ニッスイ 【東証プライム:1332】「水産・農林業」 へ投稿
企業概要
<ミッションと長期ビジョン>
企業を取り巻く環境はさまざま変化しておりますが、中でも「気候変動への対応と海洋環境の保全」「資源の持続可能な調達」「健康課題の解決」「多様な人財が活躍できる社会の実現」は、当社が特に取り組むべき重要な社会課題と認識しております。このような課題に対応するべく、当社はミッション(存在意義)をあらためて定義した上で、長期ビジョン「人にも地球にもやさしい食を世界にお届けするリーディングカンパニー」として「2030年のありたい姿」を明確にしました。
当社がこれまで110余年かけて培った資源アクセス力、研究開発力、生産技術、品質保証力、世界各国に張り巡らせたグローバルリンクス・ローカルリンクスで構成される*バリューチェーンの強みと特長を活かし、「心と体を豊かにする新しい食」、「社会課題を解決する新しい食」を提供してまいります。
*「バリューチェーンの強みと特長」の詳細は「統合報告書2023」P.23~32をご覧ください。
https://www.nissui.co.jp/ir/download/integrated_report/2023_integrated_report_a3all.pdf
<長期ビジョン「2030年のありたい姿」>
人にも地球にもやさしい食を世界にお届けするリーディングカンパニー 「Good Foods 2030」
長期ビジョン「Good Foods 2030」の達成に向け、マルチステークホルダーへ配慮しながら持続可能な社会への価値を創造する“サステナビリティ経営”を推進するとともに、ROIC活用により成長分野へ経営資源を集中する“事業ポートフォリオマネジメント”を強化し、企業価値向上に努めます。
海外マーケットでの伸長、養殖事業・ファインケミカル事業の成長と差別化を加速し、2030年には、海外所在地売上高比率を50%、売上高1兆円、営業利益500億円を稼げる企業を目指します。
<中期経営計画と6つの基本戦略>
2030年の長期ビジョンを実現するため、当社は2022年度~2024年度までの3ヶ年を対象とする中期経営計画「Good Foods Recipe1」を策定し、以下6つの基本戦略で取り組んでいます。
<中期経営計画における投資と財務戦略>
成長と財務安全性の両立を図り、株主還元は配当性向30%以上を目指します。
(基本戦略の進捗状況)
6つの基本戦略 | 2022年度~2024年度の取り組み |
1.サステナビリティ経営への進化 | 気候変動によるリスクと機会への対応として、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明するとともに、TCFDコンソーシアムに加入しました。また、気候変動に係るリスク及び機会を特定し、シナリオ分析を通じて事業インパクトと財務影響を評価した上で、TCFD提言で推奨される「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの開示項目に沿って情報を開示しています。また、生物多様性の保全は重要な経営課題であると認識し、2023年9月にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フォーラムに加盟しました。2023年12月にはTNFD Adopterに登録し、事業活動における自然への依存と影響、リスクと機会、それらへの対応策をTNFDの枠組みに沿って整理した「ニッスイグループTNFDレポート2023」を発行しました。水産資源の持続的な利用については、取り扱い水産物の資源状態調査を通じて実態の把握に努めるとともに、ステークホルダーと協働して課題の解決に取り組んでいます。2023年度に第3回水産資源調査を実施しており、調査結果と今後の取り組みについては2024年度上期中に開示予定です。 |
2.グローバル展開加速 | 2024年度までに海外所在地売上高比率を38%程度に高める目標を掲げ取り組んでいます。水産事業では、ニュージーランドにおいて水産資源アクセスの更なる強化を進め、欧州では鮮魚調達・加工機能を強化し水産ビジネスの拡大を図っています。食品事業では、欧州企業の買収により不足していた生産能力を増強し、販売をスペイン・イタリアに拡大しています。また、北米では主力の白身魚フライ・えびフライに加え、健康訴求商品を導入するなどカテゴリーの拡大による成長を図っており、生産能力増強のため新工場の建設も進めています。ファイン事業では、EPA医薬原料の欧州への出荷に向け必要な承認申請を行いました。 |
