企業兼大株主デンソー東証プライム:6902】「輸送用機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 デンソーグループ2030年長期方針では、「環境」「安心」の提供価値を最大化することに加え、社会から「共感」していただける「新価値創造」を通じて、笑顔広がる社会づくりに貢献することを宣言しています。

(1)環境分野ではカーボンニュートラル実現を目指して、モビリティの基盤からアプリケーションまで開発領域を拡げています。

 モビリティの基盤に関わる領域では2023年5月、300mmウエハ―での絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor 以下IGBT)を出荷開始しました。電動車の航続距離延伸や電費向上では、モータを駆動・制御するパワー半導体における損失低減と小型化が求められます。当社は従来比で損失を最大20%削減すると同時に小型化した次世代IGBT(RC-IGBT)を開発し、ユナイテッド・セミコンダクター・ジャパン株式会社と共同で新設の製造ラインにおいて200mmウエハ―に比べ高い生産効率を実現しました。

 モビリティのアプリケーションに関わる領域では2023年12月、トラックの停車時用クーラー「Everycool(エブリクール)」を販売開始しました。「物流ドライバーの労働環境改善」と「環境負荷低減・効率的なエネルギー利用」を両立すべく、当社がこれまで培ってきた気流コントロール等の空調技術により当社従来比で消費電力を約57%低減、送風機の一体化や小型電動コンプレッサーにより同じく約30%の小型化と約63%の軽量化を達成しました。これらの特長により新車から既販車まで、また、大型トラックに限らず中型トラックやトラクタ等多様な車種に搭載可能となりました。

(2)安心分野では、車両の交通安全を最大化するにあたり、車両システムによる運転支援だけでなく、安全運転意識の向上を継続できる仕組みを開発しています。一例として2023年5月17日 から「西表島yuriCargo(ゆりかご)プロジェクト」を行いました。スマートフォンで運転をスコアリングし安全運転意識を高めるアプリケーション「yuriCargo」を活用し、西表島で運転するドライバーの急ブレーキ・急加速や最高速度等を運転後に評価して優良ドライバー認定や特典付与を行います。得られたデータから島内の速度超過状況等を可視化し、情報発信も含めた対策を検討することで、希少なイリオモテヤマネコに優しく人にも優しい運転を定着させ、交通事故削減につなげていくことを狙った取り組みです。

 また、物流の「安心」を支えるべく、車載冷凍機の突発故障リスクを軽減するサービスを開発し、2023年5月より「D-FAMS」として提供開始しました。定温物流の安定的な運行を実現し、運行管理者の負荷低減や人手不足解消に貢献します。当社製冷凍機の稼働データをサーバーへ送信し、当社にて遠隔監視を行うことで、消耗部品の適切なタイミングでの交換をサポートすると共に、異常や故障の兆候を検知します。異常発生時には車両管理者へ速やかに通知し、サービス店と連携し修理調整も行います。

(3)「新価値創造」領域では、水素エネルギー関連や、基盤となるソフトウェアの開発を強化しています。

 水素エネルギーは、利用する際にCOを排出しない特長があり、水素を活用することで、発電部門や電化が困難な設備やBEV化が難しい大型商用車の脱炭素化が可能になると考えられます。水素の利活用を普及するには、「つくる」「ためる・はこぶ」「つかう」といった水素のサプライチェーンにおける技術課題を解決していくことが必要です。特に当社の保有技術を活かし、貴重な再生可能エネルギーを無駄なく使用し水素を「つくる」、そしてその水素を余すことなく「つかう」の実現を通じた水素利活用のコスト低減に取り組んでいます。その一例として、セラミック技術、各部温度を制御する熱マネジメント技術、循環を省動力化するエジェクター技術等、車載製品開発で得た知見を活用し、世界最高レベルの発電効率65%の実現を目指したSOFC(Solid Oxide Fuel Cell / 固体酸化物形燃料電池、水素をつかう)、及びその逆反応で作動するSOEC(Solid Oxide Electrolysis Cell / 固体酸化物形水電解用セル、水素をつくる)の開発に取り組んでいます。SOFCに関しては、工場の電力需要に応じてSOFCの発電量や太陽光発電による電力を貯めた蓄電池の充放電を制御し、より効率的なエネルギーマネジメントを目指した実証実験を2023年5月から西尾製作所にて開始しています。また、SOECに関しては広瀬製作所にて、水素製造、及びパワーカード試作品製造ラインでの活用を目指す実証を2023年7月から開始しています。

 基盤となるソフトウェアでは、制御の分野で複数台のロボットが衝突せず、高速で同時に作業できるためのAIアルゴリズムを開発しました。専門技術者による長時間のティーチング作業が不要になり、設備の導入時間が短縮されます。複数台のロボットの動作経路を生産現場で実用可能なレベルにてAIで自動生成できる例は他になく、世界トップクラスの技術です。最適化の分野では、量子コンピュータの原理をGPGPU(画像処理プロセッサを用いた汎用計算)で模倣した新しい疑似量子技術「DENSO Mk-D」を開発し、同種技術では100万変数規模の実問題に対応するのが限界とされていた中で、世界で初めて500万変数規模の実問題を解くことに成功しました。擬似量子技術で用いる情報を最小限まで圧縮し、参照情報を小さくして大規模計算を効率化し、計算速度を大幅に向上させました。当社は物流データの最適化計算にこの技術を応用し、トラック配送スケジュールの効率化を実現し、大規模で複雑な問題を解決できる新たな可能性を示しました。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は550,921百万円(資産計上分含む)、その内、日本セグメント485,438百万円、北米セグメント32,021百万円、欧州セグメント14,642百万円、アジアセグメント17,771百万円、その他1,049百万円となっています。日本セグメントが占める比率は約88%となっており、研究開発活動の中心を担っています。

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