トヨタ紡織 【東証プライム:3116】「輸送用機器」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ
[戦略]
トヨタ紡織グループは、創業者である豊田佐吉の考えをまとめた「豊田綱領」に基づき、すべてのステークホルダーから信頼され続けるために「基本理念」を制定し、事業活動において着実に実践しています。持続可能な成長の追求を通じて経済的価値の向上を図り、その成果をステークホルダーのみなさまに還元するとともに、持続可能な成長への投資をすることで、中長期的に企業価値の向上を図り、ステークホルダーのみなさまの期待に応え、国際社会・地域社会の発展に貢献します。
これまでもCSR活動に取り組み、SDGsの達成に貢献してきましたが、世の中の変化に合わせ、2019年3月よりCSRからCSV経営へのシフトを加速させています。そして2020年7月、さまざまな社会課題の中から本業を通じて優先的に取り組む重要な課題を特定し、解決する姿をマテリアリティとして策定し、続く11月にマテリアリティ実現への施策を織り込んだ「2025年中期経営計画」を発表しました。
さらに、CSV経営の考え方を明確にするため、CSRの考え方を見直し、2021年11月に取締役会の承認を受け、「トヨタ紡織グループサステナビリティ基本方針」を策定しました。
また、「基本理念」を実践するために、グローバルでの共通の価値観や行動パターンとして「TB Way」「トヨタ紡織グループ行動指針」を制定し、共有しています。
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トヨタ紡織グループ サステナビリティ基本方針 トヨタ紡織グループのサステナビリティ基本方針は、「経営の考え方」、「マテリアリティ」、「経営の目指す姿」で構成されています。 | ||
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1.経営の考え方 トヨタ紡織グループは、「豊田綱領※」に 基づいて「マテリアリティ」を定め、本業を 通じて、社会に貢献していきます。 ※トヨタグループの創始者である豊田佐吉の 考えをまとめたもの |
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2.マテリアリティ インテリアスペースクリエイターとして 快適・安全・安心を創造し、こころ豊かな 暮らしと交通事故死傷者ゼロ社会に貢献 していきます。 また、再生可能エネルギーの活用やサーキュ ラーエコノミーでカーボンニュートラルの 実現に挑戦していきます。 |
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3.経営の目指す姿 当社の企業価値は、よき企業市民として 社会的価値への貢献と、競争力・経営基盤の 強化の取り組みを軸に経済的価値の向上を 図り、ステークホルダーのみなさまの期待に 応えると同時に持続可能な成長を追求して いきます。 |
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[ガバナンス]
活動にあたっては、年2回開催する「CSV推進会議」(議長:CSO(Chief Strategy Officer))で、CSVの考え方に基づいた企業価値向上に向けた課題や方向性の報告、審議を行うとともに、活動の内容を取締役会に報告します。
また、CSV推進会議には、ESGの観点で整理し、マテリアリティの進捗を測るESG KPIの責任者である全てのチーフオフィサーが出席し、ESG KPIのモニタリングを実施しています。これらの活動を通して、マテリアリティの達成度合いを正確に把握し、必要に応じてPDCAサイクルを回し、リカバリーを図っています。
体制図
[リスク管理]
2019年4月から2020年7月にかけて、全社をあげて重要課題の特定に取り組み、マテリアリティを策定しました。
特定した重要課題は、人と生活を豊かにする「プラスの影響を最大化するもの」と、リスクを回避する「マイナスの影響を最小化するもの」に分類し、それらを「本業を通じて解決する安全・環境・快適に関する課題」と、「競争力を発揮するための源泉となる人・組織に関する課題」に整理。それぞれの課題へ「解決する姿」を加えたものを、トヨタ紡織グループのマテリアリティとしました。
[指標及び目標]
2025年中期経営計画で設定した経済的価値を測る財務KPIに加え、社会的価値を測る非財務KPIのESG KPIを、2021年12月に設定しました。
ESG KPIをもとにマテリアリティを実現し、企業価値を向上することで、ステークホルダーのみなさまの期待に応えていきます。
なお、ESG KPIは、年に2回開催するCSV推進会議(議長:CSO(Chief Strategy Officer))で、フォローしています。
<ESG KPI策定の考え方>
1.ESGの観点で整理
2.トヨタ紡織グループサステナビリティ基本方針に沿っている
3.マテリアリティの進捗を測ることができる
4.コーポレートガバナンスコードに則している
5.社会からの要請に対応している
