企業兼大株主トレーディア東証スタンダード:9365】「倉庫・運輸関連業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針・経営戦略等

 当社グループは「国際物流業務を通して世界の産業とくらしに貢献する」を事業コンセプトとし、経営方針につきましては、「顧客の課題を解決することによって付加価値の高いサービスを提供する」、「経営基盤を強化し、存在感のある事業体となる」、「社員にとって働きがいのある、いきいきとした職場を作る」を基本方針として、経営を進めております。また、当社グループは、自己資本利益率と売上高経常利益率を重視し、収益性の高い企業体質を目指しております。サービスの多様化と経営資源の最適化を図ると共に、株主資本の効率的な運用と収益性の一層の向上により企業価値向上を目指しております。また、当社グループは「国際物流のトータルプランナーとして常に革新する企業」を目指し、常に顧客ニーズの変化に的確に対応した事業体となる経営を進めております。当社グループを取り巻く港湾物流業界は、物流形態の変革により今後の事業環境は大きく変化するものと思われます。当社グループといたしましては、この変化に即応できる効率的な体制作りと、物流の合理化要請に対応できる商品、情報、サービスの提供をグローバルに取組み、積極的な営業展開による収益の拡大に努めております。

 具体的には、サービスの多様化として、基幹港湾施設の機能強化によりコア事業の強化を図ると共に、グループ企業の活用による新規事業を模索してまいります。また、経営資源の最適化に向けDXを推進しており、当社グループでの港湾関連情報における環境を整備するため、港湾関連データ連携基盤の構築により全ての港湾情報や貿易手続きを電子的に取り扱うことが可能となるサイバーポートへの接続や、通関業連合会の通関業者のためのクラウドサービス提供により、当社グループ基幹システムとの連携強化を進めております。今後、企業間における電子取引が活発化するなか、当社グループ内のIT環境を整備することにより業務の効率化を推進し、また、新たにデジタルフォワーディング事業者としての地位の確立を目指し、積極的なシステム活用により仕事の付加価値を高め、組織や制度改革、教育制度の充実により社員の意識改革を推し進め、人的資本の価値を最大限引き出し、収益性の向上に繋げてまいります。現在、海上輸送とJRの鉄道輸送網を組み合わせた国際複合一貫サービスを提供しており、モーダルシフトによる物流機能を強化すると共に、顧客と連携し環境負荷の低減を推進しております。今後は、新たに「みなとSDGs」への登録や施設の「グリーン経営認証」の拡大を図り、ESG経営の強化により物流事業者として責任を果たし、社会的貢献をしてまいります。海外においては、グループ会社を含めた海外合弁会社4社を中心に、従来のサービスの強化と新たな商品開発を推進します。取引先の海外生産拠点の変化に柔軟に対応し、当社グループの国際物流網強化のため海外に新たな投資先を模索し、積極的に投資を推進することにより、海外事業の拡大や収益源を求めてまいります。引続き情報を的確に捉え取引先のニーズに応え新たなサービスを提供し、海貨系国際物流事業者としての役割を果たし、事業活動の効率化を図り健全な経営を目指してまいります。

2)経営環境及び対処すべき課題

 当社グループは五大港に自己資産もしくは賃貸により倉庫設備を保有し、輸出入貨物の海上輸送及び港湾を中心とした国内物流を取り扱う海貨系国際物流事業者として事業展開しております。港湾運送事業の規制緩和は近年大きく前進しておらず、当社を取り巻く事業環境は急激な変化もなく、港湾地域への企業の新規参入もない状況です。しかしながら、世界的なパンデミック終焉後に社会経済活動は正常化したものの、新たな社会様式が定着し国内における消費動向も変化しています。さらに少子高齢化と国内人口の減少により日本の経済力低下は否めず、中長期的には国内消費全体の縮小等が進み、当社グループの主力倉庫設備等の拠点がある神戸港をはじめとして、港湾の輸出入貨物の取扱量は、今後減少していくことが推測され、業者間の競争がより一層激化することが予想されます。

 港湾の物流を担うコンテナ及びトラック運送業界における2024年問題や燃料費等の高騰による物流コストの上昇も顕在化し企業経営を圧迫しており、行政主導によるターミナル等の港湾物流の効率化推進事業の進捗状況に歩調を合わせ、当社グループの業務効率化に繋げております。現在、当社グループは海外投資資産を持たず、アジアを中心に海外フォワーダーと資本提携による合弁会社を設立、もしくは代理店契約により連携を強化し海外展開を行っています。海外への投資効果においては安定的な利益配当を確保し、営業面では、取引先のニーズに沿ったきめ細かなサービスを提供し、新たなサービスを開発し他社と差別化した国際物流をコーディネートすることにより海外における収益の確保を目指しています。輸出部門の主要顧客は、グローバルなサプライチェーンの枠組みの中で堅調を維持しているものの、国際物流網混乱の収束とともに分散化・最適化へと変化し、荷動きは世界の生産構造の変化や生産状況に大きく左右され、当社業績へ大きく影響します。また、輸出・輸入・国際の全ての部門において、機械機器メーカー、商社、小売業を中心に主要取引先の営業収入の比重が高い顧客構成となっています。輸入部門・国際部門の輸入においては中国から貨物の依存度が高く、中国の政策や経済情勢等による影響も受け易く、当社グループの主要取扱い貨物構成も繊維製品、生活雑貨等の消費資材に偏重しているため、国内消費動向も業績に大きく影響します。今後も取引先の事業展開、世界経済や地政学的な外部要因により、当社グループ業績への影響が非常に危惧される状況が続くと予想されます。

 今後の日本経済は、社会経済活動の正常化を反映し、インバウンド需要等を中心に、景気は緩やかな回復基調となることが見込まれる一方、円安による物価高騰や金融政策の転換、中国経済の減速、ウクライナ・中東情勢の緊迫化など、景気下振れ要因も依然として残っており、先行き不透明な状況が続くものと予測されます。また、若干の混乱はあるものの、国際物流網の安定化、需給バランスの緩みによる海上運賃の下落により、顧客の物流コスト削減意識が強まり、業者間の価格競争が一層激化し、当社グループを取り巻く事業環境の厳しさは増すものと思われます。従いまして2024年4月以降の経済情勢はまだまだ予断を許さない状況で推移するものと考えております。

 このような状況下、景気の動向や経営環境の変化に柔軟かつ迅速に対応し、継続的に安定した収益を確保できる基盤を確立するため、海外拠点の充実強化によるサービス提供と営業収入の拡大に努める一方、基幹港湾物流施設の機能強化と有効利用に注力し、安定的な収益源の確保と高付加価値貨物の取込みにより輸出、輸入部門を中心に収益性の向上を図ります。また、港湾関連情報ネットワークへの連携を図るとともに、オンラインを活用した働き方改革を推進し、労働生産性向上させ、ITを積極的に活用し合理化による固定費削減に取組み、顧客からのより一層の信頼を得る海貨系国際物流事業者として、業績の向上を目指してまいります。

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