テノックス 【東証スタンダード:1905】「建設業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループの事業目的は、土木・建築構造物の基礎工事を担当することにあり、上部構造物を利用されている全ての方々に「安全」「安心」をお届けすることにあります。基礎工事分野におけるリーディングカンパニーとして、常に新しい技術・工法の開発・普及に努めることで、企業価値の増大を図ることにより、株主・取引先・社会の期待に応える企業を目指します。
(2) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
① 経営環境
今後のわが国経済は、昨年5月の新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類変更以降、コロナ禍の影響により停滞していた個人消費、民間の設備投資が持ち直しつつあり、景気は緩やかながら回復基調を辿っています。今後もその流れは続く見通しですが、国内外の金利政策の変化および物価上昇などが先行きへの懸念材料となっており、引き続き今後の景気動向を注視する必要があります。
建設業界におきましては公共事業が防災・減災・国土強靭化対策により底堅く推移し、民間投資も半導体に代表される製造業の設備投資が継続しています。建設需要環境は総じて悲観するものではありませんが、建設資材価格の高止まりや、今年4月から建設業でも適用された時間外労働の上限規制の影響による人手不足から労務費の上昇が見込まれます。また、物流の2024年問題から物流コストの上昇が建設資材価格をさらに押し上げる懸念もあり、加えて脱炭素への対応など多くの取り組むべき課題を抱えています。
このような環境のもと、当社グループにおきましては、受注環境の変化に適応した事業基盤の強化に向けた取り組みを進めてまいります。
② 中長期的な会社の経営戦略
中期経営計画(5つの重要戦略)
2021年度からスタートした前中期経営計画(2021年度 - 2023年度)では、「進取の気性」をスローガンに掲げ、3つの基本戦略(「開発戦略」「営業・施工戦略」「ESG戦略」)をもって「ニーズに適応した高付加価値の創出」に取り組んでまいりました。
開発戦略では「環境変化と国土の強靭化に基礎技術で貢献」「社会が安心できる信頼性を確立」に取り組み、浅層地盤改良工法と高支持力杭工法の開発が概ね終了し、その実用化に目途が立ちました。営業・施工戦略では「設計提案から施工まで、サプライチェーンの実現」「開発途上国の社会インフラ整備に貢献」を推進し、設計提案によるリダンダンシー整備事業や関西インフラ事業の杭工事、また、物流施設等の基礎工事を受注・施工いたしました。
ESG戦略として「サステナビリティ経営の高度化」を進めてまいりましたが、電動小型施工機の開発を始めとして環境、人材、ガバナンスでの成果が表れ出しています。
今年度を初年度とする中期経営計画(2024年度 - 2026年度)は、長期ビジョンである100年企業を目指したサステナビリティ経営の実現に向け、変化・多様化する社会課題に対し、新たに5つの重要戦略で成長ビジョンに挑戦いたします。
具体的には以下のとおりです。
5つの重要戦略 | 事業活動アイテム | マテリアリティ |
事業別戦略 | 土木事業(国内) | 多発・激甚化する自然災害を想定した防災・減災、国土強靭化に向けた構造技術提案で設計折込みストックを増大 |
建築事業(国内) | 新開発工法や研究技術を駆使して構造物設計への複合提案を推進、変化・多様化する建築ニーズをキャッチアップ | |
海外事業 | ベトナム経済の成長政策(社会資本整備計画)へ基礎技術で貢献、現地法人の事業拡大に向けて施工基盤を強化 | |
土木建築 コンサルティング事業 | グループにおけるプロジェクトと戦略の共有、 戦略企画室が土木・建築構造設計へのカスタマーソリューションを高度化 | |
開発戦略 | 保有技術の 高付加価値化 | 保有技術をブラッシュアップし、付加価値の高い基礎工法のバリエーションを強化、施工管理装置「VCCS」の新基幹システムとの連携で工事現場の働き方改革を推進 |
社会・環境問題 解決への技術開発 | 災害に強い安全な国土形成や脱炭素社会の実現など、 時代のニーズにこたえる技術開発に注力 | |
100年企業を目指した 新技術の開発(中・長期戦略) | 担い手不足や現場の生産性向上・働き方改革に現場施工の自動化(On-site Construction Automation)で対応 脱炭素社会実現に向けたエネルギーの効率化に対応し、社会貢献 | |
環境・デジタル戦略 | 環境経営の実践 | 気候変動による地球温暖化への対応を当社の重要な経営課題と認識 基礎工事のカーボンニュートラルを実現 |
DXの推進(デジタルトランスフォーメーション) | DXの推進による業務の効率化、作業の生産性を向上、 省力施工の実現 | |
経営基盤の強化 | 事業基盤の強化 | 事業の成長と企業価値の向上へ4つの重要課題を実践、多様化・高度化する環境や顧客のニーズに対応し持続的な成長を実現(①安全・品質管理の徹底 ②施工体制の増強 ③収益力の強化 ④ガバナンスの強化) |
人財戦略 | 人財の能力を最大限に出す企業ブランディングを実現 ウェルビーイング(Well-being) 「人材育成」「DE&I」「エンゲージメント」「心理的安全性」 | |
経営管理体制の強化 | ガバナンス強化とリスク管理の徹底を目的とした5委員会(※)に加え新たに「サステナビリティ委員会」を設置、社会と事業の持続的成長を追求 | |
資本効率経営の推進 | 企業価値向上に向けた現状分析 | 収益性の向上と資本コストを意識した経営へシフト |
資本コストの把握と 目指すべきROE | 当社の資本コスト=株主資本コスト ⇒ 企業価値の源泉であるエクイティスプレッドを生み出す資本収益性の確保 ⇒ ROE8%以上 | |
キャッシュ・ アロケーション | 営業CFおよび手元資金を原資とし、投資・株主還元に戦略的に配分することで事業成長および資本収益性を向上 | |
株主還元方針 | 株主還元の主要指標を「配当性向30%程度を目安」から純資産配当率『DOE2%以上』に変更し、安定的に還元する方針 |
※リスク管理委員会、コンプライアンス委員会、情報セキュリティ委員会、品質管理委員会、安全衛生委員会
(3) 優先的に対処すべき事業上の課題と経営指標
当社グループにおきましては、このような状況のもと2024年度から新たに始まる中期経営計画において、5つの重要戦略を着実に実行し、収益性の向上に努めてまいります。合わせて資本効率を高めることが当社の企業価値向上に資することから自己資本当期純利益率(ROE)を経営上重視すべき経営指標としております。中期経営計画において目標とする経営指標は以下のとおりです。
| 2023年度実績 | 2024年度予想 | 2026年度目標 |
売上高 | 202億円 | 250億円 | 270億円 |
経常利益 | 5.57億円 | 9.30億円 | 15.00億円 |
ROE | 3.2% | 5.2% | 8.0% |
配当(1株当たり) | 38円 | 43円 | DOE2%以上 |
配当性向:64.1% | DOE(純資産配当率)2%以上 |
なお、企業価値の向上に向けてROEの引き上げは急務と考えており、引き上げの施策として以下を実施してまいります。
①重要戦略への取り組みを通して利益を増加。
②キャッシュ・アロケーションにおいて将来の成長に繋げるために資金の有効活用として既存事業投資と成長分野投資(海外事業、環境関連、M&A)に対して3年間で60億円の投資枠を設定。
③配当方針を変更し(DOE2%以上)、安定した株主還元を実施。
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