No (※) | 関連する マテリアリティ | KPI項目 | 2022年度 実績 | 目標値 | |
2025年度 | 2030年度 | ||||
1 | ③ | 生産CO2排出量削減率(2013年度比) | ▲31% | ▲25% | ▲50% |
2 | ③ | 再エネ導入率 | 23% | 15% | 40% |
3 | ③ | 物流CO2排出量削減率(2011年度比) | ▲30% | ▲14% | ▲20% |
4 | ③ | 廃棄物排出量削減率(2011年度比) | ▲20% | ▲14% | ▲20% |
5 | ③ | 水使用量低減率(2013年度比) | ▲35% | ▲6% | ▲8% |
6 | ③ | 自然共生(植樹本数) | 7.2万本 | 累計64万本 | 累計77万本 |
7 | ③ | 環境負荷ミニマム化につながる電動化製品のユニット部品における売上高比率 | 6.5% | 10% | 45% |
8 | ①② | 特許出願数 | 325件 | 320件/年 | 500件/年 |
9 | ①② | 社外発表・論文数 | 66件 | 90件/年 | 120件/年 |
10 | ① | インテリアスペースクリエイターにつながる新製品開発率 | 5% | 15% | 30% |
11 | ② | 交通安全に寄与する製品の採用が予定される車種率 | ― | 20% | 50% |
12 | ④ | 社会貢献活動の推進 参加者数 | 延べ2,980人 | 延べ2,000人 | 延べ2,000人 |
13 | ⑤ | 行動指針の実践度 | 87% | 100% | 100% |
14 | ④ | 全社員へのストレスチェック実施回数 | 1回/年 | 1回/年 | 1回/年 |
15 | ④ | 健康診断受診率 | 99.98% | 100% | 100% |
16 | ④ | 社員の重大災害発生件数 | 0件 | 0件 | 0件 |
17 | ③⑤ | 外来工事業者・外来者の重大災害件数 | 0件 | 0件 | 0件 |
18 | ③⑤ | 環境異常・苦情発生件数 | 1件 | 0件 | 0件 |
19 | ⑤ | サイバーセキュリティ重大インシデント発生件数 | 1件 | 0件 | 0件 |
20 | ⑤ | DX認定 | 認定事業者 | DX-Excellent企業 | DX-Excellent企業 |
21 | ⑤ | 独占禁止法違反件数 | 0件 | 0件 | 0件 |
22 | ⑤ | 贈収賄違反件数 | 0件 | 0件 | 0件 |
23 | ④⑤ | サプライチェーン上の人権リスク対応(人権デュー・ディリジェンスの展開) | 仕入先との 勉強会実施 | 展開率100% | 展開率100% |
24 | ⑤ | 客先からの外部表彰 | 8件 | 5件 | 5件 |
25 | ⑤ | 適時開示順守率 | 100% | 100% | 100% |
(※) 上記KPIの実績および目標値のうち、No.1、2、4、5、6、13、16、17、18、19、21、22は、トヨタ紡織グループグローバル、No.3、7、8、9、10、11、12、14、15、20、23、24、25はトヨタ紡織㈱単体の数値です。
個別項目
(2)人的資本
1.人材戦略
自動車業界は100年に1度の大変革期にあり、従来の枠組みを越えた対応が求められています。
人材戦略においては、事業の拡大や新規事業の創出に貢献するために、誰もが率直に意見を言い合える「風通しの良い職場風土の醸成」によって、「多様な人材の活躍」を一層促進させ、イノベーションの活性化を図っていきます。
また、労働人口の減少などにより必要リソーセスの確保は一層難しくなることが予想されます。従来の延長線上にない新たな採用方法を導入しながら、必要なリソーセスはグローバルかつタイムリーに確保できる体制整備を行っていきます。
1)多様な人材の活躍促進
当社では、多様なキャリアや働き方(主体的選択)を尊重し、国籍や年齢、性別、心身の障がいによらず、その多様性を受容して、それぞれの活躍・貢献に報いる制度、誰もがチャレンジ・活躍できる制度と環境整備を進めています。
2022年からは、社員の生の声を把握し経営陣に伝えて問題解決に繋げるため、社員ネットワーク(ENRG: Employee Network Resource Group)を設立し、活動を開始しています。
① 女性の活躍促進
[当社(単体)における女性管理職数・比率推移]
[実施策]
キャリア形成支援 | ・自己申告・能力マップに基づく業務付与・育成異動 ・重点育成対象者の登録と育成 |
柔軟なワークルール オフィス・IT環境の整備 | ・フレックスタイムのコアレス化、在宅勤務制度の導入 ・育児をする技能系社員が働きやすいラインの導入 ・短時間勤務制度の拡充 ・家族の海外出向に伴う退職後の復職制度 |
女性社員と上司の意識改革 | ・上司向けの教育、育休後の復職セミナー、女性活躍促進大会の開催 |
② 男性の育児休職取得促進
当社では、仕事と家庭を両立できる環境整備が、社員のモチベーション向上や業務の進め方の見直しに繋がると考え、男性の育児休職への意識向上と職場の理解を推進しています。
