トリドリ 【東証グロース:9337】「サービス業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、『「個の時代」の、担い手に。』というミッションをかかげており、InstagramやYouTubeなどSNS上で活動されている多様なインフルエンサーを支援しております。インフルエンサーを基軸としたプラットフォームを作ることで、様々な企業がSNSをうまく活用でき、インフルエンサーがより活躍できる世界になり、現代の細分化された消費者のニーズにサービスがマッチするより良い世界を実現できると考えております。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
前項の経営方針に基づき、インフルエンサーの支援を通じて世の中に提供する価値の最大化を目指します。
当社グループは、この価値提供から生み出された結果である売上総利益(企業と消費者に対する請求総額である取扱高から、インフルエンサーに対する金銭報酬の支払額と商品原価を差し引いたもの)についても重要な指標として考えております。
そして当社グループは、今後の成長可能性と社会に与えるインパクトを勘案し「toridori base」を注力サービスとしておりますので、「toridori base」の売上総利益の成長が当社グループ全体の中長期的な企業価値向上に影響を与えると認識しております。また、上記「toridori base」の成長に直結する重要指標として、「toridori base」の顧客数および顧客当たりの四半期売上総利益を注視しております。
なお、各種指標の四半期ごとの推移は、以下のとおりであります。
① サービス別売上総利益
(単位:千円)
会計年度 | 四半期 | toridori base | toridori ad | toridori promotion | toridori studio | toridori made | 合計 |
2020年 12月期 | 第1四半期 | 2,721 | 79,149 | 20,081 | 31,709 | - | 133,662 |
第2四半期 | 4,461 | 100,461 | 21,661 | 18,689 | - | 145,273 | |
第3四半期 | 6,934 | 85,363 | 26,963 | 20,496 | - | 139,758 | |
第4四半期 | 10,724 | 61,648 | 38,775 | 31,100 | - | 142,248 | |
2021年 12月期 | 第1四半期 | 18,330 | 75,701 | 36,662 | 37,405 | - | 168,098 |
第2四半期 | 33,592 | 85,403 | 42,404 | 51,250 | - | 212,650 | |
第3四半期 | 54,924 | 90,727 | 54,934 | 36,286 | 46,648 | 283,522 | |
第4四半期 | 79,284 | 83,026 | 66,981 | 30,293 | 54,765 | 314,350 | |
2022年 12月期 | 第1四半期 | 89,647 | 129,417 | 69,062 | 24,222 | 61,877 | 374,226 |
第2四半期 | 135,316 | 146,504 | 78,535 | 20,719 | 40,760 | 421,835 | |
第3四半期 | 198,377 | 154,326 | 73,548 | 31,416 | 82,485 | 540,154 | |
第4四半期 | 221,913 | 168,873 | 89,049 | 31,966 | 35,639 | 547,442 | |
2023年 12月期 | 第1四半期 | 287,463 | 157,396 | 66,353 | 36,644 | 35,932 | 583,790 |
第2四半期 | 437,452 | 142,016 | 70,664 | 8,661 | 85,473 | 744,267 | |
第3四半期 | 510,285 | 152,909 | 69,060 | 15,257 | 40,826 | 788,339 | |
第4四半期 | 589,868 | 107,435 | 117,262 | 11,519 | 90,097 | 916,184 |
(注) 「toridori made」は2021年7月よりサービスを開始しております。
② 「toridori base」の顧客数(注1)及び顧客当たりの四半期売上総利益(注2)
