてまいります。
①ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、サステナブル経営方針に係るガバナンスに組込まれています。詳細については「(1)サステナブル経営方針 ①ガバナンス」を参照ください。
②戦略
当社グループは、事業において気候変動が及ぼすリスクと機会について検討を行いました。リスクと機会については、政策や規制など社会的要求の変化等によって生じる“移行”リスク・機会と、異常気象の激甚化などによって生じる“物理”リスク・機会を特定しています。
シナリオ分析では、IEA(国際エネルギー機関)等が公表している「科学的根拠を有するシナリオ」を用いて、事業にどのような影響を及ぼすかを検討しました。今回実施したシナリオ分析は、当社ベルト・ゴム製品事業及びホース・チューブ製品事業における原材料・部品の調達、製品開発、製造、販売までのサプライチェーン全体を対象とし、「4℃シナリオ」、「1.5℃シナリオ」の2つのシナリオを用いて、2030年時点における影響を考察・検討しています。
4℃シナリオ | 気候変動対策が現状から進展せず、地球平均気温が産業革命期以前と比較して今世紀末ごろに約4℃上昇するとされるシナリオ。異常気象の激甚化や海面上昇など、物理的なリスクが大きくなる一方、企業活動や消費活動に対する締め付けは現行より強化しないとされています。 |
1.5℃シナリオ | カーボンニュートラル実現を目指した取り組みが活発化し、地球平均気温が産業革命期以前と比較して、今世紀末ごろに約1.5℃の上昇に抑えられるとするシナリオ。物理的なリスクの高まりは抑制される一方で、税制や法規制という形で企業活動や消費活動に対する締め付けが強まるとされています。 |
項目 | 売上総利益への影響(注) | 事業インパクト | ||||
4℃ | 1.5℃ | リスク | 機会 | |||
移行 | 政策及び規制 | 炭素価格(炭素税) | - | 2 | (1.5℃)生産活動でCO2を排出しているため、炭素税が導入されることでCO2排出に伴うコストが増加する | - |
排出権取引 | - | 2 | (1.5℃)排出権取引制度の強化や対象地域の拡大により、GHG排出枠を超えた場合クレジット購入などの追加コストが発生する | - | ||
プラスチック規制 | - | 大 | (1.5℃)プラスチックに関する規制の進行に伴い、代替材料の置き換えやリサイクルの高度化に対応するための費用が増加する | - | ||
森林保護に関する政策 | - | 中 | - | (1.5℃)森林吸収・炭素除去系クレジットの活性化に伴い、植林活動が推進され、CO2吸収機会の拡大、植林地域における雇用や産業を創出 | ||
再エネ政策 | - | 2 | (1.5℃)排出規制強化(炭素税等)に伴い再エネ需要が高まり、再エネ価格が上昇しエネルギーコストが増加する | (1.5℃)再エネ政策が進み、木質バイオマス発電の需要が伸びるため、間伐材等燃料提供の機会が増える | ||
省エネ政策 | - | 大 | (1.5℃)省エネ政策の強化による、設備什器の高効率機への更新が迫られた場合の支出が増加する | - | ||
技術 | 再エネ・省エネ技術の普及 | - | 大 | - | (1.5℃)省エネ政策の規制強化に伴い、省エネ製品の需要が拡大する。そのため、「ゼロシーム」をはじめとする省電力製品の売上が増加する
| |
低炭素技術の進展 | - | 大 | (1.5℃)EVの進展に伴いエンジン部品(内燃機関)の需要が減少に伴い、自動車向け燃料チューブの売上が減少する | (1.5℃)軽量かつ高強度を要する材料として期待されている「Namd」が技術開発により航空機や自動車に応用できた場合、軽量化が課題となっているEVや電動航空機での需要拡大により売上が増加する
|
(注)定量分析を行った項目は1~5段階で評価し、定性分析を行った項目は大・中・小の3段階で評価
項目 | 売上総利益への影響(注) | 事業インパクト | ||||
4℃ | 1.5℃ | リスク | 機会 | |||
物理 | 急性 | 異常気象の激甚化 | 大 | 小 | (4℃)生産拠点やサプライチェーンへ甚大な影響を及ぼし、操業停止や物流機能の停止、対応コストが増加する
| - |
慢性 | 平均気温の上昇 | 大 | 中 | (4℃)空調負荷が増加し、エネルギーコストが増加する | (4℃)気温上昇に伴い、外出機会が減少し宅配サービスの需要が拡大する。そのため、荷物搬送に使用するベルト類の売上が増加する
|
(注)定量分析を行った項目は1~5段階で評価し、定性分析を行った項目は大・中・小の3段階で評価
▼評価基準(定量分析) | |
1 | 1,000万円以下の損害 |
2 | 若干の(10%未満)の利益減少 |
3 | 10%超の利益減少 |
4 | 大幅な(30%超)利益減少 |
5 | 赤字化 |
これらの分析・評価及び対応策の検討は、社外のコンサルティング会社と連携しながら、サステナビリティ推進委員会での議論を踏まえて実施したものです。
今後も外部環境の動向や変化を踏まえ、定期的にリスクと機会の分析・評価の見直しを行っていく方針です。
<対応策>
列挙したリスクに対するレジリエンスを強化するために以下のような取り組みを推進しています。
分類 | リスク対応の方策 | ||
大分類 | 中分類 | 小分類 | |
移行 | 政策・規制 | 炭素価格(炭素税) | ・コージェネレーションシステムの高効率運用 |
再エネ政策 | ・オンサイトPPA導入 | ||
省エネ政策 | ・照明のLED化 | ||
技術 | 低炭素技術の進展 | ・EV向け自動車部品、環境負荷低減ベルトなどの | |
物理 | 急性 | 異常気象の激甚化 | ・BCP対策 |
▼インターナルカーボンプライシング(ICP)制度の導入
2023年4月1日から当社および国内子会社において、自社の基準で二酸化炭素の排出量を仮想的に費用換算し、設備投資判断の参考とする「インターナルカーボンプライシング制度」を導入しました。
