企業兼大株主ニチアス東証プライム:5393】「ガラス・土石製品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが合理的であると判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、1896年にわが国における保温・断熱分野のパイオニアとしてスタートし、様々な産業分野へ「断つ・保つ」の技術を基盤とした製品とサービスを提供することで成長してまいりました。

2011年には経営理念として

 ニチアス理念

「ニチアスは、『断つ・保つ』の技術で地球の明るい未来に貢献します。」

 を制定し、「風通しを良くする」「仲間で仕事をする」「全体最適で考える」という具体的行動指針のもと、以下の3項目を「私たちの約束」として掲げ、事業運営を行っております。

□ルールを守り、社会と共に歩みます。

□感謝の心を忘れず、お客様の満足を追求します。

□互いに信頼し、共に成長します。

(2) 中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標

 当社グループでは、長期ビジョンに「『断つ・保つ』で明るい未来へ」を掲げております。

「断つ・保つ」の6つの要素技術とニチアス独自のビジネスモデルの歯車を組合せ、さらには、変化に適応するスピードと効率化を加え深化することで、環境と社会課題の解決に向け貢献してまいります。


※ 当社グループでは従業員の理解・浸透を目的に、長期ビジョンとコーポレートスローガンは同一にしております。

 ニチアス理念のもと当社グループは、「働きやすい、明るい会社」の実現に向け、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「しくみ・130」(2023年3月期~2027年3月期)を策定し、数値目標、環境目標については、下記のとおりといたしております。

□ 数値目標

 

2024年3月期

実績

2027年3月期

目標

売上高(億円)

2,493

2,500

営業利益率(%)

14.1

15.0

ROE(%)

14.5

13.0

ROIC(%)

11.6

12.0

□ 環境目標

 

2024年3月期

実績

2025年3月期

目標

2027年3月期

目標

GHG(CO2eq)排出量(万t)

22.4

18.6

18.3

産業廃棄物排出量(千t)

23.2

18.3

17.1

※中期経営計画「しくみ・130」において、「し」は従業員と家族の幸せ、「く」は課題解決のための工夫、「み」は持続的成長を目指す明るい未来と定義づけ、外部環境が目まぐるしく変化する中、変化に適応できる「しくみ」を構築し、当社創立130周年となる2027年3月期の目標達成に向け、課題に取り組んでまいります。

 当該計画については、前半3ヵ年を第1ステージ(2023年3月期~2025年3月期)、後半2ヵ年を第2ステージ(2026年3月期~2027年3月期)と期間を区分けしております。環境の変化を踏まえ、適宜、目標に対する進捗の評価・検証、目標達成に向けた課題の見直しを行いながら進めております。なお、環境目標については、従来掲げた目標を前倒しで達成できる見込みとなりましたので、新たな目標を設定いたしました。数値目標についても、第2ステージを見据えた検討を進めてまいります。

(3) 経営環境及び対処すべき課題

 当社グループは、「断つ・保つ」の技術を基盤として、各種プラント設備向けに製品やエンジニアリングを提供する「プラント向け工事・販売事業」、基幹産業を主な市場とする「工業製品事業」、半導体産業に特化した「高機能製品事業」、自動車メーカーなどを主な客先とする「自動車部品事業」、ビルや住宅の建材を供給・施工する「建材事業」の5つの事業を展開しております。セグメントごとの経営環境及び対処すべき課題は以下のとおりです。

 <プラント向け工事・販売事業>

 プラント向け工事・販売事業では、シール材をはじめとする製品や極低温から超高温に至る領域で独自技術を駆使したエンジニアリングサービスを提供しています。電力、LNG、石油精製・石油化学などのプラント施設に常駐体制を構築することで、各種工事やメンテナンス工事におけるお客さまからのニーズへお応えしています。

 国内市場は人口減少に伴い長期的には縮小傾向にありますが、石油精製・石油化学分野においては、プラントの安定操業を目的とした設備保全に対する投資は継続していくと予想されます。また、政府が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギー由来の発電設備新設、火力発電における燃料の脱炭素化、原子力発電所の再稼働に向けた取組み等も順次進められていくと考えられます。

