企業ダイドーグループホールディングス東証プライム:2590】「食品業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、国内飲料事業を取り巻く経営環境が大きく変化する中、グループ一丸となって将来の持続的成長をめざすべく、2014年に「グループ理念・グループビジョン」「ブランドメッセージ」を制定しています。

「人と、社会と、共に喜び、共に栄える。その実現のためにDyDoグループは、ダイナミックにチャレンジを続ける。」というグループ理念は、創業以来培ってきた「共存共栄」の精神を謳っています。お客様、従業員、取引先、地域社会、株主といったすべてのステークホルダーの皆様との共存共栄を図りながら、企業の成長とともに従業員が成長していくために、チャレンジする企業風土の醸成に取り組み、当社グループの文化である「共存共栄」の精神を未来へとつないでいきます。

 また、当社グループのコアビジネスである国内飲料事業は、清涼飲料という消費者の皆様の日常生活に密着した製品を取り扱っており、セグメント売上高の約90%は地域社会に根差した自販機を通じた販売によるものです。また、自社工場を持たず、生産・物流を全国の協力業者に委託するファブレス経営により、当社は製品の企画・開発と自販機オペレーションに経営資源を集中し、業界有数の自販機網は当社グループの従業員と共栄会(当社商品を取り扱う自販機運営業者)により管理しています。

 このような当社独自のビジネスモデルは、ステークホルダーの皆様との信頼関係によって成り立っていることから、「人と、社会と、共に喜び、共に栄える。」ことが会社としての責務であり、経営上の最重要課題であると認識しています。そして、その実現のために、「ダイナミックにチャレンジを続けていく」ための基盤として、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みであるコーポレート・ガバナンスを継続的に改善していくことが、株主共同の利益に資するものと考えています。

(2)経営戦略等

 当社グループは、「人と、社会と、共に喜び、共に栄える。その実現のためにDyDoグループは、ダイナミックにチャレンジを続ける。」のグループ理念のもと、2030年のありたい姿を示す「グループミッション2030」“世界中の人々の楽しく健やかな暮らしをクリエイトするDyDoグループへ”を定めています。SDGs のめざす未来の実現に、事業を通じて貢献することが私たちのミッションであり、持続可能な社会の実現によって、私たちも持続的に成長することができるとの思いが、その背景にあります。「共存共栄」の精神は、SDGs の原則である「誰一人取り残さない」にも通じるものです。2030年に向け、世界中の人々が楽しく健やかに暮らせる持続可能な社会の実現に貢献し、社会価値・環境価値・経済価値の創出による持続的成長と中長期的な企業価値向上をめざしていきます。

「グループミッション2030」では、グループ理念・グループビジョンのもと、2030年までに成し遂げるべきミッションを4つのテーマごとに示し、その達成に向けたロードマップを描いています。具体的には、2030年までの期間を「基盤強化・投資ステージ」「成長ステージ」「飛躍ステージ」の3つに区分し、それぞれのステージに応じた事業戦略を推進することにより、競争優位性の高いビジネスモデルを構築していきます。現在は、将来の飛躍に向けた「成長ステージ」として、2023年1月期を初年度とする5ヵ年の「中期経営計画2026」に取り組み、国内飲料事業の再成長に注力しつつ、長期視点での事業育成に取り組んでいます。

 また、当社グループは、「グループミッション2030」実現への取り組みを通じて、サステナビリティ経営を推進していきます。近年、地球規模での人口の増加や、それに伴う資源・エネルギー・食料の逼迫、環境問題、高齢社会の到来や格差の拡大等、企業が直面している課題は多岐にわたっています。このような環境や社会の変化による潜在的なリスクに備えると共に、事業を通じて社会的課題の解決を図り、豊かで持続可能な社会の実現へ貢献していくことが、企業としての責務です。当社グループは、「中期経営計画2026」のスタートにあたり、サステナビリティの観点から、中長期的な経営課題について議論し、「グループミッション2030」の実現に向けた8つのマテリアリティを特定しました。当社グループのマテリアリティへの取り組みを通じて、世界中の人々が楽しく健やかに暮らせる持続可能な社会の実現に貢献し、社会価値・環境価値・経済価値の創出による持続的成長と中長期的な企業価値向上をめざしていきます。

(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標

 当社グループは、「グループミッション2030」の経営指針として、社会価値・環境価値・経済価値の創出に向けた定性的・定量的な指標を以下の通り定めています。

① 経済価値創出に向けた財務KPI

 当社グループは、「グループミッション2030」における事業ポートフォリオの基本方針として、「国内飲料事業のイノベーション」「海外での事業展開の拡大」「非飲料事業での第2の柱の構築」の3つを掲げています。

