ダイトウボウ 【東証スタンダード:3202】「繊維製品」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
(1)経営方針
120年を超える当社の歴史と伝統を背景に、経営理念である「進取の精神」と「自利利他の心」に基づき、発想力を活かし無限大の可能性へ挑戦していく。もって、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を実現し、社会に役立つ企業、環境に優しい企業、人々の笑顔を大切にする企業となり、日本のより良い未来の創造に貢献する。
(2)経営環境
当期におけるわが国経済は、政府のデフレ脱却のための総合経済対策、円安の進展、賃金の上昇などの影響もあり、物価上昇局面への転換が進み、日本銀行がおよそ17年ぶりにマイナス金利政策を解除し金融政策が正常化に向けて転換するなど、景気は緩やかな回復から成長局面に変化していく兆しを見せ始めた。一方で、円安に伴う輸入関連コストの上昇や、東欧・中東における地政学的リスクの高まりに十分な注意を要する展開が続いた。
このような中で、当社グループは、「中期経営計画ブレークスルー2024 ~PROGRESS IN THE NEW NORMAL~」の最終年度となることを踏まえ諸課題達成に向けて取り組んだ。
商業施設事業においては、静岡県下有数の商業施設である「サントムーン柿田川」で、年末年始や春休み等のイベントで引き続き来館誘致の強化に取り組み、シネマを始め全体に前年を上回る来客数となり順調に推移した。ヘルスケア事業においては、冬場の繁忙期に入り一般寝具や健康寝具ともに緩やかに市況が回復しつつある中、西日本・東日本の取引先担当を地域ごとに集約を進めるなどの営業効率を高めることに注力したが、円安に伴う仕入れコストの上昇や、長期在庫の評価損計上が営業成績の足を引っ張ることになった。せんい事業においては、中国現地法人の清算に伴い大幅な減収となったものの、防衛産業の一端を担う官需ユニフォームの受注が順調に推移していることに加え、国内においてはアパレル関係の市況も徐々に回復したため、一段の国内営業活動強化に取り組み、中国現地法人を除く国内売上高は順調に推移した。
(3)対処すべき課題
当社は新たに中期経営計画「Jumping over the 130th ~成長の未来へ~」をスタートさせ、経済成長下での当社事業の成長を図り、主力事業である商業施設事業をさらに強く、またヘルスケア事業を収益の柱とすべく育成し、せんい事業は祖業である毛織物をベースとした事業展開に絞り込んで、いずれも国内事業に集中させることで業績を維持・向上させていく考えである。
また「資本コストと株価を意識した経営の実現への対応」を推進し、当社グループのサステナブルな成長や中長期的な企業価値の向上に邁進する考えである。
主な戦略の概要は以下の通りである。
① 商業施設事業
A.当社最大施設である静岡県所在の「サントムーン柿田川」の顧客満足度、テナント満足度を高め、より魅力ある施設運営を行う。
B.商業施設だけでなく周辺エリアも含めた発展を志向し、地域社会に真に貢献する施設とする。そのため、地元自治体と提携し、SDG’sを推進する。
C.提携先との取組みを強化し、新たなPM(プロパティマネジメント)事業や、施設内業態を中心に、スタートアップ企業への投資も検討する。
D.中長期設備投資計画に従い、必要な設備更新投資を積極的に行う。(10年総額25億円程度)
② ヘルスケア事業
A.健康長寿社会のニーズに応え、ヘルスケア分野へのシフトを一段と加速する。
B.国内製造拠点をフルに活用し、高品質の国産製品を提供する。
C.非対面チャネルでの営業を強化するため、外部コンサルやSNSを積極的に活用し、デジタルビジネスを推進する。
D.後継者不足の中小企業をターゲットに、ヘルスケア事業の譲受けやM&Aに取り組むことを検討する。
③ せんい事業
A.収益認識基準変更の影響や、中国事業からの撤退(中国現地法人の清算)を経て、ボリュームは落ちたが、国内市況の回復と防衛関係ニーズの高まりをチャンスと捉え、せんい事業の拡大に取り組む。
B.市況が回復してきた官需・民需のユニフォーム事業に最注力していく。
C.サステナブルな商材を開発・拡販し、サステナブルな社会作りに貢献する。
D.アパレルOEMは、国産のニット・オーダーメイドの拡販も武器にしつつ、歴史に裏打ちされたモノ作りの技術と信頼を高めていく。
④ 経営管理面の重点施策
A.サステナビリティ基本方針の推進
B.SDG’s諸課題への対応の推進
C.資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
D.人的資本経営の推進
E.財務マネジメントの強化
⑤ 資本政策
中期経営計画期間中の資本政策は以下の通りとする。
A.配当方針
当社は、競争力を維持・強化し、企業価値の増大を通じて株主の皆様に対する安定的かつ適正な利益還元を図ることを経営の最重要課題の一つと考え、利益配分については業績の向上に努め、また内部留保にも意を用いて決定することを基本方針としている。
本中期経営計画期間中の配当については、数値目標及び今後の事業展開等を総合的に勘案し、配当性向は50~80%程度を目指す。
B.自己株式の取得
年に一回程度不定期に実施する予定である。
総還元性向は70~100%程度を目指す。
C.株主優待制度の拡充
個人株主が大半を占めることを勘案し、株主優待制度を拡充する。
⑥ 財務マネジメント
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を実効性あるものにするとともに、将来的に金利上昇が想定される局面での、財務マネジメントの強化は最重要課題と認識して取り組む。
A.借入金の金利リスクマネジメント
借入金ポートフォリオのうち、固定金利借入が98%、さらに約6割は10年以上の長期固定金利借入である。(2024年3月末時点)
当社は、借入ポートフォリオの金利リスクヘッジは相応に進めており、今後も変化に備えた早めの対応を心掛けるとともに、着実な借入金圧縮に努める。
B.キャッシュフローマネジメント
将来キャッシュフローの予測精度を高め、投資等に一段と積極的に活用することを考えるとともに、設備投資など必要資金の調達も適宜行う。
「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」については2024年6月18日付けで開示済みであり、その詳細は、以下URLをご参照ください。
https://www.daitoboec.com/news/pdf/dbknews_20240618.pdf
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