企業テクニスコ東証スタンダード:2962】「金属製品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、社会的使命、永続的な目標および企業としての姿勢を「The TECNISCO WAY」として企業理念に掲げており、その社会的使命として掲げた「高度なクロスエッジ®Technologyへの継続的なチャレンジによって人びとの喜びの実現の一助となる」を果たすため、「切る」「削る」「磨く」「メタライズ」「接合」を中心とした複数の先端加工技術を融合させた「クロスエッジ®Technology」で、真の顧客ニーズと市場ニーズを捉えたモノづくりに取り組んでおります。また、永続的な目標の“いつの時代にも人びとから「次も」期待される存在となる”において、顧客より求められる部品加工の領域は幅広くありますが、当社グループはその中でも高機能ヒートシンク及びガラスの領域においては、顧客が困ったときには当社に相談したいと思わせられる存在になりたいと考えており、企業としての姿勢の“誠実な企業として生きる 独創の企業として生きる”を基に、世の中の快適につながる部品加工の技術開発を進めております。

 なお、企業を構成する主要な要素と当社を取り巻くステークホルダーとの関係性という観点から、当社グループが2023年度に実現すべき姿を「VISION 2023」として定義し、その具現化を継続して進め、景気の波に左右されず着実に成長・拡大するビジネスモデルを構築すること、企業としての基礎体力を強化して安定的な収益構造を実現することを中期的な課題として継続的に取り組んでおります。

(2)経営戦略等

 果たすべき社会的使命、「高度なクロスエッジ®Technologyへの継続的なチャレンジによって人々の喜びの実現の一助になる」の実現を目指す上で、当社グループは、中長期のマイルストーンとして「VISION 2023」を策定しています。その策定にあたっては、「VISION 2018」の活動の振り返りを行い、進化を目指して未来からの視点で描かれており、売上高や利益などの定量的な要素によらず、より定性的な要素も含めた内容になっています。事業や技術、会社、文化といった企業を構成する様々な要素の姿と「顧客」「サプライヤー」「従業員」「株主」などのステークホルダーとの関係性から、当社グループの2023年度末(2024年6月期)の到達点を定義しています。例えば中長期の経営指標に関して、事業の姿においては7つの事業の柱をもっていること、独自の製品が事業の柱の1つとなっていること、リスクマネジメントの仕組みが構築・運用されていることを掲げています。

 現在、当社グループは、ヒートシンク製品、ガラス製品の製造販売を主な事業として、産業機器市場、自動車市場、光・無線通信市場、ライフサイエンス市場、航空宇宙市場、環境エネルギー市場の合計6つの市場を主な展開領域として当社製品の浸透を図っております。そのためには、これまで取引先からのニーズに対し、どうやって作るか(HOW)に主眼を置いた受託加工を主体としたビジネスモデルから、新たに何を作るか(WHAT)を主眼にした自社素材及び自社製品の開発、製造も並列させたビジネスモデルへの転換に取り組んでまいります。

 これらを実現させるために、ヒートシンク製品においては産業機器市場、自動車市場、光・無線通信市場及び航空宇宙市場でのサーマルマネジメント用途に向けた高性能ヒートシンク材料の開発、また、複合加工技術の開発による高機能ヒートシンク製品の製造、ガラス製品においてはライフサイエンス市場に向けた高信頼性製品の開発、さらに、成長市場である環境エネルギー市場へ独自加工技術による展開など、技術開発と製造の効率化を継続的に実施してまいります。

 また、社会的使命を果たすために、企業体質の強化は不可欠ですが、リスクマネジメントシステムの推進、働き方改革の推進、健康経営の推進、人材の育成開発、スピーディな情報連携、内部統制整備運用などを継続的に実施してまいります。特に果たすべき社会的使命について、継続的なチャレンジによって「人々の喜びの実現の一助になる」と定義しているように、人々の喜びを実現するのは、顧客です。すなわち当社グループが「クロスエッジ®Technology」を求める先端製品開発に携わる人々から、認められた存在であることがマテリアリティ(最重要課題)です。当社グループは、これを推進する体制として「テクニスコCSマネジメントシステム」という全社的な体制にて、顧客の正直な声を全従業員に届け、CS向上のための活動を行ってまいります。

(3)経営環境

 当社グループの主要製品であるヒートシンク製品は、産業機器市場、自動車市場、光・無線通信市場等において、様々な領域の機器の一部を構成する部品として利用されております。

 現況において、当社グループは、半導体レーザーの市場セグメント、材料処理、医療、光通信、LiDARセンサー、ディスプレイと照明など様々な分野における主要な半導体レーザーメーカーと取引実績があります。現在、地域別売上では、特に中国メーカーの顧客から旺盛な需要がありますが、競合である日米欧等の主要メーカーも当社グループの顧客であり、その需要を確実に取り込めるように、既存取引先との関係強化及び新規取引先開拓に取り組んでまいります。また、半導体レーザー用途以外でもパワー半導体、MPU向けの高機能ヒートシンク製品を提供しておりますが、これらを含めた半導体市場全体は、デジタル革命の進展に伴い今後も右肩上がりで成長し、2030年には、現在(2020年)の約2倍に匹敵する約100兆円(経済産業省:2021年6月 半導体戦略 参考資料より)に達すると言われています。半導体の微細化、極小化により大容量、高速、高信頼性や低消費電力、性能比低価格化など、半導体の進化に向けた追求は止まることがありません。当社グループは、顧客の最先端製品のR&D・開発担当者と直接対話し、共に解決する提案型の営業を行うことで、顧客製品の信頼性、長寿命化に必要不可欠な電気の放熱問題を解決する、ヒートシンク製品を提供してまいります。