2030年のありたい姿の実現に向けて、事業の「稼ぐ力」の強化を図るべく、経済価値創出に向けた財務KPIは、資本生産性指標である「ROIC」を採用しています。「成長ステージ」と「飛躍ステージ」における目標数値をそれぞれ設定すると共に、従業員一人ひとりが資本効率を意識した取り組みを推進することができるよう、ROICツリーの活用による理解浸透を図っています。

② 環境価値創出に向けた非財務KPI

 近年、気候変動をはじめとする環境問題への企業の取り組み姿勢に対するステークホルダーからの評価や市場の価値観の変化は、消費者の商品・サービスの選択に大きく影響するものとなっており、気候変動抑制のため、世界的規模でのエネルギー使用の合理化や地球温暖化対策等の法令等の規制も強まっています。また、気候変動に起因する水資源の枯渇、コーヒーをはじめとする原材料への影響、大規模な自然災害による製造設備の被害等のサプライチェーンに関わる物理的リスクの高まり等、グローバル社会が直面する重要課題である気候変動問題への対応は、当社グループの持続的成長の実現に向けた大きな経営課題であると認識しています。

 サステナビリティに関する詳しい取り組みについては、「第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」」に記載の通りです。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、2030年のありたい姿を示す「グループミッション2030」の実現に向けた「成長ステージ」として、2023年1月期を初年度とする5ヵ年の「中期経営計画2026」を策定しています。

「国内飲料事業の再成長」「海外事業戦略の再構築」「非飲料領域の強化・育成」の3つの基本方針のもと、「グループミッション2030」の実現に向けたマテリアリティに対応した成長戦略を推進するとともに、サステナビリティ経営の推進による組織基盤の強化を図り、社会価値・環境価値・経済価値の創出による持続的成長と中長期的な企業価値の向上をめざしていきます。

① 国内飲料事業の再成長

 当社グループのコアビジネスである国内飲料事業は、創業来、「お客様の求めるものをお客様に身近なところでお届けする」独自のビジネスモデルによって発展してきました。業界有数の自販機網と、直販と共栄会によって一体的に運営する品質の高いオペレーション体制は、当社グループの大きな資産であり、キャッシュ・フローの源泉ともなっています。

 コロナ禍を経て、消費者の行動様式は大きく変容し、自販機市場においては本格的な販売回復に至らない中、自販機に対する業界各社の取り組み姿勢は二極化し、上位寡占化の傾向がより強いものとなりました。このような状況の中、当社グループは、コロナ禍を契機とした社会変革をビジネスチャンスと捉え、「自販機ビジネスの進化による社会的価値の創造」をマテリアリティに掲げ、持続可能な自販機ビジネスモデルの構築にチャレンジしています。足元では、アサヒ飲料株式会社との共同出資により自販機の直販チャネルを一体的に運営する新会社「ダイナミックベンディングネットワーク株式会社」を設立するなど、規模を活かした自販機オペレーションの生産性向上に努めるほか、AIをはじめとした最新のテクノロジーを活用し、スマート・オペレーション体制をより高度なものに進化させるよう取り組んでいます。

 今後につきましては、国内飲料事業の2030年のありたい姿を「自販機市場において絶え間ない挑戦と共創で新しい価値を提供し、トップランナーとして業界をリードし続けます。」と定め、最新のテクノロジーを活用したスマート・オペレーションのさらなる進化に取り組むと共に、DyDoの店舗である自販機を通じて、お客様の求める価値をお届けすることにより、自販機市場における確固たる優位性を確立していきます。

※デジタル技術を活用し効率化を実現した自販機オペレーションを示す当社の造語。

② 海外事業戦略の再構築

 当社グループの海外飲料事業の中で大きなウエイトを占めるトルコ飲料事業は、豊富な若年層人口を背景に高い成長ポテンシャルを有しています。足元では、引き続きトルコ国内のインフレの急加速等、同事業を取り巻く経営環境は厳しい状況が続いていますが、機動的な価格改定をはじめとした現地の営業施策の奏功や、トルコ国民にとって馴染みの深いローカルブランドを複数保有していることなど、中長期的な成長が期待できる事業と位置付けています。また、中国飲料事業につきましては、現地の無糖茶ニーズに応え2021年より現地製造を開始し、中国国内の無糖茶市場の拡大に貢献するなど、収益基盤の拡充を実現することができています。