会計年度 | 四半期 | 顧客数(社) | 顧客当たりの四半期 売上総利益(円) |
2020年 12月期 | 第1四半期 | 72 | 37,796 |
第2四半期 | 75 | 59,483 | |
第3四半期 | 125 | 55,479 | |
第4四半期 | 208 | 51,558 | |
2021年 12月期 | 第1四半期 | 308 | 59,514 |
第2四半期 | 525 | 63,985 | |
第3四半期 | 841 | 65,309 | |
第4四半期 | 1,151 | 68,883 | |
2022年 12月期 | 第1四半期 | 1,323 | 67,761 |
第2四半期 | 1,874 | 72,207 | |
第3四半期 | 2,296 | 86,401 | |
第4四半期 | 2,680 | 82,804 | |
2023年 12月期 | 第1四半期 | 3,439 | 83,589 |
第2四半期 | 4,626 | 94,564 | |
第3四半期 | 5,018 | 101,691 | |
第4四半期 | 5,875 | 100,403 |
(注1) 各四半期において、「toridori base」の有料会員として当社からの請求対象となった顧客の数
(注2) 「toridori base」の四半期ごとの売上総利益を顧客数で除することで算出
(3) 経営戦略等
当社グループを取り巻く環境は日々変化しており、また、顧客企業のマーケティング課題が高度化・複雑化する流れは、引き続き不可逆的に進行していくと考えております。そのような流れの中でも、当社グループは顧客企業のニーズに対応するべく、マーケティング組織の強化、既存サービスの深化、新サービスの育成及びインフルエンサーデータベースの構築等に取り組んでまいります。これらの取り組みは、以下に掲げる成長戦略の3つの基本方針に基づいて実施してまいります。
① 「toridori base」を中心としたプロダクト領域の拡大
当社グループはこれまで「toridori base」の成長に注力しており、当連結会計年度においても、高成長を達成できたと考えております。しかしながら、「toridori base」の対象顧客であるSMBの市場規模は広大であり、顧客数の拡大余地はまだ大きくあると考えております。現時点での「toridori base」はインフルエンサーの必要なキャスティング機能を兼ね備え、多数のSMBにご利用頂ける状態になりましたが、今後もより多くのお客様にご利用いただけるように、マーケティングファネルにおける認知領域以外への進化を目指してまいります。
このため、当社グループとしては引き続き、「toridori base」を中心としたプロダクト領域における顧客数の拡大と、既存プロダクトの洗練と新規プロダクトの創出によって顧客満足度の向上に取り組み、高成長を目指してまいります。
② 中堅・大手企業をターゲットとするマーケティングパートナー
当社グループではこれまで「toridori promotion」「toridori ad」を通じて、中堅・大手企業向けにインフルエンサーのキャスティングを中心にお客様の認知・集客施策の提案をしてまいりました。直近では、メディアの高度化・複雑化によって、中堅・大手企業におけるマーケティングの専門性と工数の不足が課題となっています。当社グループでは、この課題を解決すべく、お客様の商品やサービスのペルソナをしっかりと理解したうえで、正しいブランディング、最適なインフルエンサー活用、最適な各種マーケティング施策を企画提案しながら伴走支援をしてまいります。「toridori promotion」「toridori ad」を通じて、これまで以上に新しいトレンドを作り出し、お客様の売上拡大に貢献していきたいと考えております。
このため、当社グループとしては、採用、教育及びM&A等を通じたマーケティング組織の強化に取り組んでまいります。
③ インフルエンサーデータベースの価値最大化
当社グループはこれまで多数のインフルエンサーと取引をしており、インフルエンサーのインサイト情報や取引結果情報等はデータベースとして蓄積されております。このデータベースについて、更なる情報量の拡充に努めるとともに、分析、評価、分類、体系化を進め、広告主の商材・サービスと相性の良いフォロワーを持つ最適なインフルエンサーを、手軽に抽出し提案ができるデータベースの構築に取り組んでまいります。これにより、ターゲティング精度の向上により、さらに費用対効果の高い最適なマーケティングを広告主に提案することができると考えております。