 もう一つの当社グループの主要製品であるガラス製品は、自動車市場、ライフサイエンス市場等における様々な領域の機器の一部を構成する部品として利用されております。

 ガラス製品は、光透過性、電気的絶縁性、気密性、耐薬品性などの特徴を持つ電子部品用ガラスに、微細な形状加工や金属回路形成加工を行い、電子デバイスと組み合わせることで電子デバイスの小型化、高機能化を可能とする構成部品です。特に車の自動運転技術が進む自動車市場向けの各種センサーやモバイル機器向け、バイオ・医療向け等に精密ガラス製品を提供しております。それぞれの市場においては、顧客製品の高性能化、小型化が進んでおり、当社グループは顧客ニーズを確実に取り込めるように、取り組んでおります。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は、株式会社ディスコの研削切断加工技術をもとに受託加工を提供しておりましたが、2000年代、顧客ニーズも踏まえてコーティング技術である薄膜の設備を導入し、新たな加工技術を身に付けました。その後、技術開発を繰り返し、さらなるコア技術を中心に複数工程を組み合わせ、独創的な加工技術を生み出し製品化へとつなげ、専業メーカーでは対応できない技術力を蓄積してまいりました。当社の強みである「クロスエッジ®Technology」は、このように確立された歴史があります。当社グループでは、下記の事項を対処すべき課題と認識して、さらなる進化のためにコア技術を増やし、レベルアップを図る研究開発活動に取り組み、安定的な収益構造の実現を推進してまいります。

①ヒートシンク製品でのサーマルマネジメント用途に向けた高性能ヒートシンク材料の活用・開発

 当社グループの主力製品であるレーザー機器用ヒートシンクは、現在は主に窒化アルミニウム(AIN)、銅タングステン(CuW)が原材料ですが、高出力用レーザーを出す半導体素子に直接接合されるため、熱膨張が半導体素子に近くないと、素子自体を損傷します。一方でレーザー加工機は、用途の多様化により高出力化や微細加工のために信頼性が求められ、機器や部品の冷却需要が高まっております。当社グループは、より効率よく熱を吸収し、放熱する高性能ヒートシンク材料の活用(SiC等の新素材)や開発に注力しております。

②ヒートシンク製品での複合加工技術の開発による高機能ヒートシンク製品の製造

 上記研究開発の一環で、当社のシンガポール子会社であるTECNISCO Advanced Materials Pte. Ltd.において、さらに熱伝導が高い素材として、銀とダイヤモンドを原材料としたシルバーダイヤによる高機能ヒートシンクの製造開発を行っています。この製品は、熱膨張が様々な半導体素子の数値に近く、熱伝導が当社従来品の2~2.5倍の性能を有しています。今後の用途は、データセンターのサーバー、ハイパーフォーマンスコンピューティング、MPU向けヒートシンク、通信用RF増幅器、高出力レーザー用ヒートシンク、X線装置などで、将来性のある用途を見込んでおります。

③ガラス製品での高信頼性製品の開発

 ガラス製品は、微細加工を施す精密部品で、当社グループは、顧客の真のニーズを引出し、提案、製品化しております。用途は、CMOSイメージセンサー、MEMS(微小機械システム)の各種センサー、半導体パッケージ等です。近年、使われる環境が人体である医療用チップや、自動運転車の各種センサー、LiDAR(レーザー光による距離計測システム他)など人命に係わる製品の部品になりますので、高い信頼性を備えた製品の開発に注力しております。

④ガラス製品での独自加工技術による展開

 従来の機械加工技術に加えレーザー加工機の試験導入と、原点である「クロスエッジ®Technology」を併せ、それぞれのメリットを活かす複合加工へと発展させる取り組みを進めています。さらに将来的には、金属・ガラスとセラミック複合体など新たな技術開発の必要性も認識しており、将来的なお客様への提案力の強化に努めております。

⑤優秀な人材の確保

 「クロスエッジ®Technology」を継続して進化し成長を続けるためには、優秀な人材の確保が重要であると考えております。当社ではこれまで、経験者を中心とした積極的な人員の確保に努めるとともに、社員に対してもハラスメントの防止や労働環境改善のES(従業員満足度)調査への配慮に加え、健康経営による働き方改革等を踏まえた人事施策を行っており、今後も継続、強化を図ってまいります。また、社員一人ひとりが独創的な挑戦を継続し、進化し続ける企業風土の醸成を推進してまいります。

⑥安定的な資金調達の構築

 当社グループがメーカーとして最新の設備を保持し、生産設備を維持していくためには、安定的な資金調達が重要であります。今後の事業拡大に向けては、大きな資金需要を見込んでいることから、そのために、安定した調達能力を高め、十分な手許資金の確保を可能とすることに取り組んでまいります。

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、企業理念に掲げている「高度なクロスエッジ®Technologyへの継続的なチャレンジによって人びとの喜びの実現の一助となる」という社会的使命のもと、「切る」「削る」「磨く」「メタライズ」「接合」を中心とした複数の先端加工技術を融合させた「クロスエッジ®Technology」の提供により、“いつの時代にも人びとから「次も」期待される存在となる”の実現に向けて取り組んでおります。

 このことから当社グループでは、現在展開している市場での事業規模拡大及び新たな市場への展開を推進し、安定的な収益構造を実現することを中期的な課題としていることから、売上総利益率の向上と経常利益の拡大を経営において重視しております。

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