 このような環境のなか、従来築いてきた全国のプラント施設への常駐体制を維持し、お客さまのニーズに真摯に対応していくとともに、将来見込まれる人手不足や働き方改革に対応するための省力化工法・製品の開発、工事現場管理のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してまいります。

 <工業製品事業>

 工業製品事業は、半導体・電子部品、自動車、医療、食品、医薬、石油精製・石油化学、電力、鉄鋼、インフラ建設などの幅広い産業分野に対し、生産工場の設備用部材や各種機器の部品として、ガスケット・パッキン、ふっ素樹脂製品、各種断熱材、VOC(揮発性有機化合物)除去フィルター製品などの「断つ・保つ」技術・製品を提供しています。また、当社のマザー事業本部として新規事業創出の役割を担っています。

 外需については、中国環境規制への対応や、EVの急速な普及に伴う電池工場への投資拡大に伴い、VOC除去フィルターや産業用除湿フィルターの需要が増大しています。内需については、半導体関連の大型投資により薬液製造および薬液供給の分野で大型物件が見込まれます。また、建築や医療、食品等の需要は堅調であり、加えて、カーボンニュートラル実現に向け、主力事業分野の一つである省エネ関連製品(断熱材)への関心が高まっています。

 このような環境下で、幅広い産業分野を顧客に持つ工業製品事業本部としては、国内外の有望地域や有望成長市場における機会損失を最小限とするべく、需要増に対応できるよう設備投資や生産体制整備を積極的に進めてまいります。また、カーボンニュートラルに向けた市場および顧客の構造転換を見極め、「断つ・保つ」技術を基軸とした戦略製品群の開発・拡充を行っていくことで、社会要求に対応してまいります。

 <高機能製品事業>

 高機能製品事業では、技術革新の早いエレクトロニクス関連産業分野のなかで、半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造プロセスにおける、熱・薬液・ガスなどに関わる先進の部品や部材(樹脂・ゴム製品、ヒータ・無機断熱製品)を提供しています。

2023年の半導体市場は、スマートフォンやPC向けの需要減に伴い、半導体メモリに対する投資が抑制され軟調に推移しましたが、2024年以降は徐々に需要が持ち直すと予想されます。中長期的にはIoT・AI・5G・メタバースの普及、加速するデータ社会により、半導体市場は拡大・成長していくと考えております。

 このような環境のなか、将来の市場拡大に備えた生産体制の構築を進めるとともに、将来の環境規制にも配慮した先進技術や材料開発を展開してまいります。

 <自動車部品事業>

 自動車部品事業では、シリンダーヘッドガスケットなどの流体の漏れを「断つ」機能製品であるシール材をはじめ、自動車の進化に対応した防熱、防音、制振関連の製品や技術を提供しています。

 2023年の世界全体の自動車生産台数は、半導体をはじめとした部品不足やコロナ感染症の収束により、回復基調となりました。2024年も引き続き堅調に推移すると思われ、長期的には中国、ASEAN、インドを中心に伸長が予想されています。また、脱炭素に向けた取組みが加速しており、世界各国で厳しい環境規制や新エネルギー車の導入目標が設定され、EV(電気自動車)へのシフトが進んでいます。

 このような環境のなか、進化を続ける自動車産業の未来に貢献すべく、長年培ってきた技術を駆使し、時代のニーズに対応した高付加価値製品の創出、開発を進めていくとともに、グローバルでの拡販と原価低減活動を推進し利益確保に注力してまいります。

 <建材事業>

 建材事業では、不燃・断熱・耐火などの性能を備えた建材を提供するとともに、その建材を活用した施工も展開しており、オフィスビル、住宅、工場、物流倉庫などの、より安全で快適な空間づくりに寄与しています。

 住宅市場における近年の新設着工戸数は緩やかに減少しており、今後も同様の傾向が続くと予想されます。一方、非住宅における新設着工需要は、概ね横ばい傾向にありますが、都市部の大型再開発事業などにおいては、人手不足や資材価格の高騰による工期への影響も考えられます。

 このような環境のなか、当社の戦略としては、建築物には欠かせない耐火被覆工事の施工性を大きく改善させた巻付け耐火被覆材をはじめとする差別化製品(環境対応型製品)の拡販を進めるとともに、事業の構造改革を進め、収益の改善を進めてまいります。

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