トレンドマイクロ 【東証プライム:4704】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
Our Vision: A world safe for exchanging digital information.
私たちのビジョン:デジタルインフォメーションを安全に交換できる世界の実現
インターネットを中心とするITインフラは、個人及び企業また国を問わず、情報化社会における世界的ライフラインとなって久しくなりました。
今日、ネットワーク上の脅威として挙げられるコンピュータウイルス、ランサムウェア、迷惑メール、Webサイトの改ざん、情報漏洩等の多くは、事前にそれを予測し、絶対的な対策を立てられるような性質のものではありません。情報詐取、金銭的利益、破壊行為などの目的で、標的に特化した様々な手を用いて執拗に特定の組織を狙う標的型攻撃の増加においては企業や公共団体、国家機関がその攻撃対象となる他、個人においてもスマートフォンやタブレットなどの多機能携帯端末やSNSをはじめとする新しいIT技術やサービスの普及に伴いそれらも攻撃対象となっており、セキュリティ対策は、もはや企業や個人にとって必須となりました。
当社グループは普及しつつあるクラウドコンピューティングやIT技術によってビジネスや生活の質を高めていくデジタルトランスフォーメーション(DX)の潮流に乗って加速度的に拡大する世界的ITインフラを守るという大きな責務に対し脅威情報の相関分析・可視化を組み込んだサイバー攻撃防御ソリューション、そして万が一、被害にあった場合は損害の最小化、システムの復旧等、攻撃遭遇時に経験し得る一連の作業を強力にサポートする製品やサービスを、国境を超えて迅速に提供していきます。個々の企業や個人をネットワーク上の脅威から守るだけでなく、経済活動の遮断やユーザに負荷をかけることなくネットワークシステム全体の安全性を高めることにより、情報化社会のさらなる発展に寄与していきたいと考えております。
(2)目標とする経営指標
当社は現在、Pre-GAAP(繰延収益考慮前売上高)ベースの営業利益“額”成長を、重要な経営指標として意識しております。
一方で、同時に利益率の向上も図ってまいります。現在、2027年12月期において営業利益率29%~31%を目標としており、売上高の増加と営業利益率向上の両面を図ってまいります。当社のビジネス構造は基本的に資本集約的ではありません。従い、その結果としてROE(株主資本利益率)の向上に繋がるものと考えております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
今日、ITインフラは、どのような人にも、そしてありとあらゆる場面において使われており、我々の社会や生活の根幹となっています。パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットなどの多機能携帯端末他、IoT並びにAIと呼ばれる人工知能を活用する技術のもと、スマート家電やスマートカーも誕生し、インターネットに繋がる様々なデジタルデバイスやアプリケーション、ユーザの使用目的が多様化したことで、すべての環境に適する単一なセキュリティソリューションはもはや存在しなくなりました。ネットワーク環境におきましても、クラウドコンピューティングが、ビッグデータへのアクセスやデータ解析をより簡単、速く、手頃なものにし、デジタルトランスフォーメーション(DX)の躍進からも益々デジタル情報の交換の仕方に変革を起こしていくことが予想されます。上記のようなIT技術の進化の流れは、企業や個人に関わらず、行き交う情報量を爆発的に増大させると共に、従来のように予防だけでなく侵入を前提としたセキュリティ対策の需要も生み出しており、便利さと引き換えに情報セキュリティの重要性は今後も益々増大します。
このような背景を受け、当社グループでは幅広くセキュリティ製品及びサービスを展開している当社グループだからこそ可能となる統合セキュリティプラットフォーム:Trend Vision One™(以下、Vision One)により、クラウドを介してサービスとして「利用」するSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)型/オンプレミス型、両方の環境に対応するハイブリッド構成を展開した上で複数レイヤからの広く深い様々なテレメトリ情報を相関的に分析することで、サイバー攻撃の全体像と対処すべき箇所を可視化するXDR(Extended Detection & Response)機能により組織に存在する脆弱性を把握、リスクを軽減する機能を提供する統合ソリューションであり、当社グループの製品やサービス、知識と経験を法人のサイバーセキュリティリスク対策向けに体系化し提供するものです。従来のような各端末の防御や、ネットワーク環境下を各領域に分けて守る対策だけではなく、侵入後の対策も含む幅広いソリューションを展開してまいります。
当社グループは今後もより一層デジタル化が進むビジネスや社会、そしてユーザの生活を守るために、企業と個人といった垣根なく安心できるセキュリティソリューションを一層強化して「デジタルインフォメーションを安全に交換できる世界」というビジョンを実現して参ります。
(4)会社の対処すべき課題
当社グループが属するサイバーセキュリティ業界は、既存セキュリティベンダの他、国内外問わず他業種からのM&Aや新規参入なども多く、競争が活発となっております。当社グループにとってこのような業界再編や新しい競合企業の市場参入は流動的で今後の展開が読みにくく、市場競争を更に熾烈なものにすることと予想されます。
お客様環境においては、IT技術によってビジネスや生活の質を高めていくデジタルトランスフォーメーション(DX) の推進が広まる中、クラウドの活用が引き続き拡大しております。それに伴い各種ソフトウェアにおいてSaaS型への移行が進んでおり、セキュリティサービス市場においてもSaaS型のソリューションの浸透は高まっています。
このような環境の変化を受け、法人個人を問わずインターネットやPCの利用者に被害を与えるサイバー攻撃は引き続き増大し、アタックサーフェス(攻撃対象領域)も多様化しています。法人のお客様においてはパソコンとサーバの監視などがメインだったかつてのセキュリティ対策とは違い、今日ではクラウドや仮想プライベートネットワーク(VPN)、IoT端末などの新技術も加わり複数レイヤに及ぶ複雑な対策を日々求められ、管理や運用の負荷は高まるばかりです。
こうした変化に伴い膨大なデータのやりとりやスピードを要する対応を求められているお客様の需要に応えるべく、サイバーセキュリティの在り方も迅速にそして柔軟に変化していかなくてはなりません。当社グループでは、広範囲のセキュリティ対策が日々求められる法人組織向けに統合セキュリティプラットフォーム:Vision Oneを中心とした幅広いセキュリティ製品及びサービスを展開し、高度なセキュリティと運用負荷軽減の両立の実現に努めております。その一環・強化として、当期においてSOC向けセキュリティソリューションを提供するAnlyz社の買収を行いました。
Vision Oneは、エンドポイント、サーバ、メール、クラウド、ネットワーク、IoTといった複数レイヤの各種SaaS型ソリューションを連携させ、それら各セキュリティ機能から収集した脅威や侵入の痕跡情報を相関的に分析することで、サイバー攻撃の全体像と対処すべき箇所を可視化するXDR機能を中心としたセキュリティプラットフォームです。当社グループは、より多くのお客様がVision Oneを通じて広範囲にわたるサイバー攻撃をより迅速に把握し、適切な対処を提供することでセキュリティオペレーションの生産性と効率の向上を図るため、SaaS型/オンプレミス型のハイブリッド構成を展開し、さらに生成系AI技術を搭載することでセキュリティの専門知識が十分でない運用担当者を支援する等、今後もお客様の需要に応える機能の拡張や新技術の搭載を継続してまいります。
当社グループは常にお客様の必要とするソリューションを開発・提供し、Vision Oneを中心に、より付加価値の高いセキュリティを実現すると共に、安定的な財務基盤を維持しつつ継続的な成長を目指していきたいと考えております。
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