3.新規事業・事業境界領域の開拓 | お客様の多様なニーズにお応えする新しい“食”として、水産素材の機能性研究成果を活かした「速筋タンパク」や減塩をキーとした健康領域商品の拡大を進めています。また、2023年7月にコンビニベンダー事業である当社子会社の日本クッカリーと三菱商事株式会社の子会社のグルメデリカを経営統合し、NC・GDホールディングス株式会社を設立、2024年7月には3社を合併し株式会社日本デリカサービスとして事業を開始予定です。三菱商事株式会社・株式会社ローソン・当社の3社でノウハウの共有や生産体制の最適化、商品開発体制の強化を図るとともに、チルド事業と冷凍食品事業の特性を活かした新しいカテゴリー(冷凍弁当・フローズンチルド商品)など、個食・簡便、健康ニーズに合った商品の開発・製造を進め、事業拡大・収益性の改善にもつなげてまいります。 |
4.生産性の革新 | IT、IoTを活用したAI尾数カウンタの養殖事業会社への展開、電子版魚病カルテの導入で養殖現場の最適化を進めています。今後は環境データ・飼育データ等の解析により、最適な飼育条件モデルの構築、効率的な養殖魚の育成に活用していきます。また、食品工場における技術継承として、アイトラッキング技術を用いたベテラン職員の「経験と勘」を可視化、データ解析を行い、業務の効率化・技術継承・品質向上に活用する取り組みを進めています。同じく食品工場を対象に、数理最適化(数理計画)手法による配員計画支援ツールの独自開発を行ない複数の工場へ導入展開中です。 |
5.財務戦略 | 効率性と成長性を軸に事業をROICで評価し、取締役会における事業ポートフォリオ審議を実施しています。各事業のROIC改善に向け、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の月次管理を継続するとともに、ROICやCCCへの理解を深める説明会の実施、定例会議における各事業やグループ各社の取り組み内容の共有などの活動を通じ、グループ内への浸透と定着を図りアイテム・カテゴリー数、生産拠点、各種オペレーションの最適化などを通じたアセットライトを実行していきます。 政策保有株式につきましては、毎年個別銘柄ごとに保有の妥当性を判断しながら売却を進めており、2022年度に10銘柄、2023年度は6銘柄の売却を進めました。創出したキャッシュを成長分野の投資に向けてまいります。 配当は中計目標として配当性向30%以上を掲げており、2023年度は、年間配当金1株24円、配当性向31.3%と目標に到達しました。 |
6.ガバナンス強化 | 取締役会においては、企業戦略等の大きな方向性を示し、重要な意思決定機能を残しつつも、監督機能をより重視しています。また、2016年度より毎年取締役会の実効性評価を実施しており、全役員を対象にアンケートを実施し、アンケート結果から見える課題を抽出、全役員で当該課題克服に向けたディスカッションを行い、取締役会の機能向上を図っています。 取締役の報酬については、2023年度より中長期的な業績の向上と企業価値向上への意識を高めるため、業績に連動する変動報酬(業績連動報酬及び株式報酬)の比率を全体の半分程度まで高める変更を実施しました。 |
<設備投資計画の進捗状況>
資源アクセスの強化や海外事業などの成長分野に積極的に投資します。
<マテリアリティ>
ニッスイグループでは、2016年度に特定したマテリアリティ(重要課題)に基づきサステナビリティ経営への進化に取り組んできましたが、外部環境の複雑化に対応すべく、2023年度においてマテリアリティの見直しを行いました。見直しにあたっては、マテリアリティの位置づけを「ニッスイグループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上(ミッション・ビジョンの実現)に向けて優先的に取り組むべき経営上の重要課題」としています。2024年度は、長期ビジョン「Good Foods 2030」の達成に向けて、マテリアリティをベースに次期中期経営計画における戦略の策定やKPIの設定を進めます。また、見直したマテリアリティについては、それぞれ対応する推進組織を設置し、執行役員以上が責任者を務め経営視点で取り組むことで、持続可能な社会に向けて価値を創造するサステナビリティ経営を推進していきます。
マテリアリティの特定プロセス
注:マテリアリティおよびマテリアリティ特定プロセスの詳細については、サステナビリティサイトをご参照ください。
https://nissui.disclosure.site/ja/themes/85
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