 今後につきましては、海外飲料事業の2030年のありたい姿を「世界中の人々の健康を支えるグローバルブランドを生み出します。」と定め、既存のトルコ・中国飲料事業の基盤を活かすほか、2024年2月にはポーランド共和国で清涼飲料を製造・販売しているWosana S.A.を買収しており、ポーランド市場への進出も行っていきます。これからも、海外事業戦略の再構築を進め、健康ニーズの高まりに対応したグローバルブランドの育成にチャレンジしていきます。

③ 非飲料領域の強化・育成

 当社グループは、「こころとからだにおいしい商品の提供」をマテリアリティに掲げ、国内飲料事業の再成長、海外事業戦略の再構築と共に、非飲料領域の強化・育成に注力しています。

 既存事業におきましては、国内飲料事業を担うダイドードリンコ株式会社が運営するサプリメント等の通信販売事業が、主力商品である「ロコモプロ」を中心に着実な成長を続けているほか、食品事業を担う株式会社たらみは、様々な食感を自在に実現する「おいしいゼリー」を作る技術力とブランド力を大きな強みとして、フルーツゼリー市場においてトップシェアを有し、ドライゼリー市場が縮小する中においても成長を続けています。また、医薬品関連事業を担う大同薬品工業株式会社では、2030年のありたい姿を「健康・美容分野での製造受託企業No.1になります。」と定め、2拠点4工場体制での効率的な生産体制の整備に注力しています。

 当社グループの新規事業領域拡大への取り組みとして、希少疾病用医薬品事業に参入すべく設立したダイドーファーマ株式会社は、プロフェッショナル人材の採用を含め、組織体制を整備し、2021年にはライセンス契約を締結、また、2023年には厚生労働省への治療薬の承認申請を行う等、マテリアリティに掲げる「社会的意義の高い医療用医薬品の提供」に向けて、着実な歩みを進めています。

 超高齢化社会・健康長寿社会が進展する中、人々の健康・予防・衛生に対する意識の高まりも相まって、今後、ヘルスケア関連市場は着実に成長していくことが想定されます。今後につきましては、お客様の健康と生活の質の向上に貢献すべく、大きな成長が期待されるヘルスケア領域の事業の強化・育成を図り、非飲料事業での第2の柱の構築にチャレンジしていきます。

④ 財務規律と投資戦略

 当社グループは、自販機市場での確固たる優位性の確立に向けた取り組みが重要であるとの認識のもと、既存事業から創出される5年間のキャッシュ・フローを元手として600億円以上を、自販機関連資産への再投資に振り向けていきます。なお、この600億円には、安定配当方針のもの継続実施される株主還元も含まれています。

 また、新たな事業領域への投資については、別途、内部留保などを財源に営業キャッシュ・フローの2年分を戦略投資枠として設定しており、投資判断にあたっては、当社グループの経営成績及び財政状態等への影響に十分注意を払いながら、定性的・定量的な基準をもとに、適切な投資判断を実行していきます。

(5)経営環境についての経営者の認識

 

2024年1月期は、円安の進行による物価上昇や日本各地での記録的猛暑、生成AIの普及など、当社のビジネスを取り巻く環境が大きく変わりました。また、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行して人流が回復したことも、世の中の大きな変わり目となりました。

このような中、外部環境の変化をチャンスと捉えて、各事業で適切な価格改定を実行したほか、スマート・オペレーションやDXの取り組みを推進できたことは、象徴的な成果だと考えています。また、期初には、ダイナミックベンディングネットワーク株式会社を設立し、アサヒ飲料株式会社の直販事業を担っていた3社をダイドーグループに加えたことも、当社にとって大きな変化でした。統合初年度は統一的なシステムの導入を完了させるなど、新組織として着実なスタートを切ることができ、自販機ビジネスの優位性確立に向けた大きな一歩を踏み出すことができました。

2025年1月期にあたっては、「グループミッション2030」の実現に向けて、引き続き8つのマテリアリティに取り組んでいきますが、その中でも特に「こころとからだにおいしい商品の提供」に注力していきます。私たちが人と社会に提供する価値に磨きをかけてこそ、「世界中の人々の楽しく健やかな暮らしをクリエイトするダイドーグループへ」が実現できるものだと考えています。また、マテリアリティの1つである「従業員のワークライフシナジーの実現/ダイバーシティの推進」について、経営戦略を達成するための人的資本経営として改めて考え方を整理し、この度、開示しました。

引き続き不安定な環境下ではありますが、グループミッション2030の実現に向けて、一歩一歩邁進し、チャレンジを続けていきます。

 

ダイドーグループホールディングス株式会社

代表取締役社長 髙松 富也

 

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