2023年からは、育児休職中の経済面でのサポートも開始し、取得を後押ししています。
[当社(単体)男性の育児休職取得数・比率]
③ 外国籍社員、障がい者、シニア人材の活躍促進
日本以外の地域のグループ会社からのトレーニー(研修生)受け入れや、地域をまたぐ異動の活性化、世界各国の大学からインターンシップの受け入れや採用を積極的に実施しています。
また、さまざまな障がいを持った方が働きやすい職場環境づくりを推進しており、特に、聴覚に障がいのある方には、各工場で手話の勉強会の実施や、朝礼の連絡事項を大型モニターに掲示する等工夫をしています。
シニア人材についても、50歳以上対象の社内公募制度であるジョブポスティング制度や、60歳以降も高い職責を担い、成果を出している人材に対し、処遇で報いる制度の導入や、仕入先を含む活躍の場の拡大など、シニア人材がよりいきいきと働き活躍できる施策を実施しています。
[当社(単体)の外国籍社員、障がい者、シニア人材]
④ LGBTQ+等 性への多様性の対応
性の多様性の理解促進のため、管理職向けに教育を実施し、社内に相談窓口を設けています。
今後も、LGBTQ+の方も安心して働ける環境を整備するとともに、社員の意識改革・理解活動を進め、性のどのようなあり方も尊重できる風土を育てていきます。
2)人材育成(現有組織・人材の強化)
経営理念に基づいた「TB Wayコンピテンシー(グローバルリーダーに求められる行動規範)」を策定し、「戦略立案」「実行貫徹」「人材・組織力向上」「人間力」の4つの観点で、バランスよく能力を発揮できる人材の育成と登用をグローバルに行っています。
① GHRプラットホーム 2013年度からトヨタ紡織グループのプロパー人材の管理職以上の資格認定を行い、見極め・育成・登用を計画的に進めて参りました。また2020年度から、職責が大きいポジションを担う場合、高い処遇が受けられるように制度の見直しを行い、若手社員の抜擢など適材適所の人材登用を容易にし、新たな経営課題への対応力を高めました。 |
② 次世代経営幹部候補の育成支援 2018年度以降、後継者育成委員会(GSCT・GSC・RSC)を順次立上げ、次世代経営幹部候補の見極めやサクセッションプラン、個別育成計画の議論を通じ、地域を超えた登用や、グローバル幹部教育プログラム(GEDP※1、 GLDP※2)による育成を図っております。 ※1 Global Executive Development Program 中堅幹部職クラスを対象とした選抜教育 ※2 Global Leader Development Program 基幹職から若手幹部職を対象とした選抜教育 |
③ イノベーティブ人材の育成
当社の事業領域の拡大、新規ビジネスの創成を担う人材育成を目的に2022年より2つのプログラムを始動しました。
3)風通しの良い職場づくり
多様性の拡大を今後当社の強みとするためには、誰もが率直に意見を言い合える風通しの良い職場づくりが不可欠であると考え、社員が持てる能力を最大限発揮し、安心して働くことができる風土の醸成に取り組んでいます。
① 360度評価の実施
2020年度より360度評価の導入を行い、人材の見極めや登用、配置の参考指標として活用しています。また、本人へフィードバックを行う事により、気づきを与え、更なる成長の機会を提供しています。
② 風通しの良い職場づくりへの取り組み
2022年は、役員による行動宣言や、全ライン長へのハラスメント防止教育、有識者による講演会を実施いたしました。
また、2023年からは精神医学の見地から、感謝と思いやりのあるコミュニケーションを体得する教育の実施や、心理学の専門スタッフによる心の悩みを持つ社員への対応を強化していきます。
[社員満足度(いきいきKPI)肯定回答率の推移]
4)健康経営 社員の健康増進を経営課題の一つとして捉え、2019年に「トヨタ紡織健康宣言」を策定し、CEOを最高責任者とした健康経営推進体制のもと、労使一体となり、健康でいきいきと働くことが出来る会社づくりを進めています。その取り組みが認められ、昨年に引き続き2022年度「健康経営優良法人2023ホワイト500」の認定を受けることができました。 2023年4月からは敷地内禁煙を実施し、卒煙への取り組みも支援していきます。また各部に配置された健康活動推進員を活用した取り組みにより、生活習慣の改善を考える環境を整えることで、社員の健康リテラシー向上を目指しています。 |
(3)TCFDへの対応
トヨタ紡織グループは「地球環境保護を重視した企業活動の推進」を基本理念に、持続可能な社会の実現に向け、トヨタ紡織グループ一体となって地球環境保護に貢献しています。
2016年に「2050年環境ビジョン」を策定し、2020年には「取引先とともに「ものづくり」の革新を図り、環境負荷のミニマム化を実現する」をマテリアリティ(本業を通じて優先的に取り組む重要課題)として特定し、環境へ配慮した取り組みを推進しています。
2020 年4月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD※)」の提言に賛同しました。気候変動が事業に与える影響とそれによるリスクと機会をシナリオに基づいて広範に分析することで、自社の取り組みの方向性を確認し、今後の経営戦略に反映していきます。