社内炭素価格を18,000円/1t-CO2と設定し、同制度を投資判断の基準の一つとして活用していくことで、低炭素・脱炭素設備・省エネ投資など、二酸化炭素の排出量削減に貢献する投資を加速していきます。
③リスク管理
気候変動に関する主なリスクは、サステナブル経営方針に係るリスクに含めて管理しています。詳細については「(1)サステナブル経営方針 ③リスク管理」を参照ください。
④指標と目標
当社グループは、生産段階における温室効果ガス(以下、「GHG」とします。)排出量の削減に関する基本方針として、2030年度までに2013年度対比46%削減、2050年度までに「カーボンニュートラル実現」を目指すと定め、その実現に向けて取り組んでいます。GHG排出量削減のために、①エネルギー使用量自体を削減する省エネの徹底、②再生可能エネルギーの活用拡大、③GHGフリーエネルギーの購入の3つの視点での取り組みを進めて参ります。
※当社の主力事業であるベルト・ゴム製品事業とホース・チューブ事業の2事業を対象としています。
当事業年度は省エネ推進活動に加え、一部の国内生産拠点において、非化石証書による再生可能エネルギーの導入やコージェネレーションシステムの高効率運用、並びに、自家使用太陽光発電システムの導入を実施しました。今後、2030年度の目標達成に向け、省エネ活動を継続し、海外を含む他の生産拠点においても再生可能エネルギーの導入等を推進し、GHG排出量の更なる削減に努めてまいります。
(3)人的資本への取り組み
①ガバナンス
人的資本に関するガバナンスは、サステナブル経営方針に係るガバナンスに組込まれています。詳細については「(1)サステナブル経営方針 ①ガバナンス」を参照ください。
②戦略
当社グループは、「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」を定め、人材の育成と働きやすい職場環境の実現に向けた取り組みを行っています。「人材が最大の経営資源である」という考えのもと、グループ理念の4つの「価値観」に沿った「行動指針」を実践できる人材の育成に取り組んでいます。
<価値観> <行動指針>
熱意 Passion 情熱を持って挑戦し、変化を起こしつづける
進取 Innovation 柔軟な発想とものづくりで、未来を切り拓く
誠実 Integrity ひたむきに取り組み、お客様の期待を超える
敬意 Respect 互いを尊重し、グローバルに社会や環境に貢献する
人材の育成は採用から始まると捉え、「NITTAグループ行動憲章」及びその実践書に基づき、多様な人材を採用し育成することとしています。多様性はイノベーションの源泉であると認識し、社員の多様性を確保するとともに、社員が多彩な能力をより良く発揮できるよう、一人ひとりの社員にとって適切かつ有効な人材育成が実現できる体制を整備しています。
具体的には、社員の個性と自主性を尊重しながら、ニッタ人材開発プログラムに基づき育成しています。研修タワープログラムを構築し、社員の多彩なキャリア形成のため、階層別の研修に加えて、グローバル人材育成、NI(ニッタ・イノベーション)研修、知財研修、デジタル人材育成などのテーマ別の研修を設け、人事部門のみならず社内の各専門部門が連携し人材の育成を行っています。
(ニッタ人材開発プログラム)
(研修タワープログラム)
また、刻々と変化していく社会環境の中で会社が持続的に成長していくためには、社員が健康かつ安心して生き生きと働ける職場環境の整備が重要であると考え、健康経営を推進し、3つの健康(健康なからだ・健康なこころ・健康な職場)を実現することを目指しています。具体的には、心身の健康維持・向上に関する施策の実施、育児・介護に携わる社員のサポート、長時間労働を防止する取り組み、あらゆるハラスメントへの対策などを進めています。
③リスク管理
人的資本に関する主なリスクは、サステナブル経営方針に係るリスクに含めて管理しています。詳細については「(1)サステナブル経営方針 ③リスク管理」を参照ください。
④指標と目標
当社は、社員の多様性の確保、一人ひとりの社員にとって適切かつ有効な人材育成体制の整備、並びに、社員が健康かつ安心して生き生きと働ける職場環境の実現に向けて様々な取り組みを行っており、それらに関する指標と目標を次の通り設定しています。また、これまでの取り組みの実績は以下の通りです。
<指標と目標>
指標 | 目標 | 備考 |
女性管理職比率 | 11%(2025年度) | 全産業平均10.6% 業界平均3.2% |
男性育児休業取得率 | 50%(2025年度) | 全国平均13.97% |
健康経営目標 | 健康経営目標値の達成(2025年度) | <目標設定時実績> |
(a)生活習慣改善に関心のある人の割合を85%まで高める | 2021年度:74.0% | |
(b)歩行等の身体活動を1日1時間以上している人の割合を50%まで高める | 2021年度:40.0% | |
(c)就寝前2時間以内の食事が週に2回以下の人の割合を70%まで高める | 2021年度:63.7% |
<取り組みの実績>
・女性管理職比率推移 | ・男性育児休業取得率推移 |
女性管理職比率、男性育児休業取得率の当事業年度の実績につきましては、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 ①提出会社」に記載しております。
・健康経営
健康経営目標 | 2021年度 | 2022年度 |
(a)生活習慣改善に関心のある人の割合を85%まで高める | 74.0% | 75.6% |
(b)歩行等の身体活動を1日1時間以上している人の割合を50%まで高める | 40.0% | 37.4% |
(c)就寝前2時間以内の食事が週に2回以下の人の割合を70%まで高める | 63.7% | 59.9% |
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