また、この活動による取扱いジャンルの拡大、新規事業の可能性の模索にも取り組んでまいります。
(4) 経営環境
2022年においては、日本の総広告費が前年比104.4%と成長する中で、インターネット広告費はその成長を大幅に超える前年比114.3%の3兆912億円(注1)となっております。
さらに、2023年のインターネット広告費については、社会のデジタル化を背景に、前年比107.8%の3兆3,330億円(注2)と引き続き成長を見せており、この好調に支えられて、日本の総広告費は過去最高を更新しております。
そのような環境下において、近年では消費者の認知・検索という行動においてSNSが果たす役割はますます拡大しております。2010年代までは、消費者はテレビを見て認知を行い、Googleなどの検索エンジンで検索する、という流れが主流でした。しかし近年では、Instagram、TikTokやYouTubeといったSNSで新しい情報を認知し、検索するという流れが主流になりつつあります。15-24歳に対する意識調査では、ブランドの認知を「Instagram(51.0%)」、「Twitter(48.5%)」、「動画配信サービス(45.0%)」 にて行うという結果や、ブランドや商品の情報収集についても「Instagram(31.5%)」、「Twitter(29.3%)」「動画配信サービス(29.0%)」にて行うという結果がでております(注3)。
これまでの、テレビ・検索エンジンが認知・検索に影響を与えていた時代において、企業はテレビを見る消費者に対してマス広告を行い、検索エンジンでの検索に対応するためSEO対策(Search Engine Optimization,検索エンジンのオーガニックな検索結果において、特定のウェブサイトが上位に表示されるよう、ウェブサイトの構成などを調整すること)を行ってきました。そのため、認知領域では大手の広告代理店や芸能事務所が、検索領域ではネット広告代理店やポータルサイトが大きな影響力を持っていました。しかし、2020年代より、SNSが消費者の認知と検索の主たる媒体になりつつあり、当社グループの提供するインフルエンサーと企業をつなげるプラットフォームの認知・検索領域における影響力はますます高まっていくと考えております。
また、SNSで広告を行う場合には、広告代理店の担当者がついて、企画・インフルエンサーとの調整をすべてアナログで行っており、広告予算に余裕がある大手企業が高い手数料を代理店に支払い、メガインフルエンサーをキャスティングすることが一般的でした。
しかし当社グループが提供するサービスでは、企業の方が直接アプリで簡単にインフルエンサーをキャスティングできるので、値段を安く抑えることができ、幅広いお客様に利用していただくことができます。今までインフルエンサーマーケティングを行うことが困難だった中小企業及び個人事業主の方々に新しい手段を提供することで、当社グループ自身がインフルエンサーマーケティングの市場そのものを広げていきたいと考えております。そうした中、当社の注力サービスである「toridori base」は通販事業者・店舗事業者など事業形態を問わず、また、事業者の規模の大小を問わずご利用いただくことができるため、グルメ・ビューティー・トラベルジャンルを中心とした多種多様な事業者にご利用いただいております。当該事業者の広告費の規模は広大であると考えており、また、日本国内にインフルエンサーの数も豊富に存在しているため、上記市場規模を支えられるほどのSNSの利用環境へと変化してきております。Web上での集客、代理店活用、展示会への出店など様々な顧客獲得施策を取ることで上述の様々な事業者に対してアプローチしております。
(注1) 株式会社電通「2022年 日本の広告費」
(注2) 株式会社電通「2023年 日本の広告費」
(注3) SHIBUYA109 lab.調べ 株式会社SHIBUYA109エンタテイメント 「Z世代のSNSによる消費行動に関する意識調査」
このような環境の中で、当社グループは市場全体の拡大とともに、「第1 企業の概況 3 事業の内容 当社グループの事業の内容」に記載のとおり、注力サービスである「toridori base」への積極的な投資と、インフルエンサーに対する支援領域の拡大及び支援する対象インフルエンサーの裾野の拡大を経営戦略の柱としております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の主な課題は以下のとおりであります。
① 売上の拡大並びに利益及びキャッシュ・フローの定常的な創出