※ Task Force on Climate-related Financial Disclosures
[ガバナンス]
気候変動を含む環境問題に関する具体的な取り組み施策は、取締役会での意思決定を経て、経営戦略会議、経営企画会議、経営会議などで業務執行を行っています。
取締役会、経営戦略会議、経営企画会議で指示された環境問題への対応方針などは、年5回開催されるカーボンニュートラル環境推進会議で共有し、トヨタ紡織グループの環境課題に対する実行計画の策定と進捗管理につなげています。また、実行計画に基づくKPIを設定し、毎月の経営会議に報告し、マネジメントレビューを実施しています。
カーボンニュートラル環境推進会議で審議した内容は取締役会に報告し、取締役会の指示・監督のもと、戦略への反映を実施しています。
[戦略]
気候関連のリスクと機会のシナリオ分析
①シナリオ分析結果
国際エネルギー機関(IEA)による移行面で影響が顕在化する「1.5~2℃シナリオ※1」と、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による物理面で影響が顕在化する「4℃シナリオ※2」を踏まえ、短期・中期・長期のリスクと機会を抽出し、特にリスク・機会の評価が高いものを下表に記載。
※1 1.5℃シナリオ:NZE(IEA World Energy Outlook 2021)、2℃未満シナリオ:SDS(IEA World Energy Outlook 2021)
※2 4℃シナリオ:RCP8.5(IPCC第5次評価報告書)
※3 次期中期経営計画に応じて更新を行います
②重点取り組み
製品材料のサーキュラーエコノミーによるカーボンニュートラルへの挑戦
トヨタ紡織グループは製品のライフサイクルでのCO2排出量の削減を推進しています。
製品の軽量化や植物由来材料(バイオマス)の活用、電動化製品に対応した技術開発に加え、製品のリサイクル性向上も進めます。また、カーボンニュートラルに向け、製品に使われている材料のCO2排出量削減も進めていきます。
※1 製品を原料として再利用し、新たな製品にすること
※2 使用済製品を化学的に分解して製品の原料として再利用すること
※3 再生可能な生物由来の資源
③シナリオ分析を通じて
・気候変動が事業に与えるリスク・機会の大きさを再認識するとともに、当社の取り組みがリスク低減・機会拡大につながっていることを確認することができました。
・シナリオ分析の結果は、「2025年 中期経営計画」の取り組み推進および「2030年 中期経営計画」を検討する上での参考とし、経営戦略へ反映していきます。
・今後もシナリオ分析の結果を踏まえ、リスクや機会に対する対応を強化していくとともに、さらなる情報開示に取り組んでいきます。
[リスク管理]
カーボンニュートラル環境センターが気候変動にともなう外部環境の変化と内部環境の変化を全社的にモニタリングし、事業に影響を与えるリスクを洗い出しています。
気候関連リスクは、カーボンニュートラル環境推進会議の審議を経て、取締役会長や取締役社長も出席し、人事総務本部を担当するChief Human Resources Officer(CHRO)が議長を務めるリスク管理推進会議で特定します。リスク管理推進会議では、各部からの報告をもとに、気候変動に起因する「台風」「洪水」を含むあらゆるリスクについて議論します。他リスクとの関係の中で相対的に重要性を判断した上で、最終的に全社にとっての気候関連リスクを特定しています。
特定されたリスクはChief Risk Officer(CRO)のマネジメントのもと、取締役会へ報告しています。
[指標と目標]
中期・長期目標
・2050年環境ビジョン
トヨタ紡織グループ CO2排出量ゼロにチャレンジ
ライフサイクル CO2排出量ゼロにチャレンジ
GHG排出量 [目標] ・2030年目標 CO2排出量2013年度比 ▲50% ・2025年環境取り組みプラン CO2排出量2013年度比 ▲25% | ||||
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[実績] | ||||
| 項目 | 2022年度実績(概算)(※) | [スコープ1・2の 目標達成状況] 113% |
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| CO2 スコープ1 | 59,340 t-CO2 |
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| CO2 スコープ2 | 196,595 t-CO2 |
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※ KPMGあずさサステナビリティ株式会社による第三者保証を取得予定です。 |
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