当社グループのインフルエンス・プラットフォーム事業においては、各サービスの機能性・利便性向上及び市場シェアの獲得が重要と考えており、特に主力サービスの「toridori base」において、システム開発人員やサービスの拡販に係る人件費、及び顧客獲得にかかるマーケティング活動の広告宣伝費などを継続的に投下しております。当社グループとしては引き続き費用対効果を勘案しながら適切に投資を行ってまいります。
中長期的な利益及びキャッシュ・フローの最大化に当たっては、これらの必要コストを上回る売上高の成長が重要であり、今後とも成長戦略を進めてまいります。
今後財務上の課題の発生が想定される場面及び発生確度につきましては、「3 事業等のリスク (2) 当社グループのビジネスモデルに関するリスクについて」をご参照ください。
資金繰りが悪化した場合の対策につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析」をご参照ください。
② 人材採用、育成による生産性向上
当社グループのさらなる発展を目指すため、事業規模に見合う組織・人事評価体制の確立、優秀な人材の確保、また、確保した人材の早期育成の仕組みが不可欠だと考えております。企業理念の社内浸透や評価・教育研修制度の整備を進め、人材育成を通じて会社全体の生産性を向上させることで、さらなる収益性向上に努めてまいります。
③ 広告審査体制の整備
当社グループが受ける広告案件及び、当社広告マッチングの各サービスにおいては、広告関連法令やインターネット広告業界の自主規制に則った厳格な広告審査基準を顧問弁護士と連携して制定し、当社のコンプライアンスチームによる審査を実施しております。また、「toridori ad」では、外部機関にも依頼して二重の審査を行っております。さらに、一般社団法人日本インタラクティブ広告協会(JIAA)や一般社団法人クチコミマーケティング協会(WOMJ)の会員として、定期的に法改正や広告審査に関する情報を収集し、当社の広告審査体制の改善及び当社内外に向けた法令遵守意識の啓蒙に努めております。今後、事業拡大による広告案件の増加や、新たなマーケティング手法を開発した際においても、引き続きこれらの対応を実施し、法令遵守の徹底に努めてまいります。
④ 開発体制の構築
当社グループが属するインターネット広告事業においては、技術革新のスピードが非常に早く、また、新たなサービスや競合他社が次々と現れます。当社グループでは、このような市場環境の変化に対応し、競合優位性の確保及び事業の拡充を図るため、顧客やインフルエンサーの利便性をより高めるための既存サービスの機能改善や、新規広告商品やサービスの開発を行っております。これらを迅速に実施するため、開発環境の整備や優秀な人材の確保に引き続き取り組んでまいります。
⑤ 当社グループ及びサービスブランドの知名度向上
当社グループが今後も成長を続けていくためには、自社サービスの知名度向上により、インフルエンサーの拡充及び顧客企業からの認知の拡大が必要不可欠と考えております。今後も費用対効果を勘案しながらも、プロモーション活動を強化してまいります。
⑥ 情報管理体制の強化
当社グループはインフルエンサー及び「toridori made」における購入消費者を含めて個人情報を多く預かっており、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。現在、個人情報保護管理規程に基づき管理を徹底しておりますが、今後も社内教育・研修の実施やシステムの整備とともに、外部業者による脆弱性の確認等を継続的に実施し、情報管理体制の整備・強化を行ってまいります。
⑦ 内部管理体制の強化
当社グループは成長段階にあり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が今後も重要な課題であると考えております。このため、当社グループといたしましては、コーポレート部門の整備を推進し、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。
⑧ 法規制等の変動に対応する社内体制
当社グループの事業は、広告関連法令、広告業界の自主規制、各種SNSプラットフォーム規約等の制約を受けますが、それら規制の改正、変更等の事業環境の変化に迅速に対応するため、事業部門とコーポレート部門が連携して情報の収集、分析、管理を行っております。また、規制等の変更に伴い対応が必要である際は、社内への周知、教育等によりその徹底を図っており、これらの対応を継続的に行ってまいります。
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